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2020.07.15

「Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”」@渋谷クラブクアトロ――ライブレポート

その場にいないぶんいつもより身近に、画面越しだからこそより親密に……7月12日、初めてのソロライブからちょうど10年を数えるその日、10年前と同じあの場所から星野源が歌っていた。日本中、いや世界中のオーディエンスに向けて。

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星野 源 by SMART USEN



2010年6月23日にアルバム『ばかのうた』でソロデビューを飾った星野源。彼の初めてのソロライブはその翌月7月12日に渋谷クラブクアトロで行われたわけだが、それから10年後の今日も彼は同じクアトロで歌っていた。

「Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”」は、配信ライブというフォーマットはもちろん、さまざまな意味でスペシャルな試みだと思う。だって、東京ドームをいっぱいにしてしまう星野源が、いまこの瞬間、観客のいないクアトロのステージに立っているのだから。





正確にはステージではなくて、いつもは僕らオーディエンスが所狭しと身を寄せ合っている客席フロアにバンドメンバーとともに立っていて、その光景は星野源自身の言葉を借りるまでもなく、『POP VIRUS』ツアーで見た東京ドームのセンターステージをぎゅっと凝縮したようだった。なぜフロアに降りたのか?「ライブの代わりに配信ライブをやるのではなく」というさりげない彼の言葉に思わず頷いてしまう。

この日のバンドメンバーは、ギターに長岡亮介、ドラムに河村 “カースケ” 智康、キーボードに櫻田泰啓、キーボードとフルートの石橋英子、サックスとフルートの武嶋 聡、MPCにSTUTS、そしてベースにハマ・オカモトという布陣。「Pop Virus」の弾き語りからスタートしたライブは、気心の知れたバンドとともに、スタジオセッションのような親密な空気感を纏いながら熱量を上げてゆく。カッティングの効いたギターイントロ、うねるようなバンドアンサンブルとチャーミングな武嶋 聡のフルートが際立つ「桜の森」。





「こういうだらだらしたトークをずっとしていたい。ふつうのライブじゃできないから」という彼の呟きから伝わってくる穏やかな雰囲気をどう形容したらよいのだろう……そんなMCを経て、ここまでのアッパーチューンからペースチェンジして、ぐっと大人びたトーンの「肌」、そしてブルージーな「Ain’ Nobody Know」へ。“卑劣が肩を叩けば 笑顔が唾の代わりさ”という詞に情念が宿る。

「みなさんどうですか?どんな環境で観てますか?」と画面の向こうから語り掛ける彼の言葉と、明る過ぎず、電球のような赤みを帯びた照明が配信ライブならではの“色”なんだろうなとふと思った。4月から5月にかけてのコロナ禍にあって、「離れた場所でもみんなが同時に楽しめたり、何かに没頭する時間を作りたいと思って……でも僕がいちばん元気づけられた」というMCに続いて披露された「うちで踊ろう」は白眉。この曲が生まれた所以も、バンドアレンジも、配信ライブだからこそ特別な意味を持っているように感じてしまった。





アップリフティングな「プリン」のビートに軽やかなステップを踏む星野源。と、おなじみの曲中トークパートへ。ハマ・オカモトのフリから始まった星野とバンドメンバーの近況報告的なひとときに溢れ出す幸福感たるや!

終盤、“人生のギアが変わった3曲”と称する「SUN」、「恋」、「Same Thing」を続けたあと、これまでの音楽人生を振り返りながら「いちばん最初は、中学生の時に人間関係がうまくいかなくて、それを吐き出すような歌ばっかり作っていたけど、好きな音楽を日々ガソリンのように摂取して、そうしてできた曲を、いつの間にか人に聴かせて喜んでくれたことがきっかけでそれが仕事になって……それからこの10年、いろんな人との出会えたから、皆さんが聴いてくれるおかげで生活できているので――今日はみんなに直接言えるので――本当にありがとう!」と感謝の気持ちを伝える。





「いままで聴いてくれたあなた」と画面の向こうから語り掛ける彼の口調が、ラジオで聴いた声音と同じく密やかに響く。星野源は、「Hello Song」を歌い終えてバンドメンバーを送り出したあと、ひとりフロアに残って弾き語りの「私」でこの日のライブを締めくくった。

7月12日のライブのチケット販売数はおよそ10万枚だそうだが――実際の視聴者はその数倍だろう――きっとその一人ひとりが、いつもより身近に、より親密に星野源を感じていたに違いない。なお、「Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”」は、7月19日23時59分までアーカイブ配信されており、試聴パスも同日19時30分まで購入することができる。

(おわり)

取材・文/高橋 豊(encore)
写真/ 西槇太一






■Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”

hoshinogen

※2020年7月19日(日)23:59まで視聴可、7月19日(日)19:30まで購入可




折り合い
星野源「折り合い」
2020年6月19日(金)配信
SPEEDSTAR RECORDS


星野源『Gen Hoshino Singles Box “GRATITUDE”』
2020年10月21日(水)発売
生産限定盤(12CD+10DVD+Blu-ray)/VIZL-1793/23,000円(税別)
生産限定盤(12CD+10DVD+DVD)/VIZL-1794/23,000円(税別)
SPEEDSTAR RECORDS


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