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「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN



明治通りの原宿と渋谷のちょうど中間あたりに位置する「niko and...TOKYO(ニコアンド トーキョー)」。

この都心最大級とも言える巨大な旗艦店のVMDを手がけているのが、チーフディレクターの倉地誠さんだ。

正面入り口右手のメインスペースのビジュアルをはじめ、店内に散りばめられた商品以外のありとあらゆる棚や机などの什器の多くが手作りのDIYだとか。

もともと「niko and ...(ニコアンド)」からはじまり、「studio CLIP(スタディオクリップ)」「BAYFLOW(ベイフロー)」、そして「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」など、アダストリア内のさまざまなブランドでのVMD担当をはじめ、ブランドマネージャー、店舗担当などのポジションで働いてきたが、回り回って2020年3月にニコアンドに戻ってきたという。

「当初の異動の目的は、いまある大型店の各店舗が同じスタイルでポップアップができるための方法や、それを行う人材の教育、そしてニコアンド内での多様性を作るために新しい部分をやって欲しいという名目だったのですが、このコロナの影響で動けなくなってしまいまして。とりあえずは、このトーキョー店を軸に新しい事業をやるということになったんです」と、実はこの旗艦店におけるVMD担当ではなかったそうだ。

ただ、そのお陰でお店の問題も見えたとも。

「チェーン店舗特有の問題なのですが、その店自体が当事者として自分たちで起案して解決するところまでいけていない。だから、もっと自分たちで意思をもってやってほしいと思っています」。

スタッフたちの意識改革に期待を寄せているという。

「旗艦店として6年。せっかくの好立地で、これだけの面積なのでもっといろいろとできるはずで、例えば、ここから配信するスタジオとしての役割だったり、もっと可能性を試したいですし、こういう状況でもありますし、もっとニコアンドの良さを絞り出せたらと考えています」と倉地さん。

ちなみに、YOU TUBE配信やインスタIGTVなど、デジタル配信を駆使したメニューはすでに始まっている。

店舗のVMDに関しては、すべて自分たちで作り込んでいるという。

「大体45日くらいの周期で店内のビジュアルが変わるのですが、これが外部だと間に合わないんですよ。だから、指示書通りにベースを作って、プラス アルファのアレンジは店のそれぞれの担当者が自分で考える。アパレルは範囲が限られてしまいますが、雑貨はわりと解釈の度合いが自由なんですよね。だから、2階雑貨ゾーンに関しては、この店特有の感じになっていると思います」。

VMDは、視覚、嗅覚、聴覚、触覚、そして味覚の五感を上手く武器にしていきたいと倉地さん。

「アイテムのゾーン編集による視覚効果によって、お客様の目線や回遊のマインドを変えたり、嗅覚であれば、2階のグリーン(植物)ゾーンには天然アロマの装置を入れており、知らず知らずのうちにリラックスできるようにしています。その効果もあるのか、お客様の滞留時間が伸びているんですよ。味覚は1階のカフェが大きな武器になると考えています」。

聴覚に関しては、「店内BGMも現在いろいろと動きはじめていて、今後は季節や時間帯によってセットリストを分けたり、あとはエリアによる音の被りなども無くしていきたいと考えています。触覚は、実は至る所に触ってしまうような仕掛けがあるんですよ。やることがまだまだ沢山あるので、いろいろと再発見しながら、ここでの実験と蓄積を元に横展開できるメニューを増やしている段階です」と語る。

現在、ニコアンド トーキョーでは、椅子や棚などを自身で作るDIYワークショップのサービスを開催。

「これは"お買い物コンシェルジュ"という来店予約サービスのひとつなのですが、ホームセンターよりもライトな感じで、気軽にDIYを体感できるサービスです」。

サービス自体は昨年12月からスタートしたが、コンスタントに予約が入っているという。

「ニコアンドのスタンスがDIYという部分もありますし、お客さんと一緒に何かをやっていく点で、リアル店舗の存在意義に繋がりますから。それに、ここ一店舗だけでもやっていれば、今はそれを伝える技術があるので、他店へと広がってくれれば面白いかなと思っています」。

