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――約1年4ヵ月ぶりの3rdアルバム『今日の詩』ですが、とっても素敵なタイトルですね。

「本当ですか?ありがとうございます。アルバムのタイトルって毎回すごく悩むんですよね。FUNKY MONKEY BABYS時代は1、2、3……っていうナンバリングだったのでよかったんですけど、ソロになってからは毎回苦労してます(笑)。『今日の詩』は、実は同じタイトルの曲があったんですけど、曲自体はボツになってしまって。でも、タイトルはすごく気に入っていたので、アルバムのタイトルにすることにしました。後付けになっちゃうかもしれませんが、このアルバムにみなさんの今日という日にぴったりハマる応援ソングだったりラブソングがあってほしい。そんな願いを込めて付けました」

――また、晴れの日の通常盤と、雨の日の初回限定盤というジャケットも、聴く人の日常を表現しているように感じました。

「ジャケットをどうしようかっていうのも、タイトルが決まってからでしたね。やっぱりこれも、晴れの日、雨の日、朝、夜、いろんなシチュエーションにハマる歌があるよっていう。撮影はアルバムが完成した直後だったこともあって、あのジャケットに写っているヘッドホンで実際に聴いてるんですよ。ただ、実はジャケットの撮影の日、雨は降っていなくて。カメラマンさんも遠くのほうから撮っていて、雨も降ってないのに1人で濡れた傘を差してホームに立って、周りからも何あの人?! みたいな目で見られながら(笑)。でも、その甲斐あっていいジャケットになったなって思ってます」

――加藤さんと言えばやっぱり応援歌というイメージが強いですが、2曲目の、道端に咲く花をモチーフにした「花」は個人的に印象深かったです。

「僕も好きなんですよ、この曲。もちろん全曲好きなんですけど、一歩前に押し出していきたい曲。というのも、この曲はちょっと特殊で、メロディと歌詞がいっしょに降りてきたんです。歌詞を書くときって、だいたい作業部屋とか馴染みの喫茶店にこもって頭を抱えながら振り絞ってて、降りてくることってほとんどなくて。この曲が数年ぶりとかですね。だから、これは絶対に残したいと思って書きました。そのとき自分では気づかなかったんですけど、あとになってディレクターの方とかに青春パンクっぽいねって言われたんですよ。言われてみれば、地元八王子の片田舎のドブ臭い感じとか、夕焼けの感じとか、僕の好きな世界観なんだなと思いました。それを田中隼人っていうオシャレなプロデューサーが、EDMでオシャレにアレンジしてくれて(笑)。ライブで歌うのが楽しみな1曲になりました」

――そんなふうに誰かを元気づけたりするつもりで書いた曲に、逆に自分が勇気づけられたりすることってありますか?

「想いとしては、絶対的に聴いてくださるみなさんがプラスの感情を抱くような曲であってほしいっていうのがあります。でも、やっぱりどこかで自分自身を鼓舞してるところもあって……。今までずーっと応援ソングを作ってるじゃないですか。でも、気が付いたら、やっぱり僕ももう40手前で(笑)」

――「ダイジョウブルース」という曲に<気がつけばオイラも39>という歌詞が出てきたのでびっくりしました(笑)。

「僕もびっくりなんですよ。だからなのか、なんかこう、歌詞を書いてるときに、自分が書いてることって綺麗事だなとか、世の中こんなにうまいこといくかな?とか、夢は叶うって言い切っていいのかな?とか。20代の頃は疑問にも思ってなかったことを、40手前のいま躊躇しちゃう瞬間もあるんです。だけど、そうやって若干迷いながらも歌詞を書き、レコーディングして、CDになってみなさんに聴いていただくじゃないですか。そして、それをライブで歌うわけですけど、そこには僕の歌を真っ直ぐに受け止めてくれるお客さんがいて、さらにみなさんの想いを乗せていっしょに歌ってくれる。その瞬間だけは、迷いは消えて、これでいいんだと思えるんです。その瞬間を僕はすごく信じてるんですよね。だから、また曲を書こうと思えるし。そういう意味では自分で書いた曲に、何よりもそれを聴いてくれるお客さんに、力をもらってると思います」

