©NOAH ROBERTO

4月1日(月)~7日(日)の特集はジャスティン・ティンバーレイク

スーパースター=ジャスティン・ティンバーレイクが、約6年ぶりとなる待望の新作『エブリシング・アイ・ソート・イット・ワズ』をリリース。ジャスティン自身はもちろん、制作には盟友のティンバランド、カルヴィン・ハリス、ルイス・ベルなどの豪華プロデューサー陣も参加。ポップ・フィールドを飛び交う様々なジャンルの全18曲がゴージャスに輝く1枚に。特集では、ジャスティンの集大成とも言える最新作『エブリシング・アイ・ソート・イット・ワズ』に加え、キャリアの代表曲やヒット曲などを交えてお届けします。
「A56 アーティスト特集 WEEKLY 洋楽」担当ディレクター



放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

ジャスティン・ティンバーレイク『エブリシング・アイ・ソート・イット・ワズ』DISC INFO

2024年3月15日(金)発売
SICP-6572/2,750円(税込)
Sony Music Japan International

ジャスティン・ティンバーレイク(ソニーミュージック)

ⒸKelly ChristineSutton

4月8日(月)~14日(日)の特集はケイシー・マスグレイヴス

■TOPICS
グラミー賞を7度受賞したシンガー・ソングライター、ケイシー・マスグレイヴスが5枚目のスタジオ・アルバム『Deeper Well(ディーパー・ウェル)』を3月15日にリリースする。ニューヨークの伝説的なエレクトリック・レディ・スタジオでその大半が録音された本作は、ケイシー・マスグレイヴス本人と、長年ともに仕事してきたダニエル・タシアン、イアン・フィチュックとの共同プロデュースとなっている。


放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)


ケイシー・マスグレイヴス『Deeper Well』DISC INFO

2024年3月15日(金)発売
ユニバーサルミュージック

ケイシー・マスグレイヴス

4月15日(月)~21日(日)の特集はホセ・ジェイムズ

■TOPICS
1978年は音楽界にとって重要な年だ。ソウル、R&B、ファンク、ロック、ディスコ、ジャズといったスタイルが出会い、融合し、ラジオやダンスフロアで自由に交錯した。それはまた異なる国の音楽、たとえばレゲエやアフリカン・ミュージックなどがアメリカの音楽シーンに大きく影響を与えた年だった。同時に、ブロンクスのストリートから生まれた音楽制作の手法が登場し、ヒップホップと呼ばれる新たな音楽が広く聴かれるようになった年でもあった。さらに1978年は、シンガー・ソングライター/プロデューサーのホセ・ジェイムズがミネアポリスに誕生した年であり、12枚目のアルバムのタイトルに彼が選んだのも、まさにこの年だ。

そう考えれば、『1978』が歴史的かつタイムリーな自伝的アルバムなのも当然だ。キャリア中盤にして、ソウル、ヒップホップ、ジャズ、その他のジャズ・スタイルを巧みに融合させつつ、ひとつの頂点を極めたホセ・ジェイムズを捉えた、極上の9曲を収録した作品。曲は非常に個人的で親密なものから社会的メッセージを持つものまで、グルーヴはエッジの効いたものからソリッドなもの、レイドバックした魅力的なものまでと実に幅広い。パフォーマンスを支えるのは若く、無駄のないしなやかな才気あふれるミュージシャンたちや予想外のコラボレーターたちだ。ここ最近は、ビリー・ホリデイ、ビル・ウィザース、エリカ・バドゥといったアイコン/シンガー・ソングライターへのトリビュートを作ってきたホセ・ジェイムズだが、2008年の『ドリーマー』以来となる、ソングライター/バンド・リーダーとしてのプロダクション・スキルだけに頼ったプロジェクトに戻ってきたことになる。

