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結成からほぼ四半世紀、今や日本が世界に誇れるヴィジュアル系バンドとなった鉄壁の4ピース、MUCCから、ドラマーのSATOちが脱退する。長年のファンは、その日がいつまでも来ないでほしいと願っていたに違いない。しかし、時間は容赦なく進むもの。いよいよカウントダウンに入ってしまった。SATOちのMUCC最後の日は、2月末から絶賛開催中の「MUCC TOUR 202X 惡-The brightness world」のツアーファイナルだ。

そのカウントダウンに向けて、バンドからサプライズにして感動的なアイテムが届けられた。SATOちが作詞もしくは作曲に携わった全16曲を収録した、ベストアルバム『明星』だ。ファンへの置き土産とも呼べるこのベストには、メンバー全員で歌詞を手がけ、SATOちがいるMUCCの、事実上最後の楽曲となる新曲「明星」も収められている。

うれしいことに、ツアー中にも関わらずヴォーカルの逹瑯とSATOちが話を聞かせてくれた。こういうところがMUCCの誠実さであり、またMUCCのメンバーの不変の関係性でもあるように思う。それは、以下のテキストからも読み取っていただけるに違いない。

逹瑯

逹瑯

SATOち

SATOち


――ツアーの半分ほどを終えた感想を聞かせてください。

逹瑯「こういうご時世なので、半分のキャパだし制限も多いんですけど、SATOちの脱退の問題に関係なく、純粋に目の前にお客さんがいるツアーを楽しめている気がします」

SATOち「相変わらず緊張しています。変わらないです。特別なツアーという感覚でもないというか。ただ、お客さんが泣いているのを見ると、“あ~……“」とかは思いますね。5月6日のファイナルは、こっちもどうなるかわかんないですけど」



逹瑯「まあ、そこはねえ」

――今のところ、ステージ上で泣いたりはしていないんですね。

SATOち「いや、初日の福岡でSEが鳴って登場した時に、お客さんが実際に来てくれているのを見たら、“やばいっ”って」

逹瑯「早いな。1曲もやってねえじゃねえか(笑)」

SATOち「そうなんだよ(笑)。そこで感動するとは想定していなかったから」

――SATOちさん、改めて確認させてください。悩み抜いた結果、バンドにとっても、ご自身にとっても一番いい選択だと考えて、脱退を決断したということですよね?

SATOち「はい、そうです」

――それを最終的に3人のメンバーが理解し、尊重すると決めたうえで、今は一丸となってツアーに専念していると。

逹瑯「そういうことですね、はい。MUCCって、目の前のことをひとつずつ一生懸命やっていこうっていうバンドなんですよ。そうしないと、次を考えられない。SATOちはツアーが終われば脱退するんですけど、今日のライヴ、明日のライヴをしっかりというところに目が行っているので、考えずに済んでいるところはあるかもしれないです」

――どういう経緯で、このタイミングでのベスト・アルバムのリリースが決まったのでしょうか?

逹瑯「「明星」という新曲を、ツアー前にシングルで出そうかという話をしていたんですよ。シングルだと、カップリング曲のことも考えるじゃないですか。でも、みんなで歌詞を書いたラストシングルにカップリングって、あんまり想像できないですよね?」

――確かにそうですね。

逹瑯「だとしたら、SATOち盤のベストを出して、そこに新曲が入っているのがいいんじゃないかということになったんです」

――なるほど。SATOちさんは、率直にどんな心境でしたか?

SATOち「えっと、打ち合わせの時は“ああ、こうやって進んでいくんだ”と思っていたんですけど、ジャケが完成したりしていくうちに、どんどん恥ずかしくなって」

逹瑯「ハハハハハ」

SATOち「アルバム1枚に、こんなにSATOちという文字が入っていていいのかなって」

逹瑯「ああ確かに、それはダメだよね」

SATOち「おいおい、いいんだよ(笑)。YUKKEからも、“知ってるか?YUKKEっていう文字が入ってねえんだよ”と言われて」

逹瑯「あ、ほんとだ。作詞と作曲にオレとミヤは入っているけど、YUKKEは……ないよ(爆笑)」

SATOち:そう。で、“オレたちの共作あったじゃねえかよ”って。でもそれが「死して塊」だから、“暗い暗い暗い”って(笑)」

逹瑯「ハハハハハ」

――全16曲、どうやって選んだのでしょうか?

