全世界でのサブスクリプション配信が解禁された戦後伝説の女性シンガー・江利チエミ。

江利チエミは、12歳の頃から進駐軍キャンプでの歌唱でキャリアをスタートさせ、同時期に活躍した美空ひばり、雪村いづみとともに『三人娘』として一世を風靡。

卓越した音楽性でポップス、ジャズ、ラテン、民謡など様々なジャンルの楽曲を歌いこなし、それらのジャンルを融合させるアレンジで、エキゾチックかつ洗練された名曲群を誕生させ、今もなお国内外から高い評価を得ている。その歌声と表現力は、主演を務めた『サザエさん』シリーズをはじめ、テレビドラマ、映画、ミュージカルなどでも発揮され、日本のエンターテインメントに多大な影響を与えた。

今回、サブスク解禁を記念したプレイリスト企画『私が聴く、江利チエミ』に田中克海(民謡クルセイダーズ)、土岐麻子、福原音(シャッポ)が登場。

独自の視点で選曲されたオリジナルプレイリストに、江利チエミの魅力を語るコメントが寄せられた本企画には第一弾として菊地成孔、小西康陽、横山剣(クレイジーケンバンド)のキュレーションが公開されていた。

洋楽のフィーリングを日本のポピュラー音楽に浸透させ、日本音楽史においても重要な女性シンガーである江利チエミが残した魅力的な貴重音源の数々を是非とも堪能いただきたい。

▼江利チエミ 各配信サイトリンク

https://bio.to/d7m79d

プレイリスト企画「私が聴く、江利チエミ」

タイトル:裏町のおてんば娘 Created by 土岐麻子

URL:https://chiemieriasakotoki.lnk.to/wvvjC0NY

●江利チエミのアーティスト像に対する印象

美空ひばりさん、雪村いづみさんとともに戦後最強の歌手であり、アイドル。
初期は声に天性の明るさが宿る喜劇の女王のようなイメージで、不運に見舞われた後期は哀愁深い声で歌謡曲を歌い、実直に悲劇を生きた人というイメージです。

●プレイリストの聴きどころ

シャープス&フラッツやキューバンボーイズの演奏で歌うチエミさんの、驚異的なジャズフィーリング!圧倒的なパワーと技術が感じられます。

タイトル:50~70sもっともグルーヴィな“民謡歌手” 江利チエミ Created by 田中克海(民謡クルセイダーズ)

URL:https://chiemierikatsumitanaka.lnk.to/xfChsrbZ

●江利チエミのアーティスト像に対する印象

50~60年代、ジャズ、マンボ、カリプソ、ツイスト、など世界中の最新音楽の影響を受けまくる日本歌謡界に、日本民謡をガッツリ注入して、”最新の日本民謡感”をポジティブに提示したビッグスターだと思います。
チャーミングで人懐っこいけど上品さを失わない、聴いていてウキウキしてくる様な歌声。ずば抜けた表現力を持ちながら決して押し付けがましくなく、歌の世界に寄り添う姿に惚れ惚れしてしまいます。
美空ひばりさんが圧倒的な歌唱力でジャズから民謡まで全てを圧倒的な”ひばりワールド”に昇華したのに対して、江利チエミさんの、どこか「隣のお姉さん」的な庶民の中から聴こえてくる様な歌声が、民謡が本来持っている”名もない人たちの唄”という特性にもマッチしていたのかもしれません。芸能界において超一流のPOPS歌手の座を築きながら、昭和の時代に”民謡らしさ”をPOPSに融合させることができた唯一無二の”民謡歌手”だったと思います。

●プレイリストの聴きどころ

東京キューバンボーイズ、シャープアンドフラッツなど、ジャズ、ラテン、ツイストなど最先端のビートを繰り出すバンドが織りなすハイブリッドなサウンドプロダクションを、ロデオの様に爽快に乗りこなして歌いまくる江利チエミさんをご堪能ください。


タイトル:ガール・ポップとしての江利チエミ Created by 福原音(シャッポ)

URL:https://chiemieriotofukuhara.lnk.to/imukorhR

●江利チエミのアーティスト像に対する印象

逃げだと思うのであまり言いたくないのですが、好き過ぎてなかなか難しいですね…
ただ、チエミさんの歌声にいつも思うのは、歌い手としての高い技術と人間的な魅力が共存していて、端正だけれどもダイナミック。艶っぽいけれど真っ直ぐ。日本的なのにどこか黒っぽい。
そして聴き終えると、歌を超えてチエミさん自身の人柄に惹かれてしまうということです。
下町の気風の良さと言いますか、「歌での責任の取り方」というのが他に類を見ない人だと思います。
特に、当時のアメリカの歌い手が持っている、ストリートで身につけるであろう「野性」がなぜチエミさんの歌声に感じられるのか、不思議でなりません。

