enj_210908_somtimes_main

ピックアップ
2021.09.08

SOMETIME’S『CIRCLE&CIRCUS』インタビュー――もっと遊ぼう!という気持ち

洋楽AOR、R&B界隈と、日本のポップス――あえてJ-POPとは呼ばない――の境界線を自由に行き来するSOMETIME'Sの音像と言葉選び……SOTAとTAKKIの好奇心とセンスが溢れ出す1stアルバムのセルフライナー的インタビューを。

<PR>
J-POPフリークの音楽アプリ「SMART USEN」



――メジャー1stアルバムとしてリリースする『CIRCLE&CIRCUS』ですが、全15曲という曲数といい、ジャンルのふり幅といい、盛りだくさんな作品になりましたね。

SOTA「実は1st EPの「TOBARI」をレコーディングし終わってから、アルバムのレコーディングも始めていたんですよ。別にアルバムを出すからということではなく、とりあえず曲はレコーディングしておこうみたいな感じで。だから、僕らとしては、そうやってずっとレコーディングしていたものが、ようやく形になったという印象ですね」

――ということは、特にアルバム自体のコンセプトがあるわけではなく?

SOTA「そうですね。僕らは毎回そうなんですけど、こういうアルバムにしようと思って作ったというよりは、流れの中でできていた曲がパッケージになったという感じです」

TAKKI「レコーディング、だいぶ長かったもんね(笑)」

SOTA「長かった。周りからは、いつまでレコーディングしているの?って言われていましたから(笑)」


――でも、結果的にはSOMETIME’Sらしい、バラエティに富んだ内容になりましたよね。

TAKKI「最初にSOTAのデモがあって、そこからどれを本格的に形にしていくかっていう選曲会議みたいなのをみんなでやるんですよ。そのときに似通っているモチーフがある場合は、バラードはこっちでいこう、アップテンポはこっちでいこうって、ある程度バランスは見ながら作っていきました。デモ自体は、まだまだたくさんあったんですけど」

SOTA「初めてのアルバムということで、やっぱりEPよりは単純に曲数が多くなるじゃないですか。その結果、振り幅的にやっちゃっていい部分がかなり増えたので、アレンジャーの藤田道哉も含めて僕ら自身にもっと遊ぼう!という気持ちがあった気がします。EPでこれをやると、ちょっと突飛な感じになっちゃうけど、アルバムの1曲ならいいかなっていう感じの仕上がりになっているので」

――ウクレレが入った楽曲やレゲエチックな楽曲も入っていますもんね。

SOTA「そうですね。そういう曲はアルバムだからやれたチャレンジだと思います」

――でも、そういう曲が入っていることで、アルバム1枚でいろんな楽しみ方ができますよね。

SOTA「それならよかったです。もちろんデモの段階では、あそこまで弾けることは想像していなかったんですけどね(笑)。でも、みんなで揉んでいくうちに、いっちゃってもいいかもねみたいなことになったんです」

――季節も夏なので、ウクレレやレゲエも合っていると思います。

SOTA「そうですね。季節感や1stアルバムだからっていうところが、だいぶ背中を押してくれた部分はあった気がします」

――TAKKIさん的にも、いろいろ遊べたり、チャレンジできる楽しさがありましたか?

TAKKI「ギターのアプローチに関しては、どっちかというとプレッシャーのほうが大きかったです。似たようにならないようにしたいな、とか。やっぱりSOMETIME’Sっぽさの中には、セクションとして、しっかりギターソロを入 れるっていうのもあるんですよ。だから、その辺の構築に関しては、“いや、これは前もやったな!”とかって思っちゃうことも多くて。それはかなりプレッシャーになりましたね。でも、似た感じにならないようにしながらも、 ある種、自分らしさは残したかったので、そこでどうアプローチしていくかっていうのが、結構悩んだところではありました」

――バラード系で入ってくる泣きのギターには、やっぱりグッときます。

TAKKI「昔から、ああいうのは好きなので(笑)。あまり考えずに弾きました。僕の場合、レコーディングまで基本的にフレーズは固めていかないんですよ。レコーディング中のフィーリングでフレーズを決めていくほうが多い。特にバラードは繊細なフィーリングが求められるので、そういうものを大事にしています。でも、アップテンポの曲は意外としっかり構築したほうがいいので、それは事前に決めていったりしますね。ケース・バイ・ケースではあるんですけど、全体的には楽しみながらできました」