――誰かから求められるということが加藤さんのモチベーションにもなっているんですね。それこそ、「前へ ~My way~」という曲は、間寛平さんに書いてほしいと言われて作った1曲だとか。

「急な話だったんですごいびっくりしました。寛平さんが発起人となって開催されている「淀川 寛平マラソン」っていうのがあるんですけど、それに携わっているたむけん(たむらけんじ)さんとはもともと仲良くさせていただいてて。でも、今回の曲に関しては別にたむけんさんが推したわけでもなく、寛平さんが急に「ファンキー加藤くんにテーマソングを作ってもらいたい。それを明日の記者会見で言おうと思う」とおっしゃったらしく、それを聞いて慌てたたむけんさんからメールが届いたんです(笑)。本当に、求めていただけるというのはうれしいことなので、精一杯作りました」

――加藤さんのコメントでは「スポーツ、特にマラソンにフィットする応援歌です」とありました。

「この曲を作るとき、寛平さんのアースマラソンのDVD(『激走!地球一周40,000kmの軌跡 間寛平アースマラソン完全版 BOX』)をスタジオでずっと流してたんです。タイトルに“前へ”ってワードを入れたのも――DVDの寛平さんはずーっと走ってるんですよ。とにかく前に前に行ってる――前へ前へ走って行ったら、地球1周できちゃうんだと思って付けたんです。さらに曲のBPMも、寛平さんがマラソンしてるときのリズムに合わせてあるんです。それだけは最初からそうしようって決めてて。なので、この曲を聴くと、すごく軽快に走れますよ」

――寛平さんもすごく喜ばれたでしょうね。

「たむけんさん曰く、めっちゃ喜んでくれて、寛平さんはずっと“ええなあ。これ、ええなあ”っておっしゃってくれてたらしいです。これまでタイアップとかはいろいろやらせていただきましたけど、こんなふうに個人の方に曲を書くのは今回が初めてで。この曲には僕も大きな力をもらいました」

――というと?

「前のアルバムの『Decoration Tracks』を作った後、それまで楽曲制作に没頭しすぎて、スタジオ作業への腰が重い時期があったんですよ。本当に振り絞りすぎて空っぽになっちゃったというか……。これはそんな時期にいただいたお話で、やらせていただきますと言った以上、ヘンな話、スタジオに行かざるを得ないじゃないですか。でも、行ったら行ったで楽しく作れたんです。楽しく作れたし、自分の中からメロディや言葉が出てきたってことがうれしくて。今回のアルバムの中でも一番最初にできた曲なので、寛平さんには背中を押してもらったというか、いいきっかけを与えてもらいました」

――加藤さんにもスタジオに行きたくないみたいなときがあるんですね。

「ありますよ。そもそもあんまり得意じゃないんですよね、レコーディングとか。閉ざされた空間で想いをのせて歌うっていうのが、まだまだ自分の中で100点は取れてないですね」

――そんなふうに身を削る思いで制作されている中、「急性ラブコール中毒 Solo ver.」という曲は……

「いろいろ飛ばしていきなりそこに行きますか(笑)」

――すみません(笑)。でも、ぜひおうかがいしたいと思って。これはいわゆる下ネタソングで、歌詞には空耳的な要素がふんだんに盛り込まれています。過去にも同じタイトルでPart.1からPart.3まであるところを、今回はSolo ver.っていう……。

「そもそもソロなのに、何がソロバージョンなんだって話ですよね(笑)。歌詞は、その、男性の方ならピンとくるフレーズがあると思うんですけど……。何て言うか、相手が女性の方だとうまくプロモーションできないな(笑)」

――あはは!でも、これ系の楽曲ってファンモン時代からやられてますよね?

「そうなんですよ。アルバムに1、2曲は必ずあって。逆にこれをやらないとファンのみなさんに怒られるんです。この手の曲はファンの方の後押しがあってこそ、ですね(笑)」

――加藤さん自身、こういう曲を作ったり歌ったりするのはお好きなのでは?

