2025年にアーティスト名義を「高野洸」から「AKIRA TAKANO」へと変更し、自身の音楽性をより追求する活動をスタートさせたAKIRA TAKANO。
2026年には、AKIRA TAKANOとして初となるワンマンライブツアー「AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON」を開催し、全国8都市を巡るなど、アーティストとして新たな歩みを進めている。
さらに、今回のオフィシャルインタビュー公開に合わせて、AKIRA TAKANOの新たなロゴも初公開された。
オフィシャルインタビューでは、幼少期に始めたダンスをきっかけとした音楽との出会いから、現在のAKIRA TAKANOに至るまでの音楽遍歴を紐解いている。
2025年の名義変更を経て、AKIRA TAKANOとして目指す音楽や、「pinkcider」「P.O.I.」「Well okay」「MIRROR」に込めた思い、自身のよりリアルな部分を音楽に落とし込む現在の制作スタイルについても語っている。
▪️オフィシャルインタビュー
インタビュー・文/猪又 孝
ダンスから始まった原点と再出発
「MIRROR」が映し出す内なるリアル
――まずは音楽遍歴を紐解きたいんですが、一番古い音楽の記憶は何歳頃のものですか?
AKIRA:たぶん2歳ぐらいですね。車の中で流れてた音楽を覚えてるんですけど、最初はお父さんがかけてた矢沢永吉さんですね。それと同じぐらい流れてたのが宇多田ヒカルさんの『First Love』だったと思います。
――ご両親は音楽がお好きなんですか?
AKIRA:そうですね。特に母親は保育園の先生をやっていて、ピアノを弾けるんです。1〜2回聴いたら耳コピで弾けるレベルで。僕が小中学生のころは自宅で音楽教室もやっていて、ちっちゃい子たちに教えていたので、それを横で聴いたりしていました。
――車で音楽が流れると、どんなリアクションをしていたか覚えていますか?
AKIRA:宇多田さんは歌ってたかもしれないですけど、あんまり記憶はなくて。ただ、家で母親が掃除中にディズニーの音楽をかけてたんですけど、その音楽で踊ってたらしいんですよ。それを見てダンスを習わせるのもありかなと思っていたらしくて。ある日、ダンススタジオのショーを観た僕が釘付けになっていたから、ダンススタジオに入れたそうです。
――ダンスはいつ頃から始めたんですか?
AKIRA:4歳後半です。地元の久留米にあるスタジオですね。
――実際に通ってみてどうでしたか?
AKIRA:それまでやっていた水泳は、スイミングスクールに行かされてたからやってた感じだったんですけど、ダンスは「上手くなりたい」っていう気持ちになったんですよね。自分ができないことを上手にやれる先輩たちを見て、憧れたんだと思います。
――当時はどんなジャンルのレッスンを受けていたんですか?
AKIRA:最初は創作ダンスというか、nobodyknows+の「ココロオドル」で踊ったのを覚えてます。普段のレッスンとは別に毎週末イベントみたいな発表会があって、そのテーマ曲が「ココロオドル」だったんですよね。あとはTRFの「survival dAnce」とか。僕が通い始めた頃はスタジオを始めた先生とアクロバットが得意な先生がご夫婦でやってる規模感で、その頃は創作ダンスが多かったんですけど、だんだん先生が増えてきて、小学生になる頃にはロック、ポップ、ブレイク、ヒップホップとジャンルも増えていったんです。だから最初は週1、週2くらいでしたけど、小2の頃には週5くらい通ってました。
――そのスクールには何歳まで通っていたんですか?
AKIRA: その後は週7で1日3〜4時間レッスンを受けてたんですけど、Dream5でデビューした小6以降、東京に通う生活になったのでレッスンに行けなくなって。ただ、籍は残してもらって、行けるときに行くっていう感じで高校卒業まで通わせてもらいました。
――デビュー後、東京でもダンスレッスンは受けていたんですか?
AKIRA:Dream5の振付を覚えていくことが中心でしたが、夏休みや冬休みは1ヶ月ぐらい東京で過ごしていたので、その間にレッスンに行ってました。TRFのSAMさんがやってる目黒のダンススタジオ「SOUL AND MOTION」に通ってましたね。
――ダンスを習い始めて以降、どんな音楽を聴くようになったんですか?
