<PR>
J-POPフリークの音楽アプリ「SMART USEN」



その名も、「NAONのYAON」。若い世代には「???」かもしれない。しかし、さかのぼること30数年、業界用語的に女性を“女”ならぬ“ナオン”と呼ぶ(人がいた)時代が、確かにあったのだ。ネーミング通り日比谷野外大音楽堂を会場に、1987年にスタートしたこの音楽イヴェントは、ネーミング通り女性限定。トップ・アイドルや女優から、お笑い芸人、女子プロレスラーまで、ジャンルを超えて実に多彩な女性アクトが出演してきた。その理念は強固で揺るぎない。


――こういうご時世になって1年ほど経ちますが、どのように過ごされていましたか?

「主に配信ライヴをやっていましたね。SHOW-YAとソロの曲を、120曲ぐらいかな。あとは、カヴァー曲を弾き語りしたものを、YouTubeにアップしたり。人前でのライヴがなかなかできないけど、それでも自粛しているファンの人たちが寂しくならないようにという思いで、小まめにやっていました」

――うっぷんが溜まることもなく、時間を有意義に使えていると。

「いや、めっちゃ溜まっていますよ(笑)。不要不急の外出はしていなくて、ほとんど外に出ることがないから。自分がかかってしまったら、何もできなくなってしまうじゃないですか。それに、肺に問題が起こるような感染症には、職業柄、絶対にかかるわけにはいかないので、すごく気を遣って生活しています」

――2年ぶりの開催となる「NAONのYAON」が、いよいよ間近に迫ってきましたね。

「今年は、従来と違うやり方をしていかないといけないんですよね。いちおう、出演者とスタッフの全員が検査してから臨みますが、時間差で楽屋に入ってもらうとか、気をつけないといけないことがたくさんあるんです。お客さんの検温もそうですし。感染者も増えているし、変異株の問題もある中で、どこまで考えればいいのかって頭をすごく使っています」

――イヴェントとしては、年々盛り上がりを増している印象がありました。

「もともとは、たくさんのアーティストさんが出てくれるし、お客さんもアーティストさん目当てで来てくれていたんですね。でも今は、イヴェント自体を楽しもうっていう人が増えています。特定のアーティストさんというより、誰が出るんだろうとか、どんな曲をやるんだろうとか、この人は誰とコラボするんだろうとか。まあ、誰か目当てではあるんだろうけど、全体として楽しいと思ってもらえるようになったんじゃないかなと。みんな笑顔で帰ってくれますしね」

――スタートは30年以上前ですが、女性限定には当初からこだわっていたんですよね?

「そうです。スタッフも含めて、当時は活躍している女性が圧倒的に少なかったんですよ。女性のバンドも少なかったし、照明さんとかPAさんとか、裏方さんもほとんど男の人だったんですね。もっと女性が進出していけばいいなと思っていました。たとえばハード・ロックという男性ばかりの世界を、SHOW-YAは打ち壊しに行ったわけじゃないですか。今でこそジェンダーの問題がいっぱい出てきているけど、もう35年くらい前に“女のくせに”とか言われ続けていましたから(笑)。音楽専門誌でも、特にロック系の専門誌からは、だいぶ叩かれましたよ」

――中指を立てたいくらいでしたか?

「はい、思い切り中指立てていました(笑)。ロック自体、まだそこまでメジャーな音楽ではなかったというか、一部のちょっと不良っぽい人の音楽みたいなところがあったじゃないですか。それが私はとてもイヤで、できればお茶の間にまでロックをと思って、それでテレビにも出続けたんです。私、85年にウェンブリー(・スタジアム)で「ライヴ・エイド」を観たんですよ」

――えっ! あの伝説の!?

「ちょうどレコーディングで行っていて、現地で観ていたんです。それでクイーンの時に、会場の全員で全曲、大合唱だったんですよ。老若男女が一生懸命歌っているのを目の当たりにして、こういうバンドにならないといけないんだなって思いました。子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、みんなが聴いてくれて、みんな が歌ってくれるバンドを目指そうって」

――80年代は、まだ日本に音楽イヴェントが根付いていませんでしたし、特に男性優位な業界で、苦労も多かったのではないですか?

「最初のころは、出演者自体が少なかったんですよ。バンドだとSHOW-YAとプリプリ(プリンセス・プリンセス)と、JACO:NECOぐらいかな。だから、テレビに出演した時にアイドルの方をつかまえて、“ねえねえ、こういうイヴェントやるんだけど、出ない?”って誘っていました。ラジオ番組に出た時に、女優さんに“出てみませんか?”って声をかけたり。仕事場だと必ずマネージャーさんがいるので、話が早いんですよ。マネージャーさんにも、“お願い!”みたいな(笑)」

――そんな優しい誘い方だったのでしょうか?

