――10周年おめでとうございます。まずは10年を振り返って、率直な感想を聞かせてください。
KUBO-C「過ぎてみれば早かったんですけれども、内容の濃い10年だったなと。当初から掲げていた目標もかなえることができたし、こうやって続けられていることが幸せで、感謝もしています」
P-CHO「今日ここに来る前に、いろんなことを思い出していました。初めてのツアーを大阪の小さいライヴハウスでスタートさせて、東京では赤坂BLITZでやって、追加公演をZeppでできた時の喜びとか。そこからZeppツアーが実現して、武道館のステージにも立って、アリーナ・ツアーもできてって、一緒に夢をかなえてきたんだなって実感しました」
SWAY「振り返るとあっという間だけど、10年続けることって、実はそんな簡単なことでもないのかなって思うんですよ。熱量とかにもアップダウンがあるし、みんなが音楽の灯を消すことなく燃やし続けているからこそ、できたのかなと。この10年間を燃料にしながら、また進めたらいいなと思います」
KAZUKI「コロナの前までは、すごくいい景色を見ていたんだなって考えてしまいがちなんですけど、それはしたくなくて。普通に人生を送っていたら経験できないようなことを、このメンバーで経験させてもらえたので、ライヴのあり方や音楽の聴かれ方が変わっても、過去にすがることなく一緒に前進していきたいと思っています」
GS「この10年を、自分たちなりにどうとらえるかということが、大事なんじゃないかと。紆余曲折というか、コロナという大きな変化がありながらも、それも含めていい経験ができたと思うし、この10年があったからこそ、これからの10年が想像できるようになりました」
――この間に3ヵ月連続配信されていた作品が、10周年記念シングルとしてCDリリースされます。まず「踊れピエロ」ですが、アガれて、かつ味わいのある、いい曲ですね。
一同「ありがとうございます」
――こういう曲の場合、トラックに言葉を乗せていくというやり方ではなくて、いわゆるメロディというものを作り込んだうえで、歌詞をつけるという手法になるわけですか?
SWAY「いえ、やはりトラックがあって、まっさらな状態から僕らが何をどう乗せるかを考えていくんです。この曲に関しては、サビのメロディはCHOさんが考えました」
P-CHO「トラックを聴いて、頭に浮かんだメロディを入れていきました。今回の3曲のトラックは、すべてBACHLOGICにお願いしようと決めていて、何曲分か素材をもらったうえで、第1弾はこれでいこうと決めたんです。まずはアガるものをやりたいよねっていうのが、自分たちの中であったので。BACHLOGICは、まずビートをループでくれるんですよ。そこから自分たちが歌を入れて送って、ミックスしたものが返ってくるのを待つのが、楽しみなんですよね。この曲も、アレンジを含めて絶妙でした。僕とKUBOちゃんが歌うところの音の抜き方とか、フックでベースの音色が変わるところとか」
KUBO-C「タダじゃ返ってこないんだよね(笑)」
――MVのコメント欄にも、「勇気が出た」「背中を押してもらった」みたいなコメントが並んでいます。ご本人たちからすると、どういう心情を歌った曲なのでしょうか?
SWAY「ライヴに来てくれる人って、その日のために仕事を頑張って、休みを取ったりして来てくれるわけじゃないですか。そこからまた、いつもの日常に戻るってなった時に、我慢しないといけないこともあると思うし、長いものに巻かれてノーと思ったことにも『イエス』って言わざるを得ないこともある。そういう世界で生きている人が、ほとんどなんじゃないかって思うので、その人たちが共感できて、一緒に踊れるような曲にしたかったんですよね」
――歌詞に“イエスマン”と出てきますが、「イエスマンにはなるな」なのか、「イエスマンなんかじゃない」なのか、どっちに近いニュアンスなのでしょう?
SWAY「イエスマンになっちゃうんだけど……」
KUBO-C「それを楽しんでいる」
GS「そうそう!世の中を変えてやろうぜ、とかではなく、決められたルールの中で楽しもうぜっていうことですね。究極を言えば、税金を払いなさいと言われたら、払わないといけないじゃないですか。ルール的に逆らえない部分というのは、学校にも会社にも社会にもあって、みんなその壁にぶつかるけど、そういう息苦しい世の中と付き合いながら、楽しく生きようよっていうのがメッセージですね」
P-CHO「この曲を作る前に、みんなで“本気で俺たちが思っていることを歌おう”って話していたんです。“言いたいことを我慢して生きているところも実際あるよね”って。歌詞の<クソ食らえ、吐き出せりゃどんだけ楽だろ>もそうですけど、腹が立った時に、お偉いさんに好き勝手、噛みついたりできるような世の中じゃないので」
GS「変えてやれとか、動かないなら動かしてやれとか、そういうのが、僕らが発信するべきメッセージなのかなっていう想いもあったんですけど、今回は、そうはいかないのが現実だって言っています。今までのドーベルだったらたぶん、変えようぜって歌っていたと思うんですけど、10年を経たからこそ、深みが出たというか」
SWAY「デビュー曲では<Go and go 行くぜ勝つまで>って歌っていましたからね。その人たちが今、<変えられないこの世界>ですから(笑)」
GS「変えられないって認めちゃった(笑)」
――ははははは!でもそれって、強くなったということでもある気がします。
SWAY「そうなんですよね」
KUBO-C「真っ向勝負している感じがする」
SWAY「当たって砕けろですね」
――「ラストフォーエバー」は、KAZUKIさんの歌心が沁みる曲です。歌詞に“時間”と出てきますが、10年という時間に思いを馳せているということですか?
