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実にスペシャルなライブ映像作品だ。2016年1月19日に公開収録され、3月19日にオンエアされた『MTV Unplugged: VAMPS』が完全パッケージ化されて6月29日にリリースされる。ストリングスのカルテットを始め、生ピアノにパーカッション、女性コーラスなど総勢12名のミュージシャンとVAMPSによる豪華なアコースティック・セッション、ヴァンパイアたちの夜会を彷彿させるゴシック&ホラーな世界観、それを具現化して妖艶かつ緻密に構築されたステージ・セットはこれまでに思い描かれてきたアンプラグド・ライブのイメージを覆すだろう。Charaをゲストに迎え、ファンタジックなデュエットを披露した「ミルク」や、フィンランドのチェロ・ロックバンドでありVAMPSの盟友でもあるAPOCALYPTICAとの<SIN IN JUSTICE>、さらに番組では放映されなかったVAMPSの2人だけで奏でられた「GHOST」と見どころも満載。VAMPSライブのプロデューサー的役割を担うHYDEにこのステージと今作品についてたっぷりと聞いた。
――そもそもアンプラグド・ライブをやるというお話はいつ頃、浮上したのでしょうか。
「去年の11月か12月くらいだったかな、先方からオファーをいただいて。ただ、スケジュールがけっこうカツカツだったので、最初はあまり前向きではなかったんですけど、ちょうどAPOCALYPTICAが僕らのツアーのゲストアクトで来日してる時期だったしね。彼らと一緒に<SIN IN JUSTICE>っていう曲を作ったんですけどMVは撮ってなかったので、この機会に一緒に演奏して映像として残しておくのは悪くないなと」
――VAMPSはツアーの真っ最中でしたし、たしかに無謀といえば無謀なタイミングでした。
「6日間名古屋公演をやって、その翌々日でしたからね(笑)。ノドを潰したらえらいこっちゃなって」
――MCで「こういう機会をもらわなかったら、きっとやらなかった」とおっしゃってましたが、VAMPSでこうしたアンプラグドなライブを行なうというのは、これまであまり考えていなかった?
「ちょっとしたお遊びみたいなものは今までにもやってますけど、ここまで本気でやるつもりはなかったですね。でも、やっておいたほうがバンドのスキルは上がるなとは前々から思ってたんですよ。だからチャンスさえあればっていう気持ちがなかったわけではないんですけど」
――演奏もステージ・セットも本当にすごかったです。具体的なライブのイメージはわりとすぐにできたんですか。
「いや、最初はそういう状況だったので、やると決めてから少しずつですね。自分ならどうするかな? って、過去のいろんなアンプラグドのライブ映像を観ていくうちに、どんどん自分の世界観が出来上がってきて。例えばVAMPSはふだんからヴァンパイアの雰囲気を目指してるんだけど、さらにアコースティックのライブでもそういったゴシックな要素を追求できるんじゃないかなと思ったんですよね、世界観として。だとしたらこれまでにない面白い映像作品になりそうだなと。そのへんからです、ときめいてきたのは(笑)。選曲も宗教的なテイストの曲というか、そういうものを選んで雰囲気作りをしていきました」
――なるほど、イメージしていたのはゴシック、そして宗教的な雰囲気……。
「あと、ホラーね。たぶん観た人が不思議な世界に入っていけそうなものを作りたいんでしょうね、僕は」
――つまり、よくあるアコースティック・ライブにはしたくなかったと。
「そう。“作り込んでません”っていうのが、いわゆるアンプラグドじゃないですか。だからこそ逆に作り込んでみたらオリジナリティーがあって面白いだろうなと思った」
――メイキング映像(初回限定盤特典)でもステージのイメージをスタッフに伝える場面があって、そこで「怖いだけのホラーでなく、ちょっとコミカルな要素もほしい」というようなことをおっしゃっていたのですが、“コミカル”というのはどういうものなんでしょう。
