──昨年11月にソロデビューを果たし、今年3月に1stソロライブを開催。6月からは4ヵ月連続配信リリースもスタートしました。

「グループで歌う時は、メンバーのみんなと合わせたり、自分が演じているキャラクターに寄り添って歌っていますが、ソロでは"この曲はこう歌いたい!"とか、表現の上で自分の意志を反映させられることが醍醐味です。もちろんソロで歌うことのむずかしさもあって、一人で歌うことは単純に大変だし、一人だからこそ音程やリズムの面でよりクオリティアップをしないと、一人で楽曲を成立させられない。その両面を今は感じています」

──ライブに関しては?

「1stライブを終えて、やっぱりライブってすごく楽しいなと、あらためて思いました。ファンの方をしっかり盛り上げてくださって、スタッフさんも"初ソロライブだけど、本当にすごかった"と褒めてくださって。会場には、ファンの方たちがたくさんのお花を贈ってくださいました。みなさんのおかげでソロデビューして、1stライブも開催できて、私はファンの方と自分の相互作用で起こることが好きなんだなと、今また再確認しています。特に、ライブでの生の歌とダンスの楽しさ、そこでファンの方たちの熱を受けて、展開次第ででどうなるかわからないスリルも感じながらするライブが、私は大好きです」

──「むくわれないや」は、スイング感があるサウンドが特徴のスタイリッシュなナンバーですね。

「今まで歌った楽曲の中で、一番むずかしかったです。特にリズムを取るのがすごくむずかしくて、でも音楽的にしっかり歌をはめないと成立しないので、ボイトレの先生と先生と相談しながら練習したり、レコーディングでもここは抑えて歌うべきか、強めに歌ったほうがいいのかなど、フレーズごとにスタッフさんと相談して何度も歌いました。それが、今は思い出に残っています。歌詞には、"このままむくわれないままでいてたまるか!"という強いメッセージが込められているので、その強さは出しつつ、AメロBメロではちょっと歌の強度を落としつつ、最終的にはサビとDメロが立つように。歌に関しては、そういったアプローチをしていきました」

──「むくわれないや」に込められているメッセージには、相良さんも共感する部分がある?

「共感しますね。今、自分は運良くやりたかったお仕事をさせていただいていますけど、ダメだった世界線もあると思うんですよ。人って頑張ってもうまくいかない時のほうが多いと思うし、私自身も25歳までに結果が出なかったら声優をやめようと思っていた時期もありました。小学生や中学生の時も、どれだけ頑張ってもあの人には勝てないな、むくわれないなと思った時はあったので、そういう気持ちを思い出しつつ歌っていきました。誰しも、毎日過ぎ去る時間を生き抜くしかない部分はありつつ、どこかでむくわれたいという思いは絶対にあると思うので、聴いてくださった方の何かスイッチが入るきっかけになればいいなと思っている曲です」

──7月24日リリースの「星空ワンダー」は、「むくわれないや」とはまた異なる魅力を持った力強い楽曲です。

「ファンの方から、"こういう曲を待ってた!"という声をたくさんいただいています。昨年11月リリースのソロデビューアルバム『Smile my style』にはさわやかな感じの楽曲が多くて、「星空ワンダー」ほどかっこいい曲、声を張り上げて思いの丈を歌うロックな曲がなかったので。それもあって、"こういう曲を待っていた!"という声をいただけたんだと思います」

──「星空ワンダー」にはどうアプローチしましたか?

「「星空ワンダー」のキーはどちらかと言えば低めなんですけど、そういう曲のほうが歌いやすいタイプなので、まずは歌いやすかったという印象があります。その上で、歌詞に込められているメッセージにしっかりと感情を込めて歌う。それは、レコーディングでも指示されましたし、自分でも意識しました。メロディに合わせてきれいに歌うというよりは、感情を前に出して叫ぶというか。この歌も必死に頑張っている人が主人公なので、その思いをぶつけた感覚です。"自分は、まだまだこんなもんじゃない"という思いというか……」

──「星空ワンダー」では、過去に夢を掴めなかった自分を思い返しつつ、今また夢を掴もうとする主人公の心情が歌われています。

「過去に夢を掴もうとしていた時期があったけど、掴めそうで掴めなかった。でも、今なら掴めるような気がするって、またもう1回頑張ることというか、夢を掴もうと頑張ることに遅いも早いもないんだというメッセージが、歌詞からは伝わってくると思います。そのメッセージは、今の社会に生きている人たちにも、すごく刺さるんじゃないかなと思っていますね」

──「星空ワンダー」の主人公にも共感しますか?

「今は、過去の私の夢としては叶いつつあるんですけど、日々生きている中で頑張りたいのに頑張れないとか、頑張ったはずだけど届かなかったとか、そういう経験はまだまだあるんです。だから、「星空ワンダー」の主人公にはすごく共感できますね。過去に夢を掴めなかったとしても、今からまた頑張るのって悪いことじゃないのに、大人になればなるほど、もう1回夢を掴もうとする自分を隠したくたくなる。素直にさらけ出せなくなる。でも、そういう自分を出してもいいし、そんな人は周りが支えてくれるだろうし、支えてもらえたらまた頑張れるだろうし。私は、そんなふうに思います」

──8月、9月も新曲の配信リリースが控えています。

「4ヵ月間、毎月新曲がリリースされるって、本当にワクワクして私も楽しみですし、ファンの方も楽しみにしてくれていると思います。リリース記念で配信イベントもさせていただいているので、毎月毎月何かしらの盛り上がりがあるのは、とってもうれしいですね」

──連続リリースも十分に大きなトピックスではありますが、今年の夏はどんな夏にしたいですか?

「連続リリース、それに伴う配信イベントがあるので、ファンのみんなと駆け抜ける夏にしたいと思っています。私も駆け抜けるので、ファンのみんなも一緒に駆け抜けてほしいです。声優としては、7月から放送がスタートした「モブから始まる探索英雄譚」にルシェリア役で出演させていただいているので、しっかり作品を盛り上げていきたいと思っています。あとは、8月4日にR’sアートコートで開催される「麗和落語~二〇二四 夏の陣~八月公演」で落語にも挑戦しますし、9月6日からは、映画『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』が公開予定ですのでファンのみんなと盛り上げられたらいいですね」

──盛りだくさんの夏になりますね。

「ゲーム配信もやってますし、やりたいことでできることは全部やってますね(笑)。これからもやりたいことは何でも挑戦してみようと思っていますし、こんな私を見て自分も気軽にいろんなことをやってみようと思ってもらえたらいいなって思います」

──2024年後半戦の活動にも期待しています。

「みなさんの前で歌う機会もあると思うので、ファンの皆さんに会えるのを楽しみにしています!新しいお仕事にも、まだまだ挑戦していきたいですね。最近、本気でポケモンカードにハマっているので、ポケカ関連のお仕事のご依頼もお待ちしております!(笑)」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/平野哲郎

相良茉優「星空ワンダー」DISC INFO

2024年7月24日(水)配信
USM

相良茉優「むくわれないや」

2024年6月26日(水)配信
USM

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