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鈴木雅之のカヴァー・アルバム・シリーズ最新作『DISCOVER JAPAN Ⅲ~the voice with manners~』。過去2作同様、服部隆之のサウンドプロデュースによる華麗なオーケストラをバックに、鈴木雅之ならではの丁寧で艶やかな歌声が映える全12曲は、“日本のうた”という共通点こそあるものの、古い歌謡曲からフォーク/ロックの名曲、渋谷系、そしてJ-POPまで、時代もジャンルもばらばらで、実にバラエティ豊か。しかしながら、それらの楽曲は、すべてヴォーカリスト=鈴木雅之が敬意と愛情を込めてチョイスしたものであり、彼が新鮮な解釈で歌うことによって、作品に新たな生命が吹き込まれている。まさに“ディスカヴァー・ジャパン”の名にふさわしい極上のカヴァー集といえるだろう。

それでは、収録曲を順番に紹介しよう。コンサートのオープニングを思わせるイントロダクション「the sound with manners」に続いて登場する「君は薔薇より美しい」は、布施 明が79年に放った大ヒットで、大手化粧品会社のコマーシャルソングとしても親しまれた名曲。鈴木雅之の歌の上手さと伸びやかな声量をあらためて実感させてくれるナンバーだ。90年代前半にブームとなった“渋谷系”の代表アーティストだった小沢健二の「ラブリー」は、野宮真貴、露崎春女、chayという三人の女性シンガーをゲストに迎えた、賑やかでハッピーな気分にあふれたヴァージョン。最近もCMに使われるなど、根強い人気を誇るキリンジの名曲「エイリアンズ」は、マーチンならではのR&B解釈により新たな魅力を放っている。伊藤由奈のデビューシングルとして2005年にリリースされ、週間チャート2位を記録した「ENDLESS STORY」は比較的最近のJ-POPバラードだが、鈴木雅之は“ラヴソングの王様”にふさわしい歌唱で聴き手を圧倒する。「紅い花」は、ちあきなおみが91年にリリースした、現時点でのラストシングル。こうした名曲を歌い継ぐことこそが自らの使命とばかりに、見事なカヴァーを披露してくれる。

「スローバラード」は、RCサクセションが76年に発表したバラードで、忌野清志郎のペンになる名曲中の名曲。忌野清志郎がオーティス・レディングを敬愛していたのは有名だが、その遺志を受け継いだ鈴木雅之も、60年代のサザン・ソウルを想起させる見事なバラードに仕上げている。「いつか街で会ったなら」は、ドラマ「俺たちの勲章」の挿入歌として75年にヒットした中村雅俊のナンバーで、作曲は吉田拓郎が。鈴木雅之といえば、一般には和製ソウル/R&Bシンガーとしてのイメージが定着しているが、実は日本のフォークソングも大好きで、これまでにも谷村新司、さだまさしの楽曲を歌ってきた。そんなマーチンだからこそ、今回の拓郎作品も自然な感じで歌い上げている。「胸の振り子」は、今回のアルバムのなかでいちばん古い楽曲で、和製ポップスの父といわれる偉大な音楽家、服部良一作曲、霧島 昇が歌った47年の名曲。今回サウンドプロデュースを担当した服部隆之は、服部良一の孫であり、血筋を受け継いだ素晴らしいジャズサウンドを構築している。

「涙くんさよなら」は、昭和を代表するソングライターである浜口庫之助が作詞・作曲して、65年に坂本 九のシングルとして発売された作品。鈴木雅之ヴァージョンは松下奈緒とのデュエットで制作され、ちょっぴり寂しくて、でも心温まる原曲のムードを損なうことなく仕上げられている。「青春の影」は、ご存知チューリップの名曲で、オリジナル発売は74年だったが、その後ドラマの主題歌や挿入歌、コマーシャルなどに何度も使われてきた。鈴木雅之は、オーケストラをバックに情感込めて歌い上げている。

アルバムのラストを飾る2曲は、オーケストラ・ディ・ローマ Featuring 服部隆之との共演によるライヴヴァージョン。井上陽水の夏の名曲「少年時代」と、鈴木雅之が尊敬してやまない大瀧詠一が森進一に書き下ろした「冬のリヴィエラ」は、ともにコンサートならではの臨場感と緊張感のなか、聴衆を魅了する歌と演奏を披露している。曲が終わったあとの拍手喝采は、この素晴らしいカヴァーアルバムの締めくくりにふさわしいといえるだろう。

2016年には、ソロデビュー30周年と還暦を記念したオリジナルアルバム『dolce(ドルチェ)』をリリースした鈴木雅之。そのアルバムのテーマは“還暦ソウルを届ける”だった。そう、彼はすでに60代を迎えたベテランシンガーとなった。それにもかかわらず、『DISCOVER JAPAN Ⅲ』で聴くことのできる歌は、とても若々しくて、艶っぽい。たとえば「君は薔薇より美しい」のヴォーカルなんて、筆者がまだ中学生だった80年にラジオやテレビ番組で耳にしたシャネルズのデビュー曲「ランナウェイ」での若々しい歌声と比較しても、まったく遜色がないほどだ。今回のアルバムを通じて、鈴木雅之のヴォーカリストとしての凄さを、あらためて思い知らされた気がした。

そんな鈴木雅之のキャリアにおいて、カヴァーは常に大事な要素だった。まだアマチュアだったシャネルズ時代のドゥーワップを皮切りに、今回の『DISCOVER JAPAN Ⅲ』に至るまで、鈴木雅之はヴォーカリストとして、いつも素晴らしい楽曲との出会いを探し求めてきた。そしてそれは、彼が敬愛するベン・E・キングやサム・クック、マーヴィン・ゲイ、ルーサー・ヴァンドロス、ジェラルド・リヴァートといった歴代のソウル・シンガーたちが一貫して追求してきたマナーでもある。偉大なソウル・シンガーたちが、ロックやカントリー、ジャズといったジャンルに関係なく、純粋に良い楽曲のみをチョイスして歌ってきたように、鈴木雅之もまた、歌謡曲、フォーク、ロック、渋谷系、J-POPといったジャンルに関係なく、純粋に良い日本の楽曲のみをチョイスして歌っている。それこそが、鈴木雅之自身が先達から学んだ、もっとも大切なソウル・マナーではないだろうか。

“カヴァーこそが原点”と語る鈴木雅之流のマナーで仕上げられた『DISCOVER JAPAN Ⅲ』。“日本のうた”を再発見して、その素晴らしい世界を存分に味わってほしい。

(おわり)

文/木村ユタカ





鈴木雅之『DISCOVER JAPANⅢ~ the voice with manners ~』
2017年8月23日(水)発売中
初回生産限定盤/ESCL-4887/4888/3,426円(税別)
EPIC


鈴木雅之『DISCOVER JAPANⅢ~ the voice with manners ~』
2017年8月23日(水)発売中
通常盤/ESCL-4889/2,963円(税別)
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