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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第18回のゲストはfashion bible編集長の宮田理江さん



――ジャーナリストという肩書きの方が出演するのは――久保さん以外に――宮田さんが初めてなので、興味深いお話がたくさん聞けました。

宮田理江「デザイナーさんとか社長さんとか、いつも錚々たるゲストさんがいらっしゃっていますよね。こんな素敵な番組に出させていただいてありがとうございます」

――宮田さんも、その“錚々たる”おひとりですよ(笑)。encoreにはSOLEIL TOKYOアドバイザーとしてもご登場いただいて。

宮田「あ、そうでしたね。三原康裕さんのトークショー見たかったな。やっぱりすごいですよね、この番組もソレイユトーキョーも、久保さんのひと声でこうやって皆さんが集まってくれて。三原さんだってすごく多忙でしょうし」

久保雅裕「三原さんのトークショー楽しかったですよ。1時間くらいやったのかな。三原さんはまだまだしゃべりたそうだったけど(笑)」

――さて、宮田さんはニコルでアパレル業界のキャリアをスタートして、その後アナ スイへ移られたんですね。

宮田「ニコルには10年くらいいて、アナ スイに5年。アナ スイを退社してすぐワシントンD.C.へ。その後ニューヨークへ移ってアナ スイ本社のデザインチームにインターンとして参加しました。日本に戻ってからはヘアサロンをやっている会社のアパレル部門でバイイングをしたり。その会社はECもやっていたので、商品に付けるコメントを書いたりという仕事もしていましたね。まだ他のファッションブランドがあまりECをやってなかったですし、ブランドのホームページ自体がめずらしかったですね」

――さきほど久保さんがいまの世の中を“不寛容な社会”と言っていましたが、だからこそ宮田さんの“批評じゃなくてファッションの楽しさを伝える”という姿勢が共感を呼ぶんだと思います。そういう感覚はブロガーとして活動し始めたころに身に付いたものですか?

宮田「そうですね。販売員として接客して商品の魅力を伝えるという仕事をしていたということもありますし、そもそも批評というものをしたことがなかったんですね。ブロガーを始めたころから、このブランドはあまり好きじゃないなということがあったら書かなければいいやっていうスタンスでしたから。だって、自分がもし作る側だったとしたら、そういうことを書かれたらすごく悲しいじゃないですか。もともとジャーナリストになろうと思っていたわけでもなく、ブランドのよさだったり、ストーリーをきちんと伝えたいという気持ちで始めたことなので。だから、いわゆるファッションライターという仕事とはちょっとニュアンスが違うかもしれませんね」

久保「ライターって、なにがしか依頼があってその方向性に則した文章を書く人ってことなんじゃないかな。ジャーナリストはもっと自発的に文章を書く人って感じかな」

宮田「そうですね。ライターさんは、雑誌の専属だったり、タイアップや広告の仕事が多いと思いますが、ジャーナリストは取材して自分が思ったことを書くということなのかな……私はアナ スイにいたころからコレクションを見に行ってレポートを書くということもやっていましたし」

――オウンドメディアという言葉が定着しつつありますが、まさしく自己発信型の仕事の仕方ですね。

宮田「それがお金になるか、ならないかだけなので(笑)。スタイリストさんも同じですが、仕事をするうえで資格もないし、収入の保証もないということですね。私の場合はたまたま新聞系の媒体からたくさんオファーをいただけていますけど。逆に“なんで宮田さんは雑誌じゃなくて堅いところに書いてるの?”ってよく聞かれるんですが、私は現場から出てきた人間なのでファッション誌の編集者の方を知らないんですよ。もちろんファッション誌の仕事もしたいんですけど(笑)」

――そういう意味ではすごくユニークなポジションで活動していると言えるかもしれませんね。

宮田「私がブロガーを始めたころは、生駒芳子さんもまだフリーになってなかったですし、ファッションジャーナリストっていう肩書きでお仕事をされていたのは大内順子さんくらいしかいなかったんじゃないかな。当時はそういうことを全く知らなくて。逆にわかっていたら恐れ多くてファッションジャーナリストなんて名乗れなかったと思います(笑)」

