ホラーティックかつロマンティックな秋の夜宴として、LM.Cがパンデミック騒動の只中であった2020年より敢行し続けてきたハロウィンライヴが、今年はいよいよ[LM.C HALLOWEEN TOUR 2023 「†We're Happy Zombies†」]と題されてツアー化し、まさにハロウィン当日となった10月31日にはそのファイナル公演が代官山・UNITにて行われることになったのである。


 ちなみに、このハロウィンツアーに向けては新曲「Knight Bus」と「JOKER -my name is-」(2008年発表のアルバム『GIMMICAL☆IMPACT!!』収録曲)をリテイクした「JOKER -2023-」が制作され、これら2曲は各ライヴ会場と公式サイトでの通販にて購入可能な『LM.C HALLOWEEN TOUR 2023「†We're Happy Zombies†」ツアーパンフレット+CD+BD+Mカード』に収録されることにもなった。

 また、10月31日からは「Knight Bus」と「JOKER -2023-」の音源がDL配信ならびにサブスク配信開始となっているため、現状ではより多くの人たちがLM.Cの生み出した最新の音にアクセスしやすい状況も整っていると言えるだろう。

「実を言うと、新曲の「Knight Bus」に関しては今年の春に出したアルバム『怪物園』を作ってた時にはあった曲なんですよ。ただ、ちょうど曲調とかムードの部分で今回はハロウィンのテーマにハマった感じですね。結果的にはかなり良いタイミングで音源化出来たんじゃないかと思いますし、mayaの書いた歌詞もさらにこの曲をハロウィンらしい世界に近付けたなという気がしてます」(Aiji)


「この「Knight Bus」っていうモチーフ自体は前から歌詞で使いたいと思っていたもので、これはハリーポッターに出てくるバスの名前です。ずっとシリーズを見続けてるとかではないんですけど、3作目あたりでKnight Busの出て来たシーンが凄く印象的で、あの紫色の見た目とか登場の仕方も不穏で絶妙だったんですよね」(maya)


 とはいえ、mayaが「Knight Bus」の詞を通して伝えているメッセージ自体はどちらかといえばフィクションというよりもむしろノンフィクションに近いそう。


「LM.Cでは過去にも「Haunted House make a Secret」とか「GHOST†HEART」とかのハロウィンっぽい雰囲気の曲を幾つか作って来てるんですけど、どれも詞は大枠で“自分たちと応援してくれる人たちの関係性”を描いて来ていて、そこは「Knight Bus」も同じです。だけど、同時にハリーポッターのファンの人たちがこのタイトルから興味を持って聴いてくれた時にも恥じないものにしたいと思ってました」(maya)


 なるほど。つまり、この「Knight Bus」で歌われている〈ナイト気取りの亡霊だよ この姿は君だけが見えればいいさ 〉〈この夜にはぐれても またどこかで会えるだろう 〉といった言葉たちはLM.Cの胸中にある本音であり、それでいてストーリー性も両立させるような仕上がりとなっているらしい。
 なお、ストーリー性といえば今回リテイクされた「JOKER -2023-」も元々はmayaが映画『ダークナイト』からインスパイアを受けてタイトルをつけたものであり、[LM.C HALLOWEEN TOUR 2023 「†We're Happy Zombies†」]をより盛り上げる1曲として、今あらたにレコーディングをすることになったのだとか。印象としては、以前よりもサウンドがさらにシャープになったように感じられる。


「ビートの作り方はオリジナルよりも今っぽく変えましたね。音的にはハロウィンっぽさを意識したところもありますし、自分のギターに関してはここまでずっとライヴでやってきたことをそのまま反映した感じになってます」(Aiji)


「我ながらうまくアップデート出来たと思います、この「JOKER -2023-」に関しては。やっぱり、2008年当時は今と比べるとまだ歌唱力的に未熟だったんで、普通に歌い直すだけで前よりも成長してしまうというか(笑)。最新の状態はこうなってます、というのを素直にかたちにした感じですね」(maya)


 思えば、LM.Cはことあるごとに「最新が最高」という表現をインタビューやライヴMCなどでもよく発してきたが、またもやその言葉を「JOKER -2023-」でも見事に体現してみせた、というあたりが実に有言実行で素晴らしい。
 そして、そんな「JOKER -2023-」についてはMVが新規でシューティングされており、これは『LM.C HALLOWEEN TOUR 2023「†We're Happy Zombies†」ツアーパンフレット+CD+BD+Mカード』に収録されているばかりでなく、別途DL入手も出来るとのこと。それこそ映画を思わせるような作風に仕上がったMVは必見!