逹瑯「かぶりもあるし、かぶらないのもあるだろうからということで、メンバーそれぞれ12、3曲ぐらいずつ出したのかな。それで、かぶっている曲は入れて、そうじゃない曲は話し合って決めました。曲順は、古いものから年代順になっています」

――逹瑯さん、改めてSATOちさんの音楽面でのMUCCへの貢献について、聞かせていただけますか。

逹瑯「ライヴで盛り上がるノリを作っていく、核になる曲を書いているので、SATOちの曲があるというのは、だいぶデカいんじゃないですか。「死して塊」とか(笑)」

SATOち「そんなにやってねえよ、ライヴで(笑)」

逹瑯「「謡声(ウタゴエ)」とかね。「フライト」もそうだっけ?」

SATOち「うん、そう」

逹瑯「「前へ」とかもね。大きいですよ」

――SATOちさん、ご自身が手がけた楽曲がずらりと並んでいるのを見ると、やはり愛着を感じますか?

SATOち「それはありますね。昔は曲だけだったんですけど、途中から歌詞も書くようになって、それも愛着に繋がっていったなあと」

――MUCCは、SATOちさんのソングライターとしての表現の場でもあったわけですね?

SATOち「そう……なんですかね(笑)」

逹瑯「ハハハハハ」

SATOち「いやもう、足りないものばっかりで、そこをみんなに補ってもらっていたので。でも、そこは恥ずかしいともなんとも思わなかったんです。そういう、できないところを助け合うのがバンドだと思っていたんで。めっちゃめちゃ助けられました」

――新曲の「明星」が、涙なしでは聴けない曲で。

逹瑯&SATOち「ハハハハハ!」

――これ、歌詞は順番に書いていったんですか?

SATOち「そうです。まず最初は俺だろうと。で、俺からYUKKE、YUKKEから逹瑯、逹瑯からミヤという順番でした」

――どんな曲に仕上がったと実感していますか?

SATOち「俺の表現がヘタクソすぎるんで、作文みたいなものから始まるんですよ。そこにみんなが、どんどんドラマを足してくれたというか。だから、すごく景色が見える曲になったなと」

逹瑯「すごくMUCCっぽいですよね。MUCCのど真ん中ストレート、フルスイング。MUCCらしい、SATOちらしい曲が最後にできて、よかったと思いますね」

――SATOちさん自身が、特に思い入れの強い曲はありますか?

SATOち「「レクイエム」です」

――すぐ出ましたね。

SATOち「なんか、歌詞がちゃんとしている人って、けっこう自分のことを書いたりしているんですけど、俺は自分自身のことを書いたことがなかったんです。それで、さっきも言ったように、俺の歌詞って、いろんなものが足りなさ過ぎるから、すごくストレートになっちゃうんですよ。でもあの曲で、恥ずかしくてもいいからと思って、自分のことを書いて出してみたら、いいじゃんいいじゃんってみんなが言ってくれて。うれしかったですね」

――逹瑯さん、SATOちさんの曲で特に好きな曲はありま……

逹瑯「ないですね!」

――早っ!(笑)。

SATOち「おい!あるよ。あるあるある」

逹瑯「ハハハハハ!」

SATOち「考えてみろ。あるだろ!」

逹瑯「けっこうあるんです(笑)。自分が歌詞を書く時も、SATOちの曲だと景色が浮かびやすいので。「昔子供だった人達へ」とか、「パノラマ」とかいいですね。SATOちの曲がなかったら、あの歌詞も乗っていなかったと考えると、よかったです」

――現時点では、バンドにとってどんな1枚になると感じていますか?

逹瑯「まあ、すごく大きい出来事から生まれたベストなので、記念というか、節目のアルバムになるんじゃないですか。それがポジティヴなのか、ネガティヴなのかはわかんないけど、メンバーにとってもファンにとっても、大きな節目になるんだろうなと」

SATOち「俺も一緒ですね。節目。でも、忘れてほしいというか……なんだろう、志村けんさんが亡くなった直後って、めちゃめちゃ悲しかったんですよ。でも、1年経って、銅像が建ったりして、すごく前向きな気持ちになっているというか。だから、『明星』というアルバムも、そういうふうになってほしいなと」

――逹瑯さん、バンドの精神面や、ムード作りの面でのSATOちさんの貢献についても、聞かせていただけますか。

逹瑯「そこはすごくデカいんじゃないですか、やっぱり。楽屋とかでも笑いが起きるし。こういう雰囲気を作りたいな、こういう空気感がいいなっていう時に、SATOちに振ると間違いなくそうしてくれるから。そういう意味では、最高に使いやすいコマでしたよね」

――コマ扱い!(笑)

SATOち「やめろやめろ(笑)」

――噂通りの気配り上手、気遣い上手なのでしょうか?

逹瑯「いや、気配りや気遣いがうまいとか、そんな感じはしていなくて。そもそもそういう人なんですよ、きっと。ナチュラルにそれをやっているっていう」

――SATOちさんって、できた人なんですね。

SATOち「まあそうでしょうね、ええ(笑)」

逹瑯「だから、SATOちがさすがだなあとか、すごいなあとか思ったっていうエピソードを募集したとするじゃないですか。それを話しても本人はたぶん、全然覚えていないと思うんですよね。意図してやっていない。SATOちって、本当に素敵な人なんですよ」

SATOち「やめろ。コマでいいよ(笑)」

――SATOちさん、もはやMUCCは心や体の一部みたいなものかと思いますが、今後はどういう付き合い方をしていきたいですか?