AKIRA:5歳ぐらいのときにヒップホップの先生が来て、ダンスでよく使われる90年代のヒップホップをつないだ音楽をレッスンで流していたんです。
――どんな曲が入っていたか覚えていますか?
AKIRA:5歳くらいだから、タイトルやアーティスト名までは覚えてないですけど、確かDr. Dreとか2Pacとか、そのあたりですね。何を歌ってるかは全然わからないけど、漠然といいなって思ってました。習っているダンスもどんどんダウンでリズムを取るニュージャックスイング的な乗り方になっていったので、自然と好きになっていった感じです。小学校高学年ぐらいになると、R&B系の先生も来るようになって、Ne-YoとかのR&Bもめちゃくちゃいいなって思ってました。
――時代的には「So Sick」や「Because Of You」の頃ですね。いずれにしても、ダンスがきっかけで音楽を聴いていた?
AKIRA:そうですね。完全にダンスきっかけです。
――自分でCDを借りたり買ったりするようになったのはいつ頃ですか?
AKIRA:中学のときにMr.Childrenにハマって、TSUTAYAで借りたのが最初ですね。「hypnosis」で好きになったんですよ。そのあとは宇多田ヒカルさんに戻って、昔の曲を聴き直してすごさに気づいたりしました。
――ヒップホップやR&Bを自分から買うことはなかったんですか?
AKIRA:なかったですね。親が車の中で聴く曲をCD-Rに焼いてもらっていたので、自分からCDが欲しいと思ったことがあまりなかったんです。
――歌うことや歌そのものへの興味は、いつ頃芽生えましたか?
AKIRA:小さい頃から家族でカラオケによく行っていて。母親は歌もすごく好きで、歌ったあとにアドバイスをくれるタイプだったので、「歌って上達していけるものなんだ」って少しずつ興味が出てきたんです。そのタイミングで芸能デビューのオーディションがあって。グループ時代はダンスとコーラス担当だったから、ガヤとか「イエーイ」みたいな役割だったんですけど、歌を上手くなりたいという気持ちはずっとありましたね。
――Dream5の活動終了後、18歳で上京しました。そのときは何をやりたいと考えていましたか?
AKIRA:そのときは俳優をやりたいと思ってました。高校進学のタイミングで芸能の道に進むと決めて芸能コースのある高校に通ったんです。そんななかでグループの活動終了の話が出てきたので、ひとりでの活動をやりたいと思っていましたし、ドラマを観るようになって、漠然とですが、俳優という職業に惹かれていました。
――2019年に3曲入りシングル「LOVE STORY」でデビューしますが、アーティスト活動はどんな経緯で始まったんですか?
AKIRA:ミュージカルや舞台に出るようになって、ダンスにまた触れることになったんです。俳優をやると決めたときは、ダンスを捨てて演技で勝負しようと思っていたんですけど、舞台に立つと自分が踊れることを実感する場面があって、4歳からやってきたことを手放すのはもったいないなって。あと、ミュージカルへの出演が決まったときにavexがボイストレーニングに連れて行ってくれたんですよ。そこで歌への関心が再燃して、やっぱりダンスと歌が好きだなってムズムズしてきたんです。それを当時のマネージャーさんに話したところ、まずはファンミーティングでお披露目しようという話になり、3曲作ってサプライズで披露して。ありがたいことにその反響が良くて、ソロアーティストとしてやっていこうとなったんです。
――当初は、どんな音楽をやりたいと考えていたんですか?
AKIRA:最初はレコード会社主導で進めてもらっていました。コンペで100曲くらいの中から選ばせてもらって。スタッフの1番人気だった「Can't Keep it Cool」と、僕が選んだ2曲の3曲入りになったんです。
――2020年の4thシングル「CTUISMALBWCNP」(読み:コード13)収録の「In the shade」と「Shining warm」で、初めて作詞もされています。作詞はどういうきっかけで始めたんですか?
AKIRA:アーティスト活動を始めてから、上がってくる歌詞を見るのがすごく楽しみで。自分でも書いてみたいという気持ちが膨らんでいって、怖いけど挑戦したいと思ったんです。プロデューサーさんやスタッフさんが決めてくれるものをやるだけだと、どこか格好悪い気がして。まず動き出す一歩としては作詞だなと思って書き始めたんです。
――作詞をするようになって、曲の理解度や音への興味など、音楽に対する捉え方は変わりましたか?
