歌手・森口博子が1月24日、東京国際フォーラム ホールCで、デビュー40周年を記念して行われた「森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第一章“Your Flower”」のツアーファイナルを迎えた。ツアーに先駆けて2025年12月3日にリリースした40周年アニバーサリーアルバム『Your Flower ~歌の花束を~』は、売野雅勇、岸谷香、木根尚登(TM NETWORK)、西村由紀江、西脇唯、ニール・セダカ、畑亜貴、平松愛理、広瀬香美、前山田健一ら豪華な顔ぶれが参加し、バラードやロック、ノベルティーソングなど色とりどりな楽曲がラインナップ。2019年より毎年リリースしてきたアルバム8枚が全てオリコントップ10ランクインするなど、40年間途切れることなく音楽活動で積み上げてきた森口の軌跡が詰まった一作で、オリコンデイリーアルバムランキングで5 位をマークした。

公演では、森口自身が「ガンダムがきっかけの人、J-POPがきっかけの人、バラエティがきっかけの人、全ての人に刺さる全方位型コンサート」と宣言。全方位型というコンセプトこそ、40年のキャリアで築き上げた唯一無二のアイデンティティとも言え、その言葉通り、多岐にわたるキャリアを存分に堪能できる内容だった。40年分の感謝を歌の花束に変えてファン一人ひとりの心に届けた温かく、力強い一夜となったアニバーサリーツアーのファイナルステージの模様をレポートする。

コンサートの幕開けは、多くのファンの意表を突くような選曲だったに違いない。森口の代名詞とも言える名曲「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」の荘厳なイントロが響き渡ると、客席からどよめきが起こる。クライマックスを飾ってもおかしくない名曲を冒頭に持ってくる構成は単なるサプライズにとどまらず、同曲へのアンサーソングとして生まれた「ETERNAL DAYS ~あなたがいてよかった~」へとつながる壮大な布石。40年の物語を繋ぐ意志を感じさせるオープニングアクトだったことを後に気づかされる。

突き抜けるようなきらびやかな歌声で観客の心をわしづかみにしたのも束の間、ステージの空気は一変する。男性ダンサー2名を従え、大胆なスリットが入ったブルーのドレスでアッパーなアニソン「鳥籠の少年」、そして「サムライハート」を立て続けに披露。力強い歌声とキレのあるダンスのセッションで、灼熱のライブハウスに変貌を遂げたかのように会場のボルテージは瞬く間に最高潮へと達した。壮大なバラードからエネルギッシュなナンバーへ。客席の完璧なレスポンスには、森口も「みんな打ち合わせしたのっていうぐらい呼吸がぴったりで気持ちがいい」とにっこり。アニソンシンガー・森口博子の真骨頂を見せつけた展開は、彼女が持つパフォーマンスの幅広さを鮮やかに提示されていて圧巻だった。

“ガンダムの歌姫”やアニソンシンガーと並び、森口のキャリアを語る上で欠かせない重要な一角を担うのがJ-POPシンガーとしての側面だ。アニソンパートの熱狂冷めやらぬ中で披露されたのは、人気番組『夢がMORI MORI』のテーマソングとして一世を風靡した「あなたといた時間」と「もっとうまく好きと言えたなら」。いつまでも色褪せない心地よいメロディに、経験に裏打ちされた深みと艶やかさを伴った森口のボーカルが楽曲に新たな説得力を与えていく。甘く切なく響く歌声に甘酸っぱい記憶を呼び覚まされたファンも多かっただろう。

そしてステージはがらりと雰囲気を変え、「大人の時間」と題したアコースティックコーナーに突入。バンドメンバーと共に椅子に腰掛けてパフォーマンスするのだが、森口が準備している間、会場から「かわいい~!」の声援が飛ぶと、森口は「そういうのは大きな声でお願いします(笑)」と応えて会場の笑いを誘う。

リラックスした雰囲気の中で届けられたのは「髪を切ったら」。森口もブルースハープやパーカッションを演奏し、バンドメンバーとのセッションでも盛り上げた。続く「Last, Last Dance」は、毎回セットリストに入れてしまうことを悩みながらも、ファンの毎回でも大丈夫という優しさに「甘えて歌わせてもらいます」という愛着の深い一曲。アコースティックアレンジに乗せて届けられた歌は、楽曲本来のメロディの美しさと歌詞の持つ世界観が一層際立っていた。さらにスターダスト☆レビューの根本要が作詞作曲を手掛けた「空と雲」を歌い上げると、森口のしっとりしつつも情熱的な歌声が相まった濃密な響きに、感極まるファンも見かけられた。