「僕にとってこれはAbleton[註:音楽制作ソフト]を使ったプリプロダクションから、単なるスケッチにとどまらず、全曲すべてを完全に自分一人でプロデュースした初めてのアルバムだ。だからとても興奮してるんだ」とホセは語る。「これまでにないほどファンクやラテンの要素に焦点を当てているし、僕自身のヒップホップやソングライティングにマッドリブ的なジャズの感性を融合させた。以前にも試したことはあったけど、ここまで完全に一つのものとなり、自分が心から満足するものが作れたのは今回が初めてだ」。

『1978』を聴けばそれは確かに実感するし、音楽的な焦点も明確だ。何より一貫したフィール感とサウンドがある。それは、アルバムの大半の曲でリズム・セクションを演奏するミュージシャンたちのおかげだとホセは言う。ギターのマーカス・マチャード(ロバート・グラスパー、アンダーソン・パーク)、キーボードのチャド・セルフ(レイラ・ハサウェイ、ビラル)、ベースのデヴィッド・ギンヤード(ソランジェ、ブラッド・オレンジ)、ドラムのジャリス・ヨークリー(チャンス・ザ・ラッパー、アニー・デフランコ)、そしてさまざまな曲でゲスト参加したコンゲーロ奏者のペドリート・マルチネス。

「こういった小さくてタイトなバンドだったから、僕自身のジャズの本質と繋がっていられたんだ」とホセは言う。「彼らはなんだって演奏できる。どの曲もスタジオで全員が顔を見ながら録音した。初めて何かを見つけるかのような、そんなライヴ感を求めていたんだ」。

2023年初めにジャズ・クラブ、ブルーノート・ニューヨークのステージに立った時から、このラインナップは際立っていたとホセは言う。「ステージでの一体感は否定しようがなかった。マーカスはその日だけのゲストだった。やったのは(エリカ・)バドゥの曲だ。普段キーボードはBIGYUKIなんだけど、その日は彼の都合が悪くて。逆に普段は都合の悪いペドリートがその日は大丈夫だった。そんなグループだったが、全員がファンクとソウルのボキャブラリーを持っていて、このグルーヴにぴたりとハマったんだ。僕はそれを離すまいと思った。J・ディラ以降のレイドバックした感覚というのかな。そして思った。今まさにノリに乗ってるこのバンド全員をスタジオに集めて、捉えないと、とね」。

曲という意味では、しばらく前から準備は整っていた。遡ること数年、『ノー・ビギニング・ノー・エンド2』と『オン&オン』のツアー中から、ホセは新曲に取り掛かっていた。「『1978』の曲の多くがまとまり始めたのは5年くらい前だ。そこから徐々に発展し、グループが出来上がってからはあっという間だった」。ちょうどこの頃、ホセは70年代マーヴィン・ゲイとの仕事で知られるモータウンのソングライター、リオン・ウェアを紹介される。友人となった二人は、やがて仕事をする仲となる。

「2009年、LAのマリナ・デル・レイにあるリオンの家で一緒に曲を書いたんだ。彼がタバコを巻いて、何時間も話をした。ジャズ、モータウン、マーヴィン…。ある曲に取りかかっていた時、リオンが僕に言ったんだ。お前を見てると昔の自分を思い出す、と。その言葉がずっと残っていた。彼を質問攻めにしたよ。リラックスしたグルーヴとジャズのフレーヴァーを持つ(マーヴィン・ゲイの)『アイ・ウォント・ユー』は僕が思うベスト・アルバムの1枚だからね。『1978』はまさにリオンとJ・ディラが出会って、僕のために作ってくれたアルバムという雰囲気にしたかったんだ」。

またこうだともホセは言う。「『1978』は冒頭の数曲からセクシュアルな要素を感じさせるが、それと同じくらい、今日のR&Bから欠けているある種の脆さがある。もちろん大言壮語(bragging)もたっぷりある。それは間違わないでくれ。でもそうだとばかりは限らないという考えさ。それがいかに自分の時代から変わったか、リオンははっきりと言葉にした。“僕らはクルーナーだったから、曲の主人公の男のように観客を魅了しなきゃならなかったんだ”と彼は言ってたよ。今の時代は、そういう方法で曲を書くのは難しい。でもこのアルバムには間違いなく、リオンの精神がぎっしり詰まっているよ」。