「シリアスじゃないってことですね。わかりやすく言うとティム・バートン的なホラー。めちゃくちゃ本気のホラーをやるのではなくて、ちょっとかわいいところがあるほうが似合う気がしたんですよね、自分の美意識的に。あんまり行き過ぎないように、でも真面目にやるっていう感じで」
――セットの中でも特に目を惹いたのがキャンドルのタワーでした。
「もともと僕のソロイベントで“黑ミサ”っていう、ちょっと小さい規模のアコースティック・ライブをやっていて、そのときもロウソクのオブジェを使ってるんですよ。それをもっと本気にしたヤツというか。もっと本気で悪魔を呼べるレベルのものを象徴的に使いたいなと」
――本当に悪魔がいたかもしれないですね(笑)。いや、本当にすごいステージでした。細部にまでHYDEさんの美学が行き届いていて。
「でも当日は開演直前までかなりドタバタで。VAMPSはもう何年も定刻スタートでライブを毎回やってきてて、それが自慢だったんですよ。よく何時間押したとか言ってるアーティストがいるけど、そういうのは準備不足だ、俺たちを見ろ、と。俺たちがかつて1秒でも遅れたことがあるか? って言ってたのに、この日は2時間押しましたからね(笑)」
――VAMPSにとっては前代未聞の出来事でした(笑)。
「お待たせしてしまったのは本当に申し訳なかったけど、なんとか形になってよかったです。きっと演出にそれほど興味がなかったら、そのままやってたでしょうね。でも自分の世界観がこれだとは思われたくなかったので。そこは意地もありましたし」
――その甲斐は映像でも充分に確認してもらえると思います。では楽曲についてはいかがですか。きっとアンプラグド用にリアレンジするのは大変だったと思いますが。
「そうですね。アレンジャーさんは3人かな、ストリングスのアレンジが得意な方たちにそれぞれ割り振ってお願いしました。それを僕がジャッジする形で」
――最も重視していたことは?
「バラード的な曲は比較的アレンジしやすいと思うんですよ。なので、そうじゃない部分、いかにロックをアコースティックで表現できるかが課題でしたね。そこをうまく指示するのが難しかった。ちゃんと伝えないと、できあがったものを聴いてもしっくりこなくて。例えばリズムの表現をどうするか、とか。ストリングス・アレンジってさらっと綺麗に作りがちだけど、もっと打楽器的な使い方をしたり、そういうお願いをすることが多かったかな」
――選曲もかなりアグレッシヴですよね。「DAMNED」をアンプラグドでやっちゃうんだ! ってビックリしました(笑)。
「そこはやっぱり黒ミサ的なイメージで(笑)。悪魔を召喚するときに静かな曲だけってことはないだろうと思ったんですよ。アコースティックであっても肉感的な要素は必要だろうと。そういう観点でも曲を選びました」
――Charaさん、APOCALYPTICAとゲストもスペシャルな顔ぶれで。Charaさんとは以前から親交があったんですか?
「ないです。ただ、女性とデュエットしたいなと思って、自分の好きな人がいいなと思って、声を掛けさせてもらいました」
――Charaさんのどんなところが好きなんでしょう。
「言葉を楽器にしてるところ、ですかね。そこは僕もすごく真似したいところなんですよ。しかも、そうでありながらも歌詞がちゃんと響いてくるっていうのがすごくいいなって。文章としての意味はわからなくても、なんか突き刺さるなっていうところが大好きですね。もちろんメロディも。ただ、Charaさんの曲ってかわいくてポップなものが多いじゃないですか。今回、コンセプトが“ヴァンパイアのライブ”だったり“悪魔の召喚”だったりしたので、そういう意味ではちょっと浮き過ぎるかなとも思ったんです。でも<ミルク>はその中でも不思議なアレンジが似合うなと思って選びました」
――不思議なアレンジ?
