テレビドラマ、映画、舞台で活躍中の人気女優で歌手・斉藤由貴(58)が、歌手デビュー40周年を迎えた2月21日よりスタートさせていた、36年振りとなる全国ツアー「斉藤由貴40th Anniversary Tour “水辺の扉”〜Single Best Collection〜」が3月23日(日)の東京・昭和⼥⼦⼤学⼈⾒記念講堂でファイナルを迎えた。

斉藤由貴40th Anniversary Project Special Site

https://www.jvcmusic.co.jp/saitoyuki40th/

ライブレポート

斉藤由貴 40th Anniversary Tour “水辺の扉” ~Single Best Collection~

2025年3月23日 昭和女子大学人見記念講堂

1995年2月、シングル『卒業』で歌手デビューをした斉藤由貴が、デビュー40周年というアニバーサリー・イヤーに36年振りとなる全国ツアー『40th Anniversary Tour “水辺の扉” ~Single Best Collection~』を開催した。ツアー初日はデビュー記念日の2月21日で、そこから始まった全国7ヵ所の公演はすべてソールドアウト。3月23日に行われた昭和女子大学人見記念講堂での追加公演も、もちろん満席にて千穐楽を迎えた。

ところで今回の公演のメインテーマは、斉藤由貴の音楽をデビュー以来支えてきた音楽プロデューサーの武部聡志を迎え、数々のヒットシングル曲を発表当時のオリジナルアレンジで再現すること。そのためアンコールを含め披露された全19曲はシングル曲が中心で、時を超えて聴かれ続けてきた楽曲が一堂に会するスペシャルな内容になっていた。

オープニングはデビューした1985年リリースのシングル曲『初戀』『白い炎』『情熱』。少女のような、成熟した女性のような、そのどちらでもあるような、ブレスまで歌のように思える不思議な色香を感じる斉藤由貴の歌の世界に、早くも引き込まれていく。

4曲目の『街角のスナップ』と5曲目の『少女時代』はアルバム収録曲で、ともに楽しそうに歌う姿もチャーミングな明るいアップチューン。続く2曲は主演映画に関わる楽曲。『恋する女たち』主題歌の『MAY』、『優駿 ORACIÓN』イメージソングの『ORACIÓN -祈り- 』は、金沢や北海道で行われた映画撮影時のエピソードなども紹介されつつ歌われた。

この『MAY』のボーカルは、この日のライブの白眉の一つだったと思う。なにしろ曲が始まり第一声の“MAY  そんなにふくれないでよ”が耳に入ってきた瞬間、鳥肌が立ったほど。1986年のオリジナルとは異なり、声の色にも影が差しているからこその憂いに、強く心が揺すぶられた。曲のラストで声を詰まらせ、声を震わせて歌う姿も印象的だった。

ライブは15分の休憩をはさんだ2部構成なのだが、前半の“ACT 1”の最後は、これもアルバム収録曲の『予感』。歌う前には、『卒業』に肩を並べるほど人気があるこの曲の制作エピソードも聞かせてもらえた。レコーディングの際、いつもはディレクターに歌詞を見てもらってから歌入れをするそうだが、「この曲は歌詞を書いたとき、(歌詞には何も手を入れず)これはこのままでいいと思った」ため、歌詞を見せずに歌入れをしたのだと。そのMCのあとに聴いた『予感』は、これもまた鳥肌ものだった。出だしの“それは静かな 予感だったの”というボーカルの雄弁さに、心を丸ごと持っていかれるような気がした。

また『予感』のラストではバンドメンバーより一足早くステージをあとにするのだが、その去り際も実に見事。ステージ袖まであと数歩というところで、一度立ち止まり、ゆっくりと客席を見回してお辞儀をして立ち去る。その余韻の残る去り方に、斉藤由貴のもうひとつの顔である俳優の顔も垣間見たように思った。

ライブ後半の“ACT 2”は『土曜日のタマネギ』でスタートした。この曲のみオリジナルは全編アカペラであるため、オリジナルアレンジではなくセルフカバーアルバム『水響曲 第二楽章』のバージョンで演奏。リズミカルなバンドアレンジになっていることもあり、ちょっとコミカルな大人の女性のグチのようにも聴こえる歌詞が楽しい1曲になっていた。

そのあとはカバーされた楽曲コーナー(どちらもアルバム収録曲)。シティポップ再評価ブームもあってNight Tempoがリミックスした『ストローハットの夏想い』、上白石萌音をはじめ隠れた名曲として何人もがカバーしている『AXIA~かなしいことり~』は、ともにキュートで可愛らしい楽曲として耳に残った。

そして次は武部聡志が弾くピアノとボーカルだけによる2曲が演奏された。アルバム収録曲の『3年目』は穏やかなピアノと切実なボーカルで始まり、それがどんどんドラマチックに盛りあがっていく様が秀逸。ときおり話すように歌われるところにもドキリとさせられ、時を経て変わりゆく愛する人との関係性にもギクリとさせられる。こういうドラマを歌える人、他に誰かいるだろうか……と思わせられた凄みのある楽曲に仕上げられていた。

