──6年ぶり8枚目のアルバム『TRIANGLE』が完成しました。
すぅ「3ピースバンドになって、新しく自分たちのレーベル“YOUTHFUL TUNE”を立ち上げてから初めてのフルアルバムなので、かける想いはやっぱり強かったです」
山内あいな「『TRIANGLE』というタイトルはすぅがアルバムができる前に提案してくれました。タイトルが先って、サイサイ的には珍しくて、だいたい、全体が出来上がってからタイトルをつけてきたので」
黒坂優香子「初めて聞いたとき、“絶対にこのタイトルじゃん!”と思ったくらいすごくいいアルバムタイトルです。“TRIANGLE”は“三角形”という意味で、3人になって活動を続ける私たちの意志もそこから伝わると思います」
すぅ「三角形にはてっぺんがあって、すごく強度の高い形なので。今の私たちは失ってしまって三角形になったのではなくて、自分たちが3人で音楽を続ける選択をして今があります。そこにはとても強い想いがあって、これからも崩れることのないこの三角形がSILENT SIRENの形だと思って、『TRIANGLE』というタイトルにしました」
──3人になって新たに感じることがあったからこそ、つけられたタイトルなんだと思いました。
すぅ「いまだに4人組バンドというイメージを持たれているのはしょうがないとも思います。でも、3ピースになってレーベルも立ち上げましたし、ツアーを回ったりする中で、この3人だからできる音楽も見えてきました。だからこそ今の私たちをもっとみんなに知ってもらいたいですし、今年で結成16年ですけど、常にバンドとしててっぺんを目指していきたいです。“ガールズバンドといったらサイサイだよね!”って、1番に名前が挙がる存在でいたいです。そういう想いがあったから、『TRIANGLE』という言葉が浮かんで、それをアルバムタイトルにしたいと思いました」

──改めて完成したアルバムを聴いて、どんな作品に仕上がったと感じていますか?
山内「サイサイがリリースしてきたアルバムはどのアルバムも全力で大好きなんですけど、その中でも“『S』はすごくいいよね”って話をメンバー内でもよくしています。実際、『S』には「チェリボム」や「八月の夜」など、いい曲がたくさんあると自分たちでも思うんですけど、その『S』に雰囲気が似ているというか、むしろ超えました! そんな自信があります! 序盤からすごく気合いが入った曲が続きますし、全体的に聴き応えがあるとも思います。すぅが作詞作曲した曲が2曲収録あるのも新しい挑戦ですし…まだまだあと1時間くらい話したいんですけど(笑)、ゆかるんに託します!」

黒坂「私は、これまでのサイサイらしさと新しさの両方を詰め込んだアルバムになったと思っています。以前から持っているポップでキャッチーなサイサイらしさと共に、ちょっと新しい、大人になったサイサイのエッセンスもしっかり加わっているというか…。音楽的にもポップなサイサイとロックなサイサイがどんどん成長して、このアルバムで表現できたと思います。以前はどうしてもポップな楽曲に注目が集まることが多かったんですけど、もともとシングルのカップリングとかではかなりロックな曲もやっていて…かなりのファンじゃないと私たちのそういう一面はあまり知らなかったと思います。でも、今回のアルバムではポップな面はもちろん、ロックな私たちも改めて知ってもらえるんじゃないかな?って」

