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――このタイミングでのベストアルバムというのは、昨年の4thアルバム『daydream』のインタビューで話してくれた“いきなり辿り着いたわけではなくて。その前にはいろんな経験や出会いがあって、このアルバムが生まれたんだ”というAimerの想いを、かたちにして差し出された気がしました。

「そうですね。やっぱり声だけで作れるものがあったから、Aimerの世界観を今まで守ってくることができたし、いろんなところをこの声で歩いてきたという想いがあって。多彩な作家陣もそうですし、いろんな曲調、物語や景色だったり。「daydream」でやりたかったことも、声ひとつでどこまでAimerを作れるかっていうことで」

――表に姿を出さず、声だけが認知されている時期が、Aimerさんは長かったと思うんです。歌声が聴き手の耳と心に浸透して、その後で、本人の姿が見えてきて。最近やっと、Aimerの声と実像が繋がり始めたと感じているんですが、そこには確固たる意志をすごく感じるんです。

「それはあります。うん。私の中でAimerさんは、声のAimerさんだから」

――実際の自分とは少し距離がある感じ?

「距離があるというか、自分の中で信じられるのが声だし、歌で感じてもらえたらいいって思っていて。今回ベストを出すのも、もっといろんな人と出会いたいという希望からだし。あとから本人が付いてきたのも、付いてくることでより知ってもらえるかなって想いがあるんですよ。そしてこの想いに至ったのは、聴いてくれる方の存在が大きくて、それで腹を括れた部分もあるし」

――それはどういうことだろう?

「すごく嫌な言い方をすれば、私は聴いてくれる人に生きる意味をもらっていて。んー……もらっているというか、もう、もらいました。だから、いろんな音楽が溢れる世の中でAimerの音楽がしっくりくるなら、好きだなぁと感じてくれる人がいるならば、今度はその人の助けになりたいって思うんですよね」

――なるほど。では、ベストを作ると決めて、まず何から始めたのでしょう?

「すでにかなりの曲数がたまっていたので、それなら2枚にしようっていうのがひとつと、これまではその時々の自分を、楽曲、曲順、アートワーク、作品すべてで示してきたので、ベストであろうと、選曲や曲順に意思を感じさせるものにしたくって。あとはもともとバラードが多くて、途中から力強い曲を歌うようになったんですよね。だから優しさと力強さというのはAimerにとって大きな基盤で、2枚に分けるならば“優しさ”、“力強さ”このふたつでいきたいってところから、いろいろ決めていきました」

――“優しさ”に『“blanc”』、“力強さ”に『“noir”』と名付けたのは?

「Aimerがフランス語というのもあって、ファンクラブの名前が“Blanc et Noir”なんです。さらに私はもともと相反するものを大事にしてきたし。強さと優しさ、怒りと喜び、生と死、そういうものを象徴する言葉としても“blanc”、“noir”はぴったりだなって」

――結果、2枚のコンセプトアルバムのような佇まいです。

「嬉しいです。アルバムごとにこだわって作ったものをバラバラにするのは、なかなかハードルの高いことで。でも、こうして並べて聴いてみると、本当にしっくりくるというか。「六等星の夜」に関しては、最初に置こうって決めてましたね」

――それはさっき話してた“曲順にも意思がある”っていうところですよね。

「自分の節目になってきた曲は絶対に入れたかったです。例えば、デビュー曲「六等星の夜」は、始まりの曲なので思い出が深すぎるくらいだし。「Brave Shine」は以前、ライブ中に声が出なくなったことがあって、それを受けて書いた歌詞だから、ある種、象徴的な歌。すごく強い曲なのに、歌うといつも泣けてくるんです。あとRADWIMPSの(野田)洋次郎さんから「蝶々結び」をいただいたときは、“うわ、どうしよう”と思ったんですね。さらに岩井(俊二)さんが作ってくださったPVを見て、“どうしよう……”って、その素晴らしさに落ち込んで。ライブもそうなんですけど、いいものができても“これ以上はないんじゃないか”と思って、落ち込んでしまうっていう(苦笑)」

――けど結果として、その“どうしよう?”を次の歌へのエネルギーにしているでしょ?

「結局、歌が好きなんですよね。どうしても攻略できないから、もっといいものがあると信じているから、ずっと挑めるし、好きでいられるっていうところはあります」

――ベストアルバムを作ることで、要所要所を振り返ることができたんですね。

「やっぱり、歌い方は変わったのかなって思います。自分の中で……ですけど。Aimerとして歌い始めるとき、10年、20年歌い続けたいっていう目標があって、それを達成できるような歌い方に近づけているんじゃないかって思います。それから、夜を歌ってきた人間が、夜明けを迎えて、夜から出てきたのはすごく大きいですよね。いろんな節目でちゃんと成長してこれたのは、今あるものを自分で壊すことの大切さに気付けたから。いつもどこかヒリヒリするような歌を表現していきたいって思うんです」

―― Aimerにとって、安定してしまうことは、敵なんですね。

「そうですね。だから『“noir”』の最後に置いた新曲は、“壊す、リセットする”という意味を込めて「zero」なんです。ここまで築きあげてきたものは崩せない、奪えない、なくならないとわかっているから、リセットして先に進みたいっていう気持ちです。破壊願望みたいなものは、ふだん、全然なくて、むしろ安定を望んじゃう方なんですけど。いや、自分がそういう人間だからこそ、壊して次へ行かなきゃって鼓舞しているんですよね、きっと。「zero」という曲を『“blanc”』、『“noir”』の最後に持ってきたのには、そういう意味があります」

――ベストアルバムのラストにして、次作を示すものでもある、と。

「そう。そういうものにしたかった。そして聴いてくださる方にとっても、未来へのチカラになったらいいなぁと思うんです」

――そしてAimerと聴き手の未来が交差するのが、8月29日の武道館だと思います。

「ありがとうございます(笑)。ライブはとても大事だし、Aimerの歌をいちばん理解してもらえる場所だと思うので、みなさんとお逢いできるのを楽しみにしています」

(おわり)

取材・文/山本祥子



Aimer『BEST SELECTION "blanc"』
2017年5月3日(水)発売
通常盤/SECL-2143/2,759円(税別)
SME Records


Aimer『BEST SELECTION "noir"』
2017年5月3日(水)発売
通常盤/SECL-2148/2,759円(税別)
SME Records


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