──この1年のSHIROSEさんのブレイクにより、WHITE JAMを取り巻く環境はかなり変化したと思うのですがいかがでしょうか?

「ありがたいことに、スケジュールがポール・スミスの柄くらい重なっていて(笑)。“僕に任せたい”と思ってくださる人が増えたことが、一番の変化です。なによりも、「磁石」と「池袋サンシャイン」という曲をたくさんの人に知ってもらえたことがすごく嬉しくて。SNSの発信で注目されることももちろん嬉しいですが、曲から知ってもらえるのは一番嬉しいです。「磁石」なんて、幼稚園や小学校でも流行っていると聞いて驚きました(笑)」

──それは予想していたことですか?

「予想をしてはいましたが、スピードが想像以上に速かったです。どんな曲も何がきっかけで流行るかは予想ができないから、予想というより、信じているという言葉の方が正しいかもしれません」

──確かに、WHITE JAMの曲はロングヒットや、リリースしてから何年か経ってヒットすることも多いですよね。それは今のJ-POPシーンではすごく珍しいことだと思います。

「そうですよね。でも、僕は1度信じたものは、ずっと信じてしまうので。それに、5年間信じてヒットした=何も起こらない4年があって。その時期はすごくキツイですが、諦められないです」

SHIROSE

──それは、ご自身の曲を我が子のように思っているからですか?

「僕には子供がいないのでその感覚は分からないですが、でも、多分、そうだと思います。曲にも嬉しいとか、悲しいとか、キツイとか、いろんな感情がありますよね。それは人間の感情と同じで、曲にも人格があると思っています。なので、曲は自分の分身というか…傷のようなものだと考えているんです。1曲1曲、自分の傷であり、歴史であるのでそれを受け取ってくれるのはすごく嬉しいです」

──そういった意味では今回リリースされた「I Miss You」も、かなり前の楽曲になりますよね?

「はい。音楽活動を始めたての頃に作ったでも曲の中の1曲です。いつか勝負の時がきたらリリースしたいと思ってました。ライブではずっと歌っていたので、知っている人も多いですが、“やっとその時が来た”という感覚です」

──「I Miss You」を作った当時の心境は覚えていますか?

「7年半付き合った彼女と別れて、世田谷公園でホームレスになっていたんです。その時はパソコンを充電させてくれる友だちもいないので、公園のベンチで電池残量が少ないパソコンでマイクを立ててこの曲を作っていました。本当にお金もなくて、生きるためにしているアルバイトも辞めてぇなと思いながら歌っていたのを覚えています」

──そんな状況でも、SHIROSEさんは音楽を作りたかったんですね。

「そうですね。自分の音楽だけはずっと信じていましたし、自信もあったのに、“この公園にいる誰一人、この曲のことを知らないんだ”と思ったら本当に悔しくて。とにかく曲を作る時間を作りたくて…アルバイトを辞めて音楽に集中したいと思って、とにかくがむしゃらに生きていました」

──その時の爆発的なエネルギーが曲になったのかもしれないですね。

「そうだと思います。間違いなく、原点となったのは爆発的なエネルギーでした。でも、逆境に立ち向かっている自分は好きな所ですし、今は今で、今の戦いがあって、ずっとハングリーではあります。この「磁石」や「池袋サンシャイン」が広まってくれた裏側には、SNSを毎日1投稿することを休まずに続けることを何年もやってきた結果だと思っています。それって、想像以上にキツくて。それに、今はバズってくれたのでこうやって語れていますが、上手くいっていない期間がとにかく長くて…。“もう止めよう”と何度も思いました。でも、自分との約束を破る人になりたくなくて、“あと1年”、“あと1年”と続けていくうちに今のバズに繋がったので、続けていて良かったと思っています」

GASHIMA
NIKKI

──SHIROSEさんは、いつもご自身に課すものがとても多い気が…。

「重いです(笑)。でも、キツイことを楽しみながらやれるのが僕の良い所だと思っているので、これからも自分に厳しくありたいです」

──しかもアンチコメントもスルーせず、しっかりとコミュニケーションを取っていますが、辛くないですか?

「僕は“1日1アンチコメント返しを11年3ヶ月続けていて、それだけやっていると、こちらの気持ちが届くこともあるんです。どんなことも1つ1つ丁寧に向き合っていれば、誰かが見てくれていると思うので、とにかく心を込めています」

──そこにどんな理由があるのでしょうか?