すぅ「“あの頃”と“今”をつなぐアルバムになったと思います。その“あの頃”というのは人それぞれ違うと思っていて。昔からサイサイを聴いていて、“あの頃のサイサイが1番良かったよね”とか“あの頃の曲が大好きだった”と言ってくれる人もいるんですが、その“あの頃”は人によって全然違いますし、自分たちが“あの頃”と聞いて思い浮かべる時期もまた違います。でも、そんなそれぞれの“あの頃”が『TRIANGLE』には詰まっている気がします。その上で今の自分たちが表現できるニュアンスをエッセンスとして盛り込んでいるので、“あの頃”もちゃんとあるし、“今”の私たちもいます。そんなアルバムになったと感じています」
──人それぞれの“サイサイらしさ”が、ニアリーイコールその人の“あの頃”なんでしょうね。
すぅ「そう考えると、今回のアルバムが誰かの“サイサイらしさ”や“あの頃”になる可能性もありますよね」
──すぅさんはM1のインスト曲「TRIANGLE」以外の全11曲の作詞を手がけていますが、これまでの歌詞との違いや、逆に変わらない部分を教えてください。
すぅ「3ピースになってから大きく環境が変わって、“大人になったんだな”って実感するタイミングもすごく多いです。そこに喜びも感じますし、そんな状況が反映された歌詞は増えたと思います。その一方で、“歌詞の内容はよくわからないけど、ただ可愛いよね”とか、“なんだか歌いたくなっちゃうよね”とか、そういう感覚がサイサイの歌詞にはずっとあると思うので、そこはいくつになっても楽しんでもらえるように意識して書いた曲もあります。あと、自分の年齢と世間の感覚のズレを感じて、それをぶつけてみたりとか(笑)。私はストレートな感情をSNSとかにぶつけるタイプではないので、自分の感情を歌詞にしてアウトプットできるのは強みだと思っています」
──例えば、どの楽曲の歌詞ですか?
すぅ「「やだ」は20歳くらいのときに書いた「吉田さん」のパート2だと思っています。「吉田さん」は、同窓会に行ったら吉田さんという可愛い女の子がいて、私も同じ吉田だから比べられてしまって、その子に劣等感を感じて最悪だ…そんな歌です。「やだ」も同じような感覚というか、世間と自分を比べてしまって、“どっちがおかしいのか知りませんけど”って歌で。そういうちょっと誰かが共感してくれるような、遊び心のある歌も変わらず作っていきたいです」
──世間との感覚のズレは、どんなときに感じますか?
すぅ「地元の福島の友だちはだいたい結婚して出産していて、会うと“どうなの? 結婚しないの?”とか何の悪気もなく聞かれたり、少し派手な格好をしてると“その服、やめなよ”と自然に言われたり(笑)。もちろん2、3人の子どもを抱いた友だちに会うと“すごいなー”と思いますけど、自分がそうなる想像が今はまだつかなくて。そう考えたときに、自分が考えている普通と世間の普通はどっちが普通なのか、悶々としてしまうこともあります。本当は“どっちが普通”なんてないのはわかっているんですけど、“わがままを言っている自分がおかしいのか?”、“誰かの普通に合わせて生きないといけないのか?”って」
黒坂「“みんな、それぞれでいいじゃない!”って思います」
山内「やっぱりそういう違和感だったり世間との違いというものに対しては、それぞれ思いを持ち続けてはいます。だからこそ、自分たちで『SHE SCREAM ROCK』というライブイベントを立ち上げましたし。16年バンドを続けてきたからこそ発信できるものがあるんじゃないか?…ライフステージが変わっても夢をあきらめずに好きな道を進んでいく人の背中を押せる存在でいたいと思っています」
すぅ「「やだ」に<いくつになってもこねたい駄々>という歌詞のとおり、実際にずっと駄々をこねていたいです(笑)」
山内「言っていきましょう! それが、すぅらしさよ(笑)」
すぅ「実生活で駄々をこねていたら生きていけないけど、楽曲の中ではね(笑)。“みんな、それぞれの価値観を持って駄々をこねていきましょうよ”というか…そういう感情があってもいいと思うんです」
──先日、ライブを拝見させていただいて、改めて3人のプレイヤーとしての個性にも惹きつけられました。そこで聞きたいのですが、『TRIANGLE』の中でも特にこのプレイに注目してほしいという楽曲を1曲ずつ挙げていただき、その理由も教えてもらえますか?
すぅ「ギタリストとして何気に難しいのは「shippo」なんですけど…「KETTO」かな。「KETTO」は、歌も含めてトータル的に難しいんです。歌詞の言葉がラップ的に詰まっていますし、他の曲に比べてアタック感が強いので勢いをつけないといけないので。だから、もちろんレコーディングでは丁寧に弾きつつ、ライブでは丁寧の向こう側に感情が追い越すくらいのギターになっていると思います。レコーディングでも、ステージのお立ち台でリフを弾いている自分をイメージしました。ライブで育っていきそうな楽曲、CDより先に行けるような楽曲だと思いますし、もっと荒ぶりたいです。なので、音源のギターを楽しみつつ、ライブでは音源との違いに注目してもらえたら!」
黒坂「私は、「やだ」。メロディを歌っているようなサイサイらしいキーボードプレイなので、そこを聴いてほしいです。自分でもお気に入りです!」
山内「難しさでは「KETTO」ですけど、「shippo」ですね。「八月の夜」もそうなんですけど、すぅが作る曲って同じコード進行なことが多いんです。それが個性、良さでもあって、同じコード進行だからこそ展開を意識して、休符をつけてリズムによりノリが生まれるようにしたりしています。自分がやりたいことを詰め込んだ結果、難しいフレーズもあるんですけど、間奏でテンポ感が変わったり、注目して聴いてほしいポイントがいろいろあります。ライブでもしっかり表現できるように頑張りたい曲です」
──すぅさんには好きなコード進行、気持ちいいコード進行があるんですね。
すぅ「いくつかあったりしますけど、コードを意識しているわけではないです。あくまでメロディが先で、その結果として、“このコード進行になるよな”って。メロディにエモさや寂しさを入れたくなるのが、私のクセなんですよね…“キュンとさせたい”というか」
──アルバム『TRIANGLE』のリリース後は、5月1日から全国16ヶ所を巡る『SILENT SIREN LIVE TOUR 2026 ”TRIANGLE“』がスタートします。
すぅ「16ヶ所という久々に長いツアーですし、初披露の曲が多いのでドキドキしています。今回はゆかるんが産休に入るので、特別なツアーでもあります。サポートメンバーはいますけど、今まで見たことのない2人のSILENT SIRENが見られるツアーです。ゆかるんがいない寂しさはもちろんあると思いますけど、そこに物足りなさは感じてほしくないと思っています。だから、3人には3人の正解があって、2人は2人で“2人の正解”を作っていきます。みんなが満足して、“2人のサイサイも良かったね”と思ってもらえるツアーにします。その上で、また3人でやったときに“やっぱ3人っていいよね!”という感覚になってもらえるように!」
山内「すごくいいアルバムができて、それを引っさげてのツアーなので、本当に楽しみです。2人だからこそできる編成やライブの演出もあると思いますし、挑戦的なツアーになりそうだと思っています」
黒坂「ステージには立てないですけど、気持ちはいつもずっと一緒のつもりです。ツアーが始まるまでの期間は“できる限りサポートするぞ!と思っていますし、何より産休することを温かく受け入れたことに感謝しています。私は出演できないですけど、このツアーでしか見られないものがたくさんあると思うので、ぜひ見に来てほしいです」
──ツアー中の9月13日には、主催ライブイベント『SHE SCREAM ROCK vol.3』が神奈川・KT ZEPP YOKOHAMAで開催されます。
すぅ「『SHE SCREAM ROCK』は15周年のタイミングで立ち上げたライブイベントです。15年やってきた私たちが、これからどんなふうにガールズバンドを続けていきたいか。そう考えたときに、ライフステージが変わってしまって好きなことを続けない選択をしてしまう女性もたくさんいる中で、そうではなくて、“好きなことは好きだからやりたい”って、ポジティブに前を向けるような環境作りをテーマに掲げたいと思いました。それで、音楽を愛する女性たちがもっと輝けるステージ、背中を押せるようなライブイベントを作りたいと思って立ち上げたのが『SHE SCREAM ROCK』です。今、バンドをしている女性たちもそうですし、これからバンドを始めてみたいと思っている女の子も含めて、どんどん育っていけなばいいと思っていますし、いつか『SHE SCREAM ROCK』に出演することがガールズバンドの目標になれば嬉しいです」
──『SHE SCREAM ROCK vol.3』には、Conton CandyとPEDROの出演が決定しています。
すぅ「Conton Candyは学園祭で共演したことがあって、彼女たちは学生時代にサイサイのコピーをしていたらしいです。そんな縁もありますし、彼女たちの楽曲も好きなのでオファーをしました。PEDROもシンプルに曲がいいですし、アユニ(・D)ちゃんがかっこいいですよね。ベースボーカルなのも、本当にかっこいいです。色が違う3組なので、どういう化学反応が起こるのか私たちも楽しみにしています」
──ツアーに主催ライブイベントにと、リリース後も楽しみな活動がたくさん控えていますね。
すぅ「“好きなこと、やりたいことは全部やったらいいじゃん!”って思っています。一生青春を体現できるバンドでいたいですし、そんな人生を送りたいです。“Enjoy My Life”です!」
(おわり)
取材・文/大久保和則
写真/中村功
RELEASE INFORMATION

