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――改めてふたりの関係やilliomote結成に至った経緯を聞かせてください。
MAIYA「2歳からの幼なじみ、幼稚園、小中高がいっしょ……とか?」
YOCO「もうちょいトリッキーに言ってくれるかと思った(笑)」
MAIYA「いやもうさらっといこうよそこは(笑)。illiomoteという名前は修学旅行の沖縄で買ったTシャツに「いりおもて」って書いてあって、そこからです」
――じゃあ、高校時代の軽音部での真面目な話をぜひ。
MAIYA「なんだったっけな?」
――部長と副部長だったんですよね。
MAIYA「あ、部長と副部長で結構、後輩に厳しくやってましたね。“朝練来いよ!”、“ネイルしてないでスネア買えよ!”って(笑)。後は何だっけな……でも部活だけは真面目でしたね、私は。ふだんの学校生活はほんとに不真面目で、行かなかったり途中で帰ったりしてたんですけど。でも、部活がある日は絶対、部活まで残っているし、何なら授業がなくても部活があったら昼から行く!みたいな。YOCOはきちんと勉強も部活もしていましたね(笑)」
――ふたりのルーツが全然違ってるのも面白くて。
YOCO「バンドを組む前はMAIYAちゃんも私も別々の音楽を聴いてて。で、別々に遊び感覚でギターに触れたりとかいうのをやってたよね」
MAIYA「いちばん最初にお父さんにもらったギターがZO-3ギターで。あれが人生で初めて最初に触ったギターなんですけど(笑)。その次に中学校ぐらいにストラトをもらって、たまにお父さんに教えてもらってたぐらい。で、高校になって、“いっしょに音楽やりたいよね”って言ってて、聴いてる音楽は違うんですけど。YOCOはカントリーとポップ。私はハードロックとかアヴリル・ラヴィーンみたいなポップパンクが好きで。ほんとバンド!って感じのバンドがやりたかったんで、その時は」
YOCO「音を鳴らしたいっていう、もうほんとそれだけだよね。“こういうバンドやりたい”とかなくて」
MAIYA「“シンセとかなくてもいい!”みたいな。ギター、ギャンギャン鳴らせて、それがカッケー!みたいな感じだったから。それで高校いっしょに受けて、落ちて(笑)。で、またいっしょに受けてやっと入れて。で、部活に入って、先輩たちぐうたらしてるから、まあ先輩にも厳しく言って(笑)。部費を取り立てに行って“オラ!早く払え!”って」
――4人バンドだったけど、ふたりが進学するからやめるってなって。じゃあふたりでilliomoteをやるっていう、原動力がピュアじゃないですか。
MAIYA「そうですね。ただ、音楽やりたい、みたいな」
YOCO「一回あの感動とかを味わっちゃうとさ、なんかもう一回欲しいなみたいなところでずっとやっちゃうみたいなところはあって。初めて高校生の時にバンドアレンジをMAIYAちゃんのお父さんに教わってた時に“あ、こうやって音楽って作られるんだ”って体感して……音楽って全部、体感だと思うんですけど、それを体感した時の喜びがすごくて。“私の作ってたメロディがこんなふうになるんだ……すごいな!”っていう、それを追い求めちゃってるところもある。それこそ私が作ったメロディをMAIYAちゃんがトラックにして持ってきてくれるんですけど、その時の感動とか、毎回あるし。それが楽しくてやるみたいな」
MAIYA「大体、音楽の魔法みたいなものをずっと求めてる。今もね。最初はちょっと億劫なんだけどね。全然できない!全然できない!曲作りでもね、その、乗った瞬間がいちばん楽しいですね。曲作ってて乗った瞬間が。“きたよー!”って永遠に行ける!みたいな。今、この1秒を逃しちゃダメだ!って」
YOCO「その時の集中力はすごいよね。今まで私たちがどこにも発揮してこなかった集中力が、ほんとに詰まってる」
MAIYA「去年は集中力が切れたから、なかなか制作が捗らなかったんですけど、今年は絶対にやらなきゃいけないとか期限があったので、もう半泣きでもできるようになった。眠たい目を擦ってでもやれるようになったから、ちょっと成長したかな」
――YOCOさんは背景に歌うのが好きだったというのもあったんですよね。
YOCO「うん。そうですね。私はあんまわかんなかったですけど、自分が歌うの好きだなと思ってたのがいつぐらいなのか……小学生低学年ぐらいにはおばあちゃんちの、暗い感じのスナックで歌ってて、おじちゃんからお小遣いもらうっていうのをやってたのは、結構、自分、歌えるんだ……っていう、初めての体感になったのかなと。でもMAIYAちゃんに聞いたら“結構、ちっちゃい頃からYOCOは歌好きな子だと思ってたよ”って」
――2020年に、1st EP「SLEEP ASLEEP…」をリリースしたけど、ライブができない1年だったりして、どう過ごしてましたか。
MAIYA「もうライブができなかったから、プロモーションが、ま、うまくいかないのかわからないけど、できてたらもっと波に乗ってたかもしれないね」
YOCO「うん」
MAIYA「でも、これはこれで……ま、良かったんじゃないかなみたいな。じゃないと、今の作品できてないし、ライブをたくさんしていたら今の感じは出せていない気もしますね。だから結果オーライかな(笑)」
――コロナ禍なので、制作に向かうアーティストも多かったと思うんですが、ふたりはどうでした?
