──1st ALBUM『KUNIUMI』がリリースされました。改めて、IZANGIがどんなグループかをより多くの人に知ってもらうために、これまでの活動を振り返っていただけますか?
蜜柑るな「長かったようであっという間な1年8ヶ月でしたね。とにかく濃かった気がします。いろんなことをしてきて…」
ぬ。みる「どんどん成長できた1年8ヶ月だと思います。ほぼ毎月ミッションを課せられて、目の前の目標をクリアしていって、気づいたら1年8ヶ月が経っていたなっていう感じです。“これがクリアできたら新曲が披露できます”とか、“フォロワーが1,000人いったらMVが出せます”とか。ファンと一緒に協力するミッションをたくさんクリアしてきました。その分、メンバーの絆もファンとの絆も深まっていった1年8ヶ月だなと思ってます」
くまだかなえ「このアルバム『KUNIUMI』もそのミッションの一つで達成できました」
神楽響姫「そうだね。2回目のワンマンライブのときに、“手売りでチケット200枚完売でアルバムがリリースできます”っていうミッションをやって。ファンの方が200枚買ってくださったから、そのミッションが達成できて、アルバムがリリースできたっていう状況です」
輝月けいと「しかも、直前まで、200枚達成してるかしてないかを聞かされてなかったんです。本当に”達成していなかったらアルバムは出さない”って言われていてたんで、ギリギリまでうちら焦っていて…。最終的には201枚だったんですけど、1枚でも多くっていう気持ちで手売りチケットを売っていたので、無事に達成できたからめっちゃ嬉しいよね」
ぬ。「そのミッションを達成できなかったら一生アルバムはリリースしないって言われてたんですよ」
──え?一生!?
ぬ。「そうなんですよ。だから、もうみんな死に物狂いでチケットを売ったよね」
くまだ「だって、一生アルバム出せないアイドルやじゃん!」
ぬ。「物販の時に一番安いチケットが1,000円だったので、“1000円からワンマンのチケットを買えます!”ってめちゃくちゃ叫んだり、オタクにも協力してもらいました」
輝月「IZANAGIはオタクと協力してやる達成するミッションが多いので、ファンと一緒に成長できているっていうのが目に見えてわかるんです。そこがこのグループの素敵なポイントかな?って思います。あと、SNSの毎日更新はデビュー当時から今までずっと続けていて」
蜜柑「TikTokは自分たちで編集してあげています。今は音楽を流しているんですけど、IZANGIの裏側とか、個人的なネタもあげていて。例えば、歌が得意(神楽)とか、低身長ネタ(くまだ)とか、物忘れしちゃってるやつ(ぬ。)とか、心霊系(輝月)とか。私はなんでもお酢をかけるっていうアイドルなんですけど…」
──ええー!なんでもって?
くまだ「るなちゃんは、すでに酢飯になってるお寿司にも、お醤油じゃなくて、お酢をかけて食べるんです。
蜜柑「“追いお酢”ね。お料理に何でもお酢をかけて食べるので、そういう小ネタとか。みんなで編集してあげているので、ぜひ見てみてもらえたらと思います」
──心霊系も気になります。
輝月「私は生まれたときから霊感があって。幽霊はもちろん、人のオーラの色も見えちゃうタイプなんですけど、ライブハウスで天井を見上げる振り付けの時に、天井に幽霊が張り付いてるのが見えたりとか…」
──えーー!それ、メンバーに言うんですか?
ぬ。「言ってくれないです」
輝月「楽屋に行くエレベーターで、私が“うわっ!”って言いながら霊を避けた時に、みんなが“けいと、今の何?”ってなることはあります。みんなには見えていないから、私が避ける素振りをしたときとか、一人でパニックになっているときとか、“どうした?どうした!”みたいになるっていうのは、よくあります。幕の裏から視線を感じたりとか…」
ぬ。「アピールしてくれないとね。私たちが思うよりもっと見えていると思うんです」
蜜柑「じゃあ、そわそわしてる時って…?」
輝月「幽霊が見えてるときもあります。それをTikTokの動画のネタにもしていて。“うわ、今、見えてるから撮ろう”って、撮ったりもしています」
ぬ。「だから、お客さんもいっぱいに見えるんだね」
蜜柑「そうそう、“今日、200人いるわ”って言ってたのに、ステージに出ていったらそんなにいないってことありました。あれ、幽霊を見てんだ?」
輝月「そういうこともありました。困ってばっかりです」
──ぬ。さんはこれまでの活動で一番印象に残ってることを挙げるとすると?