続くMCで「音楽を届けられるのは求めてくれているファンの存在があってこそ」と改めて感謝の気持ちを伝えると、会場から大きな拍手と歓声が贈られた。そしてコンサートの前半を締めくくったのは、最新アルバム『Your Flower ~歌の花束を~』からの新曲たち。平松愛理が提供した“大人の応援歌”「Good Morning Good Night」では、ポップさをまといながらも力強いアップチューンを熱唱。聴いているだけでパワーが湧いてくるような歌声に、直前のMCで一体となって楽しむため念押ししたコール&レスポンスも見事に決まり、森口とファンは一つになっていた。続けてTM NETWORKの木根尚登が作曲し、畑亜貴が作詞を手がけた「真心ブーケ」をアクト。温かく壮大なバラードは森口の40年の歩みを肯定するような歌詞が印象的で、聴く者の心にも深く静かに染み入り、楽曲に抱きしめられているような感覚に会場中が酔いしれていた。

すでにコンサート1本分の楽しさを味わえたと言っても過言ではないが、15分の休憩を挟み、コンサートはさらなる感動と興奮が待ち受ける後半へ。40周年アニバーサリーアルバムのジャケット写真でも使われているオートクチュールの鮮やかな黄色いドレスをまとった森口がステージに登場し、紗幕を使った幻想的な演出からスタート。「君をみつめて -The time I’m seeing you-」の『GUNDAM SONG COVERS』バージョンの熱量あふれるロックバラードにスケール感あふれる歌声、紗幕に投影された宇宙空間やユリの花の映像がシンクロし、視覚と聴覚の両面から感動を呼び起こされた。いつもの“動”の演出とは一転した“静”の表現にも賛辞が贈られた。さらに映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の主題歌「Ubugoe」でも紗幕に映された大自然の映像と優しく語りかけるような歌声の相乗効果で楽曲の世界観を何倍にも増幅させ、観客を深く引き込んだ。

曲間のMCではガンダムソングについての言及も。各年代でガンダムソングを担当してきた森口だが、40代の頃、まだオファーが来ていないにもかかわらず「50代でもガンダムのテーマソングを歌う」と口にし、それが安彦良和監督の目に留まり「Ubugoe」へと繋がったエピソードを披露。そんな“言霊”を信じる森口が「60代になってもガンダムのテーマソングを歌います!」、さらに「70代になっても歌います!」と宣言すると、会場中が奇跡の再現を信じる拍手で満たされた。

ここでステージは、かつての大人気音楽番組を模した「ザ・ベストテン」のコーナーへ。「当時出演できなかった夢を叶える」というコンセプトで、昭和の名曲をランキング形式で紹介していく。久保田早紀の『異邦人』、ジュディ・オングの『魅せられて』、渡辺真知子の『かもめが翔んだ日』という珠玉の3曲を、番組の司会者だった黒柳徹子のモノマネでユーモラスなMCを交えながら熱唱。中央線の車窓から見た風景が『異邦人』の原点だった話、「ジュディ・オング式やけどしない蒸しタオル」の作り方、渡辺真知子の差し入れが「アルパカのマシュマロ」だったエピソードなど、愛ある小ネタを連発する一方で抜群の歌唱力で名曲を表現する姿は、エンターテイナーとしての卓越したセンスが融合した、まさに森口博子の真骨頂と言える時間だった。