MAIYA「制作しずらかった(笑)。なんか家にこもることによってやりやすいって人もいるじゃないですか。うちらの場合は逆で、いろんな人と会ってたり、いろんな出来事があるからこそ曲ができるっていうパターンなので。緊急事態宣言でほとんどが会社も学校も休みみたいな、一回目の時あったじゃないですか。その時はめっちゃ落ち込んで、全然、曲作りたいとかなんなかったし。2、3ヵ月ぐらいかな……制作になかなか向き合えなかったです」
――再び作れるかな?って気持ちになれたのはいつ頃ですか?
MAIYA「コロナの時期、落ち込んでる時期にbohdiとのコラボの曲ができたんですけど、最初形になってからもちょっと時間が経って、3月末ぐらいですかね、それが。やっぱりEP出さなきゃってなるじゃないですか、夏ぐらいから。それぐらいからケツ蹴飛ばされて。蹴飛ばされないとできないんで(笑)」
YOCO「徐々にね」
MAIYA「で、夏にちょっと緩くなったじゃないですか。夏って感染者数が減って、友達に会える機会が増えたのと、ちょっと動きが出たのと。やっぱ遊びに行けたんだよね、何回か。すげーごく気をつけてだけど、夏らしいこともできたんで、それがたぶんリフレッシュになって。それでちょっとだけ心も回復して」
YOCO「そうだね。それまでは夏休みの期間は学生の時からずっとバンドとかやってたから友達と遊ぶことがなかったんで。大人になってようやく夏らしいこと、バーベキューとかできて」
――制限はあるけど、お客さん入れてライブできるようにもなったし?
MAIYA「12月ぐらいはちょっと緩くなりましたもんね、そういうのが。1月にまたできなくなったけど。ライブができたから心も軽くなったかな。まわりの人と話せるじゃないですか。“曲作れなかったんだよね”って言ったら“俺もなんだよ”みたいな人とかもいるじゃないですか」
YOCO「余裕が生まれるよね。みんなそうだったんだ……みたいな。みんながどうだったかもわからないじゃないですか。その時期こもってるんで、みんなどうなんだろ?みたいな。わかんなくて、すごい孤独になっちゃいますよね」
――それぞれが一人で部屋にいるようなムードも反映されてるなと思ったんですよ。あと、前作と音像とか全然違うので、違うユニットか?って思うぐらいで。
MAIYA「ははは!聴き比べたら、“あれ?声いっしょだけど”って?」
――アレンジの考え方とかも変わったのかな?
MAIYA「別に勉強したとかじゃないんですよ。勉強苦手なんで(笑)。聴くものがちょっとずつ変わったのかもしれないですね。最近、浮遊感のあるものを聴いてたんで」
YOCO「1st EPのほとんどが、学生の頃にもとがあった曲なんで、やっぱり10代の曲っていうか、ちょっとメロディ変えたりしてるんだけど、やっぱりハッピー感はあるよね」
MAIYA「うん。19、20ぐらいの時だから」
――インストの「Intro」もあるのでコンセプチュアルな感じもするんです。
YOCO「確かに。全体を通して宇宙のような浮遊感のある幻想的な感じにしたかったんですよね。「Intro」はちょっとアンビエントで映画みたいに」
――実質的な1曲目の「It’s gonna be you」はコロナ禍の中で歌いたい、作りたい曲だったのかな?どうですか?