KAZUKI「そういうふうに捉えられる方が、やっぱり多いですね。僕らも作った後に、自分たちのことを言っているんじゃないか、もしかして解散するんじゃないかみたいに……確かに聞こえた」
一同「ははははは!」
KAZUKI「たとえば自分の親や恋人と会うこととか、今回が本当に最後になってしまうかもしれないっていうことを、なかなか考えられない生き物だと思うんですよね、人間って。ずっと今という時間が続いていくから、一瞬一瞬を大切にできないものだと思うんですけど、もしかしたらこれが本当に最後になるかもしれないって考えると、思い切り楽しんでやろうぜって思えるというか。そういう曲を書きたかったんです。たまたま自分が宇宙語でメロディを作っていた時に、<最後の夏>って聞こえたので、時期的にもいいかもって」
GS「僕らとしては、この瞬間が最後になるかもしれないからこそ、今を大切にしようというのが大きなテーマとしてあります。でも捉え方は自由だし、夏ソングとして聴いてもらうのも、ひとつの楽しみ方だと思います。自分たちなりの答えはあるんだけど、それをあえて言わなかった曲ですね」
――「1st SONG」は、メンバーそれぞれが誓いを立てるような感動的な曲です。
SWAY「10周年にして初めての曲で原点に返るというか、さっき言った、今までの10年間を燃料にして前に進むというのが、込められた想いですね。サビはみんなで考えて、それぞれのパートはルールを決めないで自由に書きましょうっていうことにしたので、若干の世界観の違いはあるかもしれないけど、メンバーそれぞれの今の気持ちが表れています」
――皆さんの心の中に、いろいろな想いがよぎっている感じが、すごく出ていますよね。
SWAY「「ラストフォーエバー」が先にできたんですけど、曲を聴いた時に“これってドーベル、本当に解散しちゃいません?”って、ちょっと心配になったので、僕からメンバーに相談させてもらったんですね。“なんか、におわせになっていません?”って」
一同「ははははは!」
SWAY「実際はKAZUKIの宇宙語をいかしただけなんだけど、大丈夫かなって。それで、3曲目は未来について歌った曲にしませんかと。10周年という歴史はあるけれども、またここからスタートするんだっていう」
――ラストからのファースト?
SWAY「はい、ラストからのファーストということで、新たな決意表明というか」
――とても内容の濃い、存在感のある10周年記念シングルになったと思います。
SWAY「みんな大人になりましたよね。歌詞もそうですけど」
KUBO-C「言いたいことも変わってきているし」
SWAY「ただ昔と変わらないのは、楽曲の幅広さ」
――KAZUKIさんはシンガーとして、どういう実感がありますか?
SWAY「KAZUKIは、歌詞を書くために旅に出るようになったよね」
KAZUKI「時間をかけて書くようになったし、あまりライトに書くことをしなくなってきたというか。これは本当に自分が思っていることなのかなって、シビアに向き合うようになった感じはあります。声も10年経って変わってきているし、成長できていればいいですね」
――リバイバルライブは、どういう内容になりそうですか?
KUBO-C「このタイミングでしかできないことをやろうということで、過去の楽曲に重点を置くつもりです。前半と後半で年代を分けています。今回の曲とか、新しい曲も多少は入れていくんですけど、リバイバル感を出していくことがテーマです」
SWAY「それが終わったら、コロナ前にやっていた自主企画フェスD.Islandを復活させて、また盤もリリースしてツアーをやるつもりなので、そこからが僕らの新しいスタートになると思います。まずはこの10周年で後ろを振り返って、そこからはもう前しか見ない。<Go and Go>です(笑)」
KAZUKI「11年目で、またそういうことを歌っていたりして(笑)」
(おわり)
取材・文/鈴木宏和
写真/中村 功
DOBERMAN INFINITY LIVE 2024 ThanX “THE REVIVAL”LIVE INFO
6月17日(月)大宮ソニックシティ 大ホール
6月23日(日)よこすか芸術劇場
6月26日(水)ロームシアター京都
7月22日(月)名古屋国際会議場センチュリーホール
7月31日(月)昭和女子大学人見記念講堂(東京)
8月16日(金)大阪国際会議場グランキューブ大阪 メインホール
DOBERMAN INFINITY「1st SONG」DISC INFO
2024年6月26日(水)発売
初回生産限定盤(CD+DVD)/XNLD-10215B/3,960円(税込)
LDH JAPAN
DOBERMAN INFINITY「1st SONG」
2024年6月26日(水)発売
10周年記念盤(CD)/XNLD-10217/10218/3,300円(税込)
LDH JAPAN
DOBERMAN INFINITY「1st SONG」
2024年6月26日(水)発売
通常盤(CD)/XNLD-10216/1,320円(税込)
LDH JAPAN
DOBERMAN INFINITY「ラストフォーエバー」
2024年5月24日(金)配信
LDH JAPAN
DOBERMAN INFINITY「踊れピエロ」
2024年4月24日(水)配信
LDH JAPAN