「そうですよ。常に下から下から。それは今も変わりません」

――失礼いたしました。

「(笑)。事務所がNGなことも、絶対にさせません」

――地道な努力が実って、ここまで大きくなったんですね。

「そうですね。ただ、出演バンドが少ないと、SHOW-YAのメンバーがすごく大変なんです。それぞれのアーティストさんの曲を、全部演奏しないといけないから。そういう私にはわからない苦労も、メンバーにはあったと思います」

――寺田さんの脱退と解散を経て、SHOW-YAは再結成を果たすわけですが、それと同時に「NAONのYAON」の復活も考えたのですか?

「まだ、そこまでは考えられませんでした。とにかくメンバーを説得するのが大変だったので」

――見聞きしている情報では、5年かかったということですが。

「本当に5年かかったんです。その5年目の12月に、メンバーにノーと言われたら諦めようと思っていたので、みんなの答えを聞かせてくれと。そしたら、まだ渋っているメンバーがいたので、泣きながら“もういいよ”って言ったら、“別にやらないなんて言っていないでしょ”って。最終的には再結成できました。(笑)」

――5年の頑張りが報われたんですね。

「私は思い立ったらすぐ行動しちゃうタイプで、辞める時も、後先のことをまったく考えなかったんですね。今は、大変なことをしたんだなって思っていますけど。だから、メンバーを説得するのに時間がかかるのは、しょうがなかったんです。ただ、5年を過ぎると全員40歳を超えるし、そこからハード・ロックをやっていくのはちょっと難しいかなと思ったので、5年頑張って無理だったら諦めるつもりでした」


――再結成後、2008年に「NAONのYAON」は復活して、そこから2013年の開催まで間隔が空いたのは、何か理由があったのですか?

「バンドが再結成したのはいいけど、アルバムもすぐには出さなかったし、とにかくライヴを重ねながら自分たちがどういう方向に進みたいのか、メンバーとの意思疎通を深める必要があったんですよね。個々で活動をしていたメンバーもいたから、その兼ね合いもあったし。再結成しました、じゃあみんな、今までの仕事は全部切ってねっていうわけにはいかないですから。その時の自分たちに何ができるのかっていうのを、頭で考えるよりライヴをやっていく中で見つけていきたかったっていうのが、大きかったと思います。アルバムを出したのも、再結成して7年目ぐらいでしたからね。それだけ時間がかかったということです」

――出演される方々は、イヴェントの趣旨に賛同しているからこそ、快諾してくれているということですよね?

「そう思っています。出てくれる子たちは、みんなファミリーだと思っています。年齢に関係なく、すごく仲間意識が強いんですよ。毎年楽しみにしてくれていたり、しっかりスケジュールを空けてくれていたり。とてもありがたいことですよね」

――女性ならではの一体感みたいなものも、あるのでしょうか?

「どうなのかな、楽屋はみんな仲がいいですよ。若い子たちの大きい楽屋は、すごく楽しそうです。いい香りもするし。ウチらはどよ?んとしているので(笑)。みんなキャッキャしながら、情報交換したりしています。それをきっかけに、お互いのライヴにゲスト出演するようなこともあるみたいだし。横の繋がりが、とてもいいと思う。自分にも、主催だからっていうことで距離を置くようなことはしないんですよ。がんがんきますから、みんな(笑)」

――今年の観どころを、聞かせてください。

「え~っと、内容自体は言えないので、お楽しみにっていう感じですけど、やっぱりこういう時期なので、出演者自体がとてもお客さんに飢えていると思うんですね。ライヴができる喜びみたいなものを、みんな感じてくれていると思うので、パワフルなイヴェントになるんじゃないかと。ただ、窮屈な思いはさせてしまうかもしれない。マスクもしないといけないし。物販で「NAONのYAON」のロゴ入りのペンライトを売って、声を出せない分、それで楽しんでもらおうと思っています」

――気が早いですが、来年の開催も考えていますか?

「もちろんです。毎年やりたかったのに去年できなくて、すごく悔しかった。そして今年は思い切り発散しようと思っていたところに、この状況ですから。だから、マスクをしないで歩いている人とかを見ると、ぶん殴りたくなります。ハハハハハ」

――ライフワークみたいなものでしょうか?

「そうですね。とにかくたくさんの人が楽しみにしてくれているので、大事に守っていかないといけないと思います」

――SHOW-YAは去年、デビュー35周年を迎えました。大きな節目ですし、状況が落ち着いたら、何かスペシャルなことを考えますか?