YOCO「これも結構前からあった曲で、それこそ初期の段階からあって、どんどんメロディとか歌詞が変わっていった曲なんで。ライブで好評だったんですよ。で、いつ音源化しようかな、と。そのときどきで全然違うアレンジだったんですよね、アコースティックだったり、今と全然違ってて。最初はこのEPに入れるつもりはなかったんですけど、“でもテーマとしては近い色なんじゃないかな”っていうのもあって。歌詞の意味とか、込めた思いを聞かれると、結構シンプルにそのままなんですけど。「It’s gonna be you」って、それが君になる、あなたになります、いいことも悪いこともあなたになりますよ、ほんとにそれだけの、なんか応援したいわけでもないし、背中押すとかそういう図々しいものでもないなって思ってて。ほんとそれだけ」
――なるほど。
YOCO「難しいですね(笑)。やっぱ紹介するときに“これはこういうメッセージソングです”、“日本の皆さんを応援します”、“背中を押します”とか言いたいじゃないですか(笑)。でも今回、制作をして思ったのが、それもなんか違うんじゃないかなと思って。ただの状態とか状況を歌ってるだけだし」
MAIYA「“なんで応援の立場にいんねん !?”と思わない?」
YOCO「そう!自分のことも応援しなきゃ」
――<涙だけ拭ってた>、<それ・なら・まだ・かな>って歌詞が、これはまさに今っていうか、しっくりくるんですよ。出口は見えないけど涙は拭う、そういう意思はある……みたいなね。
YOCO「確かに。やば!それはみんながそういう風に思ってくれたらいいね。そういうことにしたいです!そのまま引用しておいてください(笑)」
――ははは!「きみにうたう」のタイトルが平仮名のセンスも新しいですね。
YOCO「漢字で書いたらダサかったんですよ。もう他に思い当たらなくて、私、ギリギリなんでタイトル決めるのも歌詞考えるのも“今日中だよ”ってなって、“もう無理無理無理!”ってなって。で、「きみにうたう」もなんで出てきたかっていうと、ほんとに意味なくてキャッチーだから、それで伝えようっていう(笑)」
MAIYA「だから結局、歌詞を通して見るとなんとなく今の情景に合ってるっていう、YOCOの、突き放すような、だけど別にそんなに遠くにいないような感じの歌詞がいいね。別に寄り添ってはない。寄り添ってはないけど、遠くもない。それがいい」
――8月に配信された「ブラナ#15」は早くにできてたんですか?
MAIYA「EPの色をつける1曲になったかなと思います。最初にあの曲があったから、今の色になったかなっていう。でも順番的には「Everybody Nice Guys」が早かったですよ。コラボの作品だったんで。あれもなんだかんだ色があってよかったよね」
――「Everybody Nice Guys」でコラボしてるこのBohdiさんの曲を聴いてみたんですけど、全部おもろいですね。
MAIYA「おもろいですよね(笑)」
――どうやって出会ったんですか?
MAIYA「うちらもサブスクで見つけて、“めちゃカッケーな!この人”みたいな。好きなアーティスト近いかもなとも思いつつ、まずインスタのストーリーでメンションしたんですよ。“めっちゃいい曲たちだね”っていうやりとりをして、自分らの曲も聴いてほしいと思ってドキドキしつつ送ったら聴いてくれて、“めっちゃいいね!ふたりでやってんの?”、“そうだよ。作ってるよ、私がギターやって”、“いいね!”って言ってくれて、いっしょにやりたいなと思ってたんですよ」
――ちょっと懐かしい感じのパンクとHIP HOPのミックスで。ビースティー・ボーイズみたいなニュアンスありますね。
MAIYA「そうですね。それがいいんですよね。Bohdiの今っぽすぎないていうか、だけど新しい感じがするような。後は結構、生のアナログなものを愛してる人だから、そこがめちゃ好きですね」
――Bohdiはどんなリリックを書いてきたんですか?