マーヴィン・ゲイ以外にも、クインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソンからの影響があるとホセは言う。「これまでで一番シンセサイザーを使って何が出来るかを探求したよ。あとは、スタジオを大いに活用して、トラックに“耳に心地の良いサウンド”を乗せた。『アイ・ウォント・ユー』以外にも、マイケルの『オフ・ザ・ウォール』でのクインシーの見事なプロダクションが、『1978』のアイデアのインスピレーションになっている」。

『1978』は「レッツ・ゲット・イット」、「イシス&オシリス」、「プラネット・ナイン」で始まり、喜びが炸裂する「サタデイ・ナイト (ニード・ユー・ナウ)」へと進む。アルバム中でも印象的なこの曲は、売れっ子スタジオ・ミュージシャンであるカーヴェー・ラステガー(ブルーノ・マーズ、シーロー・グリーン)のベース・ワークと、グラミー候補シンガー・ソングライター、ターリことタリア・ビリグ(モービー、アロー・ブラック)の作曲センスが光る1曲だ。「皆が互いを知るようになり、その頃には本当にいい友人になっていた。カーヴェーの家に皆で居るときに、これだと思えるヴァイヴを捕まえたんだ。僕から彼に、120BPMくらいの曲を探してるんだと話したが、あとはごく簡単だった。部屋には僕ら3人だけ。もう1曲書いておけばよかったよ!」。

中盤、「ダーク・サイド・オブ・ザ・サン」の途中でベルギー人ラッパー、バロジのラップを、続く「プレイス・オブ・ワーシップ」でブラジル人ヴォーカリスト、シェニア・フランサのヴォーカルを加え、『1978』はディープさを増していく。「グローバルなブラック・サウンドというアイデアは、70年代当時としては新しかった。今回は伝統をベースに持ったディアスポラのミュージシャンたちを集め、グローバルでありながらも聴きなじみのある方法でやろうと思ったんだ」とホセは語る。

「シェニアは僕と似て、モダンなプロダクションやソングライティングという現代的な世界と、とても伝統的でスピリチュアルをベースにしたブラジル音楽という、2つの世界を行き来している。僕らは言葉の壁も越えた。男性と女性のデュエットというのは、僕が好きでここしばらくのレコードで続けているトラディションでもある。シェニアとは今年会ったばかりで、バロジとは2013年以来。同じサーキット(ツアー)で一緒だったので、そこで知り合いになり、お互いのバンドのファンになった。何かを一緒にやろうとずっと話をしてたんだ」

『1978』はホセ・ジェイムズとタリア・ビリグが2018年に立ち上げたインディペンデント・レーベル、レインボー・ブロンド・レコードからのリリースだ。そのインスピレーションは経済的な便宜以上のものだった。ホセは言う。「大事なのは自分の音楽を所有し、コントロールすること。あとはコミュニティという考え方だ。だからレーベルにはターリと自分以外のアーティストもいる。ベーシストのベン・ウィリアムス、そして今回ジャリス・ヨークリーのデビュー作が新たに加わった。アーティストであると同時にA&Rでいられるのは光栄だね。かつてプリンスがレコード・レーベルと戦ったことが、僕らがインディペンデントの道を選ぶ上で大きな影響になったことは間違いないよ」。

そんなホセの独立心とコミュニティへの想いは『1978』のラストを飾る2曲の切実な、政治的メッセージにも表れている。「38th & シカゴ」はホセと同じミネアポリス人のジョージ・フロイド、「フォー・トレイボン」はトレイボン・マーティンへのトリビュートだ。二人はともに人種差別による殺害事件の犠牲者であり、2010年半ばの#BLM (Black Lives Matter)ムーヴメントの火に油を注ぐこととなった。さらにはホセの音楽制作に、重要な役割を担う存在となった。

