10月からは全国18会場を回る全国ツアーの開催と、年内に5枚目のFULL ALBUM「逆鱗」をリリースすることを発表しているポルカドットスティングレイ。
先日7月4日(金)に後輩アーティスト「Chevon」との対バンライブが開催となったが、当日のライブレポートが到着した。

昨年に続き2年連続での開催となったポルカドットスティングレイの対バンツアー「#ポルカVS」。前回は「お世話になった先輩を殴りに行く」と題してtricot、フレデリック、KEYTALK、追加公演にはKANA-BOONという先輩バンド4組を呼んで熱い夜を繰り広げたこのツアーだが、今年は「若いやつをしばく」――つまり、後輩を相手にガチンコ勝負を挑むという趣向である。初日となった6月20日の福岡公演ではMega Shinnosuke、6月27日の大阪公演ではヤングスキニー、6月29日の名古屋公演ではシンガーズハイと、各地で今勢いに乗る若手と音を交え、辿り着いたツアーファイナル・東京公演。渋谷・Spotify O-EASTで相見えるのは、北海道出身の3人組Chevon。いうまでもなく、今もっとも勢いに乗っているバンドのひとつである。

開演前から異様なほどの熱気に包まれた会場に、まずはそのChevonが登場してその切れ味を見せつける。谷絹茉優が初っ端から「若いやつをしばくですって? しばかれてたまるかってんだ!」と叫ぶバトルモードで始まったライブの破壊力は、のちにステージに立ったポルカドットスティングレイ・雫をして興奮のあまり語彙を失って「マジヤバい」と言わしめるものだった。そんなステージを目の前で繰り広げられて、ポルカドットスティングレイも黙っているわけがない。Chevonに刺激を受けて、この日のポルカはすさまじくパワフルな、何かが溢れ出すようなライブを展開していった。もっとも、そのアグレッシブさの理由はそれだけではなかったことが、ライブの終盤に至って明らかになったのだが。

SEからつながる形で「女神」でスタートしたライブは、のっけからオーディエンスの手拍子と声が渦巻く大熱狂を生み出し、「パンドラボックス」を経て「自己紹介するね、Chevonです」という雫の一言から突入したChevon「冥冥」のカバーを投下するに至って、早くも最高潮を生み出した。「かかってこい!」「来いよ、東京!」。雫は何度もフロアを煽り立て、そのたびに場内のボルテージは高まっていく。もう、この場にいる全員が前のめりのファイティングモード。雫の穿いたシルバーのパンツが、その闘志を物語るようにギラギラと輝いている。雫が話した「気合い入りすぎてChevonが差し入れてくれたでっかいメロンが人の頭に見えた」というエピソードも、あながち冗談ではないだろう。それほどの気合いとテンションが、ライブが始まった瞬間からO-EASTには充満していた。

「アウト」ではエジマハルシのギターソロが会場を沸かせ、続く「FICTION」では一転して妖艶なグルーヴが手拍子を誘うなか、エジマ、ウエムラユウキ、ミツヤスカズマそしてサポートを務めるキーボーディストtoriyama takashiのソロの応酬がさらなる高揚を連れてくる。そしてイントロが鳴り、ステージのバックにあるスクリーンにミュージックビデオが映し出された瞬間に歓声が起こった「ゴーストダイブ」ではオーディエンス全員を巻き込んでのお化けポーズで会場がひとつになる。ライブはまだ中盤だが、早くもクライマックスのような昂りがフロアにもステージにも溢れかえっている。だが、メインディッシュはこれから。中盤、「ヒミツ」を経て「サレンダー」を終えた雫が、改めて「気合いが入って仕方ない、今日」と興奮気味に口を開く。「(今年)33歳になると、こんな大暴れしたら膝とか腰が大変なことになってる」とボヤきながら、「でも、じつはここからが盛り上がりゾーンなんですよ」とフロアを焚き付ける雫。実際、ここからがすごかった。「エレクトリック・パブリック」に「ICHIDAIJI」、そして「テレキャスター・ストライプ」。曲を重ねるごとに最高到達点を更新していくような勢いで、場内の熱気はぐんぐん上昇していく。そしてあっという間にライブは最後の曲。雫が「ポルカ今年新曲いっぱい作っとるっぽいけどやらんのかな?って思ってたと思うんですけど……やってもいいけど、どうする?」とフロアを挑発するように問いかけると、割れんばかりの歓声がステージに向かって放たれる。「本編最後の曲は、〈最後の曲は〉っていう歌詞から始まる新曲をやりたいと思います。推しについて歌った曲です。、推し活って、推してる方もパワーもらえるけど、推されてる側もめっちゃパワーもらっとるんよね」とその曲に込めた思いを語った雫が、「推しがいる君たちと、推される私たちのアンセムを最後に聴いてください」と「推せ」を歌い始める。ガンガンと力強くかき鳴らされるギターと疾走感溢れるビート、伸びやかなメロディが、怒涛の勢いで突き進んできたこの日のライブを作ったオーディエンスを讃えるように鳴り響き、ライブ本編ラストを鮮やかに彩った。