AKIRA:1stシングルのときも、歌詞の方向性については自分でアイデアを出していたんです。3曲作ろうということだったので、片思い・両思い・失恋という形にしようとか、2ndシングルでも俳優兼アーティストだから3曲を通して物語性を持たせたり。ただ、作詞を始めて、他の部分にももっと関わりたいという意識が出てきました。ジャケット写真や衣装、ライブの構成など、1つの作品をつくるときに、これだけこだわる部分があって、いろいろ周りにやってもらってたんだなということに気づいて、もっと作品作りに関わりたいと思うようになったんですよね。
――責任感も増したり?
AKIRA:責任感もそうですし、自分で歌詞を書くようになってからは、自分の言葉で話せるようになってきたと思います。それまでインタビューなどで話すときに、自分の言葉じゃない感覚があったんですよ。書いていただいた歌詞を解釈して話すだけだと、どうしても浅くなってしまうというか。アーティストとして中身がなくちゃいけないと思ってたんですよね。
――これまでに『ENTER』『2LDK』『Advance』とオリジナルアルバムを3枚リリースしていますが、その3枚にどのような変化を感じていますか?
AKIRA:1枚目の『ENTER』は、いわゆるJ-POPらしい感じというか。ライブを見据えて曲を作ろうという流れもあって、明るくてアップテンポで爽やかな曲が多く入っていたんですけど、正直しっくりきていなかったんです。なので、自分の音楽性を確立するためにも、自分の好きな音楽を追究していった方がいいと思って、2枚目、3枚目と徐々にその割合を増やしていきました。3枚目には初めて自分で作曲した曲も入っていますし、少しずつわがままが増えていった感じですね。
――その「自分の好きな音楽」というのは?
AKIRA:ヒップホップとR&Bですね。その要素をどんどん取り入れていきたいなって。
――最初にガツンときたラッパーやシンガーは誰になるんですか?
AKIRA:誰っていうのがないんですよね。小さい頃からダンスを通じて身近にあって自然に馴染んでいた感覚なので。
――影響を受けたり、憧れたアーティストは?
AKIRA:こういうふうにやりたいと思ったのは三浦大知さんですね。高1くらいのときかな。“歌いながら踊る”という意味で影響を受けました。あと宇多田ヒカルさんも。
――特定の年代やプロデューサーの好みはありますか?
AKIRA:あまりないですね。一人のアーティストにどハマりすることがあまりなくて。いろいろ幅広く聴きたいタイプなんです。だからアーティスト名も詳しくなくて。日本のラップも好きだし、強いて言えばヒップホップとR&Bの中間みたいな楽曲が好みなんだと思います。
――日本のアーティストだと、誰をよく聴きますか?
AKIRA:Sweet WilliamさんやPUNPEEさん。あとは星野源さんとか。デビューして3年目くらいから、サブスクで聴いて「いいな」と思った曲をプレイリストにしてまとめるようになったんですけど、そのときの感覚でポチッとしていくから年代とかもバラバラなんです。
――そのプレイリストに入っている曲、教えてもらえますか。
AKIRA:ぜひ見てもらって、良さそうなのを選んでもらえれば(笑)。
――田我流、C.O.S.A、藤井風……確かに年代はバラバラですね。
AKIRA:そうなんです。いいなと思った曲が、実はすごく昔の曲だったりすることもありますし、あまり詳しくないので、「このアーティストが好き」と言い切るのはためらいがあるんですよね(笑)。
――ヴァースでラップを蹴ることも多いですが、ラップは何がきっかけだったんですか?
AKIRA:「フリースタイルダンジョン」を観て面白いなと思って。そこから少しずつ日本のラップに触れるようになりました。フリースタイルは一生できないと思うんですけど(笑)、書くのは面白そうだなって。
――ラップは聴くのとやるのとでは全然違いますよね。
AKIRA:最初は全然できなかったです(笑)。でも自分で作るときは、何回も復唱して書いていくし、自分の中でできる範囲のラップになっていくので。あと、舞台で『ヒプノシスマイク』に出演させてもらって、そこでラップを本格的に練習しました。KEN THE 390さんが作ったラップを舞台上でやる機会があって、そこでだいぶ鍛えられました。
――ラップという表現のどんな部分に面白さを感じていますか?
