──7月24日に配信リリースした「フロウライト」に続き、8月28日に「カルセドニー」を配信リリース。2ヶ月連続の新曲リリースで、秋のワンマンライブ『小片リサ LIVE “Gleam”』に向けて加速している印象です。
「「フロウライト」も「カルセドニー」も、石の名前からタイトルをつけました。石には石言葉があって、フロウライトの石言葉は“自由”です。この曲では私が日々を過ごしている中で、人に伝えたりはしないけど、心の内でなんとなくモヤモヤと感じていることを歌詞で表現したかったので、“自由”という石言葉を持つフロウライトをタイトルにしました」
──自由に対して、モヤモヤした感情があるのでしょうか?
「歌うことや曲作りは、すごくやりがいのあることです。でも、過ぎていく毎日の中で、ずっと部屋に1人でいて歌詞を書いたり曲を作っていると、なんだかモヤモヤしてきてしまって…どうしても“リフレッシュしたいな”という気持ちになることも多くて。そういう時、“自由になりたい”と思うんです」
──モヤモヤした感情が生まれると、自由になりたくなるんですね。
「基本は自分の部屋で曲作りをしていて、少し暗い気持ちになって外に出ても、東京だと人混みや高いビル、いろんな音とか情報量が多いので、自由にはなれなくて。だから、自由になりたい時は東京を離れます。自然があって落ち着ける場所に1人で行って、とにかくその場所に身をゆだねています。そうするとリフレッシュできて、新しくスタートを切れるというか…気持ちが楽になって、またいろんな曲を作ってみたいというアイデアが浮かんで、そこから東京に戻っています。その繰り返しでいいのかな? それが私にとっていい生き方なんだと思っています。誰かに話したりすると、“そんなこと考えてるの?”と言われそうですけど(笑)。「フロウライト」は、そんな想いを表現したいと思って生まれた曲です」
──最新曲「カルセドニー」についてもお話を聞かせてください。
「「カルセドニー」の1番大きなテーマは、“手紙”です。実体験をもとにした歌ですけど、毎年誕生日を迎える度に1年後の自分に向けて手紙を書いていて…“今年1年はこんなことがありました”って。誕生日に1年後の自分に手紙を書きながら、去年の自分が書いた手紙も読んで過去も振り返る。そんなことを、毎年やっています。そうすると、たった1年でもすごく変わるいうか、“無駄に自分の背中を押そうとしているな”とか、その時に流行っているものが書かれていたり、そういう文章を読むと過去の自分が子どもに見えて、なんとなくクスッと笑えるような感じがして。それだけではなくて、振り返ってみるとそんなに悪いこともなくて、“いい1年を過ごしてきたんだな”とも思えます。そんな風に“過去を振り返って、自分を肯定してまた進んでいけるといいな”って感じてもらいたくて、この曲を書きました。そんな曲にいいタイトルはないか?と探して、“追憶”という石言葉を持つカルセドニーをタイトルにしました」
──自分への手紙は、いつから書かれているんですか?
「中学生の時に、学校で20歳の自分に手紙を書く機会があったんです。その手紙を実際に20歳になった時に読んだら、すごく面白くて。それで、“だったら毎年書いてみよう”と思って書き始めたのがきっかけです」
──そんな「フロウライト」と「カルセドニー」ですが、歌詞がとても美しいと感じました。言葉そのものの美しさもそうですし、音としての響きや意味もとても綺麗に思えて。しかも、美しいだけではなく日本で暮らしていると誰もが理解できる言葉を綴っているとも思いました。
「今言ってくださったことや、言葉によっては表記を平仮名にしてみたり、そういうところに誰かが気づいてくれるといいなとは思っています。綺麗な言葉だけで歌詞を書きたいという想いは、以前からずっとありました。でも、それだけでは自分の内側が伝わらない部分もあって。なので、今は綺麗な言葉にこだわるだけではなくて、言ってくださったように誰にでもわかる言葉を選んだり、もっと幅広く考えて歌詞を書いています」
──ご自身で歌詞を書くようになって、何か変化はありましたか?