「去年は考えていました。電車を貸し切りにして、ライヴをやろうかとか。でも、一切できなくなってしまって。だからまあ、今やれることを考えるしかないかなと。ただ、ライヴは続けていこうと思っています。今は未知数ですね、何をどうっていうのは。とにかく、去年延期になってしまった「NAONのYAON」を今年やりますと。出演者も、去年OKしてくれていた人は、みんなスケジュールを空けていてくれたので」

――SHOW-YAのデビュー時、バンドの音と、寺田さんの歌と、かっこいい大人の女性の魅力に衝撃を受けた記憶がありまして。

「キャー(笑)」

――当時は、女性バンドを舐めんなよくらいの気持ちで、音楽シーンに挑んでいたのですか?

「その通りです。女バンドは続かないとか、ハード・ロックは売れないとか、全部イヤだった。女でもバンドを続けてやる、ハード・ロックでも売れてやると。で、実際に続いているし、売れた(笑)。当時、アーティスティックな人たちって、テレビに絶対出てこなかったんですよ。でもSHOW-YAは出て、それも叩かれました。ロックなのにテレビに出て、歌謡界に魂を売ったみたいな。でも、その後テレビに出るバンドがどんどん増えるんですよ。“みんな出てんじゃん。思い知ったかコラぁ”って(笑)」

――先駆けですよね。

「あまりそういうふうに考えたことは、なかったんだけど、あるお蕎麦屋さんでB'zの松本くんと遭遇した時に、言われたんですよ。“B'zがこうしてロックでテレビにも出ているのは、SHOW-YAがきっかけだよ”って。ちょっと“やった!”って思った(笑)。女バンドが増えたのは、SHOW-YAとプリプリが大きいのかもしれないですね。SHOW-YAが頑張って、プリプリが大爆発してくれて、そこから女バンドがたくさん出てきてくれたから。当時、“ヴァーサス”としていろんなメディアで扱ってもらったのも、大きかったのかなと」

――実際は、同志というような感覚だったんですか?

「仲がよかったんですよ。めちゃくちゃ飲みに行ったし、ディズニーにも一緒に行ったし。今でも仲いいです」

――同じメンバーで、SHOW-YAを35年やれていることについては、やはり感慨深いものがありますか?

「そうですね。辞めた時に、また一緒にやるとは自分でも思っていなかったし。今年の1月に、最後の武道館公演の再現ライヴっていうのをやったんですけど、キーボードのキャプテンが“まさかこういう日がくるなんて”みたいなことを、しみじみと話していました」

――今では戦友みたいなものでしょうか?

「そうですね。たぶん戦友なんだろうなと思いますね。自分だけでなく、メンバーも悔しい思いをしているので。イヤだなって思うことも飲み込んで、頑張ってきたから。きれいなお家が用意されているところからスタートしていなくて、ボロボロだったものをひとつずつ直しながら、SHOW-YAだけの大きなお城にしていったというか。家族よりも家族みたいなところがあります」

――現時点で、バンドの今後について、どう考えていますか?

「まあ、40周年はなんとかなるのかな。50周年となると、う?ん。まあ、ウチらはあと2、3年で全員還暦を超えてくるので、とにかく健康第一です(笑)。1年でも長く、1日でも多く続けられるようになりたいねっていう話は、よくしていますね。いろんなバンドさん……メンバーが亡くなったバンドもあるし、とにかく健康に気をつけて、やれるところまでやろうって。最近は、病院の話とかそういうのばっかりですよ(笑)。食事とかも、みんなちゃんと考えているみたいで。私もいっぱい、お医者さんがいますからね。首の骨もヘドバンのしすぎで削れちゃっているし、いつどうなるかわからないので、やれる限りは続けていきます」

(おわり)

取材・文/鈴木宏和





SHOW-YA PRODUCE『NAONのYAON 2021』
4月29日(木)14:00開場 / 15:00開演@日比谷野外大音楽堂
チケット:Thank You SOLD OUT!
出演:SHOW-YA、葛城ユキ、小柳ゆき、ファーストサマーウイカ、ザ・コインロッカーズ、田村直美、ANNA(中村あゆみ×相川七瀬)、渡辺敦子(ex.PRINCESS PRINCESS)、富田京子(ex.PRINCESS PRINCESS)、Mary's Blood、Gacharic Spin、NEMOPHILA、Li-sa-X、YASHIRO、瀬川千鶴、力石理江、GRACE、山田直子、菅原潤子
オープニングアクト:LAZYgunsBRISKY、CASPA、稚菜

SHOW-YA PRODUCE『NAONのYAON 2021』配信
4月29日(木)13:30~20:00 / アーカイブ配信:5月1日(土)12:00~5月7日(金)23:59@ViSUALIVE
配信チケット:通常版/3,500円(税込)、プレミアム版(配信限定NAONのYAONタオル付き)/6,000円(税込)

協賛:歌謡ポップスチャンネル(WOWOWプラス)、SO-CRAZY.TOKYO、ICheck株式会社









J-POPフリークの音楽アプリ「SMART USEN」



アプリのダウンロードはこちらから

Get it on Google Play
Get it on Google Play
一覧へ戻る