春の解放 2025」@KT Zepp Yokohamaライヴレポート

文:天野史彬

撮影:オカベメイ

 

5月31日、4人組バンド「花冷え。」が自主企画イベント春の解放 2025」をKT Zepp Yokohama(神奈川)にて開催した。2018年にメンバー高校卒業記念として第1回目をライブハウス渋谷CYCLONE開催して以来、毎年恒例となっている「春の解放」。今年結成10周年を迎え、最近は国内だけなく北米やヨーロッパなど海外ツアー飛び回り、昨年はアメリカ最大フェス「ロラパルーザ2024」メインステージに出演するなど活躍花冷え。とあって、今年春の解放」は過去最大キャパシティ会場開催となった。今年出演者は花冷え。に加え、4s4ki、Fear, and Loathing in Las Vegas 、Fox Lake(from USA)、Knosis、MIGHTY HOPE。さらにDJと (ex:ヒステリックパニック)とLIFE is SAMPLING2組が転換時DJアクトとして出演。総勢8組による盛りとなった。

カラフルクールな衣装に身を包み、ラウドなロックダンサブルなポップ自ら表現に飲み込む花冷え。姿は貪欲かつ独創性に満ちている。そして同時に、自ら内側にたぎる「衝動」や「好き」、それにアンビバレントな感情臆せず発露させる彼女たち姿は、とてピュアナチュラルだ。そんな花冷え。だからこそ生み出し得た数々越境と出会いがあり、そ果てに生み出された幸福な1日、それが「春の解放 2025ある。ちなみに、こ出演順はトリ花冷え。以外は事前に告知されず、当日お楽しみとなっていた。

 

開演時間15時を過ぎてKT Zepp Yokohamaに入ると、ロビーには物販だけなくフォトブースやアパレル・フード出店あって、空間は完全におり使用だ。開場から開演時間ま会場を温めていたは、DJととLIFE is SAMPLINGによるDJプレイ。こ日1日を通して交互に転換DJを務めた両者DJプレイが、会場空気を音楽震わせ続けた。そして開演時間16時になり、ライブ本編が始まる。1組目にステージに登場したは、Knosis(ノーシス)。元Crystal LakeボーカリストRyoによって2023年より始動した音楽プロジェクトだ。暗雲を切り裂いて差し込む光ように神々しい照明に照らされる中登場した5人バンド編成Knosisは、獰猛な音塊を会場に突き刺していく。人間インナーゾーンから湧き出した得体知れない何がが、音楽やバンドという肉体を通し、まだ見ぬ誰かへと届く――そんな「個」と「世界」を繋ぐ「表現」という回路を開拓し続けてきた表現者Ryo。彼が率いるKnosisステージは、イベントトッパーを務めるに相応しい瑞々しい覚醒感会場を熱狂させた。「FUHAI」は音源と同じく花冷えユキナ(Vo)がステージに登場しコラボレーションを披露イベントはじまりを背負う覚悟を感じさせるKnosis激しくしいパフォーマンス、「春の解放2025」は幕を開けた。

続いては、日本ハイパーポップ代表格といえるアーティスト4s4ki(アサキ)。DJとふたり編成出演となった彼女は、こ日唯一バンド以外セット出演となったが、そ極彩色カオティックな存在感は花冷え。と深い場所リンクを感じさせるし、何より、そマッシヴなビートと感情洪水ようなメロディがたらす感動はまさに「解放」と呼ぶに相応しい。エナジェティックなハイパーポップサウンドだけなく、「風俗嬢iPhone拾った」はピアノと歌だけ弾き語り会場を深い沈黙に誘うなど、表現力豊かさ圧巻だった。MC繰り返し語った「死ぬ気やってるから、死ぬ気かかってきてほしい」という言葉印象的だったが、そ言葉後にはじまるはいつ優しい曲たち、こ優しさや繊細さこそ、4s4kiが死ぬ気守りたいしれない。

3番手に登場したは、2020年に結成された3人組バンドMIGHTY HOPE。サポートを含めた4人編成登場した彼女たちライブは、Rico(Vo/Gt)太さを感じさせる威風堂々とした歌声と佇まい、そして雄なビートとメロディが描き出す力強いロックサウンドが会場全体を包み込むように響き渡った。スピリチュアルな肯定感と地に足着いた力強さが込められた、自然光を放つような1曲1曲に生きる力を与えられるようだ。MC、こイベントに呼ばれたこと意味について語ったRico発言中にあった、「何かわからないけど通じる……何かわからないけどカッコいい、綺麗、素敵。そんな想いを私たちは事にしていて、形にならない何かを追い求めています」という言葉は、きっと「春の解放2025根底にあること言い表していたはずだ。

