2025年4月9日 東京・恵比寿LIQUIDROOMにて、チョーキューメイの全国ツアー「五劫の擦り切れ」ファイナル公演が開催され、大阪、名古屋、岡山、福岡、仙台、東京と全国6都市を巡った旅は幕を閉じた。
新メンバー“おすず”を加えた新体制となったチョーキューメイにとって、アンコールでこのツアー最後に歌った「十三月の銀河」の歌詞にあるように、“願いは祈るだけでなく 叶える為に遠くにいる。ここが始まりだ”と宣言。本ツアーはまさに“現在地”を提示するものでありながらも、次なる未来を強く示唆するツアーとなった。
現在、バンドは夏・秋に向けて現在楽曲制作中。 6月22日(日)には、バンド結成5周年記念の「5年前の雨予報」を下北沢デイジーバーで開催決定!さらに、秋には東名阪での対バンツアーの開催も発表した。 詳細は、追って発表。
“その先”へ向かう歩みはすでに始まっています。
チョーキューメイのこれからに、ぜひご期待ください。
ツアーファイナルでは集大成ともいえるパフォーマンスを披露。本公演のライブレポートをお届けする。
****以下ライブレポート****
3月14日(金)の大阪を皮切りにスタートした全6カ所の全国ツアー『チョーキューメイ 2025ツアー「五劫の擦り切れ」』のファイナル公演が、4月9日(水)、恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。
満員のフロアがスッと暗くなる。優雅なピアノの旋律のSEの中、空閑 興一郎(Dr.)、れんぴ(E./Pf.)、おすず(Ba.)、麗(Vo./Gt./Vn.)の順でメンバーがステージに姿を現す。歓声が一段と大きくなる。SEに麗の声が重なった刹那、そのまま麗がアカペラで歌い始めた。透き通るような静寂の中、一斉にバンドアンサンブルが走り出す。「今日を楽しみにして来てくれた、あなた、あなた、あなたに会いに来ました。最高の夜にしよう!」と麗が叫ぶ。オープニングを飾ったのは「落下星」。サビではオーディエンスがリズムに合わせて右手をつきあげファイナル公演の幕開けを祝った。麗が「“故のLOVE”って言ったらみんなでハートを作って」と「故のLOVE」へ。この言葉にフロアが両手でハートを作りレスポンスすると「ありがとう!みんな可愛い!」と麗が笑顔を見せた。
2024年9月から既出の4人の新体制となったチョーキューメイ。最初のMCで麗に自己紹介をと話をふられた新メンバーのおすずは「新体制になって初めてのツアーでこんなに(お客さんが)来てくれて嬉しいです」と挨拶。麗がマイクをとる。本ツアーのタイトルの意味、そしてそこに込められた思いを述べた後、こう締め括った。
「昔からチョーキューメイを応援してくれている人も、最近チョーキューメイを知った人も楽しめるセットリストを組んできました」
この言葉にフロアからは歓喜の拍手が上がる。
「sister」へ。麗がハンドマイクで歌い出す。ドラムの空閑が自身の身体で出音のメリハリをつけている。曲の後半で転調した際には、タムの音色まで変える超絶技を見せた。最後には、麗が綺麗な高音でロングトーンを聴かせた。その高音はファルセットでもホイッスルボイスでもない、最高域のヘッドボイス。麗は、音源ではファルセットで歌う部分をライブではチェストボイスで歌い続けてきた。平メロなどで抜けのファルセット一瞬だけ使うことはあったが、勝負どころの高音ではファルセットを使わなかった。ライブを重ね限界に挑み続け、麗が辿り着いた高音は麗だけの高音ヘッドボイスと言える。しなやかで美しく、強く清らかな麗の高音は、間違いなくチョーキューメイの強烈な武器になった。麗の歌声、特に母音の抜き方や子音のアクセントでコントロールするニュアンスは、もともと唯一無二の個性でこのバンドの大きな魅力のひとつだと思うが、鍛錬し続けることで大きな武器となったのだ。続く「おやすみパパママ」ではイントロでサウンドスケープのような音像を見せる。特に麗がヴァイオリンで繰り返し響かせた単音は、振動するバンドサウドという水面の上に、静かに水滴を落としていくような広がりがあった。
中盤。柔らかでシンプルなメロディーが特徴のミディアムチューン「また、夏になる」で、麗はストレートなアプローチで優しく歌う。れんぴと麗の2人で披露されたバラード「ユウ(するどいささくれ)」では、切実な表情と少し声を震わせて歌い、曲が内包する情感を引き出していた。
ブルーグリーンのライテングの中で「むかしかってた ねこの みーちゃん」へ。シティポップを思わせる洒脱なメロディー、ジャジーなビート、れんぴの優美な旋律が特徴的な1曲だが、ライブでは演奏のメリハリでダイナミズムが加えられていた。チョーキューメイというバンドのアレンジ能力、そして個々の演奏スキルがわかる1曲になっていたと思う。間奏ではおすずがフルートを吹き会場を沸かせた。