その後アンコールに応えて再びステージに戻ってきたポルカ。途中でChevon谷絹も参加して雫とのデュエットを披露した「DENKOUSEKKA」が一度落ち着きかけたフロアに再び着火すると、ここでポルカからの重大発表。今年の冬に通算5作目のフルアルバム『逆鱗』がリリースされること、そしてそれに先んじて、10月15日の雫の誕生日に行われる恒例の「#教祖爆誕」を皮切りに全国ツアー「#逆鱗 に触れるツアー」が行われることが告知されると、フロアから大きな拍手が湧き起こる。それを浴びながら、雫はこの新しいアルバムに込めたものを語り始めた。

2022年にアルバム『踊る様に』をリリースして以降苦しんできたこと、そのなかで初めてチームができ、いろいろな人に支えてもらって復活できたこと。さらに彼女は、昨年「JO-DEKI」を泣きながら書いたことを振り返りながら、「今年ね、ある曲を嬉しくて泣きながら書いたんですよ。それはまだ聴かせられないんですけど、また幸せなクリエイター人生に戻れた」と今のモードを明かす。「本来の私は、我々ポルカドットスティングレイは、ただただバッドな状況になって『無理、やられた、でもそういうこともあるよね』ではないって思い出した。『私の逆鱗に触れるなどいい度胸や。クリエイティブで、ライブで、跳ね返してやるから見とけよ』という『逆鱗』です」。対バンだからというだけではなく、そんな気持ちの動きがあるなかでの今回のツアーだったから、この日のポルカはこんなにもアグレッシブで勝ち気だったのだ。そして、アルバムを作り上げ、その感覚を取り戻せたからこそ「より攻めの気持ちで演奏することができます」と、最後の曲「JO-DEKI」が披露される。曲が終わり雫が床に置いたギターから、これから物語が続いていくことを示唆するようにノイズが鳴り響き、オーディエンスの歓声と拍手が続くなか、「#ポルカVS 2025」はその幕を下ろしたのだった。

TEXT=小川智宏
カメラマン=AZUSA TAKADA

なお、ポルカドットスティングレイは、10月より全国18会場を回る全国ツアーの開催と、年内に5枚目のFULL ALBUM「逆鱗」をリリースする。
全国ツアータイトルは「#逆鱗 に触れるツアー」。
Vo&Gt.雫の誕生日である10月15日「#教祖爆誕 ワンマン」 in Zepp Haneda公演を皮切りに、12月20日の仙台PITまで全国17都市を巡礼する。

また、11月7日には自主企画“ポルフェス”100回目を記念して、ポルカがメジャーデビュー発表を行なった東京キネマ倶楽部にてFC限定ライブを実施。
ツアーとは異なる”スペシャル”な企画を計画しており、各公演とも、ポルカドットスティングレイ公式FC「半泣き黒猫団+」にて、アルティメットFC先行受付中。

年内リリース予定の5th FULL ALBUM「逆鱗」の詳細は、追ってお知らせとなる。

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