サブスクリプション/プレイリスト文化やショート動画発信定着したことによりアルバム存在感薄まり、今ま以上に単曲即効性求められるようになった10年代後半~現在。そんな時代流れを受け、GLIM SPANKY二人はニューアルバム『The Goldmine』について、今回リリースパーティーMCも作品を制作中ライブも、各所インタビューも「全曲リード曲つもり、なおかつアルバムとして世界観をしっかり楽しめるもを」という旨を語っていた。

そもそもGLIM SPANKYはデビュー期から同様こだわりを持っていたように思う。サブスクリプション上昇線と、いわゆるサウンドスタイルとして“ロックらしいロック”下降線ちょうどクロスする10年代中盤にデビュー。そんな新時代へ興味関心と、それもビンテージなロック好きだという気持ち狭間、現在進行ポップという概念と向き合いなら、ロック情緒や力強さも掘り下げ、アルバムというフォーマットにこだわってオリジナルなスタイルを生み出してきた。

そして20年代に入り、シーンはさらに激動する。縦割りジャンルは割り切れない音楽デフォルトになり、クロスオーバーという言葉はもはや誰か個性を示す効力を持たなくなった。しかし、ロックはそ確実に生きている。『The Goldmine』はそことを

確信させてくれるアルバムだった。ポップ多彩な楽曲群、ロック、ロックンロール70年以上歴史積み重ねてきた奥行き、ロックバンドだからこそ肉体性や牽引力色に輝き続けることアルバムになっている。そして今回リリースパーティーもまた、そんな作品魅力を存分に感じることきる、力強く贅沢な時間だった。

松尾レミ(Vo. / Gt)、亀本寛貴(Gt.)に加え、お馴染みサポートメンバー、栗原大(Ba.)、かどしゅんたろう(Dr.)、中込陽大(Key5登場すると、ソールドアウト超満員フロアからは早くも大歓声1曲目はアルバム冒頭を飾るタイトル曲「The Goldmine」。太く力強いリズム隊、空気を破るようなギター、眼光鋭いメロディと歌詞という生々しいロック衝動と、豊かに、綿密にデザインされた音良さ光る。続いてアルバムにはjon-YAKITORYリミックスバージョン収録されていた代表曲「怒りをくれよ」。重量級アンセムからロック真ん中を疾走するアンセムへ。突き上る無数拳や叫びとともに、場内熱はも凄い勢い上昇する。そこからOdd Dancerは、ダンサブルなグルーヴとサイケデリックなトリップ感シナジーによりダンス起こる。コントラスト効いたアッパーな曲3連発序盤から躊躇なくフロアを揺らした。

ステージいっぱい駆け巡りなら全身ギターを弾く亀本アクションは、いつもよりハイだったような気した。近年楽曲ったこともあり、ギターを弾きなら歌う従来スタイルとハンドマイクを使い分ける松尾カリスマ性も、さらに増大していたように思う。ちなみに松尾自ら選んだビンテージ衣装もGLIM SPANKYライブ楽しみ一つだ、こは久しぶりにスタイリスト製作した衣装を着用。ビートルズアートワークも手掛けたこと知られる、サイケデリックカルチャー象徴的美術家、ピーター・マックス作品施された貴重な布を組み合わせて作られたもだそう。そんなあらゆる要素から、新作へ自信を感じ取ることきた。

続いては亀本「今はアルバム全曲やります」と言い、松尾「もう言っちゃうんだ」と返す掛け合いなど、いつもアットホームなMC入り、松尾お気に入り曲だという「光車輪」、松尾ルーツ一つある渋谷系フリーソウルなフィーリングも漂う「ラストシーン」と、新作なら爽快なポップソングを演奏。そこから2017アルバム『BIZARRE CARNIVAL』収録「吹き抜く風ように」へ。こセクションは言うなれば風時間。前述したアンセム3連発による熱気をグルーヴさせなら心地良さへと変えていく。新作獲得したチャンネルにより、旧作新たなポテンシャル引き出され機能するという、常にアップデートをはかりならキャリアを積んだことによるバンド魅力を象徴するような場面もあった。

松尾70年代アシッドフォークやソングライターたちに触発された」と話す変則チューニングを用いた「真昼幽霊(Interlude)」から「Summer Letter」は、どかありならどこかミステリアスなアコースティックギター音色気持ち良い。「Summer Letter後半に向けてバンドサウンド力強さを帯びていく流れ、場内熱は再びじわじわと高まっていく。そこからMCを挟みRBフィーリングな横乗りとロックダイナミズム交差する「愛元へ」、「Glitter Illusion」へ流れは、曲多様性とそれらりを、アルバムとは異なるライブ仕様曲順表現したようなグラデーション。今GLIM SPANKY深さ伺える。

続く「いざメキシコへ」は、2016アルバム『Next One』収録、アルバム曲ありならシングル級人気曲。ライブアレンジイントロ溜めてからロックならヘビーな四つ打ち火を噴くと、大歓声とともに乱舞。そこから2015年にGLIM SPANKY名前を知らしめるきっかけになったシングル「褒めろよ」、新作から「褒めろよ」期に回帰したような「不幸アレ」パワフルなロックアンセムフロアを撃ち抜く。自分たち過去をリファレンスに2023音を鳴らす。そんな文脈を惜しみなく体現して観客を高揚させる姿勇ましい。

宴も終盤へ。松尾と亀本育った長野田園風景と60年代ロンドンをミックスしてビッグなスケール鳴らしたようなサウンドに、圧倒的にグッとくるメロディ乗るバラード「形ないも」は、GLIM SPANKY20年代に生み出したエバーグリーン。そこから松尾「みんな歌いたくて」と話したように、シンプルなコーラス躍動する「Innocent Eyes大合唱起こり、パーティー本編を締めた。

アンコールはこれまライブもハイライトを飾り続けてきた「大人になったら」、GLIM SPANKYアッパーサイドを代表する曲ひとつ「リアル鬼ごっこ」を演奏。もちろん高まる。盛り上る。素晴らしい。しかし、過去キラーチューンを「待ってました」という空気はない。誤解を恐れずに言うならば、ここはピークはなくあくまサービスタイム。『The Goldmine』というまだ生まれたばかり現在進行形GLIM SPANKYを心底楽しむメンバーと観客姿にロック未来を感じた、最高リリースパーティーだった。

そして年を跨い2024年、GLIM SPANKYは全国23か所を回るリリースツアーに出る。となると、こパーティー模様を詳細に書いてネタバレにならないか?と思った、帰ってからGLIM SPANKY作品を聴いてみると、アルバム曲以外すべてを入れ替えても十分に成立するだけストックあることにあらためて気づく。次はどんなステージ待っているか。楽しみ仕方ない。

7th ALBUMThe Goldmine発売となり、年明けから全国ツアー本編も始まるGLIM SPANKY。ロック魂全国に響き渡るに違いない。

<セットリスト>
2023.11.30 7th Album『The Goldmine』Release Tour「The Goldmine Release Party」
(東京・恵比寿リキッドルーム)
01.The Goldmine
02.怒りをくれよ
03.Odd Dancer
04.光の車輪
05.ラストシーン
06.吹き抜く風のように
07.真昼の幽霊(Interlude)
08.Summer Letter
09.愛の元へ
10.Glitter Illusion
11.いざメキシコへ
12.褒めろよ
13.不幸アレ
14.形ないもの
15.Innocent Eyes
<encore>
01.大人になったら
02.リアル鬼ごっこ

GLIM SPANKY オフィシャルサイト 

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