――個人的に「KAGERO」のギターソロが、すごく好きです。

TAKKI「この曲はバックサウンドが生じゃなかったので、フレージングのタイム感が、よりシビアだったんですよ。ハマりすぎてもダメだったので。バックビートにヒューマン感がないからこそ、ギターの雰囲気でヒューマン感を出していかなきゃいけなかったので、そのへんが大変でした。それにこの曲には僕たちの初めてのチャレンジもあって、編曲が道哉じゃなくて、西 陽仁さんなんですよ。道哉以外のアレンジャーと楽曲を制作するっていうのが、そもそも初めてだったので、いい意味ですごく新鮮でしたね」

――違う刺激があった?

TAKKI「全然違いました。ギターに関しては、道哉は距離感が近い分、僕もフレージングを自分で考えて提案するっていうプロセスがあるんですね。でも、西さんの場合は、西さんに考えてもらったフレーズを僕が弾いて、もし、自分はこう弾きたいというところがあったら、その場で西さんに相談する感じだったんです。かなり完成度の高いギターフレーズのアレンジでしたし、自分以外の人が考えたギターフレーズをなぞるということ自体、SOMETIME’Sではあまりないので、そのへんはかなり自分的に刺激になりました」


――藤田さん以外の方にアレンジしてもらうというアイデアは、どういうところから生まれたんですか?

TAKKI「曲にマッチする編曲をということですね。曲がバラードチックだったので、なるべくすっきりさせたかったんですよ。道哉は結構ボリューミーなアレンジをする人なので、それと対極にしてみようかって」

SOTA「「KAGERO」はコーラスアレンジも西さんにお任せした部分があるんですけど、“ああ、こういうアプローチもあるのか!”って、単純に勉強になりましたね。現場で、いろんなミュージシャンと音を鳴らすっていう機会は多いんですけど、制作段階から新しいアレンジャーさんっていうのは、今回が本当に初めてで。サポートミュージシャンも西さん経由で呼んでいただいたことで新しい出会いもあったので、いろんな今までにない経験ができました」

――「KAGERO」は、アレンジがシンプルだからこそ、歌が引き立ちますよね。

SOTA「そうですね。最初のデモの段階では、あと2、3個キーが高かったんですよ。そこからだいぶ馴染ませていって、今の形になりました。だから、ことあるごとにアプローチが新鮮な曲でしたね」

――最初にも言いましたが、意表を突かれたのがウクレレを使った「迎灯」です。

TAKKI「最初の頃のレコーディングで着手していた曲が「Signal」とか「HIPHOPMAN」といった、すごく圧力の高い曲だったんですよ。だから、アルバムに入れるに当たって、ちょっと箸休め的に、コンパクトでスッと聴けるようなバランスの曲を作ろうってなったんです。それだけにアレンジも簡単で、無理に楽器も入れませんでしたし、それこそギターとボーカルは一緒にレコーディングしたんですよ」

――ああ、そうだったんですね。

TAKKI「はい。2人で向かい合って。ウクレレだけオーバーダビングで上から重ねた感じなので、あまりハイファイな感じでもなく、いい塩梅に仕上がったと思います」

SOTA「ミックス自体も結構ストレートに出してもらっているんですけど、歌も、あまり気張らずに歌いました。2人で一発録りをしたのは、音源では初めて。そういった意味では、これもアルバムを通して挑戦できたことのひとつではありますね」

――SOTAさんは「真夏の太陽」で作詞、作曲をしていますが、この曲のゴスペルのような壮大なコーラスで始まって、やはりコーラスで終わります。

SOTA「もともとゴスペルが好きだったこともあって、やってみたかったんですよ。それで“こんな感じでやりたいんだよね”って適当に重ねたら、まあまあいけそうだなっていう感じがあったので(笑)、そのままやってみました。「シンデレラストーリー」も僕の詞なんですけど、これは初期の曲なので、書いたのはもう5~6年前なんです。それぶりに歌詞を書いたのが「真夏の太陽」だったので、自分のやりたいことを詰め込んでやった感じですね。でも、今振り返ると、一番難しかったです(笑)」

――あれだけコーラスが入っている曲ってJ‐POPにはあまりないので、最初に聴いたときは何が始まるんだろう?って(笑)。

SOTA「でも、結構面白い仕上がりになったのでよかったです」

TAKKI「「真夏の太陽」は、めちゃめちゃギターソロが難しかったんですよ。だから、師匠のところへ相談に行きました」

SOTA「結構戦っていたよね」

TAKKI「うん、かなり悩んじゃった。僕、大学時代とか若い頃に通っていたギターの師匠がいるんですけど、今でも音楽仲間みたいな感じで仲良くさせてもらっていたんですよ。でも、この曲に関しては、どうアプローチしたらいいですかね?って久々に連絡を取って、3日くらいいっしょに格闘しました」

――師匠はいいアドバイスをしてくれましたか?

