――前回のインタビューで意気込みを伺ったアリーナツアー「EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 “THE FAR EAST COWBOYZ”」も無事に終了しました。横浜アリーナ公演を見させてもらったのですが、エネルギッシュなステージや会場の一体感に圧倒されました。まずはツアーを終えた感想を聞かせてください。
SHOKICHI「会場の一体感はもちろんのこと、グループとしても、ここにきて絆がより一層深まったツアーだったと思います。グループって心を一つにすることがすごく大事だと思うんですけど、今回はみんなで同じ方向を見て、一体になれたな、と。歌も、ダンスも、あんなに一つになった感覚っていうのは、これまでのキャリアの中でもなかなかなかったこと。それこそ、デビューを目指して頑張っていた頃、あの当時レベルの力の合わせ方ができたんじゃないかと思ってますね」
――まさに「We are the best」のメッセージでもある“今がベスト”というような?
SHOKICHI「そうですね。それを体現できたと思います」
――NESMITHさんはいかがでしたか。
NESMITH「昨年のホールツアー「EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2023~Twilight Cinema~」から5人体制でのEXILE THE SECONDが動き出したんですけど、アリーナツアーは約6年ぶりということで、ここに連れて来ていただいたのもファンのみなさんの熱い声援だったり、想いをずっと届けてくださったりしたからこそだと思っていて。それに自分たちもすごく刺激と力をもらって、ステージでどういうものを発信していこうかって、メンバー内でゼロからずっと話をしながら作っていって。結果、新旧が入り混じった内容で、EXILE THE SECONDの歴史を自分たちも辿りながら回らせてもらえたツアーだったかなと思います。そして、今回のツアーを経て、またここから5人でもっといろんな景色が見られるんじゃないかとか、もっとこういうようなことをやりたいとか、新しい目標がたくさんできた。すごく前向きなツアーになったと思います」
――6年ぶりのアリーナツアーということで、前回と今回を比べて自分たちの変化や成長を感じたことはありましたか。
SHOKICHI「自分たちのエゴみたいなものがなくなったというか、余計なものが削ぎ落とされたなって思いましたね。来てくれるみんなのことだけを考えて、それをメンバーやスタッフの間でしっかり共有できていることが、成長できたところだと思います」
NESMITH「全体的に、自由度が増した気はしますね。それは、僕ら自身の楽曲に対する発想もそうだし、バンドメンバーのアレンジもそうだし、お客さんたちも、僕らの音楽に対して自由に楽しんでくれていて。一体感がある中でのそれぞれの自由度っていうのが成長というか、それができるライブ作りができているのかなと思います。前は、僕たちの伝えたいことがセットだったり、パフォーマンスだったり、演出だったりに出ている部分があったんですけど、今は音楽を自然かつ自由に聴けるところが増えた気がします」
――ファンのみなさんのことを考えながら、自分たちでいろいろな意見を出し合って作り上げた演出の中で、特に印象に残っているのは?
SHOKICHI「一番は、やっぱりネスさんのあのシーンじゃないですか」
――前回“飛び道具”と言っていたところですね。NESMITHさんのアクトは、驚くと同時に笑いが止まらなかったです(笑)。
NESMITH「飛び道具でしたよね(笑)。実は、あの演出は僕が知らないところで決まってたんですよ」
――そうだったんですか !?
SHOKICHI「ライブではみんなの心を解くような演出が大事だったりするんですけど、今回はそれぞれの見せ場がある中で、ネスさんの持ち味が一番活きるようなことを考えていて。それに、前にミュージカルもやってたので、そういうシーンを入れ込めたらいいなってところで。それなら、もう思いっきり弾けてもらう演出にしたら面白いんじゃないかと思ってリクエストしました」
NESMITH「最初に言われたときは、んんん?と思って(笑)。でも、んんん?って思った次の瞬間には、うん、まあ、やれなくはないかもな……って。そこからなんとなく台本というか、自分の中で“こういう感じでやればいいかな”っていうのを書き出して、スタッフさんともディスカッションしながら詰めていき、最終的にあの形に着地しました」
――ツアー序盤の横浜アリーナ公演でも完成度の高いシーンでしたが、その以降ますますパワーアップしたのでは?