AKIRA:韻ももちろん気持ちいいんですけど、毎小節きっちり踏むことにこだわりすぎず、曲全体として気持ちよく聴けることを大事にしたいなと思っています。韻で勝負しようとすると、どうしても過去に使われてきた言葉も意識しないといけないし、そこに縛られる感じもあるので。自分はライミングというより、リズミカルな言葉遊びをもっと追求していきたいと思っています。
――2025年6月、アーティスト活動における名義を高野洸からAKIRA TAKANOに改名することを発表しました。改めて、その理由を教えてください。
AKIRA:自分のやりたいことやアーティスト性をもっと固めていきたいという気持ちがあって、その流れで「SwING PLANT」という新しいレーベルに移籍したんです。そのタイミングで、前から「AKIRA TAKANO」という表記がいいなと思っていたので、名義も変更して活動することにしました。
――俳優としては高野洸のまま、アーティスト活動はAKIRA TAKANOで、という棲み分けですか?
AKIRA:そうですね。アーティストとしての顔を押し出すときはAKIRA TAKANOで、俳優としては高野洸という漢字の方でやっています。最初はアーティスト活動にも俳優としての要素を持ち込んで、歌詞のテーマとかを決めていたんです。
――3曲でひとつのストーリーを描くとか。
AKIRA:そうです。3rdシングル「YOUR STORY」くらいまでは、その意識がありましたけど、その後は俳優とアーティスト活動を棲み分けたいという気持ちが出てきて。だから、このタイミングで急に考えたというより、もともと意識していたことなんです。
――AKIRA TAKANO名義での第1弾「pinkcider」は、どんなイメージで作ったんですか?
AKIRA:「pinkcider」は、弾けるような爽快感のあるビートになっていて。歌詞は、ラグーナテンボスというテーマパークのCMタイアップをいただいたので、それも意識して書きました。トラックを聴いたときにすごく弾けるイメージがあって、「サイダー」という言葉が浮かんだんですよね。その炭酸のイメージと、好きな子とテーマパークに遊びに行ってるイメージを重ねて書いたんです。
――今年2月には「P.O.I.」と「Well okay」を同時リリースしました。まず「P.O.I.」は、どんなイメージで?
AKIRA:トラップ系のビートで、ラップも結構攻めてるんですけど、サビはメロディアスになっています。
――「P.O.I.」はどういう意味ですか?
AKIRA:“Parts Of Identity”の略で、サビの最後にハマる言葉を探していたらこれがしっくりきて。身体も含めてですが、あなたをつくる一つひとつが自分のアイデンティティなんだよ、ということなんです。なので、「自分なんて……」って思ってる人に聴いてほしいですね。他と比べなくていいし、あなたにしかできないことがあるんだからっていうメッセージを込めて書きました。
――では、もう一曲の「Well okay」は?
AKIRA:うまくいかないときや何もしてない日って、ネガティブなことを考えすぎちゃうことってあると思うんですけど、「まあいっか」って笑い飛ばせたらいいなと思って書きました。
――言わば、“Everything is gonna be alright”みたいな感覚。
AKIRA:そうですね。曲調はミドルバラードで、ちょっとチルな感じなので、夕方とかに聴いてほしいなと思ってます。
――AKIRA TAKANOでめざしている音楽性を言葉にすると、どんな表現になりますか?
AKIRA:“ダンスミュージック”なのかなと思います。ヒップホップカルチャーにどっぷりというわけではなくて、ヒップホップのテイストを聴きやすく取り入れたダンスミュージックかなって。
――「Well okay」もメロウだけど、グルーヴがあって踊れる曲ですしね。
AKIRA:そうですね。テンポの速さは関係なくて。アップテンポで疾走感があるものだけがダンスミュージックではないという考え方なんです。なので、「Well okay」も自分の中ではダンスミュージックなんですよね。
――今年3月にリリースしたシングル「MIRROR」は、どんな方向をめざしたんですか?
