三陽山長は日本の高い技術力を活かし、長く受け継がれる革靴を作り販売している。多くのユーザーは手入れをしながら長年使用しているが、年齢や生活スタイルの変化によって履く機会がなくなってしまったり、愛着ある履かなくなった革靴を処分せずに保管しているというユーザーも存在していた。
また、障がいのある若者たちを靴磨き・靴修理職人に育成している「革靴をはいた猫」は、職人になるための修練には様々な形状・素材・色・状態の革靴を数多く手入れする経験が欠かせないものの、より高い技術が求められる高級な革靴を磨く機会は限られてしまうという課題があった。
そこで両社は2022年に「三陽山長をはいた猫」プロジェクトを立ち上げ、同年12月に三陽山長の革靴の寄付を募集した結果、約1ヶ月半で18足の革靴が集まり、12足を三陽山長認定中古靴として販売した。購入者からは、「上質な靴を買いやすい価格で購入することができる」と喜びの声も上がっている。
「三陽山長をはいた猫」プロジェクト
募集期間
2024年2月1日~2月29日
実施概要/目的
履かなくなった三陽山長の革靴の寄付を募り、集まった革靴を「革靴をはいた猫」へ靴磨き・靴修理の修練用として提供する。修理・メンテナンス後の靴は、状態が良好なものだけを認定中古靴(※1)として「三陽山長公式リユースストア」にて販売することで新たなユーザーに受け継がれていく仕組みの推進を図る。革靴を長く履き続けられるようにするとともに、「革靴をはいた猫」の靴磨き・靴修理職人が経験を積む機会になることも目的としている。認定中古靴の売上の多くを障がいのある若者の靴磨き・靴修理職人育成に運用する。
実施店舗
「三陽山長」 直営5店舗
東京/日本橋髙島屋S.C.店、東京ミッドタウン八重洲店、東京ミッドタウン日比谷店、玉川髙島屋S・C店
名古屋/ミッドランドスクエア店
対象製品
「三陽山長」グッドイヤーウェルト製法(※2)の革靴(サンダル、スニーカー除く)
寄付特典
「三陽山長」直営店での商品購入に使用可能な1万円クーポン券を贈呈
回収目標
100足
※1)認定中古靴:
・本プロジェクトで寄付される「三陽山長」のグッドイヤーウェルト製法の革靴が対象
・手入れをすれば3年以上は履き続けられると判断したもの
・状態に応じて、磨きだけでなくソールの張り替え等の修理も施す
・靴紐、インソールは新しいものに交換
・インソールには本プロジェクト限定のオリジナルロゴの刻印を施す(右の画像)
※2)グッドイヤーウェルト製法:靴の中底にアッパーを吊り込み、ウェルトと呼ばれる棒状の革を巻きつけながら縫い付け、最後にウェルトとアウトソールを縫い付ける製法
革靴をはいた猫
革靴をはいた猫」の代表である魚見氏が大学生時代、学内にある障がいのある若者と学生が共に働くカフェでの活動において、「障がいの有無に関わらず人に喜びを与えられる仕事を通して、誰もが成長して自立できること」を目的に靴磨き事業を始め、大学卒業と同時に起業。当初はホテルや企業に出張して靴磨きをしていたが、現在は京都市役所のそばに位置する路面店と大丸京都店に出店し、カフェ時代からのメンバーを含め育成した4人の職人とともに年間5000足の靴磨きや靴修理を行なっている。
更なる靴職人の育成には様々な形態、状態の革靴を磨く経験が必要なため、2021年から修練用に履かなくなった靴を寄付してもらう「手放す貢献プロジェクト」を大丸京都店の協力を得て実施し、現在も継続中。