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――さかいゆうさんといえば、デビュー前のよく知られたエピソードとして、アメリカでの音楽武者修行がありますが、アメリカのどちらへ?

「L.A.です。3ヵ月じゃ短いなと思って。1年だと学生ビザ取らなきゃいけないじゃないですか。そうしたら推薦入学できる音楽学校があって、それしか方法がなかった。お金もそんなにかからないし、試験受けたら受かったんで」

―― 学校で学ぶ音楽と、実生活のなかで触れる音楽の違いというか……。

「実は学校にはほとんど行かず、部屋でずっとピアノ弾いてたんですよね。アメリカに行った当初はほとんど弾けなくて、ほんの6秒くらいのワンループを何曲か、コードがどうこうとかロジックも全くわからないまま触ってみるという感じで。そこから少しずつ “ああ、あのときのあの音ね” って耳で覚えました」

――なるほど、じゃあ最初から人前で弾いてたわけじゃなくて?

「最初は部屋でひとりで弾いてました。で、途中からストリートライブをするようになった。ダウンタウンのリトルトーキョー近くにある噴水のあたりに、電源が借りられるところがあったんですよ。そこで毎日歌って、夜ライブを見に行く資金を稼ぐみたいな。結構がんばって、月に300から400ドルくらいは稼いでましたね」

――どんなライブを見たか覚えていますか?

「もうね、名もないミュージシャンから、ジェームス・ブラウン、B.B.キング、メイシオ・パーカー、ミーターズ、ルーサー・ヴァンドロスまでいろいろですよ」

――おおよそジャズ、ソウル、R&Bあたりの音楽ですね

「そうですね。いちばん記憶に残っているのはシャーデー。そのライブはライブ盤(2002年発売の『ラヴァーズ・ライヴ』)になってますね。大きなホール規模の会場で、日本で言うと国際フォーラムのホールAより大きいくらいかな。音もすごくよかったし貴重な体験でしたね」

――確かJ-WAVEだったと思うんですが、クリス・ペプラーさんの番組で……。

「あー、自慢してましたね(笑)。“日本人であのライブを見てたの俺らふたりくらいじゃない?”って」

――夜ライブハウスに行って、バックステージに潜り込んでっていうエピソードも印象的でした。

「うん、ミュージシャンに話しかけて、演奏を録音させてよって。当時はMDでしたけど、家でそれを聴いてましたね」

――それを聞いて、さかいゆうって結構たくましい人なんだなと思いました。

「当時の僕はリアルに超ウルトラ・グリーン・ボーイだったから……」

――ははは!それどういう意味ですか?

「何にも知らないがむしゃらなド新人てことですよ。別にそこで仕事をもらおうとかそういうしがらみもなかったですし、好き勝手やれるじゃないですか。ミシェル・ンデゲオチェロのライブを見に行って――ハコはL.A.'s Roxyだったかな?――リハーサル中にドアの隙間から盗み聴きしたりとか」

――なるほど。そんなさかいさんのルーツミュージックは?

「小学生の頃、TVで見ていた演歌と歌謡曲ですね」

――音楽に目覚めたという高校生時代は?

「中学高校時代だと、槇原敬之さん、スピッツかな。あんまり聴いてなかったんですよね。流行りものは」

――洋楽は?

「そのころは洋楽も全くですね。強いて言えば映画『ボディーガード』のサントラくらい。あれってブラックミュージックじゃないですか。そういう意味では久保田利伸さんも好きでしたね。意識してなかったけど、きっとブラックミュージックが好きだったんでしょうね。理屈はわからなかったけど、ビートがね。昔の演歌とか歌謡曲にもブラックミュージックの要素を感じる部分があったのかな。〈真っ赤な太陽〉とか〈あの鐘を鳴らすのはあなた〉とかね」

――これまでのアルバムを追ってみても、そうした音楽的嗜好はブレていないなと感じます。

「いろんな音楽を聴くようになりましたけど、たぶん変わってないですね。でも、そういうこと考えたことないんですよ。計算してやっていないんで。ぼちぼち計算してコンセプチュアルなアルバム作るのも面白いかなと思いはじめましたけど」

――自分でテーマ設定をしてこういうアルバムを作ろうっていうアプローチはしない?