「大好きです(笑)。今までの「急性ラブコール中毒」は、ロック調だったりEDMだったり、その時代時代のダンスミュージックを取り入れてきたんですけど、今回はどうしようかってなったときに、90年代のパラパラを今やったら面白いんじゃないかってことになって。パラパラダンスみたいな振り付けも考えて、ツアーまでには間に合わせたいなと思ってるところです」

――会場全体がパラパラダンスを踊っていたら壮観でしょうね。

「それ、やってみたいんですよね。って、さっきから結構グイグイ来ますね!僕は全然大丈夫ですけど(笑)。一応、アルバムを最後まで聴いてくれるような、僕のキャラクターを知ってくださってる方だけに聴いていただけるように、曲順も10曲目っていう後ろのほうに持ってきてたんですけどね。僕はいつも曲順を野球の打順だと思って組んでるんですよ。だから、1曲目、2曲目っていうのは足が速いって意味でアップテンポの曲を置いて、3、4曲目はいわゆる強打者で、自信のある曲を置くっていう……」

――4番バッターを飛ばして「急性ラブコール中毒 Solo ver.」に行ってたわけですね。大変失礼しました(笑)。で、4曲目は「風物詩」。4番バッターと言われると勢いのある曲をイメージしがちですが、この曲は情緒溢れるミディアムナンバーになってます。

「この曲は一番最後に作ったんですよ。アルバム全体を見返したとき、もう少し柔らかくてしなやかな曲もほしいなと思って。結果、自分的に物語が紡げたという手応えを感じる曲ができたんですよね。夏の花火があって、冬の雪があって、一番最後に秋の桜っていう、あんまり人から注目されないものが出てきて。その流れが自分の中でうまくできたなあと思ったし、メロディもすごく気に入っていたので4番に据えようと思いました」

――こうした曲はもしかしたら20代や30代前半には出てこないものかもしれませんね。

「たぶん、20代の頃だったらこの曲に出てくる<人の群れは駅の改札>っていうフレーズに対して、まず逆らうことを考えると思うんですよ。こういう流れからはみ出したいって。でも、この歳になって思うのは、人の群れは飲み込まれてるんじゃないな、と。1人1人、自分の意志でそこに向かって行ってるんだって、そんな当たり前のことがようやくわかってきたというか。すれ違う人にも自分と同等、もしくはそれ以上の人生があるってことに気づかされました」

――加藤さん自身は年齢を重ねることをどう思ってますか?

「怖くはないですね。僕、昔からずっと桑田佳祐さんが好きなんですよ。桑田さんも20代30代の頃はすごく尖った歌詞を書いてましたけど、今の桑田さんの深みのある歌詞もすごく素敵だなって思うし。歳を重ねていくことに対して自分があまり恐怖心を抱いていないのって、たぶん諸先輩方がかっこいいっていうのが大いにあると思います。桑田さんだったり、(甲本)ヒロトさんだったり、布袋(寅泰)さんだったり、長渕(剛)さんだったり。みなさんすごくかっこいい50代60代だなって思うんです。そう考えたら、僕なんかまだまだハナタレ小僧だし、むしろハナタレ小僧でいさせてもらえてる。それが嬉しくもありますね」

――今作を聴くと音がバンドサウンドになった印象があって、それも新鮮だったのですが?

「それはありますね。意図していたわけじゃないんですけど、たぶん「ダイジョウブルース」って曲がドラム、ベース、ギターっていうザ・バンド的な音になってて。他の曲でも、気づいたらバンドサウンド寄りの音をリクエストすることが多かった気がします。もともとバンドマンだったので、そういう部分においても今やってる「全日本フリーライブツアー~超原点回帰~」と同じく原点回帰みたいなものがあったのかもしれませんね」

――いつかバンドセットでライブをやる日が来るかも?

「生バンド……やってみたいですね。最初はファンクラブのイベントとか、内々の感じでやるのもいいかも。実は仲間のギタリストやベーシストからは、そういうときはぜひと言ってもらってたりするので、いつか実現できたらなと思います」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/いのうえ ようへい







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