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――MIYAVIさんは2年前からアメリカ、ロサンゼルスを拠点に活動されていますね?

「はい。理由はふたつあって、娘たちの教育と創作環境のためです。教育に関しては自分自身が英語を学ぶのにすごく苦労をしたので、これから世界にコミットしていく上で必要なものを身につける環境を子どもたちに与えてあげたかった。それから創作環境という面では、例えばグラミーだったりアカデミーだったり、日本からしたら海の向こうの出来事なんだけど、実際そのヒストリーを作ってる人たちと仕事をして、ちゃんとそこに自分の身を投じて、その温度や質感みたいなものを肌で感じようと思ったんです」

――アメリカでの生活にはもう慣れましたか?

「やっとですね。最初の頃は本当に辛かった。やっぱり言葉も文化も食も気候も、生活様式の全く違う環境で、親としての責任とアーティストとしての責任を背負った上で前進するのは、思った以上に大変でした。今はコミュニティーも築けてきたし、向こうでのエージェントなどの体制も整い始めたので、ようやく根付いてきた感じはします」

――最新作の『Fire Bird』は、全編L.A.で制作されたんですか?

「そうですね。ナッシュビルで制作した前作(『The Others』)や、その前(『MIYAVI』)はロンドンで、キャリアのあるプロデューサーたちから学びながら作るって形だったんですけど、今作は逆に20代前半の若いクリエイターたちといっしょに制作しました」

――それはどういう理由から?

「若い世代が持ってるもの、僕が知らない領域っていうのは、単純にワクワクするから。それに、彼らは“いま”の流れを肌で感じられている世代なので。今の世界、今の音楽シーンがどういう風に動いているのかを感じながら、MIYAVI の音像の在り方を構築したかった。実際、今のアメリカではあまりギターミュージックが鳴ってないんですね。そういう中で自分はどうやってギタリストとしてのアイデンティティーを確立していくのか。ギターという楽器が持つ衝動や、単純にかっこいいって思える部分を、この時代に取り戻したいという気持ちで取り組みました」

――今作ではMIYAVIさんの代名詞とも言えるスラップ奏法が割合として少なめなのが印象的でした。

「そうですね。スラップでビートを刻んできたこれまでのアプローチに対して、今回はギターで“歌う”ことに挑戦しました。今、僕が音楽で作ろうとしているのは“カリフォルニアロール”なんです」

――カリフォルニアロール?

「例えるなら、僕はわさびも醤油もシャリもサーモンも持っている。だけど、アボカドだけは持ってない」

――なるほど(笑)。

「ロサンゼルス移住は、そのアボカドを手に入れる旅に出たという感じですね。アボカドの美味しさはわかってるけど、作り方は知らないから探しに行く。今、アメリカであたり前に寿司が市民権を得ているのは、やっぱりカリフォルニアロールっていうブリッジがあったおかげだと思うんですよ。野球で言うなら野茂(英雄)さんがいて、イチローさんがいるような。そういうブリッジになる要素ってすごく大きくて。一方、日本の音楽は今がその時期だと思うので、そういう意味で自分なりの音楽表現としてのブリッジになりうるものを作りたくて試行錯誤しています。それこそ前作なんかはシャリじゃなくてパンで巻いちゃったり、醤油じゃなくてケチャップをつけちゃったり(笑)。でも、あのナッシュビルでの経験を経たことで改めて自分の音楽、自分のギターというものを見つめ直すことができた。それが今回、新たな引き出しに繋がったというか。スラップって言ってみればわさびみたいなもので、わさびを塗りたくった寿司なんて、一口目はすごく刺激的ではあるけれど毎日食べたいとは思わないですよね?そこはやっぱり全体のバランスが大事であって。音楽もいっしょだと思うんですよ。なので今回のアルバムは、ひとつひとつの楽曲によってその分量は違ったりするものの、ようやくカリフォルニアロールのシェイプや“ロール感”が出てきた感じがします。すごく自信がありますね」

――スラップ以外の武器を手に入れたという感覚ですか?

「そうですね。音楽ってリズムだけじゃなくて、メロディーがリズムを繋げてくれる要素なので、自分のギターでメロディーを奏でることができるようになったのはすごく大きいです。自分も歌いますけど、やっぱり生粋のシンガーと比べると表現力に限界がある。だからギターで歌うことができるってことに気づけたのは、僕にとって本当にでかいことでした。あとは、もちろん今回いっしょに制作してくれたレニー(・スコルニク)、BOBOくん、たくさんの素晴らしいライター、クリエイター、ミュージシャンの力が本当に大きなものでした。自分だけではここまでは到底辿り着けなかったと思います」

――制作のスタイルというか、取り組み方はL.A.に行って変わりましたか?

「全然違いますね。なんていうか、生きる延長線上にクリエイションがある感じ。これはナッシュビルでも強く感じた部分で、普通に朝起きて、飯食って、散歩したり、キッズたちと遊んだり……何でもいいんですけど、そういう生活の中で制作をする。ここまでが仕事で、ここからがプライベートでっていうのは、くそ食らえですよ(笑)。そういう意味で家族とビジネスの距離感は近いですよね。みんな家族の話をするし、家族を連れて来るし、家族とも仕事の話をする。むしろ、子どもを育てることこそが最大のクリエイションっていう意識が強い。俺たちの次は、彼ら彼女らが明日を作る。それこそが希望なんですよね。それを自分たちが今やっていることと切り離す必要があるのかって言ったら、俺はないと思うんです。それは音楽だけじゃなくて、教育も文化もスポーツもそう。すべては子どもたちへの教育に帰結すると思うんですよ。かといって子ども向けの音楽を作るつもりはないですけど、でも、カッティングエッジで、なおかつ子どもも楽しめる作品であること。今回のアルバムはそういう部分を意識して作った作品でもあります」

(つづく)

取材・文/片貝久美子

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Photo by MASAYOSHI SUKITA



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