ぬ。「裸ライブをしたんですよ。私達も裸で、お客様も裸でっていうオールナイトイベントやったんですけど…」
──はい。
ぬ。「めっちゃ冷静ですね(笑)。実はエイプリルフールだったんですけど、そのために、わざわざ裸に見える写真をスタジオで撮影したりとか、めちゃくちゃ凝って。前日からファンの人にだけは“裸ライブっていうエイプリルフールの嘘をつくんで協力してください!”って言っておいて。“裸でライブしたようなポストをXで投稿してください”ってお願いして。…そんなにバズんなかったんですけど(笑)、事務所のゴキゲンジャパンってネタに対して、めちゃくちゃ真面目にガチで体を張っているところなんですよ。私はゴキゲンジャパンのそういうところが好きなんで、一番の思い出だし、もっと過激なことをしてみたいなと思います」
──今後、どんなことをやってみたいですか?
ぬ。「えー!裸を超えることですよね〜」
くまだ「いや、裸ライブはやってないよ(笑)」
ぬ。「うーん、普通のアイドルがやってないようなところでライブしたいです」
輝月「廃墟とかどう?」
ぬ。「心霊スポット!」
神楽「こわいこわい」
輝月「誰もいない学校の音楽室とか、工事現場とか。あまり誰もやってなそうなとこでライブをしたら面白いかな。いろいろと何でもやってみたいです」
──くまださんは?
くまだ「IZANAGIが始まってすぐくらいにコロナ禍になってしまったんですけど、コロナ明けのライブでみんながお休みになっちゃった時があって。私とるなちゃんだけ元気で、他のメンバーはお休みで“どうする?”ってなったときに、空気を入れたお人形…なんだっけあれ?」
ぬ。「エアーマネキン?」
くまだ「そう、3体のエアーマネキンにメンバーの顔写真を貼って。それを動かす人として、プロデューサーの(白幡)いちほさんが黒子の格好して、一生懸命に他のメンバーを動かしてライブをしたんですけど、そんなアイドル見たことないじゃないですか。そもそも、エアーマネキンをメンバーに見立てるっていうのが意味わからないし…“すごいジャンルのアイドルグループに入っちゃったな”って思いました」
蜜柑「その日のチェキ会はエアーマネキンにオタクがひたすら話しかけて、オタクが自分でサインを書くっていうシュールなセルフサインをやってて。それはそれで面白かったなって思います。オタクもノリノリでやってくれてて。聞いたことはないけど、セルフサイン、セルフ剥がしっていう謎のイベントになって」
ぬ。「初めてのことでも対応できちゃうオタクがすごい!」
蜜柑「たまたま昨日、YouTubeを見ていたんですけど、エアーマネキンが元気良すぎて飛んでっちゃって。そしたら、白幡いちほPが一生懸命にマイクを会場に向けてるんですよ。めっちゃシュールでめちゃめちゃ面白かったですね」
くまだ「“こういうバラエティーっぽいことをたくさんしていくんだな”って気づいた後に、「理解のある彼くんisどこ」のMV撮影があったんですけど、めっちゃかわいいのに、ストッキングが置いてあって。本当に何にもわかってなかったから“これ、何に使うんですか?”って聞いたら、“かぶるんだよ”って言われて。めっちゃかわいいMVなのに、ストッキングをかぶってるんですよ。でも、全然、話題になってなくて…」
──(笑)ストッキング相撲はメンバー的にはOKだったんですか?