ライブは終盤へ向かう。「このツアーのために新しい曲を作ってきました」という麗の言葉を受けて放たれたのは新曲「Hey! Calling」。4つ打ちのイントロで、ディスコビートのナンバーかと思ったが、予想を軽く超えてきた。ここがチョーキューメイの自由度でありカッコ良さだ。コケティッシュなメロディーが印象に残るブライトなアップチューン。音数の抜き差しでメリハリをつけ、メロディーと一癖あるコード展開でストーリー性を作るのはチョーキューメイの得意技だ。<Hey! Calling>という歌詞と一緒に観客が“Hey! Calling”と叫ぶ。本ツアーのための新曲が、既に観客に浸透している。この様子に、チョーキューメイは本当にファンに愛されているなと思うと同時に、このバンドが、ライブでこれまでしっかり観客の気持ちを受け止めてきたからこその光景だなとも思った。
「貴方の恋人になりたい」では、満員のフロアから曲に合わせたクラップが起こる。一定のクラップではない、リズムに合わせて途中でパパンと入るクラップだ。麗、れんぴ、おすずも演奏の合間にクラップを繰り返す。ステージとフロア、そこにいた全員の息のあったクラップで恵比寿LIQUIDROOMが幸福で満たされていく。麗は<恋に落ちている>という歌詞に合わせ、フロアに向けて矢を射るジェスチャー。まるでキューピッドのようだ。さらに<こっちを見てよ!>に合わせ、右手をピストルのようにして自分の右目の横に持って行き、ウィンクして見せる。続く「未恋」では麗の「一緒に歌える?」という言葉に観客は、この曲を象徴するワンフレーズ<君にもう会いたい>と歌声でレスポンス。この歌声に「まだまだ聴かせて!」「誰に会いたいの?」「私たちに会いに来てくれてありがとう」と、大きな声で言葉を返す麗。最後は「みんな大好き!」と叫んだ。麗が叫んだ思いをバンドアンサンブルがダイナミックなサウンドで引き継いだ。本編最後は「promise you」。ヒリヒリするような緊張感と感情の濁流をサウンドで体現するチョーキューメイ。演奏が終わると4人揃って深々と一礼しステージを後にした。
アンコールも含め全18曲。あっという間に約2時間が過ぎていた。それは筆者が1人の観客として、チョーキューメイの世界に引き込まれていたからに他ならない。彼らのライブでは、ところどころで曲のイントロで麗のポエトリーリーディングのような口上が入る。曲につながる詩的かつ私的な麗の言葉により、聴き手の没入感が高まる。さらにその没入感を維持する4人の演奏スキル、緩急のつけかたも本当に見事だった。この日、4人が魅せてくれたのはチョーキューメイという物語だった。アンコールのメンバー1人ずつのMCでは、感極まって言葉に詰まる場面もあった。本ツアーはチョーキューメイにとっても、それだけ大きな意味を持つツアーだったのだろう。その理由は『チョーキューメイ 2025ツアー「五劫の擦り切れ」』が物語っている。「五劫の擦り切れ」とは、バンド名“チョーキューメイ”の由来にもなっている「長久命の長助」が登場する落語「寿限無」に出てくる言葉だ。とてつもなく長い時間、何かを繰り返したり思い続けたりすることである。この日の最初のMCで麗は、ツアータイトル、バンド名の由来について触れ、音楽のライブはその日を待つ時間と比べたら一瞬のことだと思うと述べた後、こう締め括った。
「その一瞬を永遠に記憶として覚えていてほしいなと思って「五劫の擦り切れ」ってタイトルをつけました」
ライブという一瞬。この一瞬があるから次があり、それまでの時間が意味あるものになる。だからこそ次の一瞬をチョーキューメイはこれからも作り出していくのだろう。
アンコールで発表された次の一瞬。それが、結成5周年ライブと秋の対バンツアー。東名阪で開催される対バンツアーはチョーキューメイにとって初の試みとなる。チョーキューメイという物語がこれからどんな光景を見せてくれるのか楽しみでならない。
文・伊藤亜希
写真・Iwata koichirou

◆ライブ情報
■5周年記念ライブ「5年前の雨予報」
バンド初のライブを行った下北沢デイジーバーで
結成日となる6/22(日) 5周年記念ライブ「5年前の雨予報」を開催
【公演概要】
公演名「5年前の雨予報」
会場 下北沢Daisy Bar
日程 2025年6月22日(日)
開場 17:30
開演 18:00
問い合わせ 下北沢DaisyBar / Mail:info@daisybar.jp
主催 UNIVERSAL MUSIC ARTISTS LLC
企画・制作 UNIVERSAL MUSIC ARTISTS LLC / Lawson Entertainment, Inc.
【チケット】
◎料金/席種 Adv. 4,000円 , Door. 4,500円 / スタンディング
【整理番号付】(税込・D代別途必要)
*3歳以上チケット必要
◎チケット購入
(オフィシャル抽選先行(1次) 受付中)
・ローソンチケット:https://l-tike.com/choqmay/
<受付期間> 4/9(水) 21:00〜4/20(日)23:59
<当落・入金期間> 4/23(水)15:00~4/30(水)23:00
■東名阪での対バンツアー
今秋、東名阪での対バンツアーの開催も決定‼ 詳細は近日発表予定。乞うご期待!
10/20(月) 東京
11/2(日) 名古屋
11/3(月㊗) 大阪