――1月にリリースされた「Sugar」は放送中のドラマ「パティスリーMON」の主題歌ですね。

「そうなんです。いつかはドラマ主題歌を!と思っていたので、それが叶ってすごくうれしいです」

――ドラマ用の書き下ろし楽曲だそうですが、初めて聴いたときの印象は?

「候補は何曲かあって、どれも素敵だったんですけど、いちばん歌いたいと思ったのが「Sugar」でした。まずサウンドがおしゃれだし、歌詞がキュートなのにメロディはかっこよくて。聴いた瞬間から歌うのが楽しみになったと言いますか。主題歌として正式に決定してからは、レコーディングまで、どんなふうに歌うのがいいかなっていう想像をたくさんして研究しました」

――研究したというのは、例えばどういうところですか。

「歌の中に、<Yum!Yum!>とか<Chocolate>とか<Strawberry>とか、ちょっとした掛け声みたいなのがあるんですよ。そういうのを入れたことがなかったので、すごく恥ずかしくて(笑)。でも、ちょっと初恋の気分に戻って、自分が思う“かわいい”っていう要素をたくさん研究して、どういう言い方が似合うかを見つけていきました」

――こういったかわいらしい歌詞の楽曲を歌うのも初めてですよね?

「こういうアップテンポでキュートなラブソングは初めてです。今話してた掛け声も、出したことのない声だったので、レコーディングのときも照れくささがあったんですけど(笑)。でも、それが意外とキャッチーな印象になったみたいで。耳に残るって言ってくれる人も多いので、頑張って歌って良かったと思いました」

――これまでにない歌詞の世界観や楽曲のテイストということですが、実際に歌ってみて、苦戦したところはありますか。

「これまでは自分の歌唱力を最大限に使う楽曲が多かったんですけど、「Sugar」の場合は声を張って歌うようなところは少なくて。ブレスを多めにする感じとか、新しい歌い方が見つかったなって感じましたね。でも、レコーディングは大変でした。声の出し方だけでなく、ニュアンスを出すのが難しくて。例えば、<レシピ通りにいかないわ 難しいわ>っていう歌詞って、すごく、なんだろう……初心な感じじゃないし、そこをかっこよく歌っちゃうと、めちゃくちゃ恋愛慣れしてるように聴こえちゃうので」

――なるほど。

「レコーディングでいろんな歌い方を試していくなかで、初めて恋をするようなニュアンスを、作曲を手掛けたMitsu.Jさんと一緒に見つけていくのが楽しかったです。細かいニュアンスにすごくこだわっていたので、音程を外さずにうまく歌うっていうより、歌詞に寄り添った歌い方に徹しました」

――確かにテクニックを駆使した歌い方だと、この曲のかわいらしいイメージが伝わりにくいかもしれませんね。

「そうなんです。グルーヴ感も大事なんですけど、グルーヴ感を出しすぎたり、ちょっと洋楽的なニュアンスで歌詞を歌ったりしたのでは、かわいらしさがなくなってしまうなっていうのは私自身も感じていて。なので、歌詞は崩さずにグルーヴ感だけを残して歌おうと思ったんですけど、そこが難しかったですね」

――いつもと違うタイプの楽曲をリリースする前って、ドキドキしたりするものですか。

「めっちゃドキドキしました。恥ずかしくもあるし、どう受け止められるのかな?って、ちょっと不安でしたね。でも、リリースして良かったなって本当に思いました。ファンの方たちからも、こういう清水美依紗を求めてた!って声をたくさんいただけて、うれしかったです」

――実際にドラマで流れているのを観たときには、うれしさもひとしおだったのでは?

「初回放送のとき、自分の曲が流れた瞬間、鳥肌が立ちました!“うわっ、本当に流れてる!”と思って(笑)。さらに、オープニング映像に自分の名前と「Sugar」ってタイトルが載っているのを見たときに、よりうれしさが増したというか。「Sugar」という楽曲で「パティスリーMON」という作品の一部になれて本当に光栄です」

――ドラマの世界観にもぴったりで、オープニングで流れてくるとワクワクします。

「ですよね!ただ、唯一困っているのが、オンエアが24時半からで、オープニング映像にはスイーツがいっぱい並んでるじゃないですか。あの映像を観るとお腹が空いてくるんですよね(笑)。私、毎週「パティスリーMON」の放送日はお菓子を食べる日って決めて、お菓子を食べながら観てるんですよ。ちょっと本気でヤバいです(笑)」

――せめてもう少し早い時間帯だったらね……

「夜中だからおいしかったりもして(笑)」

――確かに!今後も主題歌をやってみたいですか。

「ぜひ!いつか自分が書き下ろしたいなとも思いますし。ふだんミュージカルをやってる経験も生かして、作品のメッセージ性も深く考えながら、それを演じる側ではない立場で歌詞やメロディにしていく……そんなこともやってみたいです」

――「Sugar」はミュージックビデオの衣装やメイクもすごくかわいらしい仕上がりですね!

「照れちゃいますね!でも本当にスタッフのみなさんにかわいくしていただいて。ありがたいです」

――撮影は楽しかったですか。

「めちゃくちゃ楽しかったです。衣装やメイクもですけど、ちょっとレトロなテイストもあるじゃないですか。そういう雰囲気もすごく好きなので、今回のミュージックビデオでは、自分の着たい衣装、やりたいようなメイク、さらに踊りもやらせてもらって。踊りに関しては、私のほうから“踊りたいです!”と言って、急遽お願いしたんです」

――美依紗さんからのリクエストだったんですね!

