Kamasi Washington『Fearless Movement』
今や新世代ジャズの若き筆頭注目株、LAのサックス奏者、カマシ・ワシントンのYoung移籍後2作目、6年ぶりのニューアルバムをリリース。盟友サンダーキャット、テラス・マーティン、即興でフルートを披露しているAndré3000に加えジョージ・クリントン、Coast Contraのラッパー、タージ・オースティンとラス・オースティンと、ジャズの垣根を超えた様々なアーティストが参加。それまでのアルバムでは宇宙的なものや概念的な存在を表現しようとしていたが、今作では身近で日常的なものに視点を移している。自然に体が動き出すようなジャズのリズムやグルーヴを大切にした、パワフルで生きている音に溢れているアルバム。
Jordan Rakei『The Loop』
現在UKジャズ、ソウルシーンの中心、新しい世代を担うアーティストのひとり、ジョーダン・ラケイが、名門レーベルDECCAよりニューアルバムをリリース。 今作は自身でプロデュースも行い、宅録ではなくロンドンのスタジオで製作が行われた。『The Loop』のタイトルは人生のサイクルを意味している。 全編にわたって「希望」をコンセプトとしており、ジョーダン自身が音楽を志したきっかけ、生活や人生における変化が反映された個人的な内容となっている。 ソウル、ジャズ、エレクトロニック・ミュージックを融合した抒情的でバラエティ豊かなサウンドが、滑らかな美しいヴォーカルと共に独自の世界観を醸し出している。
Bullion『Affection』
UKのプロデューサーでありSSW、BullionことNathan Jenkinsのニューアルバム。様々なアーティストとのコラボ、その音楽性は多岐にわたり、ポップスの垣根を超え様々なジャンルを自由に行き来する。アニマル・コレクティブのPanda Bear、かつて作品に参加したカーリー・レイ・ジェプセン、Bolis Pupulとの活動も人気のCharlotte Adigéryが参加。彩り鮮やかなアルバムに仕上がっている。リスボンに移住していた彼が、ロンドンに戻ってきたタイミングで制作された。内省的に表現した歌詞をポップス~エレクトロニック・ミュージック~インディー・ロックの柔らかいメロディで包みこんだアルバム。
Yaya Bey『Ten Fold』
ニューヨーク出身、現在ブルックリンを拠点に活動する実力派ヴォーカリストでありSSW、Yaya Beyによる、昨年のEPに続く期待のフルアルバム。 ジャズ、ソウル、アフロビート、レゲエ、HIP HOPを縦横無尽に渡り歩き、メアリー・J. ブライジなどと比較されるパワフルでテンダーな歌声で魅了する。 プロデューサーにはButcher BrownのCorey Fonvilleをはじめ、トラックメイカー、Jay Daniel、Exaktly、Boston Chery、ジャズドラマーでもあるKarriem Rigginsという多様なラインナップが参加。先行シングル「chasing the bus」に続き、切実な心情、ユーモアや社会風刺も交えながら、R&B、ソウル、ハウスと展開し、軽快かつしっとりと歌い上げたアルバム。
Ibibio Sound Machine『Pull The Rope』
ロンドン生まれのナイジェリア人シンガー、Eno Williamsとマルチ・インストゥルメンタリストMax Grunhardが率いるIbibio Sound Machineが待望のニューアルバムをMergeよりリリース。M.I.A.などのプロデュースを手掛けた鬼才Ross Ortonのプロデュース。HOT CHIPがプロデュースした前作ですでに高い評価を得たが、サウンドイメージは陽の光が降り注ぐフェスティバルの会場からオールナイトのダンスフロアへと舞台を変え、独自の音楽性にさらに磨きをかけている。エレクトロニックサウンドとアフリカン・ファンクの融合にポスト・パンク、ディスコ、ニュー・ウェイブの要素を複雑に絡ませた、クセになる摩訶不思議なサウンド。
Oneohtrix Point Never『Vocals』
2023年にリリースされた最新アルバム『Again』が、各方面から高い評価を得たOneohtrix Point Never。エレクトロニカ、ヴェイパーウェイブ、ノイズ、アンビエント、コラージュ、カットアップ、ドローンとエレクトロニック・ミュージックのあらゆる要素を自在に操り、今年2月の日本公演も大成功を収めている。前作から立て続けにドロップされたこのEPだが、前アルバムから美しいストリングスに彩られた「A Barely Lit Path」が収録され、『Again』からのつながりを感じさせられる。 世界観を押し広げながらさらなる実験を繰り返しているようなトラックで構成されており展開が興味深い。突如リリースされ情報も少ないが、留まることなく新しい展開を思わせる期待に満ちている。
Wolfgang Tillmans『Build From Here』
アート、ファッション界隈で圧倒的な支持を集めるフォトグラファー、Wolfgang Tillmansによる音楽家としての2枚目のアルバムがリリース。フォトグラファーとしてフランク・オーシャン『Blonde』のアートワークで知られるが、元々バンドを組んでいたこともある。ペット・ショップ・ボーイズやTIGAとのコラボ、フランク・オーシャン『ENDLESS』への楽曲提供、Oliver Simのリミックスなどを経て、自身のレーベル、FRAGILEを立ち上げ、近年は音楽活動にも力を入れている。前作に比べてエクスペリメンタルな要素は抑えられ、ダークなニューウェイブ、美しいエレクトロニカ、キャッチーなダンストラックと網羅。80'sを思わせるボーカルも良い。ジャケットアートワークはもちろん本人による貴重なアートピースでもある。
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