SILENT SIREN『TRIANGLE』
2026年4月15日(水)発売
YFT-0003/3,300円(税込)
LIVE INFORMATION

SILENT SIREN LIVE TOUR 2026 “TRIANGLE”
2026年5月1日(金) 福島県 郡山hipshot Japan
2026年5月10日(日) 千葉県 柏PALOOZA
2026年5月16日(土) 大阪府 バナナホール
2026年5月23日(土) 埼玉県 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
2026年5月29日(金) 福岡県 DRUM Be-1
2026年6月6日(土) 静岡県 LIVE ROXY SHIZUOKA
2026年6月14日(日) 北海道 cube garden
2026年6月20日(土) 群馬県 高崎Club JAMMERS
2026年7月4日(土) 新潟県 NIIGATA LOTS
2026年7月11日(土) 広島県 広島LIVE VANQUISH
2026年8月1日(土) 神奈川県 横浜ベイホール
2026年9月5日(土) 愛知県 ボトムライン
2026年10月3日(土) 山梨県 甲府CONVICTION
2026年10月9日(金) 茨城県 水戸ライトハウス
2026年10月16日(金) 宮城県 仙台darwin
2026年10月25日(日) 東京都 豊洲PIT

SHE SCREAM ROCK Vol.3
2026年9月13日(日) 神奈川県 KT Zepp YOKOHAMA
■ゲスト:Conton Candy、PEDRO