「したことないですね。あ、『ONLY YU』は、演奏も歌も僕だけでやるって縛りで作りました。ひとりでもできるけど、いろんな人が関わったほうが広がりが出るってプリンスも言ってましたが、そのとおりですね。ひとりで全部やると音がタイトになり過ぎるんですよ。ファンクなんかは、ストレートなリズムの人もいれば、ちょっとハネてる人もいるっていうズレ感からグルーヴが生まれるじゃないですか。バキバキな音には圧倒感があるけどダンサブルな感じは削がれると思うんです」

――今年はアルバム『4YU』のリリースとツアー 、RESPECT Vol.2、「再燃SHOW」、そして「POP TO THE WORLD」ツアーと忙しいですね。

「いや、結構ゆったりやってます。詰まってる人はもっと詰まってますよ(笑)」

――走ってる感はない?

「全然(笑)。歩いてるくらいの感じ。むしろ実験というか、いろんな音楽を取り入れたりという過渡期ですね。この〈再燃SHOW〉もギターメインでやったらどんな感じかなって。〈But It's OK?〉も〈Drowning〉も今までになかったタイプの曲ですから」

――「Drowning」はすごくドライブ感があってかっこいいですね。

「そうですね。ふだん自分が聴いている洋楽っぽい雰囲気で歌ったら楽しいだろうなと思って」

――「再燃SHOW」は映画『幸福のアリバイ~Picture~』の主題歌という一面もあります。メロディーは綺麗で、出だしのハイトーンも印象的なんですが、歌詞の言葉が強いなと思いました。

「主題歌みたいにテーマを限定してもらうほうが実は楽だったりするんですよ。すごく悩んで書いてはいますけどね。でも歌詞が強いか、弱いかってあまり考えたことないな。メロディーとサウンドはすぐに浮かんでくるんですよ。歌詞は、聴いてくれる人が理解できない言葉を書いたって成立しないと思っているので、僕がまわりの目を気にしながらやる唯一の作業なんです」

――個人的には「ゴミ箱に捨ててしまえ/自分のこと棚にあげる技術」という詞にどきっとしました。

「刺さるってことは、その人の感覚が、そこそこ僕に近いからだと思うんですよ。でもそういうのって、すごく限定的なものだし、それこそワンワードで世界を変えちゃう人っているじゃないですか。僕はその域に到達していないので。でも聴いている人の体温を上げちゃうような歌詞を書いてみたいとは思いますね。まあ、出来上がって世に出てしまえば、歌詞を強いと感じるか、弱いと感じるかは聴き手の自由ですから。とは言いつつ、そういう反応が返ってくるのは幸せなことなんですけど」

――年末まで続く「POP TO THE WORLD」ツアーのテーマは?

「僕らはふだんからいろんなPOPミュージックを聴いているわけですけど、じゃあPOPミュージックって何だ?ってことを考えたんですよ。J-POPもあれば、ジャズだってPOPだと思うし、僕の音楽もそう。それが世界に広がっていくといいなというのがテーマです。タイトルにはしませんでしたけど、もちろん〈再燃SHOW〉のためのツアーでもあります」

――SPECIALの大阪、東京はともかく、ふだんのツアーではなかなか行かない場所が目立ちますね。

「そうですね。仙台、広島、高松は久しぶりです。バンドで行くのは初めての会場が多いんじゃないかな。初めてライブに来てくれる人たちとの新しい出会いもあると思うので楽しみですね」

(おわり)

取材・文/高橋 豊(encore)


■ライブインフォ
<さかいゆうTOUR “POP TO THE WORLD”>
11月21日(月)darwin(仙台)
11月22日(火)LOTS(新潟)
11月29日(火)Sound Lab mole(札幌)
12月6日(火)DIME(高松)
12月7日(水)セカンドクラッチ(広島)
12月9日(金)Gate'7(福岡)

<さかいゆうLIVE “POP TO THE WORLD” SPECIAL>
12月21日(水)NHK大阪ホール(大阪)
12月25日(日)中野サンプラザ(東京)


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