「自分の頭の中だけにとどまるのではなく、社会と自分について考えるのが大切だと思うし、それをやってのけるのがミュージシャンだ。ミュージシャンは行動し、心を高揚させ、人々に自問自答させるような音楽を作るべきだ。それをどうやるかは、そのミュージシャン次第なので、やり方は違う。ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」はジョン・コルトレーンの「アラバマ」とは違うし、オスカー・ブラウンJr.の「ブラウン・ベイビー」とも、デッド・プレズの「レッツ・ゲット・フリー」とも違う。物語や状況はそれぞれが違うということだ。ミネアポリスと、正当防衛が法律で認められるフロリダとじゃ、状況は一緒ではない。トレイボン・マーティンの射殺事件以来、僕はフロリダでは演奏していないよ[註:フロリダ州はstand your ground law (正当防衛法)を制定している]」。

「アメリカの黒人なら誰だって、この2曲のどちらかに共感するはずだ。彼ら二人の身に起きたことを他人事とは思えないんだ。フロイドが警官に殺された38th&シカゴのすぐ隣町で僕は育った。僕もフーディを被って街を歩き回るティーンエイジャーだった[註:自警団の男に“怪しい”と目をつけられ、射殺された17歳のトレイボンはフーディを着ていた]。見知らぬ他人に嫌がらせを受けたことも、殴られた経験もあるんだよ」。

ホセ・ジェイムズの『1978』のパワーの源は、タイムレスな時代性と深くパーソナルな感覚の両方にある。現在と過去のサウンドとジャンルをつなぐ重厚な音楽的表現であると同時に、ジャズやソウル、ヒップホップへの彼の深い愛情に対する、誠実かつうっとりするような愛情に満ちたバレンタイン(オマージュ)だ。

文/アシュリー・カーン
訳/丸山京子



放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

ホセ・ジェイムズ 『1978』 DISC INFO

2024年4月5日(金)発売
UCCU-1686/2,750円(税込)
Rainbow Blonde / Universal Music

ホセ・ジェイムズ (ユニバーサルミュージック)

ⒸJim Herrington

4月22日(月)~28日(日)の特集はザ・ブラック・キーズ

00年代以降のシーンを代表するロック・ユニット=ザ・ブラック・キーズが12作目となる最新作『オハイオ・プレイヤーズ』をリリース。オハイオ出身である彼らが同郷のファンク・レジェンドのグループ名を冠とした本作は、ベックと共作した先行カットの「ディス・イズ・ノーホウェア」を皮切りに、ノエル・ギャラガー、グレッグ・カースティンら数々のトップ・ミュージシャンを招いた豪華な1枚に。この特集では、最新作『オハイオ・プレイヤーズ』を中心にバンドのキャリアを代表する名曲をお届けします。
「A56 アーティスト特集 WEEKLY 洋楽」担当ディレクター


放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

ザ・ブラック・キーズ『オハイオ・プレイヤーズ』DISC INFO

2024年4月5日(金)発売
WPCR-18663/3,300円(税込)
ワーナーミュージック

ザ・ブラック・キーズ(ワーナーミュージック)

4月29日(月)~5月5日(日)の特集はSUM 41

世界的人気を誇ったパンク・ロック・バンド、SUM 41が約27年のバンドの歴史に幕を閉じることを発表しました。その集大成ともいえる最新アルバム『Heaven :x: Hell』をリリース。先行リリースされたシングル「Landmines」は米オルタナティブ・ラジオで1位を獲得するなど大ヒットを記録しています。3月に行われたPUNK SPRINGでの来日公演も大盛況で終えたSUM 41との別れを惜しむ国内のファンも多いことでしょう。4月29日からの1週間、USENでは彼らの楽曲を特集します。
「A56 アーティスト特集 WEEKLY 洋楽」担当ディレクター

放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

SUM 41『Heaven :X: Hell』DISC INFO

2024年3月29日(金)発売
Rise / BMG

SUM 41

USEN MUSIC GUIDE ―― USEN(有線音楽放送)の番組情報はこちら

関連リンク

一覧へ戻る