SATOち「ライヴを観に行きたいですね。あと、新譜が出たら、ファンと同じ目線で聴きます」

――ライヴを観ていると、血が騒いで演奏したくなったりしないですかね?

SATOち「それはないと思います。“この曲のドラム、難しいんだよな”とか、“俺はこう表現していたけど、今度はどうやるんだろう”とか、そういう感覚になる気がしますね」

――ドラムとは、今後どう付き合っていきたいと考えているのでしょうか?

SATOち「まあ、趣味程度にはやりたいですね。なんだか知らないんですけど、最近、家の近所にドラム教室ができまして」

――講師として教えますか。

SATOち「いや、教えてもらおうかと(笑)」

――なるほど(笑)。音楽活動としては、考えていないということですね。

SATOち「そうです。遊びでやる程度かなと。俺が脱退するってなった時に、いろんな人に“ドラムだけは止めないで”って言われて、“わかった”って言いましたし」

――逹瑯さん、今後SATOちさんとは、どういう関係でいたいと考えていますか?

逹瑯「なんかね、茨城に帰ったりしないんだったら、きっとまた定期的に会うだろうし、ステージや現場で会わなくなるだけで、ツアー中にご飯食べに行ったりもするんだろうなと思います。そう考えると、今までとそんなに変わらないんじゃないかな。もともと、打ち合わせとかリハとか、仕事で一緒の時って、会っているという感覚ではなくて、お互い同じ仕事場にいるという感じだから。距離感的には同じかなと。ドラムの話をしなくなる分、高校生のころのような関係に戻るような気がする」

アルバム『明星』初回限定盤

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アルバム『明星』通常盤

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――『明星』のジャケット写真のスニーカーは、メンバーの皆さんのものなんですよね?

逹瑯「そうです。メインで大きく写っているのがSATOちので、中にみんなのスニーカーが写っています。デザイナーさんと打ち合わせしていて、20何年間、足並みを揃えてきたバンドだから、履きつぶしたスニーカーって、意味合い的にもかっこいいですねっていう話になって」

――ツアーの残り、地元の茨城でのファイナルまで、どういう気持ちで臨みますか?

逹瑯「残りのツアーは、追加でチケットを販売したんですよ。指針が変わったことで、これまで通り半分のキャパで、声を出してもOKにするか、これまで通りの声出しなしで、フルキャパOKにするかの2択になったから、迷ったんですけどね。声出しOKにすれば、SATOちがお客さんの声援を浴びることができる。フルキャパOKにすれば、ひとりでも多くの人に観てもらうことができる。考えた結果、後者のほうがいいんじゃないかと。それで増やしてもらったんです。まあ、どっちにしても、対策をしっかりやらないといけないというのは変わらないですからね。個人的にも、SATOちの最後のライヴだから、しっかり楽しみたいです。でも、最後だから間違えないようにしなきゃとか考えると、守りに入っちゃってつまらないと思うので、最後まで攻めたいですね。攻めた結果、やっちまったらしょうがないので。このツアーだけでなく、今後の活動でもどんどん攻めていきたい。そういう、SATOちを含めたMUCCのメンバーの覚悟みたいなものを見てほしいと思います」

――SATOちさんは、いかがでしょう?

SATOち「まあ、別れを悲しまないでほしいと思うんですけど」

――それは無理というものです。

SATOち「ですよね(笑)。だって、俺が悲しいってなってしまうと思うので。でも最後まで、たくさんの笑顔を見せてほしいですね。俺ももう、登場からずっと笑顔なんで。登場が笑顔で、1曲めで真剣な顔になって、そこからは、笑顔でできる曲は、すごい笑顔でやりますから。しっかり見届けてください」

(おわり)

取材・文/鈴木宏和





MUCC TOUR 202X 惡-The brightness world
2021年4月29日(木) 中野サンプラザホール GUEST/尋(NOCTURNAL BLOODLUST) 開催延期
2021年5月1日(土) よこすか芸術劇場 GUEST/千秋(DEZERT) 開催延期
2021年5月5日(水)ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター) 開催延期
2021年5月6日(木) ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター) 開催延期
※政府による緊急事態宣言発令に伴い、開催延期。振替公演日程は現在鋭意調整中

『MUCC TOUR 202X 惡-The brightness world』よこすか、茨城公演の配信決定





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通常盤(DVD)/MSHN-110/111/5,005円(税込) ※バックステージパス封入

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photo by 田中聖太郎(田中聖太郎写真事務所)



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