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Vol.02 歌詞を音のように

――歌詞についての話をお訊きします。今作は初めて全曲日本語詞ということで。全曲日本語詞ということがトピックになる日本のバンドというのも珍しいわけですが(笑)

青柳「おかしいですよね(笑)。結成時から歌を楽器の音色みたいな感じで捉えていたところがあったんですね。いわゆるボーカリストが歌をうたうというのではなくて。もちろん歌詞もしっかりと書いてはいたけど、メッセージ性云々というよりは、色彩的な感じというか。聴いていた音楽も洋楽が多かったので、やるなら英語だよねって感じでずっと来てたわけなんです。本当に最近まで」

――言葉が意味を持ちすぎてしまうのは、違うなと。

青柳「うん。音楽的な耳障りを優先してたのかもしれないですね」

――今回、昔のあるインタビューを読み返してみたら、そこでは「英語だったら世界中のひとに聴いてもらえるから」と答えていたんですけど、それもひとつの理由としてあったんですか?

青柳「ああ、それもひとつにはありましたね。ただ、自分のソロをやるときには、ちょっと東洋的な音楽に日本語詞を乗せて歌うとか、そういうことをしばらくやってたんです。東洋的な音楽に対してなら日本語は当然乗せやすいし、特にいじらなくてもスッと乗っかるので。それでいろんな言葉の表現をして、いろいろ学んでいくうちに、あるときふと、いまだったら西洋的な音楽にも日本語を乗せられるかもしれないと思ったんですよ。言葉というものに対しての自分のこだわりがパカっと外れた瞬間があったのかもしれない。もっと自由に乗せていいんじゃないかと思えたんです」

――逆に言うと、こだわりが強かったから、これまではやれなかったわけですよね。

青柳「そうかもしれないですね。自分なりの方法が見つかるまではやりたくないというか、やれないというか。そういうのはあったかもしれません。特に洋楽的な音楽に自分なりの日本語を乗せるというのは、イメージが湧かなかった。はっぴいえんどとかね、ああいう日本語の歌詞の素晴らしさは思ってはいたけど、それを自分たちがやるというイメージはなかったですし。で、やるならなんかフレッシュなものができたらいいなと思っていて、今回はそれができる気がしたんですよね」

――やってみて、どうでしたか?

青柳「書き始めたら一気に全部書けてしまったので、根拠のない思いこみだったのかなと(笑)。いいタイミングだったんでしょうね」

――歌詞に関して、鈴木さんと栗原さんに相談することはなく。

青柳「はい。歌録りのときにいきなり持っていくという」

鈴木「そこで初めて全貌を知ることになるんです」

――そこで何か言ったりとかは……。

栗原「青柳の日本語詞のソロ作ももちろん聴いていて、そこには当然青柳の世界観が出ているわけですけど、クリーチャーズでそれをやっても違和感はまったくなかった。日本語なので、自分の体験から出てくる感情がより強くなってるように思いましたね。例えば〈未知の世界〉という曲があるんですけど、オレはその詞が原発のこととかを歌っているように感じられたんですよ。キレイな情景が浮かんでくるんだけど、実際には被害にあった人の気持ちとか、そういうところを歌っているのかなと。で、青柳にそれを言ったら、実はこれ、もともとは〈基地の世界〉というタイトルだったんだと。青柳は沖縄に住んでいるので、米軍基地が密接に生活と関わってくるということを体現していて、基地のなかが自分の未知の世界でもある……というような話を聞いたら、すごくオレは腑に落ちた。だから原発のことのようにも感じられるんだなって思ったし」

――説明的な書き方は一切してないけれど、いま青柳さんはこういう思いでいるんだなってことが、すごく伝わってきますよね。

栗原「うん。いろんなところでシンクロするというか」

青柳「だからこそなるべくシンプルに書きたいというのはありましたね。ソロのときは、言い回しにこだわったりとか、あまり使われてない言葉を探したりとか、そういうことにも意識がいってたんですけど、今回はそういうのもなくて。本当にシンプルに書けたと思うし、あと、常識的な感じのことは言ってない。心の奥底にある思いみたいなものを捉えることができたと思うんですよね」

――そうですよね。例えば僕は「未知の世界」の“どうか正しさに捕らえられないで 優しい心がほとばしるほうへ”というフレーズが本当に好きで。ここ最近ずっと思っていることだったので、心底共感したんですよ。

青柳「ああ、嬉しいですね。ありがとうございます」

――「月の顔」でも“正しさばかり押しつけ どうも乗り切れないよ”と歌ってますが、本当にそう思うんですよね、最近。なんで世の中みんな、こんなに正しさばかり押しつけるようになってしまったんだろうと。

栗原「そうですよねぇ。思いますよね」

――このアルバムは、まず歌詞を読み取ろうとするよりも、音を感じて楽しみたい。でもそうやって何度か聴くうちに、いくつかの言葉がどうしようもなく耳に残って、心に広がっていく、そういうものだなと思いました。だから少し時間を置いてまた聴き返したら、ある言葉がいきなりバーンと心に響いたりもしそうですし。

青柳「そういうふうに、聴くひとのなかで勝手に意味が広がっていったりすると嬉しいですね。僕自身も歌いながら、それをいま発見してる感じがあって。無意識でわーっと書いたけど、歌っているうちにその意味がつかめていく、っていうことがいま起きてるんです」

(おわり)

文/内本順一

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