DIYワークショップには、お孫さんの椅子を作りたいという女性が参加したという逸話も。

「グッときましたね(笑)。その方も"楽しかった~!"と言って下さり、そういう意見はこちらも嬉しいですしね。ただ、メルマガから初回の予約をされたのですが、どうやって次の予約を取るのか分かりにくいようでしたので、それを聞いて"ホームページを作り変えないと"って。そういうフィードバックが大事ですから」。

DIYがここのVMDの極意となっていると言っても過言ではないだろう。

「これからはデジタル技術を活用して、ワークショップなども伝えて、もっと広げていきたいです」と、VMDの為のDIYからはじまって、顧客にまでDIYの楽しさを伝えようとしている倉地さん。

ニコアンドとして考えている「次なる手」もすでに始まっているとか。

「現在、1000坪構想という企画をミーティング中で、それくらいの広さでも自分たちですべてをやれるようにしようと。もちろん、国内ですでにそういう領域のショップさんもありますが、そことは違う、もっと面白い遊びの空間を作りたいんです。だから、ニコアンド トーキョーはその実験の場というか、こんなメニューも楽しめるという部分をどんどん開発していきたいです」とのこと。

「そのテーブルがどういう作りが良いのか、そして、どんな光が当たっていれば良いのか。音楽はどんな風に流れて、入口を通る人は何に反応するのか。お客様はお店に入ったらどういう動きをするのか。これを考えることが本当はVMDだと思うんです」と、VMDという仕事について語ってくれた。

「だから、肩書きの型をもっと破って欲しい。これはアダストリア全体にそうなって欲しい。アパレル業界がそういう風になれば、もっとファッションが元気出ると思うし、リアル店舗に未来はあります。体験をおざなりにしている所は、今後は難しくなっていくのかなと思っています」と、VMDや接客を含めたお店の重要性を説いた。

[section heading="倉地誠(くらち・まこと)"]

96年武蔵野美術大学卒。
ファイブフォックス入社、当時のコムサイズム出店ラッシュをVMDとして経験後、不動産など異業種勤務を経て、06年トリニティアーツ(現アダストリア)の立ち上げから参加。
「ニコアンド」「スタディオクリップ」「ベイフロー」のVMD担当を経て、18年「グローバルワーク」のチーフVMD、20年から「ニコアンド」のチーフディレクターVMD。福岡県出身

[section heading="ニコアンド トーキョー"]

住所:東京都渋谷区神宮前6-12-20 J6FRONT 1F・2F
営業時間:11:00-20:00
(※厚生労働省から発表された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を踏まえ、お客さまと従業員の健康と安全確保のため、当面の間、営業時間を変更させていただきます。)
TEL. 03-5778-3304



DIYワークショップのスペースには、様々な工具が充実している。

「ゾーン編集で回遊のマインドを変えたりもできるんです」と2階のリビングゾーンにて。

店内裏にはアトリエスペースが。

アトリエスペースの手前には、所狭しと資材が積まれている。

1階の入口右側にあるメインスペース。ほぼ手づくりでディスプレイを製作している。

こちらは1階のアパレルゾーンにおけるディスプレイ。

2階雑貨ゾーンのメインスペースは、この店特有の造作になっているという。左奥はグリーンゾーンで、天然アロマによる嗅覚を駆使したVMDが。右奥にはDIYワークショップスペースがある。

6年目を迎えた都心最大級の旗艦店、ニコアンド トーキョー。

(おわり)

写真/野﨑慧嗣
取材/久保雅裕
取材・文/カネコヒデシ



久保雅裕(くぼ まさひろ)
(encoremodeコントリビューティングエディター)

ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

カネコヒデシ
メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。





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