蜜柑「基本、NGないので」
輝月「それこそ、ガチで裸以外はなんでもやろうっていう感じです」
くまだ「おピンク以外は大丈夫です。これからも変なことやっていきたいと思います!」
──ありがとうございました。
──最後に神楽さん。
神楽「アルバム収録曲10曲のうち、「ルドイア」と「DE・KI・N」以外は、全曲MVがあるんですけど、その中で私が印象に残ってるのが、オタクと一緒に撮った「沖縄に行きたい」のMVです。沖縄に行けないんで、“例のプール”っていうところを借りて…」
──それこそおピンクのビデオでお馴染みのプールですよね。
神楽「そうですね。私達も“例のプール”を調べて、ちょっとびっくりしました(笑)。撮影に行ったら、新規の方とか、始めましての方が来てくれたんです」
くまだ「みんな行きたかったんだよ、あのプール」
神楽「そうだね。それで、“例のプール”に、くまだかなえがオタクをキックして突き落としたり、みんなで一緒に寝転がってるシーンとかがあって。ファンの人と一緒に撮ったことがすごく嬉しかったし、それがMVとしてちゃんと残るていうことも嬉しかったです」
輝月「私も「沖縄に行きたい」のMVが一番好きなんです。夏生まれなので、夏を表現してる曲が大好きなんですけど、前半で全員がスーツを着ているんです。絶対に自分は一番似合うっていう自信があったのに、Pに“一番着られてる感があるね”って言われてしまって、“あれ?”みたいな感じでした(笑)。でも、“例のプール”に入れたのも思い出ですし、水鉄砲でも遊んで。扇風機が1台置いてあるだけで、冷房がなかったので、めちゃくちゃ激アツな中での撮影だったんですけど、プールに飛び込んだメンバーもいたりして。そういう無邪気な本当に自然体な笑顔がいっぱい映ってるのがお気に入りです」
──本当にいろんなことをしていますよね。
くまだ「まだまだ言いたいことはいっぱいあります。『2022 TOKYO アイドル博』とか…」
蜜柑「当日に出演がキャンセルになったアイドルグループが何チームもいて。その環境自体がちょっと…なんていう言葉を選べばいいのかな?」
くまだ「救急車がめっちゃ来るイベントだったんですよ」
──ずさんな運営が問題になっていました。タイムテーブルが出るのも直前で…。
くまだ「あのタイムテーブル、私のオタクが作ったんですよ。公式さんがPDFで発表したんですけど、すごく見づらくて。それを見た私のオタクがめっちゃ見やすいタイムテーブルを作ったら、それがバズっていました」
輝月「男性用のトイレにドアがついてないっていう問題もあって…」
くまだ「オタクがおしっこしてるのを見ながらライブしていました。お尻を見ながら「沖縄に行きたい」を歌って。いろんなステージがあってそのステージの名前がピュアステージだったんですけど、全然ピュアじゃない(笑)」
ぬ。「1日目はトイレにドアがなかったけど、2日目はついていたみたいなのをレポートしたらちょっとバズって。くまだかなえちゃんが、トイレでバズりました」
──会場に15台以上の救急車と消防車が駆けつけたっていうニュースも読みました。
神楽「楽屋のテントがいっぱいあって、どこに入ればいいかのかが決まってなかったんです。だから、一部のテントにアイドルさんがめっちゃ集まっちゃって。熱中症になっちゃうアイドルさんがいて、救急車騒ぎになって。それを見た運営の方が、一つだけ冷房がかかっている部屋を用意してくれたんです。なぜか私達も強制的に“そこに入りなさい”って言われて、休ませてもらったりとかしながら、気づいたら、救急車に何人も乗っているアイドルさんがいたりとか…」
輝月「私達はその時、普段の衣装とは違う、メンバーカラーのそれぞれのアロハシャツを着ていて。あと、ビラを配るのが禁止というか、有料だったんですよ。お金を払えばビラを配っていいっていうルールで。プロデューサーが機転を利かせて、SNSのQRコードを持ち歩いて、ビラ配らないっていうのをやったんです」
蜜柑「それもバズったね」
輝月「勝手にQRコードを読み込まれてフォローしてもらっただけなんで、うちらはビラを配ってないんですよっていう。QRコードのボードを持って歩いていただけなんで」
ぬ。「それで優勝しちゃったね」
蜜柑「それを見た方たちにSNSで“IZANGI優勝!”って書いてもらいました」
輝月「しかも、うちらはキャンセルが出た他のアイドルさんの分も代わりに何回か踊って。“神!”って言われて…私達だけはめちゃくちゃ楽しみました」
──お強いですよね。
くまだ「楽しんでたら、バズれてラッキー!みたいな」
神楽「その一部始終をYouTubeに公開しているんです。2日目以降は、それを観て、IZANAGIに会いに来てくれる人も結構いて。ニュースショーみたいになっていますけど(笑)、『アイドル博』でIZANAGIを知ってくださった方がいたんで、よかったらその動画も見て欲しいです」
ぬ。「しかも、その間にドッキリもあって…プロデューサーからのドッキリなんですけど」
──そんな慌ただしい中で?
ぬ。「そうなんですよ。その中でドッキリやるか!?っていう」
輝月「情報過多!」
神楽「まず、自分たちのステージの場所がどこかわからなかったんです」
ぬ。「ステージを探して走るっていうところから始まって。それはドッキリではないんですけど、“もう間に合わない!”っていうバタバタがあって、何とかステージに着いたら、同じ曲が3回連続で流れて、どんどん速くなってくっていうドッキリをかけられて。もう何が何だかわかんなくて…」
神楽「ステージに上がる前に“「沖縄行きたい」を3回ね”って言われて。私達はいちほさんの信者なんで、“わかりました!”ってなって。今、思えば、10分の出番で、「沖縄に行きたい」を3回も歌えないのはわかるんですけど、その時はもう必死で、何がなんだか全くわかんなくて。いざ始まってからも、2回目の倍速に気づかない子もいて」
くまだ「わかんなかった」
ぬ。「“なんかいつもとは違うな。熱中症なのかな?ちょっと体調がおかしくなっちゃったのかな?”って思っていたら、“やっぱり速くなってる!”って。3回目で気づきました」
神楽「ドタバタでしたね。本当にいろんなことありました」
輝月「こんなに語ってるのにまだあるんですよ(笑)。しつこいくらいあって」
神楽「思い切り転んだし。ドロドロだった。雨降ってたから…」
ぬ。「そうそう、台風だったんですよ」
──あはははは。多すぎない?