4番手はFear, and Loathing in Las Vegas。昨年は自身対バンツアーに花冷え。を招いたラウドロック界雄が、今度は花冷え。に招かれ「春の解放2025」に登場した。1曲目「Return to Zero」から、混沌と調和を自在に操りながら爆発的な盛り上がりを見せるパフォーマンス。狂騒的なビートとメロディ観客たちを翻弄し、興奮渦に巻き込みつつ、パラパラや「Virtue and Vice」タケノコダンスなどユーモラスな振り付け一体感を生み出すそ姿は流石に百戦錬磨ライブバンド。観客たちみくちゃになりながら咆哮を上げるMinami(Vo, Key)姿、グッチャグチャなに美しかった。今年は9月に阪神淡路震災から30年節目として、主催フェス「POWER OF KOBE」開催発表しているFear, and Loathing in Las Vegas。背負うきくしていく今彼ら逞しさと、不変鮮度人々を巻き込み続けるそユーフォリアとカオスを堪能した。

5番手はアメリカから参加となったFox Lake。彼らは2023年に行われた花冷えアメリカツアーを共に回ったバンドあり、そんな彼ら来日公演がこイベントあることに感慨深さを感じる人多いだろう。4ピース、ヘヴィありながらしなやかなバンドサウンドと、Nathan Johnson(Vo)まるアジテーションようなボーカルは、猛烈に聴き手にコミュニケーションを求めていた。「生きている国が違うとか、喋っている言語が違うとか、そんなことは音楽した問題じゃないんだ」と言わんばかりに、「俺とおまえが生きているってことを教えてくれ」と言わんばかりにFox Lakeは聴き手と音楽語り合い、ぶつかり合い、重なり合うことを求めているようだった。そして、そんなFox Lakeから切実情熱的なコミュニケーション希求に対して、観客たちは熱狂的なリアクション応える。超密度コミュニケーション中から、幸福と尊厳と生確信を見出していく――そんなハードコアパンクが抱く希望純粋な部分を体感するような素晴らしいパフォーマンスだった。

そしてトリは「春の解放2025主催者・花冷え。だ。ステージ「最から今こ瞬間ま、幸せす! 幸せす! 幸せす!」と叫んだユキナ。本当に彼女たち演奏は、1曲目「超次元ギャラクシー」から最後「センチメンタル☆ヒロイン」に至るま、ずっと幸せを噛みしめているようだった。幸せにとろけているわけじゃない。幸せを、歯を食いしばって噛みしめていた。そ目は未来を睨んいた。ユキナ、マツリ(Gt/Vo)、ヘッツ(Ba)、チカ(Dr)4人は、今に溢れそうな感情を音に凝縮して爆発させていた。「これがバンド生き様だ」と言わんばかりに。今という瞬間奥にある10記憶を背負いながら、しかし過去に浸ることなく、決然と未来に突き進うとする気高さと気品がそこにはあった。2曲目「L.C.G」は、DJとしてこ日1日を盛り上げ続けたと (ex:ヒステリックパニック)がゲストボーカルとして登場。さらに「今年こそギャル~夏ver.~」は、谷口友朗(トランペット)、小池隼人(トロンボーン)がホーン隊として加わり、ハイパーダンサブルなサウンドに更なる彩りを加える。終盤に披露された「お先に失礼します。」はFox LakeNathanがステージに登場。こ日だからこそ貴重なコラボレーション花開くステージだった。

最新シングル曲「Spicy Queen」を演奏する前に、ユキナは言った。「めて海外ツアーに行ったアメリカ、ハードスケジュール心が折れそうだったんす。そんな中出会ったFox Lakeが今日来てくれたこと、ひとつ目標が叶えられたなと思ってます。アメリカツアー最終日、あんな激しいハードコアを聴いて、私は涙を流したんすよ」。なぜ彼女が涙したか、そ理由はこ日Fox Lakeライブを観た人にはわかるはずだ。少なくと筆者にはわかる。そしてユキナは続ける。「そんな海外ツアーだけど、日本、いろいろなところに行って、いろいろな人に出会って、それはみんなおかげ。これからしっかり、みんなにっとっと恩返ししたいと思っています」。そして、こ発言を簡潔に英語言い直した後こう付け加えた。「10年、好きな音楽を作ってこれたことに幸せを感じてます。みんなが着いてきてくれたからす、ありがとう!」。

 

花冷え主催春の解放 2025」は、様々な轟音に彩られながら、とて温かいイベントだった。誰かに押し付けられる「普通」や「正解」をはみ出してオリジナルな人生を生きる気高い音楽家たちが、世代ジャンル超えて繋がり合う1日だった。「人はひとりじゃない」ということと、「人はひとりなんだ」ということ、どちら尊さしっかりと伝えてくれるおりだった。そ中心にいた花冷え、彼女たち10年間爆走歴史が、こ温かい1日を生んだだった。そな歴史は、これからさらに更新されていくはずある。

▼リリース情報
花冷え。「Spicy Queen」
配信日:2025年5月28日(水)
配信URL:https://hanabie.lnk.to/SpicyQueen