MAIYA「YOCOがいろんなことに対してフラストレーションとか、高校とか二十歳前の時に感じてたことを訳して送ったことに対して、Bohdiも自分の体験とかを入れて作ってくれた」
――確かにシンプルですね。
MAIYA「それをめっちゃ叫んでやってるのが好きなんですよ。最後めっちゃ叫ぶじゃん?」
――最後がいちばんわかりやすい。<But she was told me I was breaking.>とか。
YOCO「怒りとか訴えとかも結構入ってるなと。それこそ私のシャウトとか、Bohdiの後半のラップもとにかく力強くて」
MAIYA「でもBohdiはいることによって、すごいアメコミ感出たなと思うんだよね」
――そういうやりとりのなかで、コロナで世界中が割と似たような状態にあることがわかったんじゃないですか?
MAIYA「そうですね。みんな同じような気持ちでいるんだなっていうのは。なんか結束力にもなりますよね。みんなが同じ状況になったら協力するだけなんで。よかったって言ったらいけないけど、ある意味、これを経験しておくことで将来的に良くなるんじゃないかなと思いますね」
――ラストの「夕霞団地」が気になって。団地で、歌詞の中に<彼女は舞った>、みたいな歌詞ありましたよね。飛び降り?とか思ったんですが。
YOCO「いや、これも特に意味はないんですよ。サウンドに懐かしさを感じてほしいだけで。1stはあんまり情景を想像できないなと思ったので、今回は物語みたいなものを、と。物語か実体験どっちかだなって。最近、小説っぽい文章の羅列の歌とか流行ってるじゃないですか。別に迎合したいわけじゃないんですけど(笑)。だから「夕霞団地」は別に実体験じゃないし、歌詞も同時に出てくるぐらいのスピードで。思いつきとか響きとかで考えて。ほんとにただ情景が浮かべばいいなと」
MAIYA「あれなんで、「夕霞団地」ってつけたんだっけ?」
YOCO「なんかオレンジっぽい曲だよね、夕暮れ感とか、チャイム鳴ってる、もう帰らなきゃとか、公園でバイバーイってした小学生の時の気持ちみたいな(笑)。あの感じを入れたいなって。そういうのが浮かんだんですよね。みんな帰って宿題やるなり、ご飯食べるなり……一日のお別れみたいな寂しさをすごい表現したかったので、それめっちゃできたんじゃないかなって」
――EPのタイトルの「Teen Trip Into The Future」にある“TeenTrip”のイメージって?
YOCO「こういう将来の不安が増し増しな期間に制作して、手放しで楽しめてた頃とかを懐かしんで、“ああ、よかったな”って。でもそこにその時のみんながいるわけでもないし、その時の自分になれるわけでもないし。ま、これはilliomoteの個人的な感じではあるんですけど、学生の時の音楽は仕事じゃないから、悩むこともあったけど、それも楽しかった。今は苦しさも味わうようになってきて。“あの時はこれで感動とかできたのに、今は何にも感動できない”って。感動が薄れていってるんじゃないか?っていう不安とかもあったりして。もう私はいくらディグってももう一生いい曲に出会えないんじゃないか?とか……おかしくなっちゃう時が私は結構多くて。そこで自分の中でティーントリップというか、あの頃はよかったっていうのが(笑)。でも、やっぱり私たちは今を生きてる人間だから未来に進みたいなって望んじゃうし、というのが私たちの中でティーントリップだなと思って。ティーントリップって言葉を作ったんですけど」
――なるほど。一抹の寂しさも持ちながら前進する感じなんですね。前作で“バカでも楽しく平和に生きていける世の中にしたい”って言ってたじゃないですか?
YOCO「そんなこと言ってたな(笑)」
MAIYA「うちら別に励まそうと思ってやってないからなあ」
YOCO「励まされることの方が多いから。じゃあWin-Winってことで」
MAIYA「お子さんがいる人が、illiomoteを4歳の息子に見せたら固まって、“音楽をやる人になりたい”って言ってたらしくて。私、それに感動して。私がそういう立場になれた、自分がそっちの立場に立った時にこんなに感動するんだなと思って、すごい嬉しかった。その息子さんに音楽やってほしいし。第一歩になることが大事じゃない?それに感動して」
――illiomoteを聴いて育った4歳児がどうなっていくんでしょうね?ワクワクしかないです。
MAIYA「いや、もう、小学生が曲を作ったり、年齢なんてどんどん関係なくなってくでしょ、きっと!」
YOCO「楽しみだね!」
(おわり)
取材・文/石角友香
写真/いのうえようへい
- illiomote「Teen Trip Into The Future」
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2021年2月3日(水)発売
ILLI-004/1,650円(税込)
ULTRA-VYBE/SPEEDSTAR MUSIC