ピアノ&ボーカルのもう1曲は日替わりメニューで、全公演違う曲が披露された。何度か言葉に詰まりながら「両親はここに来ることは難しいんですけど、今日は姉が来ているので。子どもの頃のことを思い出して、どうしても歌いたいと思って……」と話したあとで歌われたのは『家族の食卓』(アルバム収録曲)。温かく優しく力強いピアノと、どこか幼心を感じるボーカルによるこの曲は、ありきたりの幸せを愛おしく思う気持ちにあふれていた。会話するように寄り添う歌とピアノあってこその、珠玉の1曲だと思わされた。

メンバー紹介をはさんだライブのラストスパートは、イントロが始まると同時に盛大なハンドクラップが起き、曲が終わるとまた盛大に掛け声が上がった『砂の城』『青空のかけら』『悲しみよ こんにちは』。ラストへ向けたアップチューンということもあり、サウンドに身を任せ軽やかに動く姿は目にも新鮮だった。

本編最後の曲は、この曲と出会わなければ今の自分もないという特別な楽曲『卒業』。桜の花びらが舞うようなイントロは、あと数日もすれば東京でも開花するのだろう桜が目に浮かぶ。曲の途中から想いあまって声を詰まらせつつ歌う姿に、こちらの琴線も揺さぶられた。

アンコールは「まだ盛りあがりたいじゃないですか」と『夢の中へ』を披露。立ち上がった観客も一緒に身体を揺らして楽しみ、曲の終わりでは指笛と大きな歓声が会場を埋め尽くした。

最後の最後は「もうすでにお礼を言いすぎていますけれど(笑)。本当に大切なことって月並みですけど、凡庸なことだと思って。だから最後にもう一度、お礼を申しあげさせてください。こんなに素晴らしい景色を見せてくださって、本当にありがとうございます」との言葉に続いて『「さよなら」』が歌われた。照明の星が瞬く夜空をバックに聴く『「さよなら」』は、凜とした愛が伝わって来るボーカルに胸が熱くなった。

ライブの途中で「最初は40周年なんて、もういいんじゃない?なんて思ったんですけど、本当にやってよかったです。踏み込まないと見えてこない景色ってあるんだなって、……心から思いました」と話していた斉藤由貴。時を超えて熟成される言葉と声。今の気持ちで奏でられる音と歌。そこから醸し出されるエイジングの美しさと凄さと素晴らしさ、それが身体の隅々にまでじんわりとゆきわたるステージは本当に素晴らしいものだった。

40年という時を経てなお、より豊かに鮮やかに表現の裾野を広げ続ける斉藤由貴の、これからの歌──。長く長く、聴き続けていたいと思う。

文・前原雅子

▼U-NEXTにて独占配信決定!

今回のコンサート「斉藤由貴 40th Anniversary Tour “水辺の扉”~Single Best Collection~」のU-NEXT配信にて決定しました。詳細は後日発表予定です。

全国ツアー詳細
斉藤由貴 40th Anniversary Tour “水辺の扉”〜Single Best Collection〜
サイトウユキ フォーティース アニバーサリーツアー ミズベノトビラ シングルベストコレクション
■Schedule
全会場ソールドアウト
2月21日(金) 神奈川県民ホール大ホール
2月23日(日) 仙台電力ホール
2月27日(木) LINE CUBE SHIBUYA
3月1日(土)  Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール    
3月2日(日) SkyシアターMBS
3月9日(日) 神戸国際会館 こくさいホール
3月20日(木祝)福岡キャナルシティ劇場
※追加公演
3月23日(日)開場16:00/開演17:00昭和女子大学人見記念講堂

■ファイナル公演(昭和⼥⼦⼤学⼈⾒記念講堂)
▼Set List
ACT 1
1. 初戀 (1985 年3rd single)
MC
2. ⽩い炎 (1985 年2nd single)
3. 情熱 (1985年4th single)
MC
4. 街⾓のスナップ (1987 年album「⾵夢」)
5. 少⼥時代 (1988 年album「PANT」)
MC
6. MAY (1986 年8th single)
7. ORACIÓN -祈り- (1988 年11th single)
MC
8. 予感 (1986 年album「チャイム」)

ACT 2
9. ⼟曜⽇のタマネギ (1986 年6th single)
MC
10. ストローハットの夏想い (1986 年album「チャイム」)
11. AXIA〜かなしいことり〜 (1985 年album「AXIA」)
MC
12. 3年⽬ (1988 年album「PANT」)
13. 家族の⾷卓 ※⽇替わり曲 (1987 年album「⾵夢」)
MC
14. 砂の城 (1987 年9th single)
15. ⻘空のかけら (1986 年7th single)
16. 悲しみよ こんにちは (1986 年5th single)
MC
17. 卒業 (1985 年1st single)
ENCORE
18. 夢の中へ (1989 年12th single)
MC
19. 「さよなら」 (1987 年10th single)

