モーニング娘。'23 コンサートツアー秋「Neverending Shine Show 〜聖域〜」譜久村聖 卒業スペシャル＠横浜アリーナ――ライブレポート

モーニング娘。’23の『モーニング娘。’23 コンサートツアー秋「Neverending Shine Show～聖域～」譜久村聖 卒業スペシャル』が、11月29日、横浜アリーナで開催された。タイトルにも冠されているように、グループの9代目リーダーであり、ハロー！プロジェクト全体のリーダーでもある譜久村聖の卒業コンサートになる。

2008年にハロプロエッグ（現ハロプロ研修生）として活動を開始し、2011年1月、当時のモーニング娘。に9期メンバーとして加入して以来、15年5ヵ月にわたってモーニング娘。’23 としてのキャリアを全うした譜久村聖。そんな彼女の卒業を見届けようと、会場には1万2000人ものファンが終結。

譜久村のメンバーカラーであるホットピンクの光が客席で輝く中、卒業コンサートは彼女が最後に参加した最新シングルでもある「Wake-up Call～目覚めるとき～」で幕を開けた。スリリングでハイテンションなサウンドに乗る歌声が、力強くエネルギッシュだ。その後も、「HEAVY GATE」、メンバー紹介VTRに乗せたソロダンス、「セクシーキャットの演説」、「気まぐれプリンセス（23Ver.）」、「What is LOVE？（23Ver.）」と、ダンサブルなナンバーを連発し、一気に会場のボルテージを上げていく。

7曲目の「Only You」までを立て続けに披露すると、最初のMCに。メンバーがこの日のライブへの思いを語り、譜久村は「（本番前の）気合い入れをするときに、“本当に最後なんだな”と実感した」と心情を明かした。

「Happy大作戦」の後のMCでは、メンバーそれぞれが譜久村への思いを語る。グループ史上最長となる9年のリーダー歴を誇る譜久村への尊敬の念、愛を、思い思いの言葉で表現するメンバーたち。感極まって涙を堪えきれなくなった12期の羽賀朱音が、「やっぱり寂しくて。明日からどう生きていいのかわかんないです……」とこぼすと、譜久村は「激重～」と笑顔で返し、会場をほっこりとした笑いで包んだ。そして、ここから本編はラストスパート。「すっごいFEVER！」、「わがまま 気のまま 愛のジョーク（23Ver.）」、「Go Girl ～恋のヴィクトリー～」と続け、ラストはスケール感のある感動的なナンバー「涙ッチ」だ。パフォーマンスの最後にはファンとの間に合唱が起こり、コンサート本編が幕を閉じた。

ホットピンクの光の海に大きな大きな「みずき！」コールが巻き起こる。その声に応え、ステージに戻った14人は、「Neverending Shine（モーニング娘。’23 feat.譜久村聖）」、「One・Two・Three（23 Ver.）」、そして9期メンバーである福村が初めて参加したシングル「まじですかスカ！」をパフォーマンス。それでもまだまだ名残惜しい1万2000人のファンたちは、すぐさま渾身の「みずき！」コールを叫ぶ。「みずき！」コールが鳴り止まない中、会場のライティングの変化にファンたちが静まり返り、息を飲んでステージを見守っている。

そしていよいよ白を基調とした美しいドレスを纏った譜久村が、ゆっくりと姿を現した。1人でステージ中央に立った譜久村は、したためてきた手紙を読み始める。「私、譜久村聖は今日11月29日、モーニング娘。を卒業します」という言葉で始まった手紙には、モーニング娘。に加入したときから現在までの思い出、ファンへの感謝、メンバー一人ひとりへの思い、今の自分の気持ちと幸福感が綴られていた。同期である生田衣梨奈へのメッセージを読む際に、瞳を潤ませ声を震えさせる瞬間があったものの、涙は見せずにやわらかい笑顔で思いを伝えた譜久村。その姿を、会場は万雷の拍手で讃えていた。

手紙を読み終えた譜久村は、モーニング娘。の中で最も好きな曲だという「I WISH」を1人で歌い始める。〈人生って すばらしい ほら 誰かと 出会ったり 恋をしてみたり Ah すばらしい Ah 夢中で 笑ったり 泣いたり出来る〉と歌われる人生讃歌は、今までの譜久村を支えてきた歌なのだろうし、今の心情を映した歌なのだろう。そしてこれからの人生の糧にもなるに違いない。これ以上ない選曲と、笑顔を忘れず丁寧に歌う譜久村の姿に、横浜アリーナが大きな感動に包まれる。

メンバーもステージに姿を見せ、残りわずかとなった14人でのパフォーマンスを披露する。そんなダブルアンコールのラストは、楽しく弾けるポップナンバー「みかん」。全員でお辞儀をし、最後は1人ステージに残った譜久村が大きく手を振りながら去っていく。それでも鳴り止まない「みずき！」コールに応え、ステージに戻った譜久村は笑顔を見せ、15年にわたるモーニング娘。’23 としてのキャリアに美しく幸せなピリオドを打った。

（おわり）

取材・文／大久保和則