「ホラーなアレンジにすると真逆過ぎて、むしろちょっと笑っちゃうと思うんですよ。さっき“ティム・バートン的”って言ったけど、ホラーで怖い部分とか、かわいらしくてコミカルな部分っていうのと同じようにちょっと不思議な部分が必要だと思ったので、その部分を担当してもらった感じですね」
――ハーモニーに徹するHYDEさんというのもなかなか貴重ですよね。
「歌っててもいつもの感覚とは全然違いましたね。主旋律を歌う場合は“みんな、俺についてこい”って自分がリーダーになる感じですけど、ハーモニーに徹すると今度は逆についていく感覚になるので、それは面白い体験でした」
――APOCALYPTICAとの「SIN IN JUSTICE」はいかがでした? 昨年、彼らのUKツアーに帯同したときや、VAMPSのツアーに彼らが来日して共演した名古屋公演での演奏とは違いましたか。
「歌に関しては特に変わらないですけど、全体的な音としてはやっぱり違うものになりますよね。スタンディングで騒ぐような感じじゃないので、それこそ悪魔の召喚に近いというか。そういう雰囲気も彼らのチェロとすごく合ってましたし、このライブのハイライト、いちばん壮大な部分だったと思います。もともと、これありきでスタートしたようなものですしね」
――やはり必見なのは番組では放映されなかったK.A.Zさんと2人だけでの「GHOST」だと思うのですが、たしかライブで2人きりというのはこれが初めてですよね。
「たぶん、そうですね。今まで避けてきてたんですよ(笑)。2人とも、そういうのをあんまりカッコいいと思ってないんでしょうね。K.A.Z君もけっこう嫌がってましたし。でも、せっかくの機会だし、2人っていうのもまたひとつのハイライトだなと思って、あえてやろうと」
――曲が「GHOST」というのも意外でした。
「普通にギターで成立する曲を聴かせてもつまらないってまず思っちゃったんですね。あと、歌詞で伝わるような曲をやりたくて。今回は日本人のお客さん相手でしたけど、海外でVAMPSとしてアコースティックをやるとしたら歌詞が突き刺さるような曲がいいなと思っていて。例えばアメリカ人に世界観を伝えるには<GHOST>が最適なんじゃないかなと」
――もうやっていただけないのでしょうか。
「2人で? どうかな?、やらないかもね。ま、K.A.Z君がやるっていうなら、やりますけど(笑)」
――今回の作品はVAMPSの活動をずっと追いかけているファンの方にとっても非常に新鮮だと思うんですよ。これまでにVAMPSは基本の籠城型ツアーを始め、小さいライブハウスからアリーナクラスの会場、海外ツアーもそうですし、野外イベントやハロウィンイベントと、凄まじい本数のライブをやってこられていますけど、それでもまだこうして新しいスタイルのライブができるのがすごいなと。
「もうやり尽くしちゃったんじゃないかってぐらい、いろんなことをやってきましたもんね(笑)。でも今回はまたアコースティックでのVAMPSの形、ひとつの側面を表現できたかなと思ってます。最初はこのライブだけのつもりでしたけど、もっとこれをいろんな人に見せたいっていう欲求も目覚めてきましたしね。これはこれで面白いなって」
――7月から始まる次のツアー“VAMPS LIVE 2016”でも早速“ACOUSTIC DAY”が設けられていますね。アコースティックだからこそ表現できるVAMPSの魅力って何でしょうか。
「基本的にはアコースティックって静かに聴くものじゃないですか。だから演奏力であったり、音の細部まで感じられるところじゃないですかね。音でどれだけ魅せられるかには自分たちの力量がかかってるし、そこに挑めるのは楽しいですよね。ある程度、自信がないとできないかもしれないです」
――楽しみにしています。では最後に、この作品を手にされる方にひと言。
「かなりの大所帯で演奏しているので、VAMPSと大勢のミュージシャンとの共演を楽しんでほしいですね。バケモノがいっぱい集まってるような感じなので(笑)。不思議な世界にトリップする感覚で観てもらえたらうれしいです」
文/本間夕子
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