世界的人気のガールズバンド・BAND-MAIDが、結成10周年記念ツアーのファイナルとなる2023年11月26日(日)開催・横浜アリーナ公演を大盛況のうちに終了した。2023年3月から約8か月にわたり、アメリカ、メキシコ、日本で開催され、約45,000人 を動員したBAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR。約3時間40分、BAND-MAIDお給仕(ライブ)史上でも最長となった本公演のライブレポートをお届けする。
おなじみのSEが流れるなか登場したメンバーはこの日、新衣装に身を包み颯爽と登場。メイドがバンドでロックを奏でることをコンセプトにスタートしたBAND-MAIDの、アニバーサリーツアー最終公演を飾るにふさわしい、5人各々の個性を際立たせたエレガントなメイド風衣装にご主人様・お嬢様(ファンの呼称)の歓声も一際大きくなる。
KANAMI(Gt.)のギターリフが鳴り響いたあと、SAIKI(Vo.)が開口一番「行くぞー!」と叫び、名刺がわりの「DOMINATION」からお給仕はスタート。観客も早速拳を突き上げ、コールが会場に響き渡る。本ツアーでは冒頭からアッパーな楽曲を畳み掛けるようにお見舞いすることが多かったが、この日も同様「さあ、横浜アリーナ!騒ぐ準備はできてるかー!」とSAIKIが煽ると、総立ちの客席から歓喜の声が湧き上がる。
「おかえりなさいませ、ご主人様・お嬢様!」と、小鳩ミク(Vo./Gt.)による恒例の挨拶がなされた後は、BAND-MAIDの海外人気爆発のきっかけとなった「Thrill」を披露。YouTubeのMV動画が「Thrill」単独で1億987万回再生を突破していることからも窺えるとおり、SAIKIはもちろん、ツインボーカルならではの小鳩ミクのメイン歌唱パートや、個々の楽器の見せ所もふんだんにある楽曲だ。本ツアー中の8月にリリースされ、アニメ『ケンガンアシュラ』Season2 エンディング主題歌としても注目を集めている新曲「Shambles」の後は、「Don’t you tell ME」へ。間奏でKANAMIとMISA(Ba.)が交互にソロを弾くバトル演奏パートも披露するなど、その確かなテクニックを序盤から惜しげもなく見せつける。序盤で特に注目されたのは、小鳩ミクによるギター単独演奏だ。BAND-MAIDを結成する前はギターが弾けなかったという小鳩ミクがスポットライトのもとで一人ギターを堂々とかきまわす姿に象徴されるように、この10年間で彼女たちがバンドとして世界を周り、その実力を評価されてきたことが目の前のステージで証明されていく。
インストゥルメンタル楽曲「from now on」では、KANAMIの力強いピッキングと滑らかなタッピングが織りなすメロディに、じっくり聴き入ってしまう。
KANAMIが爪弾く切なげなギターからはじまった「Daydreaming」に続き、「Memorable」「about Us」と、バラードを続けて披露。ここ数年はBAND-MAIDの作曲を全て担っているKANAMIだが、ハードロックだけではなく、こういったミディアム・バラードの美しい旋律を書けることでもわかるように、作曲家としての実力も確かなことが窺える。
メインステージ中央の花道から、アリーナ中頃まで伸びた花道の先に設けられたサブステージにSAIKIとKANAMIの二人が移動すると、椅子に座りアコースティック・ギターを抱えたKANAMIのバッキングにのせて「Different」「anemone」アコースティック・ヴァージョンを披露。シンプルな演奏の中でより際立つ、太く芯がありながら色気を纏うSAIKIの歌声に酔いしれる。
続いてメインステージにグランドピアノが現れると、SAIKIがピアノの前に腰を下ろし、「Choose me」の弾き語りを演奏。BAND-MAIDのステージでは今まで歌のみに専念していたSAIKIだが、弾き語りの初披露が自身最大の会場という肝の据わった演出に、ご主人様・お嬢様も目が釘付けとなってしまう。演奏する直前には実は手が震えていたと後のMCで笑っていたSAIKIだが、そんな話も笑い話にできるくらい、堂々たる演奏を披露していた。
そして、小鳩ミクがリードボーカルをとる未リリースの新曲「Brightest Star」に続き、小鳩ミクによるコール&レスポンスのMCコーナー”おまじないタイム”の時間へ。その前に、と小鳩ミクがポケットから何やら封筒を取り出し、メンバーには秘密で、手紙を書いてきたことを告げる。漠然と、メイド服が好きだからそれでかっこいいバンドをやろうとしたことからBAND-MAIDが始まったこと、当初は10周年を迎えることも千秋楽で横浜アリーナ公演をするとも想像していなかったことなどを話すと、「今日、こうして過ごしているのは奇跡みたいだ。その奇跡はひとりで叶えられるものではなく、たくさんの方がいて成立しているんだ」と喜びを噛み締める。お馴染みの「萌え萌え!きゅんきゅん!」コール&レスポンスでほっこりした後は、後半パートへ。