TAKKI「そうですね。すごく信頼していますし。今回のアルバムは自分がステップアップしたところもわかるし、自分に足りないところも如実に出た気がします。15曲も詰め込んだことで、課題が浮き彫りになったというか……だから、もっとこういう感じの曲も作れるようにならないといけないなとか、こういうアプローチもできないといけないなというように、新しい課題を発見できたアルバムにもなりました」

――向上心というか、様々なアプローチを身に着けたいというようなことは、常に考えているんですか?

TAKKI「そうですね。僕らは何でもやっていこうっていうスタイルなので、それを実現させるためには、やっぱり自分のアイデアの量も、かなり豊富じゃないといけない。やりたくてもできないみたいなことはないようにしたいと今回作ってみて思いました。特にレゲエとかは、今までやってこなかったことだったんですよ。とはいえ、やればできるかなとは思っていたんですけど、やってみたら難しくて。だから、いざやりたいとなったとき、本当にいいものができるような能力は自分の中に作らないとって改めて思いました」

――「Don’t Know Why」が、そのレゲエなわけですが、初挑戦だったんですね。

TAKKI「たぶん全員が初挑戦です。サポートミュージシャンも“俺、レゲエやったことないけど大丈夫?”って言っていましたから(笑)」

――なぜレゲエに?ノリ?(笑)

SOTA「はい。僕らは基本的にノリと信頼なので(笑)。だから、サポートミュージシャンからしたら、ミスキャストだろ?って思っていたんじゃないですかね(笑)」


――アレンジャーの藤田さんは「HIPHOPMAN」では作曲もしていますね。

SOTA「そうですね。これは原案自体が、まるっと道哉のほうから。一応メロだけは僕がつけさせてもらったんですけど、曲のイメージや、やりたいことは藤田が持って来たので、それに乗っかった感じですね。ここまでガッツリ道哉がアイデアを持ってきたのは、この曲が初めてかも」

TAKKI「そうだね。今、音源になっているものでは初めてだと思う」

SOTA「たぶん道哉なりにSOMETIME’Sを通してやりたいことがあって、それが一番出ているのがこの曲だと思いますね。それに、この曲ではギターにサポート・ミュージシャンが入っているんですけど、TAKKIがギターに客演を入れたのも初めてだよね?」

TAKKI「初めて。そもそも自分以外のギタリストと何かしたこと自体、僕のキャリアの中で初めてなんですよ。今まで他のギタリストと共演することは、ライブでもレコーディングでもなかったので。だから、人生で初めての経験だったんですけど、めちゃめちゃ楽しかったですね」

――今までは、ギターの音を重ねるにしても、全部自分で弾いていたんですね?

TAKKI「はい。自分のアイデアと自分のアイデアを重ねて構築していっていました。そこに人が考えたものを入れるのが初めてだったので、それが楽しかったし、今回の楽曲の中で一番印象に残っています」

――それはレコーディング現場の楽しさを含めて?

TAKKI「そうですね。本当に2人で隣に座って、その場で弾きながら作っていったので。自分にはない発想もあるので、めちゃめちゃ刺激にもなって楽しかったです」

――じゃあ、これを期に、今後はいろいろな人とコラボしてみようと思ったりします?

TAKKI「できるならやっていきたいな、とはずっと思っていましたけど」

――今までやらなかったのは、何かこだわりがあったんですか?

TAKKI「いや、そういう機会に恵まれなかっただけというか……でも、僕もそうなんですけど、ギタリストって、ちょっとプライドが高いんですよ(笑)。違い過ぎても嫌なんですけど、自分に似ていたら、あまり意味ないし……みたいな。その絶妙なバランス感が難しいんです。ギタリストって、かなり個性があるので、一緒にやっていいものができる可能性って、そんなにないんですね。むしろ、ぶつかることのほうが多い。だから、いい人がいればという感じでずっと考えてはいたんで、今回客演してくれたTakahashi Kensukeと一緒にやれてよかったです」


――もちろん既存曲も収録されてはいますけど、どちらかというと新曲のほうが多いですよね。これは意識されたことなんですか? 