NESMITH「パワーアップしていきましたね。あのシーンだけで最長20分やりましたから」
――20分!
NESMITH「いや、そのときは大阪公演だったんですけど、GENERATIONS from EXILE TRIBEの(小森)隼がサプライズで来てくれて。隼がワーってやるシーンがあったり、スタッフさんと絡むシーンもその日は長かったり、いろいろ重なって、気付いたらトータル20分ぐらいいきました(笑)」
――あの場面はメンバーも笑いが堪えられないくらいのインパクトがありましたが、みんなの心を解くという意味ではまさに狙い通りだったのでは?
SHOKICHI「まさにそうでしたね。ああいうシーンがあることによって、その後の盛り上がりが本当に2倍ぐらいになるので。やっぱり大事だなと思いましたし、改めて勉強になりました」
――NESMITHさんのアクトがあまりにもインパクトが大きかったのですが、それ以外にも見どころがたくさんありましたね。お二人の視点で、印象に残っているシーンはありますか?実はこんなハプニングがったとかでもいいのですが……
NESMITH「ハプニングというか、SHOKICHIが毎公演、本編ラストでHPをほぼ使い切るっていうのがお決まりでしたね。立ちくらみというか、目の前がちょっとホワイトアウトしちゃうくらいの勢いで」
SHOKICHI「あはははは(笑)」
NESMITH「会場の一体感がすごすぎて。SHOKICHIはライブ中もずっと客席を煽ったり、コール&レスポンスしたり、楽器を弾いたりといろんな要素があるんですよね。そこから最後、「Going Crazy」で場内を走り回ってステージに戻ってきたときには、SHOKICHIはもうヘトヘトになってました」
SHOKICHI「でも、そうやって全力を出し切らせてくれるくらい、みんなの熱量がすごかったので。やりがいに溢れたいいツアーでした」
――ツアーでは6年ぶりのリリースとなるアルバム『THE FAR EAST COWBOYZ』からの楽曲も披露しました。前回のインタビューでSHOKICHIさんは“自分たちの楽曲は、ライブで披露して初めて完成形になる”と言っていましたが、実際にステージで歌って感じた手応えは?
SHOKICHI「まさに冒頭で歌った「We are the best」なんかは、みんながいて、本当に曲が完成したなっていう感じがしました。これからもっと浸透して、みんなでさらに合唱して。ライブで歌うことを通して、みんなとの思い出をより濃くできたらと思ってます」
――やはり、みんなが歌ってくれるのはうれしいものですか?
SHOKICHI「うれしいですよ。「We are the best」だけでなく、「On My Way」とか「RAY」とか、みんなに歌ってもらうシーンが結構あるんですけど、毎回感動してました」
――「Winner」もライブ映えする楽曲ですし、「アムルーズ」はプロジェクションマッピングを使った演出がとても素敵でした。
NESMITH「「アムルーズ」の映像はすごかったですね」
SHOKICHI「すごくよくできてましたよね。作った曲が素晴らしいものになったと思うときって、振りだったり、演出がついたりすることで、より曲が良く聴こえるんです。それになったときは、曲が昇華された気がするというか。こんなにいい曲だったっけ?みたいな(笑)。今回の「アムルーズ」は、ならではの演出ですごくうれしかったです」
――本作には、昨年のホールツアーのテーマソングでもある「Twilight Cinema」や、中国語詞のSHOKICHIさんのソロ曲「NEVER SAY GOODBYE」、さらに新曲「high-five~歓喜の音~」も収録されています。
SHOKICHI「「NEVER SAY GOODBYE」はAKIRAさんが出演する台湾のリアリティショー「神秘五金行」のエンディングテーマとして書き下ろしの機会をいただきまして。初めての挑戦でめちゃくちゃ難しかったんですけど、なかなかないチャンスでもあるのでトライできてよかったですね」
――歌詞はどのように描かれていったのですか?