「さあ、横浜アリーナ!声出して、騒いじゃってー!」とSAIKIが煽ると、「FREEDOM」へ突入。続くBAND-MAID史上最速BPMを誇る「BLACK HOLE」前にはAKANE(Dr.)のドラムソロ時間が、続く「DICE」前にはMISAのベースソロ時間が設けられていた。高速でツインペダルを踏みながら満面の笑みでスティックを振り下ろすAKANE、ステージ中央のお立ち台に仁王立ちとなり、時にのけぞりながらメロディアスなうなるベースを聴かせるMISA。リズム隊二人の盤石な演奏も、BAND-MAIDの音楽を支えていることは一目瞭然だ。
10周年ならではの演出としては、2013年の蔵出しお給仕映像の会場モニター上映をはじめ、”最古のおまじないタイム”として小鳩ミクによるMC映像が上映された。鳩と人間のハーフであることを主張している小鳩ミクがハト語と命名している、語尾に”ぽ”のつく話し方を全くしていない映像が映し出されてしまう場面も。このころは仕方なく封印していたのことだが、メンバーからいじられて思わずステージに崩れ落ちてしまうと、会場は笑いに包まれる。演奏のかっこよさとは裏腹に、MCではチャーミングな姿を見られることは、この10年ずっと変わっていない。そんなギャップも彼女たちの魅力のひとつだろう。
会場も和んだところで、お給仕後半定番曲のひとつ、「NO GOD」へ突入。Jump!Jump!とSAIKIが煽ったあとは、未リリースの新曲「Magie」を投下。ラストスパートに入ってからもさらに加速し続けているかのようなメンバーの勢いに、BAND-MAID自体がいまとても良い状態なのだと感じる。
ミディアムテンポの「Manners」ではどっしりとした貫禄を見せつけ、世界を駆け抜けてきたBAND-MAIDの自信と迫力が十二分に溢れ出ていた。また”世界 掴むまで Never ending! ”と歌詞にある通り、彼女たちの活動を体現し、これからも止まらず動き続けることを高らかに宣言したかのような楽曲であることをあらためて実感する。
なお、今回新しい試みとして1曲のみ個人のスマートフォンなどでの撮影が可能な時間が設けられていた。人気曲のひとつ「Choose me」演奏時のみ撮影可と後方モニターへ映し出されると、観客が一気にスマホを掲げる。今回の横浜アリーナにはステージから地続きで2F客席最前列目の前をぐるっとホール一周となる通路が設置されており、この撮影タイムはもちろん、他の楽曲でもこまめに会場を練り歩くBAND-MAIDのメンバーに、観客も大興奮となっていた。
続けて披露された「FORWARD」は、インディーズ1stALに収録されていた楽曲。まだお給仕のご主人様・お嬢様が一桁だった頃の映像と現在を対比するような演出で、成長し続けてきたBAND-MAIDを確かに証明してみせた。この日は新たなアレンジで披露するなど、常にアップデートした演奏を試みており、BAND-MAIDのお給仕に対する貪欲な姿勢が窺える。
「みんなと歌いたいねって言って、広い会場で、みんなと大合唱したいねって。そのために作った曲を一緒に歌ってくれる?声聞かしてー!」とSAIKIが叫び始まった「endless Story」。シンガロングが巻き起こるなか、目を潤ませながら演奏するメンバーの姿がモニターに映し出されると、感極まるご主人様・お嬢様が続出。「ここに立てていること、5人でこのステージ立てたこと、本当にみんなのおかげです!」「まだ終わりたくないんだけどー!もっと歌ってくれる?」とSAIKIが会場に問いかけながら、サブステージへ向かう。最後に、この日限りの「endless Story」の歌詞でもうひと回しSAIKIが歌いきると、会場のご主人様・お嬢様のシンガロングで歌が終わり、「ありがとうみんなー!」とSAIKIが叫ぶやいなや銀テープが宙を舞う。
最後の最後は、ドラム後方に組まれた高台のステージ上に5人が集合し、メンバー全員でひとしきり抱き合ったあとは、BAND-MAIDの発起人である小鳩ミクがマイクを手にお馴染みのフレーズ「いってらっしゃいませご主人様・お嬢様!BAND-MAIDでしたっぽー!」と笑顔で叫び、マイクをステージに置く。
5人が横並びになり手を繋ぎ、深々とお辞儀をしたあと「また会おうっぽー!」と会場へ呼びかけ、ステージを後にした。
メンバーが去った後、会場のモニターには告知動画が流れ、結成10周年はひとつの通過点でしかなく新章開幕を高らかに宣言するかのような、新たなニュースをドロップした。2024年春にはホールツアー他複数のお給仕を予定しており、本日開催された横浜アリーナ公演の映像作品もリリースするという。さらには、夏にはフルアルバムリリースが決定しており、海外アーティストとのコラボーションも続々控えているそうだ。BAND-MAIDの今後の活動を見逃さないようにしよう。
