40年にわたるキャリアの中で
確実に浸透している歌声

いつまでも変わらぬ透明感のある歌声で多くのリスナーを魅了し続けている歌手・大貫妙子。彼女のキャリアのはじまりは今から約40年前に遡る。山下達郎、村松邦男らと共に、伝説のバンド「シュガー・ベイブ」を結成したのが1973年。ここで彼女はボーカルとキーボードを担当していた。同バンドは1975年にアルバム『SONGS』を発表するものの、結成からわずか3年後の1976年に解散。そして彼女は同じ年の9月にアルバム『Grey Skies』をリリースし、ソロ・アーティストとしての道を歩み始めた。以降、坂本龍一や細野晴臣、高橋幸宏、大村憲司といった面々が参加した初期の代表作『ROMANTIQUE』『Clich?』、溝口肇、中西俊博、フェビアン・レザ・パネらが演奏を務めた『Pure Acoustic』、以前から交流のあった小林武史をプロデューサーに迎えた『DRAWING』など、名作の数々を世に送り出している。

仮に大貫妙子のオリジナル・アルバムを聴いたことがない人でも、映画『Shall we ダンス?』やスタジオジブリ初の海外配給作品『キリクと魔女』の主題歌の歌声と言えば、ピンとくる人も多いのではないだろうか。ほかにも、CMソングや他アーティストへの楽曲提供も数多く手掛けており、大貫妙子の音楽そして声は私たちの日常の中にさりげなく、しかし確実に溶け込んでいる。

音楽を通した出会いから
生み出されたアルバム『Tint』

彼女は一昨年デビュー40周年を迎えたが、それを記念して出版された『大貫妙子 デビュー40周年アニバーサリーブック』の中で、「あなたにとって音楽は何ですか」という問いに対し、「音楽は私自身です」と答えている。それはおそらく、喜びや悲しみ、希望や絶望、出会いや別れなど日々の生活の中で直面し得るすべての出来事の傍らには常に音楽があり、彼女が生み出す音楽はそこから彼女自身が注意深く抽出したものの結晶であると言えるかもしれない。事実、今回4年半ぶりに私たちの手元に届けられた新作『Tint』も、彼女が音楽を通して得たひとつの出会いが発端となっている。

今作最大の特徴は、世界的バンドネオン奏者として名高い小松亮太とタッグを組み、大貫妙子としてでなく"大貫妙子と小松亮太"名義でのリリースであるということ。

大貫と小松の出会いは15年前。アルバム『ensemble』収録の「エトランゼ?etranger」のレコーディングで、当時デビューしたばかりの小松を大貫が指名する形でセッションを行ったのがはじまりだという。

「どなたに弾いてもらおうかなというとき、実際に出してもらった音でその人の世界観みたいなものがだいたいわかるんです。当時もいろいろな方がいる中で、小松さんにお願いしようって思いましたし、実際にすごく良いセッションでした。なので、ちょっと来て弾いてもらうっていうのではなく、さらに一緒にできる機会があればいいなと思い続けていたんですけど......気がついたら15年が経ってしまいました」

とはいえ、その間も二人の交流は「飛び飛びで」続いていて、「一緒にできる機会」を常に模索していたという彼女。今回の『Tint』は、まさに機が熟したというタイミングだったと言える。

「小松さんも『この15年が必要だった』とおっしゃっていましたけど、私も今がそういう時期だったんだと思います。小松さんの個性と私の個性、お互いがどういう風に混じり合うことができるか、きちんとコントロールしていけば、きっと良いアルバムになるだろうという予感はありました」

結論から言えば、彼女の予感は的中した。次回更新では、その制作秘話にさらに迫っていこうと思う。

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40周年記念ライヴより

大貫妙子

1973年、山下達郎らとシュガー・ベイブを結成。75年『SONGS』をリリースするも76年解散。『Shall weダンス?』(監督:周防正行 96年)のメインテーマや、第21回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した『東京日和』(監督:竹中直人 98年)の音楽プロデュースなどCM・映画音楽も数多く手がける。

6月20日~26日までUSENのチャンネル「C-47 NEW DISC HEALING」で今回のアルバム『Tint』を放送。また、7月1日から1ヵ月間、おなじくUSENのチャンネル「B-64 坂本龍一/commmons」で大貫妙子を特集!

大貫妙子と小松亮太コンサートツアー「tint」

2015年10月3日(土)

  • 会場:とぎつカナリーホール(長崎県)
  • 主催:KTNテレビ長崎
  • 問:KTN事業部 095-827-3400

2015年10月10日(土)

  • 会場:道新ホール(北海道)
  • 主催:株式会社道新文化事業社
  • 問:道新プレイガイド 011-241-3871

2015年10月16日(金)

  • 会場:Bunkamuraオーチャードホール(東京)
  • 主催:東京音協
  • 問:東京音協 03-5774-3030(平日10:00~17:00)

2015年10月24日(土)

  • 会場:八ヶ岳高原音楽堂(長野県)
  • 主催:株式会社八ヶ岳高原ロッジ
  • 問:八ヶ岳高原ロッジ 池袋情報サロン 0267-98-2131

2015年10月31日(土)

  • 会場:NAGOYA BLUE NOTE(愛知県)
  • 主催:NAGOYA BLUE NOTE
  • 問:NAGOYA BLUE NOTE 052-961-6311

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