「自分の敗北を認めたいからです。これはアスリート出身だからこその考え方ですが、アンチの言っていることって、たまに的を得ていることもあって。それに対して、無視することもできますが、僕のことを信じてくれるファン、好きでいてくれる人が、そのアンチコメントを見ると、悲しくなりますよね? それがイヤなんです。例えば、僕のステッカーをスマホの裏に挟んでいるファンの子が、まわりから笑われるのだけはイヤだと思っていて。その人たちに、“SHIROSEは今日もアンチに面白おかしく返しているな。SHIROSEが前向きだから私も胸を張って応援しようと思ってもらえたら、すごく幸せです。そのステッカーの価値が変わります。もちろん、ダメージは受けますよ。それに、僕自身以外の家族や着ている洋服に対して言うなよって思いますが、そういったアンチの人たちにも向き合わないと、自分が辿り着きたいところには行けないと思っているので、これからも続けていきます」

──そして、長い時を経て届けられる「I Miss You」の魅力は改めてどこにあると思いますか?

「フレーズです。<世界中を旅してる 大金持ちのやつより 君とコンビニいける僕は 幸せなんじゃないのでしょうか>というフレーズは、ライブですごく褒めてもらえるんですよ。でも先ほど話したように、彼女に振られたときに作っているので、あの幸せを大切にできなかったんだという後悔も入っています。その温度はいまも大事に歌っています」

──この曲はインストも配信されていますが、どうしてですか?

「この曲、“歌いたい”と言ってくれる人が多いんです。なので、インストを配信しているので、是非みなさんに歌ってもらいたいです。時間があるときはカバー動画も見たりしていて、やっぱり、すごく嬉しいです」

──MVはこの曲の歌詞とはまた違う世界観になっていますね。

MVは僕が経験した恋愛の切り取りのダイジェストになっています。MVって、悲しいフレーズの時に悲しい表情をしているのがスタンダードですが、僕はそこがリンクしていなくていいと思っていて。曲は曲、映像は映像であってもいいと思っていて。とは言え、同じ時期の同じ想いを切り取ってはいるので、繋がっていないようで繋がっているんですよ。たまに、MVに対して曲と全く関係ないよねと言う方もいるんですが、ドラマ主題歌を作っているわけではないので、関係ない方がいいと思ってます。なので、このMVMVとして楽しんでもらえたら嬉しいですし、実際このMVYouTube1位になりました。そこから音楽を知ってもらえれば幸せです。」

──そして、Zepp Tourが始まり、ファイナルではSGCホール有明でのキャパ 5,000人規模のライブが開催されます。“これが埋まったら日本武道館やります”と宣言していますが、どんなライブにしたいですか?

「まずは完売をさせたいです。でも、そのハードルはすごく高いと思っていて。よくコンビニなどで同じ規模でツアーをしている人たちのポスターが貼ってあるのを見ると、その面々を見て、“ものすごい事だな”と思っています。でもその切符をもらうことができたので、全力を尽くしたいです。それに、僕はこれまで草の根活動をする中で、応援してくれる方々とここまで一緒にやってきたので、完売して日本武道館が決まれば、ものすごくロマンがありますよね」

──ファンもすごく嬉しいと思います。

「ここまで連れて来てくれたのは、ファンのみんななので。僕たちができることって毎日SNSに投稿をするとか、そういうことしかできないので、応援してくれる想いを共有しながらここまで来ました。生きていると、悔しい事の方が多いですよね…でもだからこそ、たまにうまく行った時は、本当に一緒に喜びたいです。アーティストって、カッコよくないといけないですし、カリスマ感がないといけないですが、僕は頭に浮かんだことを全部言ってしまうタイプなので向いていなくて(笑)」

──その泥臭さを好きでいるファンは多いと思いますよ。

「そうだと嬉しいです。やっぱり、できないことをひとつずつ埋めて、できないことがなくなった人が勝つと思っているので。ひとつでもサボった奴は2番なんです。それをものすごくシンプルな言葉でいうと、ただの負けず嫌いなんですけど。なので、有明の公演までは、ひとつもサボることなく、ストイックに準備をしていきたいです。あと、どんどんライブ会場が大きくなるにつれ、遠くに行っちゃう…”という声をもらうこともあって。でも、ここまであなたが連れて来てくれたんだよ遠くなったんじゃなくて、君と遠くまで来たんだよということが伝えたいです。僕から離れることは絶対にないので、そこは安心してほしいですし、決して遠くではなくそばにいると思っていてほしいです」

(おわり)

取材・文/吉田可奈

RELEASE INFORMATION

WHITE JAM「I Miss You」

2026年527日(水)発売
WJM-0013/1170円(税込)

配信 >>>

WHITE JAM「I Miss You」

LIVE INFORMATION

WHITE JAM Zepp Tour 2026 "磁石" 〜初のゼップツアー・5大都市〜

2026年8月9日(日) 北海道 Zepp Sapporo
2026年8月15日(土) 神奈川 Zepp Yokohama
2026年9月26日(土) 大阪 Zepp Namba
2026年10月18日(日) 福岡 Zepp Fukuoka
2026年12月9日(水) 愛知 Zepp Nagoya

グランドフィナーレ WHITE JAM初の5,000人LIVE
2027年4月25日(日) 東京 SGCホール有明

WHITE JAM Zepp Tour 2026 "磁石" 〜初のゼップツアー・5大都市〜

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