▼「Spicy Queen」Music Video

▼花冷え。国内ライブ情報
≪花冷え。pre.「春の大解放祭 2025」≫ 2025年5月31日(土) KT Zepp Yokohama 
毎年開催の自主企画!バンド結成10周年となる今年は過去最大規模で開催!
https://hanabie.jp/live/in.html?liveid=53141
 
 
≪SATANIC CARNIVAL 2025≫ 2025年6月14日(土) 幕張メッセ
 
≪DEAD POP FESTiVAL≫ 2025年6月29日(日) 神奈川県川崎市 東扇島東公園 特設会場
 
≪MAYDAY-FINAL-≫ 2025年7月4日(金) 渋谷サイクロン
 
≪FRONTLINE FESTIVAL 2025≫ 2025年9月6日(土) 川崎 CLUB CITTA’
 
≪山人音楽祭  2025 ~10th Anniversary~≫ 2025年9月20日(土)~9月21日(日) 日本トーターグリーンドーム前橋
 
▼花冷え。海外ライブ情報
 
≪Vans Warped Tour≫ 2025年7月26日(土)~7月27日(日) @ アメリカ
 
≪Wacken Open Air 2025≫ 2025年7月30日(水)~8月2日(土) @ドイツ
 
≪Open Air Granichen Festival≫ 2025年8月2日(土) @スイス
 
≪BILBAO OPEN AIR≫ 2025年8月3日(日) @ イタリア
 
≪Leyendas Del Rock 2025≫ 2025年8月7日(木) @ スペイン
 
≪BRUTAL ASSAULT 2025≫ 8月9日(土) @チェコ
 
≪HANABIE. Live in Belgrade≫ 2025年8月11日(月) @ セルビア
 
≪HANABIE. Live in Ljubljana≫ 2025年8月12日(火) @ スロベニア
 
≪SUMMER BREEZE 2025≫ 2025年8月13日(水)~8月16日(土) @ドイツ
 
≪Reload Festival≫ 2025年8月14日(木)~8月16日(土) @ドイツ
 
≪Dynamo Metal Fest 2025≫ 2025年8月16日(土) @オランダ
 
≪HANABIE. EU & UK 2025≫ ⇒全21公演のヘッドライナーツアー!
2025年10月31日(金) Glasgow, UK - QMU (イギリス)
2025年11月1日(土) Manchester, UK - Academy 2 (イギリス)
2025年11月2日(日) Birmingham, UK - O2 Institute (イギリス)
2025年11月4日(火) Dublin, IE - The Academy (アイルランド)
2025年11月5日(水) Belfast, UK - Limelight (イギリス)
2025年11月7日(金) London, UK - Electric Brixton (イギリス)
2025年11月8日(土) Paris, FR - Élysée Montmartre (フランス)
2025年11月9日(日) Brussels, BE - Ancienne Belgique (ベルギー)
2025年11月11日(火) Amsterdam, NL - Melkweg (オランダ)
2025年11月12日(水) Cologne, DE - Live Music Hall (ドイツ)
2025年11月14日(金) Warsaw, PL - Progresja (ポーランド)
2025年11月15日(土) Gdańsk, PL - B90 (ポーランド)
2025年11月16日(日) Kraków, PL - Kwadrat (ポーランド)
2025年11月18日(火) Berlin, DE - Huxleys Neue Welt (ドイツ)
2025年11月21日(金) Vienna, AT - Gasometer (オーストリア)
2025年11月22日(土) Prague, CZ - Palac Akropolis (チェコ)
2025年11月23日(日) Budapest, HU - Dürer Kert (ハンガリー)
2025年11月25日(火) Munich, DE - Backstage Werk (ドイツ)
2025年11月26日(水) Frankfurt, DE - Batschkapp (ドイツ)
2025年11月28日(金) Toulouse, FR - La Cabane (フランス)
2025年11月29日(土) Barcelona, ES - Apolo 2 (スペイン)
2025年11月30日(日) Madrid, ES - Sala Mon (スペイン
 
 
ライブの詳細は下記オフィシャルHPから!
https://hanabie.jp/live/

▼花冷え。プロフィール
東京発ガールズラウドロックバンド「花冷え。」
2015年、ユキナ、マツリ、ヘッツにより高校の軽音部で結成。
2023年5月よりチカが加入。
小柄でキュートなルックスからは想像出来ないシャウトやヘヴィーなサウンドに、ジャパニーズ・テイストが加わった唯一無二の楽曲で、国内外問わず中毒者が急増中!
代表曲「お先に失礼します。」Music VideoはTikTokで500万回再生を突破し、YouTubeでは950万再生を突破!
2024年12月にはEP「ぶっちぎり東京」をリリースした。2025年はバンド結成10周年を迎える。

花冷え。公式サイト

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