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――5年ぶりのニューアルバム『潮騒』は、紛れもなく今だからこそ生まれた音楽だと感じさせてくれる一方、これまでの遊佐さんの音楽がそうであったように時代を問わない普遍性と、キャリアを重ねても揺るがない"遊佐未森らしさ"が詰まった作品だと思いますが、ご自身ではどんな意味合いを持つ作品がだと感じていますか?

「今回のアルバムができたことで、新しい場所に行けた実感がすごくしています。またここから新しく始まっていくなという、とてもフレッシュないい時間を過ごしながら制作したアルバムです」

――確かに、フレッシュさというか、瑞々しさや生命力を感じるアルバムだと思います。

「これまでいろんな作品を作ってきましたけど、今回は自分の中に蓄積したものを総動員しましたし、3年ぐらい前から制作を始めて、その間に行ったライブでもいろんなことを考えながら、この『潮騒』にたどり着きました。今までの蓄積があったからこそのアルバムですが、制作をしていく中で出会った新しいミュージシャンとのコラボを通して見えてきたサウンドもありましたし、すべては1日ずつの、本当に1日の一瞬の積み重ねの結果できた作品。そういう印象が、自分にとっては一番強いです。そのとき、その1日に何を見て、何が面白いと思って、どんな歌を歌ったのか。そういうことすべてが、このアルバムにつながっているなって。今回はそこに、共同プロデューサーの外間隆史さんやアレンジャーの大口俊輔さん、エンジニアのカラム・マルコムらがより熱く思いを注いでくれて、自分が想像していたよりももっともっと広がった場所に連れていってくれたなっていう感じがしていますね」



――外間さんが遊佐さんをプロデュースされるのは、17年ぶりです。

「特に数えてはいなかったので、びっくりしました(笑)。外間さんとは、その間にもジャケットのデザインを頼んだり、一緒にいろんなことをやっていたので、あまり離れていた感覚はないんですけどね。でも、今回のこのタイミングで17年ぶりに一緒にスタジオに入ってプロデュースをしてもらえたのも、やっぱりこれまでのいろんな流れがあってこそだとは思います」

――今回、外間さんに17年ぶりのプロデュースを依頼しようと思ったのは?

「前作の『せせらぎ』までが3部作みたいな意識が自分の中にあって、そこでいったん1つの形ができたという思いがあったので、次はまったく新しい世界に行きたいという気持ちが、まずはありました。それで、自分が何か新しいことにトライするとき、一緒に思い切っていろいろと新しいことにチャレンジできる方っていうと、やっぱり外間さんにプロデュースをお願いしたいなと。もちろん、いつか一緒にやりたいと思っていましたけど、今回のこのタイミングでしたね。実は、30周年のコンサートを東京と大阪で開催したときに、大阪のゲストは外間さんでと思っていたんですけど、ご病気になられて出演できなかったことがあったんです。お見舞いにも行ったんですけど、かなり大変な病状だったのに、仕事の話をすると目がギラッと光るんですよね。"それはさー、遊佐坊!"って(笑)。だから、また音楽の現場で一緒に仕事をしたいという思いは強かったです。外間さんも、どんどん元気になって、今回のアルバムでという感じです」

――新しいことをやろうと思ったときに、旧知の仲だからこそ身を委ねて、自由にできる部分がある?

「そうですね。それこそ自由にできるし、言い合える。多少バチバチしたとしても、外間さんとは今までもそういう現場をいっぱい乗り越えてきているので。それは、外間さんが私のデビューのときから"遊佐未森の音楽"に愛情を持って接してくれているからだし、だからこそお互いに言っていることをわかり合えます。2人で作っていけば絶対に面白いものができあがるという確信もありましたし、実際にいい作品になったと思っていますね」



――サウンド的にはピアノとストリングスがメインになっていて、シンプルだけど深みと広がりがあって、心地よい重みも感じます。こういったサウンドのアイデアは、いつぐらいから温めていたんでしょうか?

「プリペアドピアノの音楽が好きで集中的に聴いていた時期があるんですけど、そこから徐々に固まっていった感じだと思います。それと、去年の2月が3回目だったんですけど、年に1回開いていた浜離宮朝日ホールでのコンサートも影響しています。ピアノとチェロとフルートで割とクラシカルなサウンドのコンサートだったんですけど、それが今回のアルバムにはすごく結びついていますね」



――今作の制作期間の多くは、コロナ禍と重なっていたかと思います。音楽への向き合い方や日常の中での視点、考え方などに影響や変化はありましたか?