AKIRA:「MIRROR」は、結構激しめにしたくて。このトラックは違う2曲を組み合わせてもらったんですよ。デモを聴いたときに、今の曲のイントロとヴァースが好きで、もう1つあったデモのサビ部分が気に入ったので、この2つを組み合わせられませんかとプロデューサーに伝えたんです。そこから歌詞の方向を考えて、鏡の中の自分と闘うというテーマで書き進めました。
――その「自分との闘い」というテーマは、どこから着想したんですか?
AKIRA:このテーマはワード先行というか。歌詞を書き始めたときに「イアー」という母音が欲しくて、頭の片隅にあった「ミラー」という言葉を使うことにしたんです。そこから「ミラー」をテーマにするなら何だろうと考えて、自分との闘いという方向に広げていきました。そもそも、それは常々思っていることなんですよ。自分の弱いところを見つけて、そこに向き合っていく、みたいな。それに自分に対してだったら強い言葉も吐けるので。
――確かに今回のヴァースはこれまでと筆致が違います。より攻撃的で荒々しく、それでいて内省的にもなっている。どんなことを意識して書いたんですか?
AKIRA:ラップはよりラップらしくというか、ヒップホップに寄せて作りたいなと思ったんです。これまでの自分とこれからの自分っていう、自分の本質を歌詞に落とし込んだ方がいいと思ったので、これまでよりも自分に正直に、“自分が書く意味のある歌詞”を意識して書きました。
――それは今のタイミングでやるべきだと思ったんですか?
AKIRA:そうですね。これまで高野洸名義でやっていた頃は、テーマや登場人物を決めて、頭の中で作った架空のストーリーを書いていた部分があって。でも、AKIRA TAKANOとしてアーティスト性をより深めていくなら、ヒップホップにある「自分の人生を語る」という部分は、ちゃんと挑戦していかなきゃならないなと思ったんです。ただ、自分はそれを語れるほど育ちが悪いわけではないので……。
――いやいや、育ちが悪くなくてもヒップホップはできますよ(笑)。
AKIRA:そうですよね(笑)。いわゆる“ワル”ではないですけど、いろんな活動をしてきているので、人とは違う歩みではあると思うんです。そういう自分なりの人生を音楽に落とし込めたら熱いなと思っているんです。
――これまでは物語性を重視したぶん、フィクション寄りで自分から少し距離のある表現になっていたということですよね。
AKIRA:そうなんですよ。そうすると、どんどん音楽が“作り物”になっていくというか。エンタメとして考えれば、それもひとつの形だとは思うんですけど。
――でも、改名を機に、これからはリアルな自分を出していく。自分の経験や価値観を反映した歌詞を書いていこうと。
AKIRA:そうです。
――たとえば「pinkcider」も、自分の経験がベースにあるんですか?
AKIRA:実体験そのままではないですけど、「自分がその状況だったらこうなるだろうな」っていう感覚で書いてます。一部、実際のエピソードも入れてますし。
――ラッパーの中には、実体験そのものを書く人もいれば、そこに脚色を加える人もいます。リアルとリアリティの違いでいうと、AKIRA TAKANOはリアリティ寄りに感じます。
AKIRA:そうですね。多少脚色はしています。ただ、歌っているのは自分なんだ、という意識は、これまで以上に強く持ってやっていきたいと思っています。「pinkcider」を歌っているのも自分ですし。
――聴き手にとっても、AKIRA TAKANOという人間が見えてくる作品にしていきたい。
AKIRA:そうです。自分の中では「MIRROR」がその一歩目になっている感覚があります。「P.O.I.」や「Well okay」でも意識はしていたんですけど、「MIRROR」は特に、歌詞に28歳っていう実年齢を入れたり、より明確にリアルな自分を出すことを意識したんです。
――「MIRROR」を聴いて、これまでのイメージとのギャップに戸惑うファンもいるかもしれません。
AKIRA:少しびっくりするかもしれないですね。自分の葛藤を書いていることに対しては、そこまで驚きはないと思うんですけど、歌詞の言葉遣いや曲調、リアルな気持ちを乗せているところには、ちょっと驚いてもらえるかなと思います。でも、僕は驚かせることが好きなので。これまでより自分の色が強く出ているAKIRA TAKANOに付いてきてほしいですし、「次はこういう曲じゃない?」という予想をいい意味で裏切り続けたい。
――リリックでも、さらに内面をさらけ出していこうと?