SOTA「そうなんですよね。でも、最初は既存曲は「Slow Dance」も入れて、他は全部新曲にしようかって話だったんですよ。実際、同じタイミングでレコーディングした曲は、もう少しあったので。最終的には、やっぱり1stアルバムだし、今までリリースした曲も入れたほうがいいよねっていうことになって入れたんですけど、個人的にも聴きたくなるような1枚になったのでよかったなって」

――知らない曲をたくさん聴けるのが、アルバムの楽しみだったりもしますからね。

TAKKI「それにボリューム感があるのはもちろんなんですけど、夏っぽく仕上がったというか、全体的にサウンドの明るさやポジティブなイメージの曲が多い1枚になっているとも思います。SOTAと“もうちょっと暗い曲があってもいいかな”って話したくらいだったので(笑)」

――ご時世的にも明るいほうがいいと思いますよ。そのほうがSOMETIME’Sらしくもありますし。らしいといえば、ラストの「You and I」はラブソングにも聴こえますけど、SOTAさんとTAKKIさんの関係性を表現しているようにも感じました。

TAKKI「そうですね。僕たちの曲というイメージとして歌詞は書きました。別に最後に収録するというつもりで作ったわけじゃないんですけど、最後にレコーディングした楽曲でしたし、歌詞も一番最後に書いたんです。実は、最初はラブソングで書こうかなって構想を練っていたんですけど、なんか当たり障りのない歌詞ができちゃって。だから、一回全部まっさらにして、だったら、自分たちのことを書こうかなって思い直したんですよ。そしたら迷いなく書けましたし、自分的にはすごく気に入っていますね」

SOTA「最初にTAKKIから歌詞が送られてきたとき、“これ、僕らの話ですか?”って聞いちゃいました(笑)。レコーディングの最終盤だったこともあって、歌詞を読んで、ちょっとグッと来ちゃったので。でも、こうやってインタビューでTAKKIが“僕らの曲です”って言うと、一抹の恥ずかしさがありますね(笑)」

TAKKI「ははは!」

――1stアルバムの最後を締めくくるのにぴったりですね。

SOTA「僕も最後の曲だと思って書いてないし、最後の曲にしようと思ってレコーディングを一番最後にしたわけでもないんですよ。でも、聴けば聴くほど最後の曲っぽく聴こえてきましたし、アルバムの中でも気に入っている曲になりましたね」

――1stアルバムを作り終えた今、今後の展望みたいなものって見えていますか?

SOTA「さっきTAKKIも言っていたんですけど、まさに課題が見えたというか、もっともっとスキルアップしていかないとダメだなっていう気持ちになりましたね。やっぱり作れば作るほど、やりたいことや、もっとやらなきゃっていう気持ちが出てきているので。だから、次のレコーディングまでには一皮も二皮もむけていたいなって思っています」

TAKKI「レコーディング期間って、かなり音楽的に集中力も使うので、やれないことが鮮明にわかるんですよ。ライブだと、意外とテンションと気持ちで乗り切れて、ああ、楽しかったって終わったりするんですけど。でも、レコーディングでは、いろいろな反省点が見えるので、このタイミングでしっかり自分の技術を見つめ直したいと思っていますね」

(おわり)

取材・文/高橋栄理子
写真/いのうえようへい









■SOMETIME’S Presents“ANYTIME”CIRCLE&CIRCUS Pre-Live Slow Dance Release Party
2021年9月14日(火)@渋谷TOKIO TOKYO(東京)
GUEST/SPENSR、EMPTYKRAFT

■SOMETIME’S CIRCLE&CIRCUS Release Tour 2021 イープラスチケットぴあローソンチケット
2021年10月15日(金)@阿倍野ROCKTOWN(大阪)
2021年10月30日(土)@Shibuya WWW(東京)





SOMETIME'S
SOMETIME’S『CIRCLE&CIRCUS』
2021年8月25日(水)発売
PCCA-06071/3,000円(税込)
ポニーキャニオン




J-POPフリークの音楽アプリ「SMART USEN」



アプリのダウンロードはこちらから

Get it on Google Play
Get it on Google Play