本大会には欧州・アジア・アフリカ地域から20を超える国と地域が参加した。日本からは「ユイマナカザト(YUIMA NAKAZATO)」デザイナーの中里唯馬氏が招かれたほか、一般社団法人東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)の代表理事・議長を務める久保雅裕氏が来賓として参加した。開幕式には700人以上が現地で参加し、オンライン視聴者は6000万人に達した。
11月20日午後には「国際アパレル協力開発円卓会議」が行われた。久保CFD TOKYO議長が「日本のアパレル業界の現状、課題及び国際協力の考え方」をテーマに発表を行った。CFDの歴史や活動内容を説明するとともに、国内消費動向や国際的なデザイナー団体との協業について言及。特に上海デザイナー協会(SFDA)との協力協定を具体例として挙げ、団体間連携の重要性を強調した。
11月21日午前には「開幕大会」を開催。中国紡績工業連合会の孫瑞哲会長が「協力して価値を創造し、融合して未来を開く」をテーマに基調講演を行い、業界の調和と発展の必要性を訴えた。また、フランスオートクチュール・モード連盟のパスカル・モラン会長もビデオメッセージを寄せ、国際協力の重要性を述べた。久保議長はデジタル演出を活用したテープカットセレモニーに参加した。
中里デザイナーは「ファッションの変化とデザインの進化」をテーマにしたパネルディスカッションに登壇し、「中国でSNSアカウントを開設しました。SNSによる海外とのコミュニケーションが重要性を増していると感じています。また、AIなどの新しい技術をファッションに取り込むことも大切です」と話した。他のパネリストには、元ジバンシィメンズチーフデザイナーのBrendan Mullane氏、LIU YONGデザイナーのLiu Yong氏、マックスマーラのクリエイティブコンサルタントAlbino D’amato氏、KITONアジアCEOのPaolo Monaco氏、Jonathan & FletcherのジェネラルマネージャーGregory Pessey氏が名を連ねた。
11月21日午後には「国際デザイナーと中国ブランドの交流ミーティング」を実施。中里デザイナーは、自身のパリ・オートクチュール・コレクションや映画「燃えるドレスを紡いで」などの映像を交えて紹介。また、スパイバーのブリュードプロテイン技術を取り上げ、新素材による循環型エコノミーの重要性を論じた。
11月22日午前、「テーマ別フォーラム」を開催。「科学技術革新」「ファッション・クリエイティビティ」「持続可能な未来のためのグリーンイノベーション」の3つのフォーラムが開催された。久保CFD TOKYO議長は「ファッション・クリエイティビティ」フォーラムで講演を行い、日本のファッション市場の歴史的変遷や、コロナ後のデジタルトランスフォーメーションが消費行動に与える影響について語った。具体例としてD2CモデルやC2Cプラットフォーム(二次流通市場)の動向を示した。
カンファレンス終了後、久保CFD TOKYO議長は「今回知り合えた欧州、アフリカを含めた各国団体・企業との関係構築、コラボレーションが生まれれば良いと考えています」とコメントし、CFD TOKYOの国際交流に意欲を見せた。
画像提供:世界服装大会