「そうなんです。いつか踊りたいと思っていたんですが、この「Sugar」はサビもキャッチーなので、ぴったりなんじゃないかなって。すごくかわいい振りを付けていただいたので、ぜひみんなにも踊ってもらえたらなと思います」

――先ほどの掛け声だったり、振り付けだったり、ファンのみなさんの前で披露するのが楽しみですね。

「めちゃくちゃ楽しみです。次のライブでは絶対に歌いたいなと思ってます」

――ライブといえば、5月に初のホールツアーが決定しました。

「決まっちゃいました!昨年11月に初めてソロライブをさせていただいて、そこからこんなに早くホールツアーが決まるなんて思ってなくて。でも、決まったからには頑張らないと!って気持ちでいっぱいです」

――前回「Home」のインタビューでお話をうかがったときは、ワンマンライブが目標とおっしゃっていて。その想いが叶ったSUPERNOVA KAWASAKIでの1stソロライブの感想は?

「はい。もう、昨日のことのように覚えてます。本当に、本当に楽しくて。私、三重県出身なんですけど、三重弁でMCをやらせていただいたんですよ。ふだん人前で喋ることに苦手意識があるんですけど、それが三重弁だと全然!ナチュラルな清水美依紗でライブができましたし、“清水美依紗はこういう人なんだ”っていう面を観に来てくださったみなさんに感じていただけたんじゃないかなと思います。それから、私めちゃくちゃ汗かきなんですけど、この日も1曲目の「Starting Now~新しい私へ」で汗が目に入っちゃって(笑)。私の歌手活動も、ディズニーの「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の日本版テーマソングである「Starting Now~新しい私へ」からスタートしているので、その曲で初のソロライブが始められると思ったら、1曲目から泣きそうになって危なかったです(笑)」

――いろんな思いが押し寄せてきた?

「いろんな人の顔が浮かんできて。自分がここまで来られたのも、決して自分だけの力じゃなく、やっぱり支えてくれている家族だったり、スタッフさんだったり、ファンの方々のおかげですから。そういう気持ちがわーっと1曲目に出てきて、そこからは覚えてないです(笑)。MCの時間も短かったですし、ディズニーメドレーも歌わせていただいて、なんていうか、自分が大好きな曲をひたすら歌わせていただいたっていう感じ」

――ワンマンライブを経験したことで、ホールツアーのイメージも膨らんでいるのでは?

「そうですね。初めてのライブをやってみて、ライブをする上での自分のペースみたいなものを知ることができたので。あと、歌声が響きやすいという意味で、自分にはホールが合うなと思っているので、5月のツアーではホールならではのパフォーマンスを披露したいです。ぜひ期待していてほしいなと思います」

――そういえば「ハマダ歌謡祭★オオカミ少年」ではすっかり常連さんですが、TV出演の機会が増えたことで、身の回りの環境に変化があったりしましたか。

「いい意味でそんなになくて。もちろん番組に出演させていただけるのはめちゃくちゃうれしいですし、ふだんの歌手活動とは勝手が違うぶん、苦手な喋りをどうしたらうまくできるかなっていうような難しさはあったりします。でも、芸人さんやタレントさんなどいろんな方が出演されていて、そういう意味で繋がりも増えましたし、そういった方々との交流を通してたくさん学ばせていただいてます」

――そんな美依紗さんの今後の目標は?

「実力維持、ですかね。自分が今持っているスキルだったり、これから必要になるスキルだったりっていうものを、常に磨いていくと言いますか。ありがたいことにたくさんのお仕事をいただいていますが、怠けず、常に研究し続ける。ボイストレーニングも、ダンスレッスンも、お芝居も、常に学びの姿勢でいたいなっていうのと、それを楽しむようにしたいです。もちろん仕事をする上で責任感を持つのは大事なんですけど、ちょっと最近、楽しむのを忘れがちだなって思う瞬間が何回かあったので……楽しみながら取り組むっていうのがいちばん人に伝わりやすいと思うので、そこは大事にしていきたいなと思います」

――音楽活動だけでなく、バラエティもあるし、舞台だと先々のスケジュールまで埋まっていると思うので、時間の使い方が難しい時期もきっとありますよね。

「そうですね。だからこそ、ちゃんとオフを作るというか、気が休まる時間を自分で作る練習をしないとなって思います。割とずっと気を張ってしまうタイプなので。もっと気楽にというか、変な力が入らないようにしたいですね」

――オフはどう過ごしているんですか。

「サウナです。私、かなりのサウナーで、代謝がいいのもたぶんサウナのおかげです(笑)」

――いいですね!いつも何セットくらい?

「6セットです。冷え性っていうのもありますし、メンタル的にも身体が冷えていると良くない気がして。身体を温めれば心も温まるし、行くとすごい息抜きになるので、サウナ大好きなんですよね」

――オフの時間でしっかり整ってるわけですね!

「はい!しっかり準備して、まずはホールツアーを頑張りたいです。そして、新しい清水美依紗を更新していけるように、今年もいろんな楽曲と出会い、歌うことを楽しみにしています」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/野﨑慧嗣

清水美依紗 Solo Tour「Cherish」LIVE INFO

2024年5月7日(火)、8日(水)恵比寿ガーデンホール(東京)
2024年5月18日(土)松下IMPホール(大阪)

DISC INFO清水美依紗「Sugar」

2024年1月11日(木)配信
ユニバーサル ミュージック

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