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――トビリシファッションウィーク(Tbilisi Fashion Week)に参加した経緯から伺えますか。

「海外のショールームで展開していて、ウクライナやロシア、ベラルーシなど東欧のショップとのビジネスも多いのですが、トビリシファッションウィークから”ゲストデザイナーとして招待したいので参加してみないか”という話が来ました。最初に話が来たのは昨年の秋。今回も5月ではビジネスは終わっているのですが、それでもいいということで参加しました」

――トビリシファッションウィークはどうでしたか。

「トビリシファッションウィークは5月2日から6日の5日間、現代美術館で開催され、ジョージア国内のデザイナーやロシアのデザイナーなど50近いブランドが参加していました。規模は東京と同じぐらい。ブランドも東京のコレクションと同じように、ほとんどがこれからのブランドでしたが、”これから何かが起きるのではないか”というパワーも感じました」

――発表したのは?

「ショーでは2019-20年秋冬コレクションにショーピースを追加して発表しました。自分たちらしいものとともに、東欧の人たちに見てもらうことも意識し、東欧の人たちにわかりやすいように、軽いものではなく、少し重さもあって女性像を強く見せられるものを中心に構成しました」

――参加して成果はありましたか。

「コミュニケーション、海外との関係やパイプを作るという意味では成果がありました。『ビジネス・オブ・ファッション』や『ヴォーグ』、『ロフィシエル(L'OFFICIEL)』なども見に来てくれました。プランタンのチーフバイヤーにも気に入ってもらえました。パリでは絶対に会うことができないような人たちもバケーション気分で来ていましたが、時間をとって見てもらえました。プラス材料はたくさんありました。海外の有名ジャーナリストはバイヤーとリンクしていて、“最近面白いブランドはある?”、“そういえば、あそこは面白かった”ということになるので、収穫は多かったと思っています。今回は短時間でのモデルキャスティング、十分なフィッテングやリハーサルができないなど、通常のコレクションとは違いましたが、自分の服は動いた時の美しさを大切にしているので、ランウェーをモデルが着て歩くのを見るのは楽しかった。ショーをしたことで、“もっと自分たちのやりたいことを打ち出してもいいのかな”とも感じました。最近はバイヤーの目線で作っていたのですが、海外でバズを起こそうと思ったらもっと踏み込んだ提案をしなければいけないということも考えました」

――今後のファッションショーについては?

「これまでは次にショーをやるとしたらパリだと思っていましたが、東京で顧客を呼んで小さなプレゼンテーションをするのも面白いかもしれないとも考えました。東京のファッションウィークに参加するだけでなく、やり方はいろいろあります。日本の若い人たちに見せるということにも意味があるとも感じました。“ショーにはどこまで意味があるのか”と思っていましたが、やはりショーには特別な力があるし、SNSを通しての結びつきが強くなっている中で、プレゼンテーションやフロアショーを顧客や今後の顧客になる若い人たちに見せて、今後の購買につなげた方いいのではないか、ピュアなものをピュアな形で伝えるやり方も考えています」

――計画や今後やりたいことはありますか。

「トビリシで発表して、いろいろありましたし、課題が見つかりました。“まだまだ、これからだ”と痛感しました。生産チームやパターンチームが強くなり、こういうものを作りたいと考えたものを作れるようになってきましたが、今後はデザインチームがもっと前に進まなければいけないと思っています。料理と同じで、同じ材料、同じインプットでは似たようなものになってしまい、ずば抜けたもの、革新的なものは出てこない。だから、僕自身もデザインチームのイノベーションを誘発するような導線を見つけてこなければいけないし、今は持っている武器を使いこなせていないと感じています。そのためにも、ショーもそうですが、プロダクツだけでなく、売り方や顧客とのつながり、ブランディングなど、今までやってこなかったことも試していきたいと思っています」

――パリでのコレクション発表については?

「パリコレクションは1つの目標ですが、“俺を見てくれ”ということではありません。ブランドには旬があると言いますが、デムナ・ヴァザリアがスタイルではなく、概念のムーブメントを作ったように、常に時代にミートしながらも、一定の距離を保ち、新しいものを誘発していけるようなブランドでなければ、これからは残っていけないと思っています。ひとつの美意識で生き残っていける時代ではないし、ひとつのスタイルを持ったデザイナーもそれをアップデートしています。そうした中で、デザインをどう作っていくのか、チームをどうアップデートしていくのか。しっかりと、ぶれない美意識と文化を持ちながらも、上り詰め、旬が終わり廃れるようなブランドではなく、焦らずに、着実に内側からブランドを強くしていきたい」

(おわり)

取材・文/樋口真一
写真/樋口真一



中 章(なか あきら)
アメリカ滞在中にテーラーと出会いデザインを始める。 アントワープ王立芸術アカデミー在学中にイエール国際モードフェスティバルに選出。 その後アントワープにおいてニットデザイナーに師事し2006年に帰国。07年POESIEをスタート。09S/Sシーズンよりレーベル名をAKIRANAKAに変更。





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