●プレイリストの聴きどころ

発音やリズムへの歌の乗せ方。特に言語が英語に留まらないのが凄さだと思います。
また、英語と日本語が混在する曲が幾つかありますが、英語パートのキレキレ具合に対して日本語パートの何とも言えない可愛らしさ!
みんな好きになっちゃうと思います。


タイトル:バックのゴージャスを娯しむ江利チエミの21曲 Created by菊地成孔

URL:https://chiemierinaruyoshikikuchi.lnk.to/Chv7Y6RW

●江利チエミのアーティスト像に対する印象

いくらキャリア上、欠くことができないとはいえ、「三人娘」縛りでの<当社比>みたいになるのは如何なものか?とは思うものの、江利チエミ(以下「チエミさん」)は、美空ひばり、雪村いづみと比した時(「短く、凄絶と言って良い人生と比して」しても、この際良いかと思いますが)「毒々しさがない事」から生まれる、圧倒的な瑞々しさとキュート、童話に出てくる森の動物を思わせるルックから生じる、アジアのどこかの国の、王族であるかのようなノーブルな上品さと、柔らかい逞しさがその魅力の源泉だったと思います(それは、芸能人って非常に重要な「芸名」にも表れていると思っています。「美空」「雪村」という<押しの強さ>と比した時、<米軍キャンプで付けられた渾名~エリー~を、母親が整えたもの>だとしても、「江戸」の<江>と「利根川」の<利>と繋いだ字面が持つ粋と<可愛げ>は、ファンの無意識のレベルにも届いていたでしょう)。歌声、ステージアクトを含めた、ルック、衣装、等々、チエミさんの同時代(第二昭和=1947~67年)、もしくはひと世代上の「ジャズ歌手」たち、特に女性は、本場合衆国の黒人歌手に共有的な<ブルース感覚>を、発声、アクト、衣装、等々に過剰なまでに取り入れ、また、当時の日本歌謡のあり方として、ジャズ~ブルース感覚が日本古来の都々逸、浪花節、等々、「押しの強い」歌唱法やイメージと結びつくことで、ややもすると「毒々しさ」が生じ、この味わいを愛する人々には堪らないものでしょうが、チエミさんにはこの「魅力的な雑味」が、非常に少なく、スムースでスマートだったという点は特筆されると思われます。
「日本のエラ・フィッツジェラルド」という安易な惹句が50年代には飛び交いましたが、いまだに「だったらよっぽどサラ・ヴォーンでしょ」と思っています。
高い歌唱力を湛えながら、力まず囁かず、強い小節(こぶし)やえげつない節回しや過剰な力みを排した、柔らかでおおらかなその歌声は、前述、演歌に隣接する苦味や雑味をこよなく愛した「日本人女性ジャズ歌手」ファンの人々の、一服の清涼剤であり、滋養豊富な歌の雫であり泉であったと思います。

●プレイリストの聴きどころ

チエミさんのバックバンドといえば<原信夫とシャープス・アンド・フラッツ><見砂直照と東京キューバン・ボーイズ=TCB>という、本邦を代表するジャズとラテンのビッグバンドでキマリ。であり、邦楽との融合も融通無碍、ダイナミック / チャーミング / ユーモラスにミクスチュアされる高度なスキルとセンスが、前述、チエミさんの圧倒的な魅力を支えている、その構図の、ほんの一端でもお楽しみ頂きたく思います。

タイトル:快活なチエミさん Created by小西康陽

URL:https://chiemieriyasuharukonishi.lnk.to/g2LdvYIJ

●江利チエミのアーティスト像に対する印象

戦後の昭和の「明るく、快活で、庶民的な」スター、という印象を抱いています。 

●プレイリストの聴きどころ

いちばんの聴きどころは『サザエさん』のテーマです。

たしかTBS系列のTV放送網で、平日の夜に放送されていました。

映画版の『サザエさん』もチエミさんが主役でしたが、 このテーマソングはTV番組でしか使われておりません。いまでも歌えますし、アレンジもほぼ思い出すことができます。

パパパでラララ、パパパでラララ、というフックが効果的な名曲です。


タイトル:エキゾチック・ニュー・トーキョー Created by横山剣

URL;https://chiemierikenyokoyama.lnk.to/8zGlWQcg

●江利チエミのアーティスト像に対する印象

米軍キャンプでならしたバタくささとお座敷うたのエキゾチックな融合を体現する稀代のシンガー! 

 

●プレイリストの聴きどころ

もうねぇ、「コレが聴きどころ!」と思う曲だけを選曲しましたので聴きどころは「全部!」
ということになりますが、みなさんに感じ取っていただきたいのは江利チエミさんがいかに雅でインターナショナルでジャパン・プライドをくすぐる痛快なエンターテイナーであるかと言うことです。

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