会場が一体となって笑いと拍手に包まれた後、森口は衣装チェンジのため降壇。その間もバンドメンバーの演奏に併せて、初めて一人暮らしをしたときに「洗濯機が爆発しそう」と電器屋のおばちゃんに泣きついたなど、各曲を発表した当時のエピソードを森口のナレーションで届ける演出で楽しませてくれる。アイドル衣装に膝下まであるロングブーツ、さらに帽子に三つ編みというデビュー当時の森口を彷彿させるアイテムを加えた赤色コーデで登場した森口は、前山田健一(ヒャダイン)が手がけた「元祖バラドルなんだもん!」をアクト。バラドル時代の体験談をコミカルな歌詞に乗せたポップなハッピーチューンを元気いっぱいに歌うキュートなステージングには、会場全体が釘付けとなった。ギアを上げるように「夢がMORI MORI」「ホイッスル」を連続パフォーマンス。「MORI MORI」コールでのファンとのコミュニケーションは会場を一体にするエネルギーに満ちあふれ、森口も「ホイッスル」の演奏終わりにジャンプを決めると、「たのしい~!さいこ~!」と笑顔を見せた。

極めつけは、ステージ上で行われた「生着替え」。ダンサーが持つ幕の中で次の衣装へと着替えるパフォーマンスは、かつての人気番組『スーパーJOCKEY』のよう。コンサートの流れを止めずにファンを楽しませるために考えられた演出に喝采が送られていた。ガンダムの壮大な世界観を歌い上げた数分後に黒柳徹子になりきり、昭和の伝説的バラエティ番組のギミックで観客を沸かせる。この振り幅とファンサービス精神こそ、歌声と同じくらい森口の強力な武器であり魅力だと改めて実感した。

純白のドレスに身を包んだ森口は、親友でもある広瀬香美が森口とファンとの絆をテーマに書き下ろした「forever and ever and ever and ever.......」を歌唱。広瀬から「博子ちゃんとファンのみんなの繋がりが素敵」と言われたことをうれしそうに語った森口が、万感の思いを込めて歌う声は、永遠の繋がりを誓う祈りのように響き渡り、拍手の音が鳴り止まなかった。

本編最後に届けられたのは、1曲目に披露した「ETERNAL WIND」の「その後」が描かれたアンサーソングであり、同じく西脇唯が作詞・作曲を手がけた「ETERNAL DAYS ~あなたがいてよかった~」。「私が選んできた道、歩んできた道は間違いじゃなかったって、心から今日思いました」と声を震わせながらファンへの思いを語った森口は、訴えかけるように、切々としていて、でも温かみ感じさせる歌声で会場を深い感動に包んだ。

鳴り止まない拍手に応えて再びステージに登場した森口。アンコール1曲目は、森口が「私とみんなの出会いの曲」と表現するデビュー曲「水の星へ愛をこめて」を歌唱。森口が「『機動戦士Zガンダム』の主題歌、水の星へ」と呼びかけ、客席が「愛をこめて」と応じる恒例のやりとりから、いつまでも色あせず森口とファンを繋げ続けている名曲を、深みと荘厳さを漂わせるトーンで歌い上げる。さらに間髪入れず「スピード」へ。アグレッシブなポップチューンでは、コール&レスポンスや「ピロコ」の合いの手も交えて会場のボルテージは最高潮に達した。

ファンと共に原点を確認し未来への希望を分かち合った後、アニバーサリーツアーの第二章として音楽プロデューサー・武部聡志とのピアノと歌だけの全国ツアー、そして第三章として東京オペラシティでのオーケストラコンサートの開催を発表。客席からは喜びの大歓声が上がった。

感動的なアンコールを終えて本来なら終演だが、熱烈な声援に応えて森口は再度ステージへ。「終わるのが本当に惜しい」と率直な思いを口にした森口は、第二章で共演する武部が会場を訪れていることを明かしステージに呼び込む。森口からファンへの感謝の気持ちを込めた、武部とのセッションによる特別なダブルアンコールがコールされると、割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。

武部のピアノ伴奏で披露されたのは「銀色ドレス」。デビューシングル「水の星へ愛をこめて」のカップリングで、森口が「初めて人前で歌った曲」でもある。キャリアの原点となった一曲が最高の形で蘇る。息をのむような静寂と感動が会場を支配し、節目の年の“集大成”を感じさせる至高のひとときだった。続けて奏でられた「水の星へ愛をこめて」は、バンドサウンドとは表情が異なり、武部のピアノと森口の歌声だけで紡がれる荘厳で繊細なパフォーマンスが圧巻。キャリア全てが凝縮されたような魂の歌唱、そしてラストの会場と一体となった合唱は、記念すべき一夜の終わりを、最も美しく、感動的な形で彩った。

