――Annaさんはencore初登場なので、まずはベーシックな質問でウォームアップしていきましょう。日本の大学に通われているんですね。
「はい。日本が大好きなので、もっと日本の文化を学ぶためにも、日本の大学で勉強したいなと思って。今はアーティスト活動に専念するために休学しているのですが、日本語は母国語で、生まれた時から話していましたし、「ドラえもん」とか「ちびまる子ちゃん」とかのアニメも、母が作る日本食も大好きなので」
――音楽には、いつごろから興味を持っていたのですか?
「実は、本格的にプロとして音楽をやっていきたいと思うようになったのは、ちょうど1年ぐらい前からなんです。私は3歳の時からバレエをやっていて、12歳か13歳のころからジャズダンスやHIP HOPダンスも始めたんですけど、ダンスって音楽が必須ですよね。だから、子供のころから音楽とのコネクションは深かったんです。常に耳にしているような感じでした」
――特に好きだったアーティストはいますか?
「アリアナ・グランデさんですね。「ビクトリアス」というアメリカのティーン向けTVドラマに出ていた時から彼女が大好きでした。音楽はもちろんですけど、彼女の持っている世界観みたいなものにも惹かれました。流行に惑わされずに、自信を持って自分の意志を伝えているところが素敵だなって。ピンクのイメージカラーとかポニーテールも個人的に大好きで、今も私の一番のインスピレーションになっています」
――ダンサーを志していた時期もあったんですか?
「趣味、特技として、自分自身のエクスプレッションのために使うというニュアンスで捉えていましたね。そこには必ず歌もついていて、歌とダンスは相性も最高なので、パフォーマンスとしてどちらもやりたいなと」
――そもそも、自分を表現して、それを見てもらうということ自体が好きなんですね。
「はい。子供のころから人前で踊ったり、パフォーマンスしたりすることが大好きだったんです。知らない人の前で急にしゃべり出しちゃうようなタイプでしたし(笑)」
――去年、先にアメリカでデビューを果たしました。
「ほんの2年前ぐらいまでは、想像もつかないようなシチュエーションでした。今まで積み重ねてきたものとか、サポートしてくださった人とかに対して、感謝の気持ちでいっぱいでした。芸能の分野でマルチに活躍することを、ずっと夢見てきて、実際にここまでくることができたことがうれしかったのと同時に、今後に向けてモチベーションが上がりましたね」
――人前に出ることが好きとか、マルチに活躍したいとか、Annaさんがそういう志向になったのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
「これはごく自然にというか、生まれた時からのキャラみたいな感じなんです(笑)。特に何かが私をプッシュしたことはないし、そういうことをやっているのが生きがいというか、“これが私なんだ”ってすごく感じるんですね。そういう人間なんだと思います。写真を撮られるのも好きですし」
――なるべくしてなるというストーリーですね。そしていよいよ日本デビューです。
「はい。日本が大好きなので、夢がかなったという感じです。実は、「Someone Else」の日本語の部分の歌詞は私が書いたんです。だから、その言語をわかってくれる日本の方が聴いてくれるのが楽しみで。最初は、すでにある英語の歌詞を日本語にして、より自分らしい言葉に直していくやり方だったのですが、私自身、通訳の経験があるので自然とシフトしていけました。でも、やっていくうちに、ちょっと意味が変わってもいいから、日本語ならではの言い回しにした方が面白いんじゃないかと思ったんです。初めての経験だし、初心者であることが伝わるような歌詞かもしれないですけど、リアルに感じてもらって共感してもらえたらうれしいです」
――どんな想いが込められていますか?
「何があっても負けずに、前に進んでいこうよっていうことですね。人生いろいろあるけど、ポジティヴに生きていこうっていうことがメインで伝えたいメッセージです」
――Annaさん自身の生き方にも重なりますね。
「そうですね。自信を持って、自分の進みたい道を進んでいけばいい、そうするべきだと思っているので」
――こうしてお話しているとすごくエネルギッシュというか、元気をもらえるような気がしますが、Annaさんも落ち込むことってあるんですか?
「それはありますよ!たまにですけど(笑)」
――リカバリーが上手なタイプなんでしょうね。
「自分の機嫌は自分で取るように、すごく努力しています」
――何気なく、とても深いことをさらっと言いましたね(笑)。
「ふふふふ!でも本当に、そう思うんですよね。機嫌が悪くなって、外に毒を撒いちゃうことってあるじゃないですか。それは絶対によくないから、自分の頭の中でリセットして、ポジティヴにならなきゃって」
――「Someone Else」のミュージックビデオもそういうポジティブな雰囲気が伝わってきます。
「映画『バービー』のバービーとケンの世界観でやってみたんですけど――すみません、私がバービーで(笑)――マッチョな男の人がケンで、どんなことがあっても自分を信じようということを表現しています。MVも初めてで、けっこう大変でしたけど、学べることがたくさんあったので、いい経験になりました」
――たとえば実際のパフォーマンスでも、Annaさんが歌いながら踊って、さらにバックでもダンサーが踊っているようなイメージが浮かびます。
「はい、本当にそういう感じになると思います。バックダンサーさんともリハーサルをして、ダンス、ファッション、ビューティを、トータルで歌と一緒に届けたいと考えています」
――現時点での目標を聞かせてください。
「自分を信じて、みんなに希望を与えられるような存在になりたいと思っています。大好きなダンスやファッション、ビューティを含めて歌を届けて、ハッピーにポジティヴになってもらいたいです。少し前から英語で歌詞を書くことも始めましたし、理想を言えばグローバルに活動したいですね。J-POPというものの魅力も、世界に伝えていきたいです」
――その英語詞の楽曲は今後、世に送り出される可能性も?
「はい、もちろんそうなるといいですね(笑)。もうほとんど完成している曲もあるので」
――今後はシンガー・ソングライターとして、さらに可能性を広げていくことになりますね。
「はい、そうなると確信しています(笑)」
――Annaさんのライヴパフォーマンスを早く見てみたいです。
「できれば年内に実現したいと思っています。東京ガールズコレクションでモデルとしてステージには立っていますけど、シンガーとしてはまだ何もないので、これからが自分でも楽しみです」
――Annaさんは日本語も英語も全く違和感なく繰られていますが、たとえばこうしたコミュニケーションは、最初に英語で考えて、それを日本語にして話すような感じなんですか?
「うーん……この感覚を説明するのは難しいんですが、日本語で話している時は、自然に日本語の脳に切り替わるんですね。家では、母とは日本語で、父とはアルメニア語で、家族3人の時は英語で話すんです。子供の時からそうだったので、ふつうに何も抵抗なくスイッチが切り替えられるみたいで」
――日本で特に好きなスポットは、どこですか?
「私のナンバーワンは猫カフェです!子供のころから猫が大好きなんですけど、。日本との行き来が多くてかわいそうなので、もっと生活が安定してから家族に迎えようと思っているんですけど、それまで猫カフェで癒されながらがまんします。“もうちょっと待っていてね”って(笑)」
(おわり)
取材・文/鈴木宏和
写真/野﨑慧嗣
ヘアメイク・メイク/SHINNICHI OMOSHITA(FACCIA)
衣装/WRINN(トップス、パンツ)