「私はもともと自分の気持ちを誰かに話すのが得意ではなくて、聞き役になることが多いタイプなんです。でも、だったら普段は言えないこと…思っているけど誰にも伝えられていないことを歌詞にすればいいと思って、歌詞を書いています。そうやって歌詞を書くことによって、自分の内面をさらけ出す場所ができたことはすごくいいことだと思っていますし、それは大きな変化です。歌詞だけではなく、ファンクラブのブログやSNSにも変化がありました。今まではどこか当たり障りのないことを書いて、ファンの方が思い描いている理想の小片リサでいようとしていた部分がありました。でも、歌詞で自分の内面を書いてもう知られているんだから、それ以外の場所でももっと自分を出していいと思って。その変化によって、以前よりも楽になれたと思います。実際に誰かといて自分のことを話せるようになったか?と言うと、それはまだまだですけど(笑)。ライブのMCも、いまだに緊張しますし…」
──歌詞だけではなく、メロディラインも美しい2曲ですね。
「メロディは、基本的に鼻歌から生まれています。同時に歌詞がふわっと浮かんでくることもあります。ご飯を食べながらふと浮かぶと、スマホで録音して…みたいな感じで作ることが多いです。机に向かって書くこともありますけど、何か別のことをしている時にメロディが浮かぶことが多いです」
──ご自身の詞曲のルーツになっているのは?
「グループ時代に歌ってきた楽曲や、ソロの初期に書いていただいた楽曲からの影響は大きいと思います。歌詞に関しては、最近本を読むようにしているので、少し影響を受けていたりするかもしれないです。川村元気さんの作品が好きで、言葉使いもそうですし、空間の写し方というか、情景描写が本当に丁寧で。私は情景描写があまり得意ではないので、“こんな書き方をすることによって景色って浮かんでくるものなんだ”って、作詞をする時にすごく参考になります」
──「フロウライト」と「カルセドニー」を携えてのライブ『小片リサ LIVE “Gleam”』が決定しています。
「ピアノとベース、ドラムという編成で、「フロウライト」と「カルセドニー」も初披露する予定です。2曲とも生で歌った時にどんな感じになるんだろう?って、まだ自分でもあまり想像できていない楽曲なので、楽しみです。あと、どこまで実現出来るかはわからないですが、スクリーンを使って映画的なイメージの映像を流すかもしれません。そういう演出も含めて、“小片リサの世界観”を表現することに挑戦するライブにしたいと思っています」
──「フロウライト」のMVは、ご自身が映像を手がけていますね。
「自分でやってみたくて、撮影と編集、出演をしています。フィルムカメラの質感が好きなので、編集で映像的にヴィンテージ感のあるものにしたり、かなりこだわって作りました。映像制作に関しては、これからもやっていきたいです」
──ライブタイトルの“Gleam”に込めた想いを教えてください。
「“かすかに光る/煌めく”という意味ですが、ステージでほわっとあたたかい光を灯して…その光が皆さんに届いて、みなさんの心にも光が灯るといいと思って、“Gleam”というタイトルにしました。じっくり歌を聴いてもらって、映像を楽しんでもらって、ライブでは現実から離れて一緒にいる空間で同じ時間を皆さんと過ごしたいと思っています」
──ここまでのお話を踏まえて、これからはどんなシンガーになっていきたいと考えていますか?
「基本的にポジテイブな人間ではないですし、はっちゃけるのも得意じゃないタイプなので、聴いてくださる方々の背中を思い切り押してあげることは、多分出来ないと思います。でも、少し落ち込んだ時に一緒に落ち込んであげられるというか…泣きたい時に一緒に泣いてあげられるような寄り添い方ができるシンガーになりたいと思っています。その上で、自分自身もありのままの自分でいられるように。それが曲作りの上でもそうですし、人生の目標でもあると思っています。そしていつか、大好きな星野源さんや吉澤嘉代子さんのように、本当に素敵な歌を書いて歌える人になりたいです」
(おわり)
取材・文/大久保和則



