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SOUND PLANET「A-57 USEN MONTHLY SPECIAL」
10月のテーマはネオ・シティ・ポップ
――ナツ・サマーさんによる10月の土日の「USEN MONTHLY SPECIAL」のセレクションについてお聞きします。このセレクションを担当してみていかがでしたか?
ナツ・サマー「最近のSpecial Favorite Musicとか、never young beach、阿佐ヶ谷ロマンティクスを聴いてると、ナツ・サマーとやってることが近かったりとか、“あ、こういう人から影響受けてるんだろうな”ってところが見えてきて面白かったです。今回、日本のアーティストで90年代以降という縛りだったので、パソコンに向かって、とりあえず自分のインスピレーションでプレイリスト作ってみて、そこから厳選していく感じで作りました。自分の曲も、昼と夜それぞれ3曲ずつ入れさせてもらって(笑)。プロデューサーのクニモンド瀧口さん繋がりで流線形も相性が良くて入れさせてもらいました。そうですね、流線形から阿佐ヶ谷ロマンティクスの流れとか、自然だし、いい感じだと思っています」
――FRECKLESは知らなかったんですがいいですね。
ナツ「FRECKLESってそばかすって意味らしいんですけど、台湾のアーティストさんなんですよ。ファンの方に“これ聴いてみてください”って渡されたんですけど、すごく気に入ってて。ジャケットもナイアガラ・トライアングルのオマージュなんです。台湾でもその界隈のジャンルが結構、流行ってるみたいで。先日、フェスで共演したLampもちょうど中国帰りだったみたいで、アジアで同じような音楽が流行ってたりするんだなって思いました」
――特に台湾の音楽シーンは日本の傾向に近いみたいですね。
ナツ「台湾のレコード屋さんがナツ・サマーのCDを置いてくださっているそうで、わざわざライブに遊びに来てくれたんですよ。すごく嬉しかったですね」
――いい話ですね。ところで、昼の部でばっちりハマったなという選曲はどのへんでしょう?
ナツ「ナツ・サマー「ミッドサマー・ウェザー」からあっぷるぱい、Platinum 900までの流れですかね。「ミッドサマー・ウェザー」の歌詞で、“明日は晴れるかな”って歌ってるんですけど、次のあっぷるぱいの「にわか雨」で、のっけから雷が落ちたり。で、次のPlatimum 900の「My Philosophy」も雨が降ってるんですけど、最後に晴れて小鳥が鳴いていたりして……ちょっと意識しました(笑)」
――素敵です。あっぷるぱいは男女混成で2010年代のシュガーベイブと言われてますが、可愛い曲ですね。
ナツ「そうですね、アルバム通して聴いても可愛らしい曲が多いですね」
――週末のお昼ってどんなイメージですか?
ナツ「昼まで寝てて、起きて、洗濯して掃除してみたいな感じ(笑)。前の日は、明日あれやろうこれやろうって考えるけど、結局、だらだらして終わっちゃう」
――時系列で流れていく選曲でもありますね。never young beachの「SUNDAYS BEST」は、聴いてるともうどうでもいいや!って気分になります(笑)。
ナツ「ふふふ!別に何もしなくていいかなって、ゆるい感じがありますよね。「ミッドサマー・ウェザー」もゆるい感じなので、ここもうまく繋がったなと思います」
――暇な日曜日を肯定してくれる感じがいいですね。
ナツ「ネバヤンは、安部勇磨さんのボーカルがゆるくていいですよね」
――後半はSpecial Favorite Musicの「Ceremony」でちょっとアガる感じです。
ナツ「この曲は、インタビューの前編に登場したブラウンズブックス&カフェで初めて聴いたんです。LPでリリースされているんですが、めっちゃいいな!と。最初、80年代の人かなと思ってたんですけど(笑)」
――ものんくるの「ここにしかないって言って」も入っていますね?
ナツ「おしゃれでジャジーで、ボーカルもすごい好きです」
――そしてもういちどナツ・サマーさんの曲。
ナツ「「メッセージ」は大好きな曲なので、これはUSENでも聴きたいなと思って」
――そしてちょっと意外だったのはSmooth Ace。
ナツ「最近聴くようになったんですけど、すごい名曲ばかりなのでもっといろんな人に聴いて欲しいなと思って。あと、ライブで見れたらいいなって願いを込めて選びました」
――そして締めは流線形と比屋定篤子からナツ・サマーさんへ。
ナツ「この2曲は結構似てるって言われたりするんですけど。こういう流れもいいかなと思って」
――「ナチュラル・ウーマン」はちょっとブラジルというかサウダージ感もあって。昼なんだけどちょっとしっとりした感じですね。
ナツ「そうですね。ラストの「ふたりが隣にいること」も家の中でふたりでだらだらテレビ見てて、いつのまにか寝ちゃってるっていう、その感じがいいなと」
――「ふたりが隣にいること」は聴きようによっては切ない歌詞ですよね。
ナツ「あー、切ないですよね。切ないけど、でも笑顔で歌ってます(笑)」
――続いて、夜の部のセレクトではどんなことを意識されましたか?