■『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR』
2023年11月26日(日)横浜アリーナ公演 set list
1 DOMINATION
2 glory
3 alone
4 Play
5 Unleash!!!!!
6 Thrill
7 Shambles
8 Don't you tell ME -session-
9 After Life
10 Sense
-session-
11 influencer
12 from now on
13 Daydreaming
14 Memorable
15 about Us
16 Mirage
17 Bubble
18 Rock in me
19 Different ~Acoustic
20 anemone ~Acoustic
21 Choose me ~Acoustic
22 onset
23 Brightest Star (新曲)
-session~
24 FREEDOM
25 BLACK HOLE
26 DICE
27 HATE? -session-
28 NO GOD
29 Magie (新曲)
30 Manners
31 Choose me
32 FORWARD
33 endless Story -session-
■『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR FINAL 』配信チケットぺージはこちら
※アーカイブ配信も期間限定で実施中
BAND-MAID 2024年公演情報LIVE INFORMATION
『BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR 番外編』
会場:KT ZEPP YOKOHAMA
日時:2024年2月22日(木)開場17時/開演18時
『BAND-MAID ACOUSTC OKYUJI』
会場:LINE CUBE SHIBUYA
日時:2024年3月20日(水・祝)開場16時半/開演17時半
※お盟主様の会(ファンクラブ)限定公演
『BAND-MAID "THE DAY OF MAID"』
会場:ZEPP HANEDA
日時:2024年5月10日(木)開場17時/開演18時
各公演チケット、お盟主様の会にて抽選受付開始
詳細はこちら
ホールツアー開催決定
※日程・会場は後日発表
6/28 (金) 愛知・名古屋市公会堂
7/5(金)大阪・フェニーチェ堺 大ホール
7/14(日) 神奈川・神奈川県民ホール
■BAND-MAID プロフィール
全米ツアー動員2万人超、世界的人気のガールズバンド
メイドの見た目とは相反するハードなロックサウンドが、全世界のファンやメディアから支持を得ており、YouTubeの総再生回数は1億8,000万回を超える。
世界中のファンによるYouTubeのリアクションビデオも続々と公開されており、4,000万回以上の再生を記録。世界中のロック・メタルファンからも支持を受け、2022年開催の全米ツアーでの動員は二万人を超えるなど、いま海外で最も人気のあるガールズバンドとなっている。日本の大型フェスティバルのステージを揺らしながら、毎年のようにワールドツアーを実施。 現在までアメリカ、イギリス、ヨーロッパを周り、各公演でソールドアウトを記録。
2019年には、世界最大級のイベンター「Live Nation」とのツアーパートナーシップを発表し、ロック界の伝説Tony Viscontiによるプロデュースを含むアルバム『Conqueror』をリリース。 2020年には全米での展開パートナーとして「United Talent Agency」とのアライアンスを発表。アルバム『Unseen World』をリリースし、2021年にはNetflix映画『Kate』でハリウッドデビューを果たす。
2022年には世界的人気音楽フェス『AFTERSHOCK』に出演し、動員数2万人越えの全米ツアーも完遂。全米ツアー直後にGuns N’ Rosesの来日公演にも出演を果たす。
2023年は結成10周年ツアーを日本・アメリカ・メキシコの三か国で開催。全米大型フェスにも多数出演して、ファイナルは横浜アリーナでの単独公演を開催。
2月にはTHE LAST ROCKSTARSの全米公演にも出演を果たし、8月には世界最大規模の米国フェス「ロラパルーザ」へ出演し、10万人動員のフェスを揺らすなど、全世界規模での躍進を続けている。