Hakubiが、昨日なんばHatchにてワンマンライブ”賽は投げられた”大阪公演を開催。先日東京で行われたZepp Haneda公演はSOLD OUT、自身最大規模となった東阪ワンマンライブを完走した。
本日のライブ終演後には、来年全国13都市をまわるワンマンライブツアーを発表。3月15日に開催される千葉LOOK公演を皮切りに、全国のライブハウスをまわり、4月19日に地元・KYOTO MUSEにてツアーファイナルを迎える。本日よりオフィシャル先行予約およびFC先行予約がスタート。12月3日までとなっているので、早めにチェックしよう。

また、11月4日に行われたZepp Haneda公演のオフィシャルライブレポートも到着した。

【オフィシャルライブレポート】
2023年11月4日(土)『Hakubi one-man live 賽は投げられた』
@東京・Zepp Haneda

11/4(土)のZepp HanedaにてHakubiが「賽は投げられた」と題したワンマンライブを敢行。その模様をお届けする。ステージ上には自らが駆る楽器類と背後に吊られたお馴染みのロゴのバックドロップのみ。初のステージとなる会場なだけにややもすると簡素とも言えるシンプルなセットであったが”バンドの自力のみで魅せる”と言う強い意志の現れと筆者は受け取った。

ポストロック/アンビエント調のSEに合わせメンバーが登場。すっかりバンドのアイコンともなった片桐(Vo/Gt)の金髪と真紅のギターが今宵も目を惹く。

一曲目はライブのタイトルともなった「賽は投げられた」。寂寥感漂うメロディが印象的な楽曲だが、曲終盤の”賽は投げられた”の歌唱と共にアンサンブルが爆発すると言う二部構成的な趣も持つ楽曲であり、片桐はワウがかったノイジーなギターを掻き鳴らしながらオーディエンスに向かって”みんなのために みんなのためだけに歌います”と力強く宣言。それに呼応する様にヤスカワアル(Ba)、マツイユウキ(Dr)も大きく体を揺らしながらプレイする。

短めのMCから「ハジマリ」へのタイトルコールが華麗に決まった瞬間、マツイの性急なエイトビートでバンドは勢いよく走り出す。”ちょっと珍しい曲やってもいいですか”との事で「color」へと繋げ、序盤を駆け抜けたバンドはここで目下の最新アルバムからタイトルチューンである「Eye」を披露。広いサウンドスケープを持つ四つ打ちに応える様に客席から軽快なクラップが巻き起こる。オーディエンスまでもがアンサンブルに参加したかの様な祝祭的な雰囲気の中でバンドはキメの多い楽曲を余裕たっぷりに乗りこなしていく。特に言葉数が多いサビを息継ぎなしで歌い切る片桐のボーカルに、ライブバンド、現場主義を貫くHakubiの矜持を感じずにはいられなかった。

MCでは片桐が会場入り前にすっぴんでファンの女の子に遭遇してしまった事やマツイが会場の広さを”京都MUSE何個分?”などと自らのホームグラウンドに絡めつつ感謝するなど、ライブ中とは打って変わった緩やかなムードで進行させたと思いきや片桐が再び”これが今の私達のベスト。気合い入れてやって参りました。最後まで宜しくお願いします”と力強く宣言。確かにリリースを伴うライブではない今回。シンプルなセットと相俟って、ロックバンド、或いはライブバンドHakubiの現段階でのベストを実演にて刻み付けるという意味合いで組まれた公演であろう事を明かしてくれた。

”懐かしい曲を”の一言で演奏された「もう一つの世界」も客席からの高らかなクラップで迎えられ、ヤスカワがベースを唸らせる「最終電車」。マツイの変則的なドラミングと後半のシューゲイザー的な展開で場内の空気を一変させる「薄藍」などリズム隊の妙技を見せつつライブは進行。続く「午前4時、SNS」、「サーチライト」に綴られる、胸を抉る様な言葉の数々。獰猛さを増すリズム隊に乗せて絶唱する片桐に圧倒されてしまう。生々しい息遣いで歌われる「サイレント東京」では打ち込みのリズムをマツイがパッドへとスイッチし生演奏。ヤスカワの浮遊感あるフレージングが心地よい眩暈を提供してくれる。

再びのMCでは”ワンマンの時はドラムとベースも喋るんです”と演奏とはまた別のグルーヴ感を見せるコミカルなトークを展開。即興で行われた「会場から1番遠いやつは誰だ選手権」ではなんと北は北海道、南は宮崎県からの来場者の姿が。”今までのベスト”と先のMCで片桐が明言していた通り、客側としても、やはりどうあっても見逃す訳にはいかないライブであるのだろう。

「今でもこの曲が沁みます」と自身の処女作であるep「夢の続き」から「intro」~「夢の続き」と繋げ、タイトル未定の新曲をここで初披露。バンドの過去と現在。そしてその表現の根底にある揺るがないものの片鱗を垣間見せてくれた。

ここからのブロックではバラード曲が続く。特にもう2度と会う事の出来ない、かけがえのない存在へと歌われる「拝啓」は今宵屈指のハイライトの一つに数えられるのではないだろうか。詞曲に込められた深い悲しみと感謝を全身で表現する片桐に思わず息を呑んでしまう。来場者一人一人もきっと自身の大切な存在を思い浮かべながら聴き入っていた事だろう。そしてアップダウンの激しい音程を感情豊かに歌い上げる「Twilight」の後半、エイトビートで切り込んでくるドラムと共にアンサンブルはまたも爆発。更なる強靭な表現力を纏ったバンドの現在地を客席へと刻み付ける

さあ、ライブもいよいよ終盤。鏡に写る理想通りとは決していかない自身の姿へと宛てた「mirror」の曲中では”ファンの1人から手紙を貰った事、そこにはHakubiが生きる理由としたためられていた事、Hakubiにとっても眼前のあなた達一人一人が生きる理由である事”が高らかに宣言される。互いが互いの生きる理由である事が明確となったバンドとオーディエンスが作り上げる空間。ライブの形として一つの理想であろう。そんな空間を目の当たりにした片桐は”こんなに笑う片桐見た事あります?”と楽しすぎて少々テンションがおかしくなってしまっている事を自嘲気味に語っていた(笑)。

”最後、みんなで歌って欲しいです。いけるよね?”として披露されたのは「君が言うようにこの世界は」。随所に挟まれるコーラスを割れんばかりの声で共に歌うバンドとオーディエンス。ステージと客席との境目がなくなったかの様な一体感をもってして、本編は終了。

アンコールでは再びトークでのグルーヴ感も強力なヤスカワとマツイによるグッズの紹介などを挟みつつの「辿る」。そして雄大なリズム、荘厳な調べのピアノにシーケンス、神々しい光を纏った様なメロディがこの上なくラストに相応しい「悲しいほどに毎日は」にて堂々のエンディング。先にも記したが強靭さを更に増したバンドの表現力は楽曲全てをより立体的、有機的に輝かせており、片桐の言う”今の私達のベスト”を存分に見せ付けてくれた。そしてMCのみならず曲中に至るまで何度も宣言されていたのはオーディエンス一人一人である”あなた”へ向けられた強い肯定の意思。”いつだって頼って欲しい”とまで”あなた”に寄り添う覚悟を決めたバンドの意思表示に、ロックバンド、或いはライブバンドHakubiの揺らがぬ信念を窺い知る事の出来る一夜となった。

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