久保「宮田さんのように販売員からスタートしてジャーナリストになったっていう人はめずらしいんじゃないかな」

宮田「そうですね。販売からスタートしてバイヤーとかPRになる人は多いですけど。私がアナ スイで販売だったときは、まだSNSというものがなかったので、よく切り抜いた絵型を貼って、そこに手書きでコメントを付けてっていうチラシを作ってましたね。それをコンビニで100枚くらいコピーしてお店にいらしたお客さんに配ってましたよ。それを毎週作ってたんです」

久保「へー!それはすごい」

――まさにかわら版。それを現代風にするとブログってことですよね。

宮田「ですね。そうすると、それを読みたいから他のアナ スイじゃなくて表参道に来るんですっていうお客さんが増えてきて。チラシだけもらって買い物しないのは気が引けるじゃないですか。だから皆さん必ず香水とかコスメなんかの小物を買ってくださって(笑)。この話をよく学生さんにするんですけど、“いまはオフィシャルなショップブログとかインスタがあってうらやましい。私は手書きでやってたのよ。だからどんどんそうやって自分から情報発信しなさい”って」

久保「まあ、誰もが情報発信できるわけだから、ある意味レッドオーシャンになっちゃったのかもしれないね。よほど飛び抜けた何か――文章がおもしろいとか、写真がすごいとか、あるいはその人自身がすごくきれいだったりとか――がないとね」

――“仕事が仕事を呼ぶ”という言葉とポジティブな思考も印象的でした。

宮田「本当にありがたいことに、雑誌や新聞の連載を長くやらせていただいて。連載が終わったときも“じゃあ、次はこういうことをやってみませんか?”ってお誘いをいただいたり。さっきも言いましたけど、ファッションジャーナリストって資格があるわけじゃないので、人との繋がりがすべてだと思っていて。だって、こうやって番組に呼んでいただいたのも久保さんとの繋がりがあったからですし」

久保「僕が宮田さんと知り合ったのは10年前くらいかな……」

宮田「久保さんがパリに行かれる前ですね。私はフリーランスになったばかりのただのブロガーで、久保さんは「senken h(センケン・アッシュ)」の編集長でしたから、初めてお会いしたときすごい緊張したのを憶えていますよ(笑)」

――宮田さんの著書である『もっとおしゃれの近道』に書かれている「グラム&ノマド」というセルフイメージはいつごろ固まったのでしょう。

宮田「そうですね中学生とか高校生くらいかな……子どものころから自分で服を選んで買っていましたけど、昔からミックスする着こなしが好きだったので。トレンドのものも好きなんですけど、雑誌に出ているそのままじゃかっこ悪いって思っていたんですね。だから“これを引いて、これを入れてみよう”っていうスタイリスト的な感覚なんだと思います。販売の仕事をするようになってディスプレイのマネキンでそれをやるようになりましたけど、小さいときからそういう感覚が身に付いていたのかもしれませんね。だからアナ・スイ本人に会ったときもすごく気が合って。私が古着やビンテージと新しい服をミックスしてたのを見て、アナが「その着こなしすごくいいわね」って言ってくれたり、いっしょに蚤の市に行っても同じものを欲しがったりね」

――そういうシンパシーが通じ合ってアナ スイの“宮田企画”が生まれたわけですね。

宮田「そうかもしれないですね。販売の仕事ってやめちゃう人が多いと思うんですけど、私はアナ スイもニコルも楽しかったですね。そういう経験がいまに繋がってるし、よかったなと思います」

――『おしゃれの近道』シリーズの続編も読みたいです。

宮田「ありがとうございます。この本はタイと台湾と、あと中国だったかな……各国語版が出ていまして海外でもなかなか好評なんですよ」

久保「すごいですね!それは知らなかったな。いや、今日は宮田さんと紗英子さんのトークが女子会っぽくて華やかでしたね。また遊びに来てください」

宮田「ありがとうございます。次回のソレイユトーキョーも楽しみにしていますので」

(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき



■宮田理江(みやた りえ)
「fashion bible」編集長。ニコル、アナ スイを経てファッションジャーナリストに転身。「All About」や「日経ウーマンオンライン」、「大手小町」等のウェブメディア、産経新聞等での連載の他、ショップチャンネルではオリジナルブランド「mieuxrie(ミューリエ)」のプロデュースも手掛けている。著書の『おしゃれの近道』、『もっとおしゃれの近道』は台湾、中国、タイでも刊行された。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。



宮田理江さんとクボッチ編集長。SOLEIL TOKYOにて





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