「最近だと、なかなか見ない感じの映像になってます(笑)」(maya)


「ハッカー集団なのか、銀行強盗なのか、何かを企んでる集団が出てくるみたいな面白い雰囲気のシネマティックな映像になりましたね。いわゆる最新テクノロジー的なものとして、このMVには生成AIの要素を盛り込んでるのもひとつの特徴かな。テイストとしては、今だからこそのオトナLM.Cみたいなところも出せたと思いますよ」(Aiji)


 かくして、LM.C流のハロウィンパーティを実現するべく完全なお膳立てが整った中で行われたのが今回の[LM.C HALLOWEEN TOUR 2023 「†We're Happy Zombies†」]だったことになるが、ツアーファイナルとなった代官山・UNIT公演においても、mayaとAijiが終始コンセプチュアルにして完成度の高いパフォーマンスが繰り広げたことは言うべきにもあらず。


 オリジナル版の〈ゴッサムの夜〉という歌詞を〈東京の夜〉と歌い替えた「JOKER」を手始めに、ゴーストが主人公であるラブストーリーを描いた「GHOST†HEART」、そしてミステリアスで幻想的な新曲「Knight Bus」など、ハロウィンの夜を彩るたくさんの楽曲たちがこの場で供されていくことになったのだった。
 しかも、ライヴ中盤ではmayaが祖母の死を切っ掛けに自身の死生観について詞を書くことになったという「Kiss me?」も演奏され、ハロウィン=もともとは先祖の霊を迎えるための祭という意味合いも持っていた、考えるとこれもまた実にハロウィンライヴならではのアプローチであったと捉えることが出来る。


 さらに、このライヴでは後半戦でもLM.Cのキラーチューンが連打されていくことになったのだが、最後を締めくくることになったのは今回のツアータイトルに曲名が冠されているだけでなく、歌詞には〈We're Happy Zombies!〉という1節が織り込まれている「Happy Zombies」。mayaも、Aijiも、その空間に集った全ての人々も。誰もが笑顔になったこの曲で、まごうことなくLM.Cのハッピーハロウィンは現実のものに。


「ありがとうございました!俺にとってライヴは【今、生きてる】を感じられるもので、そこがライヴの本当に素晴らしいところだとあらためて今回のツアーでは感じました。今回のツアーはちょっと短かったんですが、1本1本を大事にしながら素敵な時間を過ごすことが出来たと思います。来年のツアーは初めて行く場所もあるんですが、それはコロナのリベンジをしに行くところでもあるので待っててください!」(Aiji)


「いやー、ハロウィンが終わってしまいましたねぇ。皆様おつきあいいただき、ありがとうございました。でも、このあと年末にも2本ライヴがありますし、来年2月からは次のツアーもあるんで。この先の未来も楽しみにしていきたいと思います。またみんなで集まって遊びましょう!」(maya)


 ホラーティックかつロマンティックなハロウィンの宴ならずとも、LM.Cを愛する人たちが集うハッピーにして合法的な空間はこれからもしっかりと守り抜かれていくことになるに違いない。“We're Happy Zombies”の精神は永遠なり!

Text:Yuki Sugie
Photo:Mirai Yamashita (Progress-M)

[LM.C HALLOWEEN TOUR 2023 「†We're Happy Zombies†」]

セットリスト
Rainbow Magic Orchestra
JOKER -2023-
GHOST † HEART
Bell the CAT
阿修羅
La Dee Da
Knight Bus
…with Vampire
Hollow Hotel
The Midnight Museum 4
Haunted House make a Secret
Kiss me?
Elephant in the Room
Z-MAN
The BUDDHA
OH MY JULIET.
MOGURA
Chameleon Dance
Happy Zombies

■配信リリース

タイトル:「JOKER -2023-」「Knight Bus」
配信開始日時:2023年10月31日(火) 00:00
・配信リンク:
JOKER -2023-
https://linkcloud.mu/0a7bdf82
Knight Bus
https://linkcloud.mu/417442bf

「JOKER -2023-」ミュージックビデオ
配信開始日時:2023年11月2日
・配信リンク
https://linkco.re/ccQSQgpc


ライブ情報

■年末ライブ
12月26日(火) 渋谷PLEASURE PLEASURE ※ファンクラブTeam☆LM.C主催ライブ
12月31日(日)柏PALOOZA

関連リンク

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