最新リリース概要
セルフカバーアルバム「水響曲 第二楽章」2025.2.21 RELEASE
■通常盤 CD ¥3,500(税込価格)/ VICL-66043
■初回限定盤 2CD ¥4,800(税込価格)/ VICL-66041~2
■プレミアムコレクターズエディション(完全生産限定盤)2SHM-CD+PHOTO BOOK ¥7,700(税込価格)/ VIZL-2416
○三方背豪華パッケージ仕様(261mm×194.5mm)
○高音質SHM-CD仕様
○ボーナスディスク(イントゥルメンタル音源)付き2枚組
○フォトブック(24P)
▼収録曲※曲順未定全10曲収録(ニューアレンジ)
夢の中へ / 悲しみよ こんにちは / 土曜日のタマネギ / Where〜金色の夜〜 / 青春
ORACIÓN -祈り- / ストローハットの夏想い / 予感 / 卒業 /家族の食卓
※初回限定盤Disc2にはDisc1のオリジナル音源収録
※プレミアムコレクターズエディションはSHM-CD仕様且つ、Disc2にはDisc1のインストゥルメンタル音源収録

Blu-ray&DVD『Studio Live 水響曲「四季」』2025.2.21 RELEASE
■Blu-ray ¥7,700(税込価格)/ VIXL-476
■DVD(2枚組) ¥7,700(税込価格)/ VIBL-1167~8
▼収録曲※全21曲収録
「春」(2024年2月21日ビクタースタジオにて収録)
1.MAY(1986年 8thシングル)詞:谷山浩子 曲:MAYUMI 
2.青春(1985年「卒業」カップリング曲)詞:松本隆 曲:筒美京平
3.木綿のハンカチーフ(1975年 太田裕美カバー曲)詞:松本隆 曲:筒美京平
4.夢の中へ(1989年 12thシングル)詞:松本隆 曲:筒美京平
5.春よ、来い(1994年 松任谷由実カバー曲)詞・曲:松任谷由実
「夏」(2024年7月27日ビクタースタジオにて収録)
1.初戀(1985年 3rdシングル)詞:松本隆 曲:筒美京平
2.ストローハットの夏想い(1986年 アルバム「チャイム」より)詞:あさくらせいら 曲:MAYUMI 
3.ITSY BITSY TEENY WEENIE YELLOW POLKA DOT BIKINI(1960年 BRIAN HYLANDカバー曲)  詞・曲:PAUL VANCE / LEE POCKRISS 
4.アクリル色の微笑(1986年 アルバム「チャイム」より)詞:斉藤由貴 曲:崎谷健次郎
5.青空のかけら(1986年 7thシングル)詞:松本隆 曲:亀井登志夫
6.さよならの夏〜コクリコ坂から〜(2011年 手嶌葵カバー曲)詞:万里村ゆき子 曲:坂田晃一
「秋」(2024年11月23日ビクタースタジオにて収録)
7.砂の城(1987年 9thシングル)詞:森雪之丞 曲:岡本朗
8.少女時代(1988年 アルバム「PANT」より)詞・曲:原由子
9.風立ちぬ(1981年 松田聖子カバー曲)詞:松本隆 曲:大瀧詠一
10.終りの気配(1988年 アルバム「PANT」より)詞:斉藤由貴 曲:山口美央子
11.Autumn Park(1986年 松任谷由実カバー曲)詞・曲:松任谷由実
「冬」(2024年11月30日ビクタースタジオにて収録)
1.情熱(1985年 4thシングル)詞:松本隆 曲:筒美京平
2.MOON WALTZ〜月の輪舞(1991年アルバム「MOON」収録)詞:斉藤由貴 曲:岡本朗 
3.Woman”Wの悲劇”より(1984年 薬師丸ひろ子カバー曲)詞:松本隆 曲:呉田軽穂
4.白い炎(1985年2nd シングル)詞:森雪之丞 曲:玉置浩二
5.翼をください(1971年 赤い鳥カバー曲)詞:山上路夫 曲:村井邦彦

Blu-ray&DVD『Studio Live 水響曲「四季」』
セルフカバーアルバム「水響曲 第二楽章」

【Profile】
1984年、『少年マガジン』(講談社)第3回ミスマガジンでグランプリに選ばれる。
同年、明星食品「青春という名のラーメン・胸騒ぎチャーシュー」のCMが話題を呼ぶ。1985年2月、『卒業』で歌手デビュー。4月『スケバン刑事』(フジテレビ)で連続ドラマ初主演。12月公開『雪の断章 -情熱-』で映画初主演。1986年連続テレビ小説『はね駒』(NHK)のヒロインに抜擢。以降女優、歌手として幅広く活躍。
歌手としては、1986年8月に発売された7枚目のシングル『青空のかけら』が、オリコン週間チャートで1位を獲得。1989年4月に発売された12枚目のシングル『夢の中へ』は、主演ドラマ『湘南物語』の主題歌にも起用され自身最大のヒット曲となる。
近年も精力的に歌手活動を続け、2010年デビュー25周年記念アルバム『何もかも変わるとしても』、2015年デビュー30周年記念アルバム『ETERNITY』を発売。
2021年2月21日、武部聡志プロデュースによる、歌手デビュー35周年記念セルフカバーアルバム『水響曲』を発売。

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