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開場は15時、開演は16時。土曜日とは言え、ずいぶんと浅い時間のライブだ。会場となった横浜アリーナは、このほど大規模改修を終えたばかり。この日の角松の公演がリニューアル後のこけら落としというわけで、開演前の時間を利用して、館内を偵察してみた。

まずは外観。エントランス部のガラス面に設置された大型ビジョンが目を惹いた。館内ロビーはカーペットや照明、ベンチ、売店などが全体的にリフレッシュされており、ブルー基調のカラーリングにしゃれた書体をあしらった案内板――A、B、C、アリーナと書かれたあれだ――がとても見やすくなった。特筆事項はトイレで、こちらもリフレッシュされていて、入口と出口の導線がわかりやすくなったせいか開演前の混雑時も比較的スムーズに行列が流れてゆく。

余談だが、入場口近くでかなりのスペースを割いていた物販ブースは、アイドル並みの混雑ぶりで、その行列はエントランス前の階段を上がった2階フロアまで延々と続いていた。あらためて角松ファンの熱気を感じさせられた。

さて開演時間が近くなったので、1Fほぼ中ほどのセンター席へ。と、ブルーの座席も新調されており、格段に座り心地がよくなっていた。そうこうしているうちにオープニングのビデオが流れ出す。

ビデオでは、陶芸家の島村真司氏との出会い、角松が陶芸に取り組むことになったエピソードを角松自身が語る。35周年にちなんだ35点の陶芸作品が完成したところで客電が落ち、いよいよ周年ライブが開幕。

「これからもずっと」のイントロ。歓声に迎えられ、ハットを目深に被った角松がステージに登場……とほぼ同時に客席中央のリフトが上昇。するとそこにはプリントのシャツに鮮やかなピンクのパンツの角松本人が!ステージの角松はフェイクだったのだ。いきなりのサプライズに横浜アリーナ全体がどよめく。してやったりという笑顔の角松。

ステージに移動し、CDよりもずいぶんとボーカルが際立って聴こえる「Reallize」、「CINDERELLA」で小粋なパーカスを披露すると、そこから「OFF SHORE」、「LUCKY LADY FEEL SO GOOD」と“凍結”以前のナンバーを続けて最初のMCへ。

「今日はマラソンのようなライブになります。皆さんも、音楽を聴くと言うよりも沿道でランナーを見守る観衆のつもりで応援してください」とおどけて会場の笑いを誘いつつ、「今日は『SEA BREEZE』をライブで再現します。そしてそのために必要不可欠なミュージシャンを紹介します」と村上“PONTA”秀一の名を告げる。村上“PONTA”がスツールに収まると客席は歓声で応える。ドラマー、村上“PONTA”とともに凄腕揃いのバンドがアルバムの音源を忠実に再現してゆく。ただし角松のボーカルスキルはデビュー当時から確実にアップデートされていて、『SEA BREEZE 2016』のバージョンにリメイクされている。「Summer Babe」でエレピと絡む角松のボーカルがとても気持ちいい。そして「さあ、ここでレコードを裏返して、B面の1曲目に針を落とします」と言ってグルーヴィーな「YOKHOHAMA Twilight Time」へ。

『SEA BREEZE』からの全8曲と「初恋」を披露するとACT-1が終了。インターミッションを挟んでACT-2へ。白いリネンのスーツに身を包んだ角松の「さあ、皆さん、マラソンで言うとここは15キロ地点ですよ」という言葉に、本日の開演時間を思い出す。角松の周年ライブは公演時間が長いことで知られているが、今日もたっぷり楽しませてもらえそうだ。

ACT-2は「RAIN MAN」、「IZUMO」、そしてプログレ~フュージョン~ウェストコーストな「The Moment of 4.6 Billion Years」と“解凍後”の楽曲が続く。そして女性シンガーたちとのデュエットコーナーから、ドラム×3台、鍵盤×2台がバトルを繰り広げる「OSHI-TAO-SHITAI」へ。圧巻はかつてツアーに帯同した98人のクワイヤーが勢ぞろいした「Get Back to the Love」。観客も総立ちで応え、サウンドもステージングも感動的だった。

見るともなく時計を見ると、時刻はちょうど20:30。壮大な周年ライブもいよいよ終盤戦だ。ここから「After 5 Crash」、「RUSH HOUR」、「Tokyo Tower」、「Girl in the Box」と80年代の角松アンセムを繰り出し、シティーポップの輝きを蘇らせた。人差し指を天に向けて差し出すハンドサインでコーラス隊と客席が一体となった「Tokyo Tower」はこの夜のベストシークエンスだと思う。「今夜はどうもありがとうございましたー!」と客席に向かって感謝の気持ちを伝える角松が晴れやかに、そして満足そうに見えた。そして「ハナノサクコロ」でエンディングを迎えた。

アンコールの拍手が鳴り響き、角松が、これ以上はないだろうという早さでステージに戻ってくるなり「あー!残念!座ってるじゃん。アンコールでみんなが立ったまま盛り上がってるうちに戻って来ようと思ったのに」と言って笑わせる。「アンコールは僕のやりたい曲だけを歌います」と告げ、「浜辺の歌」、「ILLUMINANT」、AGHARTAの「ILE AIYE~WAになっておどろう~」、紙飛行機が舞い飛ぶ角松のライブアンセム「Take You To The Sky High」でアンコールを締めくくる。

ダブルアンコールではオープニングで使ったリフトで「Always Be With You」、「NO END SUMMER」を歌い上げ、のべ6時間におよんだライブは無事大団円を迎えた。角松敏生というミュージシャンのすべてを凝縮したこの日のライブは、彼自身の、35年のキャリアを振り返りつつ、次の世代のオーディエンスやミュージシャンへの架け橋にもなったはずだ。そして装いを新たにした横浜アリーナのオープニングに相応しいアクトであったことも付け加えておこう。


取材・文/encore編集部


■「TOSHIKI KADOMATSU 35th Anniversary Live~逢えて良かった~」

<ACT-1>
1. これからもずっと
2. Instrumental
3. Startin'
4. Realize
5. CINDERELLA
6. OFF SHORE
7. LUCKY LADY FEEL SO GOOD
8. Dancing Shower
9. Elena
10. Summer Babe
11. Surf Break
12. YOKOHAMA Twilight Time
13. City Nights
14. Still I'm In Love With You
15. Wave
16. 初恋

<ACT-2>
1. RAIN MAN
2. IZUMO
3. The Moment of 4.6 Billion Year
4. RAMP IN
5. DESIRE
6. OSHI-TAO-SHITAI
7. DADDY
8. 鏡の中の二人
9. Odakyu CM Duet
10. Never Gonna Miss You
11. Smile
12. Get Back to the Love
13. After 5 Crash
14. RUSH HOUR
15. Tokyo Tower
16. Girl in the Box
17. ハナノサクコロ

<ENCORE 1>
1. 君のためにできること
2. 浜辺の歌
3. ILLUMINANT
4. ILE AIYE~WAになっておどろう~
5. Take You To The Sky High

<ENCORE 2>
1. Always Be With You
2. No End Summer



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