「去年の2月に浜離宮朝日ホールを最後に、そのあとに予定していたコンサートがすべて中止になりました。その結果、人と会う機会も減ったんですけど、いつも以上に自分に向き合う時間になったな、よりアルバム制作に集中する時間になったなと思っています。だから、友だちに会えないとか、誰かとご飯に行くこともできないとか、いろんな制約がありましたけど、その中でもずっとアルバムを作っていた感覚です。その先に見える、新しい作品の世界にひたすら目が向いていたというか」

――ライブができなかったことは、やはりかなりもどかしかったですか?

「ライブこそ積み重ねで、声帯も体も意識も日々ちょっとずつ変化していくものなので、できればいいペースでコンサートができていた方が、ミュージシャンにとってはありがたいし、望ましいです。特に私の場合、そのときそのときに思いついたライブを試しにやってみたいという性格なので、自由にライブができなくなった状況は大きいものがありました。だから、アルバムの制作に集中できていたことで解消していた部分があると思います」

――今の時代ならではのテーマですよね。

「そうなんです。ミルくんが作ってくれたのが今の時代に合ったトラックだったので、そこに"今の時代らしいテーマを乗せて歌ったら面白いな"って思ったんですよ。それこそ今は、そういうことを発言する人も少しずつ増えている時代なので、私の曲を聴いてくれているみんなにも、そこにフォーカスしてもらえたらなって思ったんです」

――今後は、『潮騒』を携えたコンサートにも期待したいです。

「すぐにというのは状況的にむずかしいと思うんですけど、来年にはぜひやりたいと思っています。アルバムに参加してくれたメンバーも、ぜひと言ってくれているので」



――これからの音楽活動について、思い描いていることを教えてください。

「『潮騒』のコンサートは来年と言いつつ、それとは別のコンセプトのコンサートを9月に5本ほど行う予定です。そのあとは、季節ごとのテーマを軸にしながら、どんな素敵な会場で、どんなライブの世界を楽しんでいただけるか。『潮騒』の世界をこれから歌っていくためにも、『潮騒』というアルバムを長く聴いていただけるような活動をしていきたいです。それが、今の大きな思いですね」

――それにしても、遊佐さんの音楽は時空を超える感覚を抱かせてくれる音楽だなと、いつも思います。

「私自身、"今ここじゃないどこか"に行ける音楽が大好きで、ちっちゃいころからそういう音楽を聴いて育ってきましたから。自分がミュージシャンになったらそういう音楽を作れたらいいなと思ってずっとやってきましたし、確かに今も『潮騒』を作ってみて、時間の流れ方が変わるような感覚、時空を超えて違う世界に存在しているかのような感覚はあるかもしれませんね。そういうマジックを見せてくれるミュージシャンが私は好きだし、自分自身もそうありたいと思っています」

――33年のキャリアを重ねても、幼少期から持っているその感覚は色あせない?

「日々暮らしていても、好きなものに触れているときってあっという間に時間が過ぎていたりしますよね。音楽以外でも、そういう感覚が日々の暮らしの中にあるし、海の近くに住んでいることもあって、日常の時間の流れ方が都会とは違うとも思います。そういうすべてが、自分の音楽にいい作用をしたらいいですね。結局、すべては自分が作る音楽につながっていくものなので」

――ずっと音楽を作り続けてきた中で、自分にとって音楽ってなんだろうと考えたりもされますか?

「考えたりすることもあるんですけど、あんまり言葉にしてこなかったなーと思います。親に言わせると、私はしゃべるよりも先に歌っていたような子だったみたいなんですけど、今もしゃべるよりも歌う方が喉が楽で(笑)。いま、自分がミュージシャンとして音楽を作り続けてきて、やっぱり私は"歌う人生"なんだなとは、すごく思いますね。30周年のコンサートがあったこともすごく大きいと思うんですけど、特にここ数年はしみじみ思ったりします。ずっと音楽を作って生きてきたなと思うし、いい方たちに巡り合えたからこそ続けられているなとも感じています。デビューしてから今までの人とのつながりが支えになっているし、そのつながりがあるからもう少し頑張れる、もう少しやってみよう、もっと面白い音楽ができるんじゃないかって。自分にとって、そういう楽しさがあるのが音楽です」

――これからの音楽活動も楽しみにしています。

「音楽を作り続けていきたいなと思っています。あっという間に33年目なので、これからもキャリアはあんまり気にしすぎずに活動できたらいいですね。あっという間だったからこそ、外間さんとも17年ぶりという感じが全然しなかったんだと思いますし」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/いのうえようへい





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9月2日(木) ルーテル市ヶ谷ホール(東京)
9月3日(金) ルーテル市ヶ谷ホール(東京)
9月23日(木) 海辺のポルカ(神戸)
9月25日(土) 蔭凉寺(岡山)
9月26日(日) Gate's7(福岡)



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