SHOKICHI「AKIRAさんの想いを共有しつつ、僕自身、番組から着想を得た、人が人を愛することの素晴らしさや、距離が離れていても心はつながっているというようなメッセージを込めました。それから、台湾に行ったときに、すごくきれいな景色を見たことがあったんですよ。一緒にコライトした作家陣にそういう思い出も話しながら制作を進めていきました」
――中国語での歌唱はいかがでしたか?
SHOKICHI「めちゃくちゃ発音が難しかったですね。でも、日本語で歌うときとはまた違う発声の仕方があったりして、なんか不思議な感じでした。現地で実際に歌わせてもらったことがあるんですけど、トライしたことを讃えてくれたというか、温かい拍手をいただいて……自分の音楽人生の中でも貴重な出来事となりました」
――続くNESMITHさんのソロ曲「high-five~歓喜の音~」は、NESMITHさん自身が作詞を、作曲はGLAYのTAKUROさんです。競泳日本代表の渡辺一平選手に向けた応援歌となっていますが、どのような経緯で制作されることになったんですか?
NESMITH「一平くんとは、彼が同じLDH所属になった頃からずっと仲良くしていて。時間を見つけては食事に行ったりしてたんですよ。で、ちょうど彼が東京オリンピックの出場を目指しているくらいのタイミングのときに、いろいろ話している中で、GLAYさんをずっと聴いてるみたいな話題が出たのがきっかけで、僕からTAKUROさんに連絡して、3人で食事をする機会を作ってもらったんです。そこで、実は僕もGLAYさんの曲を聴いて音楽の道を目指していたので、いつかTAKUROさんに楽曲提供いただいて歌いたいですって話をさせてもらったんですね」
――NESMITHさんからの熱烈なラブコールというか……
NESMITH「そうですね(笑)。そしたら、TAKUROさんのほうも、一平くんを応援するためにみんなでスクラムを組んで作ろう!って承諾してくださったんです。なので、楽曲自体は3、4年前にはできあがっていたんですよ。ただ、そのときは、一平くんが残念ながら東京オリンピックの出場が叶わなかったり、コロナの影響で開催が1年ずれたり、いろいろな状況があってこの楽曲を発信する機会を作ることができなくて……今回のアルバムにって話も進んではいたけれど、どういう形で入れるのがいいのかを模索していたんです。そんなところに、一平くんがパリ五輪の切符を手にして。であれば、ここは以前作ったものではなく、ブラッシュアップしたものを一平くんに渡したいということで、歌い直したり、音の厚みをプラスしたりして。4年越しのみんなの想いを、さらにグッと込めたものができました。しかも、それを今回のアルバムにも入れさせていただくことになって、すごくよかったなと」
――すごいタイミングでしたね。
NESMITH「不思議な巡り合わせというか、タイミングって来るべくして来るんだなっていうのを感じさせてもらえる楽曲ですね」
――歌詞に関しても、渡辺選手のことを近くで見てきたNESMITHさんだからこそ書ける内容というか。
NESMITH「そうですね。一平くんの世界記録が他の選手に塗り替えられたりとか、東京オリンピックの切符を逃してしまったこととか、いろいろな苦悩があって、それを経ての今回のパリ五輪へという彼のの歩み……歌詞を書いてた当時は、過去の挫折から再生、そして次へ向かっていくというような流れをイメージしてたんですけど、今になると、その挫折が東京オリンピックであり、次に向かうのがパリ五輪でありと、楽曲のストーリーと一平くんの競技人生がすごくシンクロしていて。だからこそ楽曲自体のパワーも強くて、自分で聴いてても鳥肌が立つというか、何かゾワゾワと湧き上がるものがあったりするんですよね。それをみなさんに聴いていただけるっていうのもうれしいですし、ぜひこの曲を聴いて一平くんを応援してもらえたらなって思います」
――渡辺選手に向けた応援歌となっていますが、日々何かを頑張っている人が聴いてもすごく背中を押してもらえる楽曲だなと思いました。
NESMITH「ありがとうございます」
――そして、今回のアルバムでは、冒頭でもお話いただいたアリーナツアー「EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 “THE FAR EAST COWBOYZ”」から、横浜アリーナ公演の模様が早くも映像作品化されますが、改めて見どころを教えていただけますか。
