一方で、公式ショーは20本にとどまり、その少なさも話題となった。主催者側は「量より質」を優先し厳選したこと、ウィズコロナ期より続いていたオンライン形式を取りやめたことを挙げるが、ビフォアコロナと比べると減少は否めない。オンラインを含む発表形式の多様化、メンズデザイナーの前倒し発表、かつて柱であったミセスプレタブランドの高齢化など、環境の変化が背景にある。
では、東京コレクションに参加する意義とは何か。一つは「業界に名を知らしめ、世界進出の足掛かりをつかむ」ことだ。これは従来から果たしてきた役割である。また「卸先を増やしたい若手」にとっても意義がある。その結果、東京コレクションは若いブランドが集う場となった。「世界からバイヤーやジャーナリストを呼べるブランドがない」と指摘されることもあるが、若手や気鋭が競い合うことでクリエーションの水準は確実に向上している。東京コレクションは、デザイナーが世界へ羽ばたくためのゲートウェイとしての役割を担いつつあるといえよう。