アニソンシンガー、J-POPシンガー、そしてバラドル。森口が持つ多様な顔の全てを詰め込み披露された歌の花束は、ファンへの最大級の感謝と愛の表明に他ならない。キャリアを重ねてなお輝きを増し続ける森口の音楽の旅は、これからも我々の心を揺さぶり続けてくれるだろう。

テキスト:遠藤政樹

写真:高田真希子

■セットリスト

1.ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~(『機動戦士ガンダムF91』主題歌)

2.鳥籠の少年(SANKYO『CRフィーバー機動戦士Ζガンダム』搭載曲)

3.サムライハート(『鎧伝サムライトルーパー』オープニングテーマ)

4.あなたといた時間(『夢がMORI MORI』テーマソング

5.もっとうまく好きと言えたなら(『夢がMORI MORI』テーマソング)

6.髪を切ったら

7.Last, Last Dance

8.空と雲

9.Good Morning Good Night

10.真心ブーケ

11.君をみつめて -The time I’m seeing you-(『機動戦士ガンダムF91』イメージソング)

12.Ubugoe(『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』主題歌)

13.異邦人(カバー/久保田早紀)

14.魅せられて(カバー/ジュディ・オング)

15.カモメが飛んだ日(カバー/渡辺真知子)

16.元祖バラドルなんだもん!

17.夢がMORI MORI(『夢がMORI MORI』テーマソング)

18.ホイッスル(『夢がMORI MORI』テーマソング)

19.forever and ever and ever and ever.......

20.ETERNAL DAYS ~あなたがいてよかった~

<アンコール>

21.水の星へ愛をこめて(『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ)

22.スピード(『夢がMORI MORI』テーマソング)

<ダブルアンコール>

23.銀色ドレス / with 武部聡志(『機動戦士Ζガンダム』挿入歌)

24. 水の星へ愛をこめて / with 武部聡志(『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ)

<公演情報>

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第一章 "Your Flower"

2026年1月24日(土)開場 17:00 / 開演 18:00 / 終演 21:20予定

東京国際フォーラム ホールC

主催/企画:キングレコード・協力:ノーリーズン・制作:モストプランニング

■森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第二章 “二人だけの語らい” (歌とピアノ編)

【公演スケジュール】
[日程] 2026年4月19日(日)
[会場] 宮城・仙台市シルバーセンター 交流ホール
[時間] 開場16:00 / 開演16:30

[日程] 2026年5月4日(月/祝)
[会場] 大阪・吹田市文化会館 メイシアター 中ホール
[時間] 開場15:45 / 開演16:30

[日程] 2026年5月5日(火/祝) 
[会場] 愛知・今池ガスホール
[時間] 開場16:00 / 開演16:30

[日程] 2026年5月21日(木)
[会場] 東京・草月ホール
[時間] 開場17:45 / 開演18:30

【出演】
森口博子(Vocal)
武部聡志(Piano)

【席種・料金】
全席指定 ¥8,800(税込)

【HP抽選先行】
https://w.pia.jp/t/hirokomoriguchi-40th/
・2026年1月24(土)22:00~2月8日(日)23:59
・お一人様4枚までお申込みいただけます

■森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章 “一夜限りのStarry Symphony” (オーケストラ編)

【公演スケジュール】
[日程] 2026年8月14日(金)
[会場] 東京オペラシティ コンサートホール
[時間] 開場17:30 / 開演18:30

【出演】
森口博子(Vocal)
Japan Pops Orchestra
松原“マツキチ”寛(Drums)
森口翔太(Bass)

【席種・料金】
全席指定 ¥12,000(税込) 

【HP抽選先行】
https://w.pia.jp/t/hirokomoriguchi-40th3/
・2026年1月24(土)22:00~2月8日(日)23:59
・お一人様4枚までお申込みいただけます

■40周年アニバーサリーアルバム 「Your Flower ~歌の花束を~」発売中
【特設サイト】
https://cnt.kingrecords.co.jp/yourflower/

【各配信サイトへのリンク】
https://king-records.lnk.to/YourFlower

[Web Site] https://www.mogeshan.net/
[X] https://twitter.com/hiloko_m
[YouTube] http://youtube.com/c/hiroko_m/
[Blog] https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/

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