ナツ「自分が入れたかった杏里さんは“これは夜だな”と思ってて。夜のドライブというか全体的にクルージングとかそういう感じですね」
――「What is Love?」って夜、ひとりで物思いに耽る感じですね。
ナツ「うん、わかります。なんか今井美樹さんの「去年は、8月だった」もひとり物思いに耽る感じですし。次のナツ・サマーの「一緒に夢を見ましょう」もそうです。あまりハッピーじゃない曲が続いてる感じなんですけど、秋の夜長にぴったりだと思います。で、ちょっと明るく「カクテルパーティー」に繰り出す感じですね」
――microstarの「夕暮れガール」も華やかな夜のイメージです。
ナツ「これがサバンナバンドのオマージュ。で、次のLampもちょっとサバンナっぽい感じなので」
――おなじみの名曲だったキンモクセイの「ふたりのアカボシ」は再発見した!と思いました。
ナツ「2002年なんですけど、この時代にこういうのやってた人ってあまりいなかったなと思って。いま改めて聴いても全然古くないですし」
――次の辻林美穂さんは?
ナツ「これまた名曲ですね。曲があの時代の感じ。ベースがチョッパーで、グルーヴィーなシティポップ。メロディーもすごい綺麗だし」
――夜っぽくなってきましたね。そしてナツ・サマーさんの「街あかり」。
ナツ「はい。バカルディを飲んで酔いつぶれてください(笑)」
――bonobosの「Cruisin' Cruisin'」はまさにナイトクルーズ感がある。
ナツ「こういうちょっと落ち着いた感じで、ラストは曽我部恵一さんの「土曜の夜に」を選びました」
――前半は女性の振り返り視点で(笑)。
ナツ「そうですね(笑)。それからカクテルパーティーに行って、不満をぶちまけて(笑)。土曜の夜、お酒飲んで、最終的には“愛ってなんだろう”って(笑)。前向きになっていけそうですね」
――ナツ・サマーの音楽と共通してると感じた曲はありましたか?
ナツ「プロデューサーの瀧口さんが杏里さんとか今井美樹さんを意識してるので、馴染んでいるというか、違和感はなかったですね。でも選曲していて、自分もバンドでやりたいなと思いました。バンドでできたらもっとハマるんだろうなと思って」
――クラブとかのDJとは曲の繋ぎ方とか、選び方が違いますよね。
ナツ「チャンネル変えられないように(笑)。1時間、するっと気持ちよく聴いてもらえるように、あんまりボコボコした感じじゃなくフラットに。でもほどよく盛り上がる曲もあって……」
――上手く絞り込めたんじゃないですか?
ナツ「ナツ・サマーとして自分がやってる音楽もそうですけど、ジャンルを取っ払ってゆくというか……レゲエだったり、歌謡曲だったりを、いまの音楽と混ぜていくことが好きなんで、それはこの選曲にもすごい出てるなと。まあ、ざっくりネオ・シティ・ポップってくくりなんですけど、そこに敢えて杏里さんとか今井美樹さんとか持ち込んできたり、キンモクセイとか、もしかしたら、いまはあまり語られていないシティポップを同じ土俵に並べる感覚が自分らしいなと思いました」
――こういう風に並べて聴くと、聴き手の感覚もボーダレスというかクロスオーバーしてゆくんじゃないでしょうか?
ナツ「そうだといいですね。ナツ・サマーのライブに来てもらったりしても、レゲエ好きの人と、シティポップ好きの人が同じ場所にいたりして。そういう風景を見てて嬉しかったですね」
――それは嬉しいですよね。そういう音楽のクロスオーバーって貴重だと思います。
ナツ「そうなんですよ。ジャンルで括って“それは聴かないから”っていうのはもったいないから。いろんなジャンルとか時代を行ったり来たりするのが楽しいじゃないですか。今回の選曲もそんな感じにできたと思いますね」
――ところで、仮あてで昼の部、夜の部って言っちゃいましたけど、ちゃんとしたタイトルを決めたほうがいいんじゃないですか(笑)
ナツ「ですね(笑)。さっきの話の流れで行くと、昼の方はちょっとレイジーな、怠惰を許してくれる感じなので、LAZYなんとか……うーん、じゃあ昼の部は「Hello, lazy day」。夜の部は「一緒に夢を見ましょう」で!どっちもナツ・サマー繋がりということでどうでしょう?」
――いいと思います!
(おわり)
取材・文/石角友香
写真/柴田ひろあき
[ 前編はこちら ]|[ 後編 ]
- ナツ・サマー『Hello, future day』
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2017年7月5日(水)発売
PCD-24636/2,400円(税別)
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