Mo Kolours『Original Flow』
モーリシャスとUKのルーツを持ち、UKで活動するビートメイカーでありシンガーでもあるMo KoloursのニューアルバムがWe Release Jazzよりリリース。Reginald Omas Mamode IV、兄弟であるJeen Bassaといった懇意のアーティストが参加。 彼のルーツであるアフリカン・ミュージック、アフロビート、スピリチュアル・ジャズ、フュージョン、ハウスと余すところなく取り入れた渾身のアルバム。それだけの要素が詰まっていながらも、トライバルなリズムとエスニックなサウンド、レゲエにも通ずる独特の浮遊感と抜けのあるボーカルと、肩の力が抜けた心地よさは全開。
Khruangbin『A LA SALA』
テキサスより前作のコラボレーションアルバムもヒットしたKhruangbinによる4年ぶり、4枚目のアルバムがリリース。人気が高まるにつれ多くのアーティストとの共演が話題になっていたが、今回は3人のバンドメンバーのみと、長年のパートナーであるSteve Christensenがエンジニアをつとめ、いたって親密な、初心に還ったと言える音作りに専念している。彼らならではのタイ・ファンクに影響を受けたというサイケデリック、インディーロック、ファンク、ダブ……と様々な表情を見せる独特の無国籍サウンドをしっかりと聴かせてくれる。
Baby Rose&BADBADNOTGOOD『Slow Burn』
アフリカにルーツを持つアメリカ出身のソウル/R&Bアーティスト、Baby Roseが、米インディロック重要レーベルSecretly Canadianに移籍後2枚目のアルバムをリリース。今回はカナダのインストゥルメンタルバンドBADBADNOTGOODがプロデュースし期待値が高く話題を呼んでいたが、予想以上の仕上がり。 デビュー当時から、Nina Simoneを思わせるクラシカルなソウルフルさに、Anohniを彷彿とさせるメランコリックさをも含んだ特異な歌声は、各メディアに絶賛されていた。ソウル~サイケデリック・ジャズ~R&Bを網羅する力強いトラックにエモーショナルな歌詞、彼女の歌声が完璧にマッチしている。素晴らしいコラボレーション。
Fabiana Palladino『Fabiana Palladino』
昨年11月に先行リリースされていたシングル「I Care」で既にシーンの話題をさらっていたUKのシンガー・ソングライター/マルチ・インストゥルメンタリストによる待望のデビューアルバム。 プロデューサーにJai Paulを迎え、Paul Institute / XL Recordingsからのリリース。伝説的セッション・ベーシストの父、同じくベーシストである兄も参加し、今最も旬なバックグラウンドと親密な関係性の中で制作された。長い交際の終焉という経験から生まれたという10曲。抒情的な内容とポップ~ファンク~ソウル~R&Bをふんだんに盛り込んだ贅沢なアルバムに仕上がっている。
Tariq Al-Sabir『Unlike Yesterday Today I'm Ready』
ボルチモア出身、ニューヨークを拠点に活動するコンポーザーでありマルチ・インストゥルメンタリスト、アーティスト、詩人でもあるTariq Al-Sabirの初EP。比較的アカデミックな視点から音楽に関わってきたTariqだが、今年に入って自身のInstagramを通し立て続けにシングルのリリース情報が公開され注目を集めていた。BLOOD ORANGEのDev Hynesがプロデュースし、UKの老舗音楽雑誌『FADER』が運営するFADER labelよりついにリリース。透明感のあるシルキーな歌声と、R&B~ポップスを軽やかに行き来する自在のトラックメイキングに期待。これからの活躍が楽しみな新世代アーティスト。
Mount Kimbie『The Sunset Violent』
今やUKインディ・エレクトロニック/ロックシーンの中心に位置するバンド、Mount KimbieのニューアルバムがWarpよりリリース。 2017年リリースの『Love What Survives』以来のスタジオアルバム。今回も盟友King Kruleも参加。メロディアスで疾走感のあるインディロック~シューゲイザー~ポストパンクをフルで聴かせてくれる世界観はさすが。レコーディングと制作のほとんどがカリフォルニアで行なわれたと聞けば、アルバム全体に漂うからっとした湿度の少ない広大な大地を思わせる雰囲気にも納得がいく。
Four Tet『Three』
ロンドンを拠点に活動するDJ/プロデューサー、Four Tetの待望のフルアルバムが自身のレーベルTEXTよりリリース。Fred Again..らとのコラボなど、ダンスミュージックの第一線でもリリースを重ねながらも実験的な曲作りを一貫してきた。今作でもダウンテンポなアンビエント~エレクトロニカからブレイクビーツ~ディープハウスにグリッチ、ノイズを加えた新世代のダンストラックまで、Four Tetらしい形式に囚われない自由さがふんだんに盛り込まれた内容となっている。シングルリリースの時点でかなり期待度は高かったが、2024年傑作との声も高く、何度でも聴けるアルバム。
Vegyn『The Road To Hell Is Paved With Good Intentions』
レーベル「PLZ Make It Ruins」のオーナー、プロデューサーとしてFrank OceanやTravis Scottのアルバムに参加するだけでなく、グラフィックデザイナーとして自身のアルバムアートワークやSUPREMEにグラフィックを提供するなど、各方面で活躍しているアーティスト、Vegyn(ヴィーガン)が、自身のレーベルからニューアルバムをリリース。同レーベルの新鋭John Glacier、Matt Maltese、Loraine Jamesらが参加し、これまでの集大成とも言える完成度は各メディアからも絶賛されている。押し寄せる90’sトリップホップ的ノスタルジアと、新世代の尖ったエッジ感が同居した素晴らしいアルバム。
Fred again..『USB』
UKを拠点に活動するDJ/アーティストであるFred again..によるアルバム、その名も『USB』。このデジタルアルバムには2年間にわたり不定期に曲が加えられ、無限に増加していくというコンセプトのもとリリースされている。今回新たにヒットシングル2曲が追加され、第一弾としてヴァイナルがリリースされる。これまで様々なシーンのアーティストをプロデュースしてきた彼ならではの多彩なコラボレーションにも注目。Orion Sun、Lil Yachty、Four Tet、Gesaffelstein、Overmono、Romy、Skrillexと、一部挙げただけでも豪華な顔ぶれになっている。
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