フランス西部の都市ナントから世界に広まり、ここ日本でもすっかり定着した「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(LFJ)」が、今年も5月3日から5日までの期間、東京国際フォーラムを中心に開催される。
この音楽祭の特徴のひとつが、複数のステージで、短い時間のコンサートを安価(1,500円から、無料のコンサートも多数あり)で1日中楽しめること。例えば、自分の好きなアーティストに絞る、作品の時代や地域に着目するなど、オリジナルのスケジュールを組むことができる――そうコンサートのハシゴが可能なのだ。無料のイベントも数多く用意されているし、今年は日比谷の野音も会場のひとつになっているので、春の陽射しを浴びながらゆったりくつろぐのもいいだろう。
そしてもうひとつの特徴は、子どももいっしょに楽しめること。18時30分より前に開演するコンサートは3歳以上、18時30分以降に開演するコンサートは6歳以上の子どもも入場可能なほか、「0歳からのコンサート」というものもある。まさに誰もが楽しむことができる音楽祭なのだ。
そんなカジュアルな音楽祭、LFJには毎年テーマがある。今年のテーマは「ナチュール‐自然と音楽」。いつの時代にあっても作曲家は、四季、自然万物、風景、動物など自然の営みにインスピレーションを刺激され、傑作を送り出してきた。今回演奏される数々の作品群の中から、2月15日に行われた記者会見で、本音楽祭のプロデューサー、ルネ・マルタンが紹介した注目作をいくつかを紹介しよう。
ひとつめは、ヴィヴァルディの「四季」を現代の作曲家マックス・リヒターがリコンポーズした「リコンポーズド・バイ・マックス・リヒター~ヴィヴァルディ」。こちらは、4年ぶりにLFJに登場する庄司紗矢香が、ソリストとしてポーランド室内管弦楽団と共演する。絵画にも精通する気鋭のヴァイオリニストが、21世紀の「四季」をどのように表現するか、心待ちにしているファンも多いはず。ふたつめは作曲家、松下功の代表作であり、和太鼓奏者の林英哲が演奏する「飛遊天」。肉体と精神が交差する迫力ある和のリズムは圧巻というしかない。そして3つめは、ドラマーズ・オブ・ブルンジ。自然に深く根ざした力強いアフリカン・ビートは今年のナントを熱狂の渦に巻き込んだそうだ。
もちろんこの3作品以外にも今年のLFJは興味深い公演が目白押し。ゴールデンウィークは、家族、友だち、恋人を誘って音楽三昧というのはいかがだろう。
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