最初に登場したのは、10代の才能を発掘するプロジェクト「十代白書」で2020年のグランプリを受賞した大阪出身のシンガーソングライター、asmi。meiyoとは「なにやってもうまくいかない feat. asmi」でコラボを果たし、配信シングル「PAKUでは作詞作曲をmeiyoが手がけるなど、交流を深めている。この日のライブでは、その「PAKU」を1曲目に、ラッパー、Rin音のアルバムに収録された「earth meal feat.asmi」や、TikTokで大ヒットし、THE FIRST TAKEでもパフォーマンスした「ヨワネハキ feat.和ぬか, asmi」など、彼女の多彩な魅力が伝わる楽曲をバンドセットで披露。浮遊感のある歌声の表情を曲の世界観によって変化させながら、愛らしさと切なさが同居するポップワールドを展開した。

続いて登場したのは、THE BACK HORNの山田将司。現在のmeiyoの音楽性を考えると少し意外だが、THE BACK HORNはmeiyoが高校時代から憧れ続けてきたバンドなのだそう。山田はアコースティクギター一本でステージに登場して、簡単な挨拶を済ますと、すぐに演奏を始める。アルペジオの調べに乗せて歌い始めたのは、2016年のソロシングル「きょう、きみと」だ。日々の何気ない思いが淡々と、しかし深く綴った歌に、観客たちは耳澄まして聴き入っている。続く2曲目では、働き続ける男の悲哀をブラックユーモアを交えて歌った、THE BACK HORNの「ファイティングマンブルース」で雰囲気を一変させる。その後も「冬のミルク」、「美しい名前」とTHE BACK HORNの楽曲で山田の熱唱が続き、MCではmeiyoへの感謝を言葉にした。MCのあとには、つつじあやのとコラボした「15歳」をやさしく語りかけるように歌い、ラストは喜納昌吉&チャンプルーズの「花 ~すべての人の心に花を~」を激しいギターのストロークを鳴らしながら、熱く高らかに歌い上げる。圧倒的な歌の凄みとそこに宿る強い思いを突きつけられた。

そんな2人のライブが終わり、meiyoが一人でステージに登場した。ギターを弾きながら披露したのは、インディーズ時代の代表曲「机上の空論」だ。オリジナルよりもテンポを落とし、切々と歌うmeiyo。のちの「なにやってもうまくいかない」に通じる、“何かしっくりこない”、“どうもうまいこといかない”という煮え切らない思いを綴った歌詞が、ギター一本で歌われることで深く沁み入ってくる。ステージ後方からのライトが逆光になり、meiyoの姿がシルエットのように見えていたことも、曲が放つ切なさを増幅させた。meiyoが「机上の空論」を歌い終えると、バンドメンバーが登場する。すぐに「チャイニーズブルー」、「クエスチョン」、「レインボー!」を続けて披露し、カラフルでポップなmeiyoワールドは一気に全開に。フロアには、楽しそうに踊るファンたちの姿があふれる。バンドメンバーの紹介を挟み、「今から見ることは口外しないように」とmeiyoが釘を刺して披露されたのは、YouTubeアニメ「混血のカレコレ」のOPテーマ「彼此のカレコレ」。ボカロPとしても活動するmeiyoらしいトリッキーな楽曲だが、そこにさらにトリッキーな演出が加わり、プチカオスな状態になったステージ上にファンは笑顔で喜んでいる。そんな状況を一変させたのは、「彼此のカレコレ」のあとに歌われた「ゆったりと」だ。meiyoが初めて書いた曲である「ゆったりと」は、そのヘヴィなバンドサウンドとも相まって、カラフルでポップなだけではない、ロックなmeiyoの魅力を浮き彫りにする。ギターを弾きながら聴かせたその力強い歌声は、メジャーデビュー以降のmeiyoしか知らないファンには新鮮に聴こえたはずだ。

続く7曲目は、最新配信シングル「ねぇよな」。ダンサブルなグルーヴでフロアを揺らす。その勢いのまま、「なにやってもうまくいかない」になだれ込むmeiyo。フロアの雰囲気は、まるでクラブのようになっている。その後、沸騰した会場の空気をクールダウンさせるように、meiyoが穏やかな口調でMCを始める。そこで語られたのは、今回のライブイベントに込めた思いと出演した2人のアーティストに対する感謝だった。「僕がずっと好きだったアーティストと最近知り合った若いアーティストのハブに、僕のライブイベントがなればいいなと、あるときに閃いたんです。その“閃きを一発”みなさんにお見舞いしたいから、「閃一発」というタイトルなんですよ(笑)」asmiさんには「PAKU」という曲を提供したり、「なにやってもうまくいかない」で歌ってもらったり。THE BACK HORNは、高校時代にカバーバンドをやってたぐらい好きなバンドで、そのあとにやったのはTHE BACK HORNが変拍子になったみたいなバンドで(笑)。今日、こんなふうに一緒にライブができて2人には感謝しています。今日は、山田さんのファンもいるでしょ? asmiさんのファンもいるでしょ? そういう人たちがそれぞれのライブを見て、山田さんやTHE BACK HORNを好きになったり、asmiさんを好きになったり。そういうことが起こればいいなとも思っているんですよ」そう語ったあとに披露されたのは、新曲「未完成レゾナンス」だ。カラフルなポップさとロック的な疾走感が絶妙なバランスでブレンドされたナンバーで、meiyoが持つ多彩な魅力が一曲の中に集約された、まさに最新型のmeiyoと言えるだろう。そして、「大切に歌わせていただきます」という言葉を最初に添えて歌われたのは、大好きな赤い公園の津野米咲が亡くなったことについて歌った「あとがき」だった。ピアノと歌だけで表現される美しくも胸が締めつけられるような楽曲に、心が大きく動く。歌い終えたmeiyoを、会場全体に鳴り響く大きくて力強い万雷の拍手が包んだ。

万雷の拍手はアンコールを求めるハンドクラップに変わり、やがてmeiyoとバンドメンバーがステージに登場する。meiyoは、大好きなバンドが解散したことがきっかけで2019年に作った「いつまであるか」を選んだ。タイトなグルーヴのポップチューンだが、バンドが、そして音楽が「いつまであるかという思いから生まれた楽曲だけに、ずっと大好きな先輩と自身も認める若い才能のハブになれたこと、その2人と一緒にライブができたことの喜びを噛み締めて歌っているようにも感じられた。

こうして、meiyo初の自主企画3マンライブ「meiyo presents 閃一発_2022」は幕を閉じた。早くも次が期待できる、充実したライブだったのは間違いないが、願わくば3人が共演する光景も見たかった。この日のライブで発表された次回の自主企画対バンライブは東阪での開催となる。2023年3月19日の渋谷WWW、3月25日の梅田Shangri-Laで、そんな光景が実現することを願ってやまない。それは、この日のライブに足を運んだ人たちの多くが願っていることでもあると思う。

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/タマイシンゴ

LIVE INFOmeiyo presents「Uphoria」

■Uphoria_TOKYO
2023年3月19日(日)@渋谷WWW(w/ 神山 羊)

■Uphoria_OSAKA
2023年3月25日(日)@梅Shangri-La(w/ TBA)

ぴあ ※オフィシャル先行 11月25日(金)20:00~12月4日(日)23:59

「ねぇよな」

2022年9月26日(月)配信
ユニバーサル ミュージック

meiyo「間一発」

2022年5月6日(金)配信
ユニバーサルミュージック

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