AKIRA:そうです。初めて聴いた人にも、自分のことがより伝わるように、自己紹介の濃さというか、深さを上げていきたいです。一曲聴いただけで「こういう人なんだ」とわかってもらえる機会を増やしていきたいですね。
――ここまでの4曲を経て、AKIRA TAKANOとしての“音楽のつくりかた”のようなものは見えてきましたか?
AKIRA:そうですね。プロデューサーから上がってくる曲が、いい曲だなと思えるものばかりですし、それをチームとして一緒に作っていけてる感じがすごくありがたくて、嬉しいです。今まではいろんな作曲家から送られてくるデモの中から、「これ」と選ばせてもらうことが多かったんですけど、今はトラックを作る段階から関わらせてもらっていて。
――トラックメーカーとはどのようなやりとりをするんですか?
AKIRA:自分から「こんな感じのトラックが欲しい」と伝えたり、リファレンスになる曲を送ったりもします。まずプロデューサーにテーマやイメージを伝えて、そこから提案をもらう形ですね。ライブのことを考えて「こういう曲があってもいいんじゃないか」といった意見が出ることもありますし。
――トラックメーカーとのやりとりもかなり密に?
AKIRA:そういうやりとり自体がすごく嬉しいんですよね。自分の考えやアイデアが作品に入っていくのが楽しい。「Well okay」も、歌詞とメロディで悩んでるときにキーを変えるプランもありかなと思って、サビを最初のデモから3〜4音くらい上げるっていう、結構大胆な提案をさせてもらったんです。そうやって、制作していく中で壁に当たったらすぐに相談できることが嬉しいし、次の日にはそれを反映したトラックが返ってくる。そのスピード感も含めて楽しいんですよね。
――今後、AKIRA TAKANOとしてどんなアーティストになっていきたいですか?
AKIRA:「P.O.I.」を書いたときに改めて思ったんですけど、やっぱり誰かのためになるのが一番いいなって。自分の曲が誰かの救いになれば嬉しいですし、「流していると心地いいよね」みたいな。味が濃すぎない、ゼリーみたいな曲を作っていけたらいいなと思ってます。
――ゼリー?(笑)
AKIRA:触ったときに柔らかい感じというか。
――空気に溶け込むような感じ?
AKIRA:そうですね。朝起きてすぐでも食べられるような感じ。それがゼリー(笑)。
――むしろヨーグルトでは?(笑)
AKIRA:捉え方は人それぞれですけど(笑)、ヨーグルトほどこってりしていなくて、すっきりしている感じ。聴きやすくて心地いい音楽っていう。そんなイメージですね。
――音楽活動で、今後挑戦してみたいことはありますか?
AKIRA:トラックメイクはいつかやりたいと思っています。始めたいと思ってソフトも買ってるんですけど、そこはまだ迷っているところですね。というのも、今やっているスタイルがしっくりきているし、まだ伸びしろもあると思っているので。この制作スタイルの中で、もっと成長していきたいし、自分のレベルを上げていきたいなって。
――今年7月22日で29歳になりましたが、30歳までに実現したいことは?
AKIRA:フェスに出たいし、音楽番組にも出たいですし、ヒット曲を作りたいですね。アンダーグラウンドでやっていくぜ!みたいなことじゃないし、ストリート志向でもないので、いわゆる王道のJ-POPとは違うかもしれないけど、たくさんの人に聴いてもらえる曲を作っていきたいです。
――広く知られる存在になりたいと。
AKIRA:そうです。俳優活動をきっかけに応援してくれている方だけでなく、アーティスト活動をきっかけに応援してくれる人を増やしていきたいです。「AKIRA TAKANOが好き」と思ってくれる人をもっと増やしていきたい。今もコンスタントに楽曲は作っているので、まずはAKIRA TAKANOとしてのアルバムの完成をめざしていきます。
▪️ AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON アーカイブ放送
放送日時: 2026年8月14日(金)18時~
タイムシフト:2026年8月28日(金)23時59分まで視聴可能
視聴URL: https://live.nicovideo.jp/watch/lv351101610
※本番組はニコニコプレミアム会員(月額790円・税込)にご登録いただくことで、全編をご視聴いただけます。
