時節柄、椅子席レイアウトでの開催となったオメでたい頭でなによりZepp DiverCity公演。赤飯をパーソナリティに配したおなじみのトークプログラム「オールナイト転換」に耳を傾けつつ、前のめりで開演を待つオメっ子たち。深夜ラジオを模した「オールナイト転換」のエンディング曲は、お約束の――オメでたのレーベルメイトでもある――Official髭男dism「Pretender」じゃなくってプリテンダー違いのフー・ファイターズ「The Pretender」って……案の定、ボケかたが絶妙過ぎてオメっ子たちのリアクションが薄い(笑)。

壮大なオーケストラアレンジが施されたオープニングSEに、赤飯、ぽにきんぐだむ、324、mao、ミト充がステージイン。オープナーは「ザ・レジスタンス」。オメでたのライブにはめずらしくド派手なレーザーが乱舞してフロアを盛り上げる。
2曲目は早くもタオル回し曲「海老振り屋」を投下。センターステージ――Zepp Diverで花道&センターステージってすごくない?――で赤飯&ぽにきが躍動する。バービーボーイズだろうかと見えるツインボーカルでオメっ子たちを狂喜させる。ん……あれ?ぽにき、ずっとハンドマイクだし、ギター持ってなくない?オメでたってツインボーカルだっけ?

と、動揺&混乱する間に「えんがちょ!」へ。maoのベースラインがうねり、ぽにきのコーラスワークと赤飯のデス声の応酬にヘドバンで加勢するフロア。曲終わりのMCで「少し見ないうちに編成が変わったな……と思ってるかた、違います!今日だけの特別でございます」とぽにきんぐだむ。「右手でマイク持ってるけど、平気なん?」という赤飯に「いや、めっちゃ痛い(笑)」と返すぽにき。そう、ぽにきんぐだむは右手中指と薬指を骨折しているそうで、全治2ヵ月と数日前にアナウンスされていた。故に――たぶん――今日だけ限定の超レアなツインボーカル編成が実現したということだ。
4月のメジャーデビュー5周年リクエストライブ「オメコンベストテン とちょっと 2022」、5月の「オメでたカバー劇場」東阪公演とコンセプチュアルなライブを経て、久しぶりの“いつもどおりの”ワンマンライブということで、オメでたの面々も、Zepp Diverに馳せ参じたオメっ子たちもほどよい緊張感でライブに臨んでいるようだ。と、赤飯が、TikTokでもバズっているという物まねメドレーでその緊張感をなかったことにしてしまう。ちなみにレパートリーは、桑田佳祐/井上陽水/矢沢永吉/PENICILLIN/某国の国営放送/雨の中央線/新幹線のトイレとどれもなかなかのクオリティだったのだが、「俺も1個覚えた」と応戦したぽにきの間寛平「血ぃ吸うたろか?」で静まり返るZepp DiverCity(笑)。

ライブ中盤、「オメで大陸2022」なるドキュメンタリータッチのビデオ、「推しごとメモリアル」のヲタ芸パフォーマンス&パターゴルフと、さんざん脱線しまくってからのMCで、「今回はまっすぐで真っ当な曲だけゴリ押しして黙らせようぜ!って感じで始めたんですけど結局こうなってます!」とぽにきんぐだむが言えば、赤飯は「俺らのライブって絶対大喜利かコントがあるやろ?超真面目やん!今日」と返す。茶目っ気たっぷりに「ロックな俺たちはどうすか?」とオメっ子たちに問いかけるぽにき。
ここで9月28日にリリースする3rdアルバム『オメでたい頭でなにより3』の話題に。そしてなぜかケツメイシやファイナルファンタジーを引き合いにナンバリングタイトル談義を始める赤飯&ぽにき。10月からはアルバムのリリースツアーもスタートすると告知しつつ、先行配信シングルの「ダンシングオールナイトレディ」へ。ゲストマッチョことボディメイクトレーナーの植田知成をフィーチャーしつつ「SIX ON THE PACK」へ雪崩れ込むというネタ渋滞気味のセトリ。