神楽「もう泥だらけで、アイドルの足じゃなくなってて。それでも特典会やったりとか」
蜜柑「しかも、頑張りすぎたら声が出なくなって」
輝月「「週末slow memory」を歌うときに号泣案件になって」
ぬ。「二日目から声が出なくて、バツがついたマスクをしてステージに出てたね」
輝月「しかも音響トラブルで音楽が止まって、アカペラで歌うことになっちゃって」
ぬ。「私は歌じゃなくて、ビートを口で歌ったんです。ビートがないとダンスが揃わないじゃないですか。そう思って使命感で歌いました」
神楽「全てをミルに任せて。うちらは踊って」
蜜柑「そしたら、いきなり<デュクシ/デュクシ>って言い出して…」
ぬ。「サンプリングで入ってるんです、ピストルを抜く音が」
輝月「それをボイスパーカッションのように<デュクシ>って(笑)」
くまだ「 次の日さ、ファンの人がオリジナルの<デュクシ>って書いているTシャツを作って着ていました」
蜜柑「あはははは」
ぬ。「ちゃんとサンプリングされてる音を表現しようと思って」
神楽「全部の音を口で表現しようと頑張ってくれていました」
蜜柑「そのおかげでみんなが最後まで踊れたから」
くまだ「綺麗に揃ってたね。ありがとう!」
ぬ。「いらなかったかもしれないけどやってよかった(笑)」
輝月「語っても語っても出てくるよ!どうしよう?」
神楽「いや〜、いろんなハプニングを乗り越えてきたね」
ぬ。「これだけでインタビューが埋まっちゃうよ」
──(笑)ぬ。さんは、トラックを再現する力はあるのに、物忘れキャラなんですよね?
ぬ。「音感はあるんですけど、注意力がないんです。電車の網棚に衣装を入れたリュックを忘れたことがあって。リュックはそのまま終点まで行っちゃったんですけど…」
輝月「しかも、すぐに気づくんじゃなくて、後で気づくみたいな」
ぬ。「電車を降りて、スタバに行って、“「ソイラテ一つください”って頼んで、財布を取ろうとしたら、“あれ? リュック背負ってないじゃん!”まで、気づかなかったっていう(笑)。注意力がめちゃくちゃ欠けています」
神楽「絶対に携帯を楽屋に忘れます」
くまだ「なのにケースだけ持ってるんですよ」
ぬ。「ケースだけ下げてて。体から離さなければ失くさないって思っているんですけど、なぜかケースから外して充電しちゃったりするんで、気をつけないといけないなって思うんですけど。去年は“忘れものをしない”っていうのが目標だったんですけど、その目標を立てるのはやめました」
輝月「やめんなよ!なんでやねん!」
ぬ。「もう無理。みんなに助けてもらって生きようかなと思っています」
蜜柑「やばっ!諦めるな!」
ぬ。「みんなに助けてもらって生きています、私は。本当にありがとうございます」
──(笑)衣装を忘れた時のライブはどうしたんですか?
ぬ。「マネージャーさんが急遽全身タイツを買ってくれました。“私は今日、衣装忘れました”、“来月の給料マイナス2980円”って書いたダンボール紙を背負ってライブしました」
輝月「でも、喜んでなかった?」
くまだ「嬉しそうだった」
──裸以外はなんでもやりたいって言ってる人だから。罰にならないですよね?
輝月「普通は嫌じゃないですか、1人だけ全身タイツでライブに出ないといけないなんて。でも、まんざらでもなささそうでした」
くまだ「トイレから帰ってこなくて、泣いてんのかな?って思ったら、ケロッとしていて。こっちはめちゃくちゃ心配してたのに…」
神楽「“ごめん、自撮りしてた”って言いながら楽屋に戻ってきました」
ぬ。「忘れ物をしても輝かせてくれるんですよ。いいグループですよね」
神楽「甘えんな!」
ぬ。「あははは。後日、その衣装を取りに、電車の終点の川越に行って観光してきました。川越になかなか行くことないから、衣装が連れてってくれたのかなって」
蜜柑「ポジティブすぎる(笑)」
神楽「治んねーな。これは。」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/野﨑 慧嗣