SHOKICHI「それはもう、EXILE THE SECONDのライブの一体感!そこが一番の見どころだと思います。それを映像で感じて、またライブに行きたいなと思ってもらえたら最高ですね」
NESMITH「ライブ映像って、みなさんどういうふうに観てるんですかね?好きなところを繰り返したりしてるのかな?」
――繰り返したり、スローにしたり、時には静止させてじっくり観たり……でしょうか。EXILE THE SECONDの場合は、みなさんの肉体美を愛でられるパートもあるので(笑)。
NESMITH「やっぱりそうですよね(笑)。もちろんそこだけじゃなくて、みなさんそれぞれに好きなシーンがおそらくあると思うので、そこを心ゆくまで観てもらいたいです。さらに全編通して観ていただくと、今の、ありのままのEXILE THE SECONDを、体感していただけると思います。なので、難しいことは考えず、気持ちの赴くままに観てもらって、観ながらワイワイ楽しんでもらえたらうれしいです」
――ライブ映像を見て、みなさんのパフォーマンスはもちろんですが、ファンの方々が楽しそうにしている様子も印象に残りました。一緒にライブを作るってこういうことなんだなと思いましたが、お二人にとってファンの存在とは?
SHOKICHI「もう、すべてじゃないですかね。僕らがライブをやるのも、本当に、みんなのため以外の目的がないというか」
NESMITH「僕らのライブは結構参加型なので。今回、初めての試みとして、「SUPER FLY」という楽曲でファンの方に踊っていただくセクションを作ったんですけど、みなさんすごく楽しそうに参加してくれて。自分たちがいろいろ考えて作ってきたものを、120パーセント、200パーセントで楽しんでくれる姿に、僕らはまたパワーをもらいますし、お客さんもパワーを受け取ってくれてるように思いますし。お互いがお互いの力になってるみたいな、そういう関係性ですね」
――そんなアリーナツアーですが、今年の12月に「“THE FAR EAST COWBOYZ” ~THE ENCORE~」として追加公演が開催されることが発表されました。
SHOKICHI「基本はこのままの形でと考えていますが、12月なので、季節柄な楽曲もできたらなとは考えていますね」
――再びの大阪公演ということで、また新たな伝説が生まれるかも !?
NESMITH「頑張ります(笑)」
――とはいえ、12月はまだまだ先の話なので、その前に夏、秋の予定やおふたりがチャレンジしたいことを教えてください。
SHOKICHI「今年は久しぶりに夏フェスに出させていただくので、今から楽しみにしています。個人的なことは……それこそ秋にフェスをやらせてもらうので、そこに向けて頑張っていきたいですね」
NESMITH「今年の夏といえば、それこそパリ五輪ですね。一平くんのレースがある7月末は、ずっとそれに集中してると思います。行けたらパリに行きたいですし。昨年も福岡の世界水泳とか、ちょこちょこレースを観に行っていたので、パリ五輪もできれば現地に行って直接応援できたらなと思ってます」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/野﨑慧嗣
EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 "THE FAR EAST COWBOYZ" ~THE ENCORE~LIVE INFO
12月3日(火)大阪城ホール
12月14日(土)エコパアリーナ(静岡)
EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2024 ”THE FAR EAST COWBOYZ” ~THE ENCORE~(EXILE mobile)
EXILE THE SECOND『THE FAR EAST COWBOYZ』DISC INFO
2024年6月5日(水)発売
CD+Blu-ray/RZCD-77968B/9,900円(税込)
CD+DVD/RZCD-77967B/9,900円(税込)
CD+Blu-ray/RZCD-77969/2,200円(税込)
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