個人的なライブあるあるなのだが、ライブ中にときどき、ふと耳に入ってきた歌詞のワンフレーズが反芻されてずっと頭のなかに残り続けることがある。この日のオメでたでいえば、それは中盤で披露された「四畳半フォークリフト」の<悩みのタネに花は咲かねえ/こんな場所でも 生きるしかねえ>というフレーズだったのだが、たぶんのこの1節が、いまの日本の音楽ファン/ライブファンとアーティストの気持ちをそのまま代弁しているように感じられたからに違いない。
ぽにきんぐだむの負傷というハプニングをむしろ好機と捉え、この日のワンマンに臨んだオメでたい頭でなによりの5人。いつも以上にスイッチボーカルが冴えていた「言葉のあやや」だったり、ぽにきのローラースケートにひやひやさせられた「推しどこメモリアル」だったり、「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」でぽにきに代わってイントロのアコギパートを、私物のオベーションで弾き語った赤飯などなど、ある意味、いつも以上に見どころの多いワンマンだった。それにしてもこんなにラウドで優しさに満ちた「WOW WAR TONIGHT」ってこれまであっただろうか?

と、感慨に耽る間もなく「だんだん熱くなってきたんちゃうんか!こんだけ熱かったらお風呂屋さんみたいですね!」という赤飯の煽りから「スーパー銭湯~オメの湯~」へ。ぽにきんぐだむのラップ、324の高速タッピング、低音がうねるmaoのベースソロ、フィル増し増しのミト充……鉄板のライブアンセムだ。続く「あれこれそれどれ」の<ハイヤイヤイヤ!>で踊り狂うオメっ子たちのなんと頼もしいことよ!
ラストは「オメでたい頭でなにより」。曲中に赤飯が「ぶっちゃけたこと言ってもいい?つらいし、めちゃくちゃ厳しい。でもここからまた建て直していく。俺らもまだまだ足掻くからよー!18ヵ所、みんなに会いに行くから。待っとるで!ここから反撃の狼煙をあげるっていうそんな気持ちでやってく!」と高らかに宣言し、感動のエンディングへ。

フロントマンふたりが暴れまわるステージで、タイトなビートをキープし続けたミト充、ときおりスラッピーなベースラインでアクセントを効かせていたmao、あきらかにいつもより手数が増えていて忙しそうだった324……いつも以上の熱量でライブを完遂した5人に惜しみない拍手が贈られた。
エンディングで披露された新曲「すばらしい時代」が放つポジティブなバイブスに、オメでたい頭でなによりと、オメっ子たちの素晴らしい時代はもうすぐそこまで来ている……そう思わされた夏の終わりの夜だった。
(おわり)
取材・文/高橋 豊(encore)
写真/Megumi Iritani

SET LISTオメでたい頭でなにより 結成6周年ライブ(2022年8月29日@Zepp DiverCity)
1. ザ・レジスタンス
2. 海老振り屋
3. えんがちょ!
4. VIVA!ハピバ
5. 言葉のあやや
6. 四畳半フォークリフト
「オメで大陸2022」
7. 推しどこメモリアル
8. 推しごとメモリアル
9. ダンシングオールナイトレディ
10. SIX ON THE PACK
11. 三百六十五歩のマーチ
12. 超クソデカマックスビッグ主語
13. HAKUNA MATATA
14. WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~
15. スーパー銭湯~オメの湯~
16. あれこれそれどれ
17. オメでたい頭でなにより
ED. すばらしい時代

LIVE INFOオメでたい頭でなにより ワンマンツアー~今 いくね くるね 3~
10月2日(日)松阪M’AXA
10月5日(水)千葉LOOK
10月22日(土)熊本Django
10月23日(日)福岡BEAT STATION
10月29日(土)新潟NEXS
10月30日(日)金沢AZ
11月2日(水)秋田Club SWINDLE
11月3日(木)盛岡CLUB CHANGE WAVE
11月5日(土)札幌ペニーレーン24
11月19日(土)なんばHatch(大阪)
11月20日(日)名古屋DIAMOND HALL
11月23日(水)長野CLUB JUNK BOX
12月1日(木)静岡UMBER
12月3日(土)高松MONSTER
12月4日(日)広島CLUB QUATTRO
12月10日(土)仙台Rensa
12月11日(日)宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
1月8日(日)EX THEATER ROPPONGI(東京)

オメでたい頭でなにより『オメでたい頭でなにより3』
2022年9月28日(水)発売
通常盤(CD)/PCCA-06159/3,000円(税込)
ポニーキャニオン
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