ルーサー・ヴァンドロスがザ・ビートルズの「ミッシェル」のカバーを含む最新ベスト・アルバムをリリース。

2005年に54歳で亡くなった偉大なR&Bシンガー、ルーサー・ヴァンドロス。2024年は、40年以上にわたるキャリアを追いながら創作の裏側と知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー映画『Luther:Never Too Much』が公開されました（日本での公開は未定です）。また、幻のアルバムと呼ばれていた70年代の2作品：『ルーサー』（1976年）と『ディス・クロース・トゥ・ユー』（1977年）が世界初CD化・デジタル配信され、ソウルミュージック・ファンを中心に話題を呼びました。

 

■ドキュメンタリー映画『Luther: Never Too Much』予告編 (2024)

そして、12月13日には、ザ・ビートルズの名曲「Michelle」の未発表カバーを含む最新ベスト・アルバム『Never Too Much: Greatest Hits』（CD/デジタル版/LP）をリリースしました。「Michelle」の録音にまつわる詳細は謎のままですが、長年の友人であり、バックコーラスも務めていたフォンジ・ソーントンが、ヴァンドロスの膨大な録音素材や映像コレクションの中から、「Luther Vandross Michelle 6/1/89」というラベルが貼られたカセットを発見しました。録音場所やセッション・ミュージシャンなどの情報については現在のところ見つかっていません。

 

■Luther Vandross – Michelle (Official Video)

この「Michelle」を含むルーサー・ヴァンドロスの新しいベスト・アルバム『Never Too Much: Greatest Hits』は、ドキュメンタリー映画と連動したアルバムになっています。彼の代表曲である「Never Too Much」や「So Amazing」はもちろん、ヴァンドロスの歌唱スタイルを色濃く反映した「A House Is Not A Home」やビヨンセとのデュエット「The Closer I Get To You」のカバーなどを収録しています。また、「Michelle」以外にも、ヴァンドロスとソーントンの共作で1985年に録音された未発表曲「Speak Your Love」が収録されています。さらに「Never Too Much」のLost Frequenciesによるリミックスや、「Get Myself Together」のルイ・ヴェガによるリミックスも収録され、特別なベスト・アルバムに彩りを加えています。

 

現在、ロサンゼルスにあるグラミー・ミュージアムでは、ルーサー・ヴァンドロスを称え、彼のレガシーを展示するイベント「Luther Vandross: Artistry and Elegance」が開催されています（2025年6月15日まで公開）。さまざまなヒット曲の手書きの歌詞やレコディング時のメモ、コンサート・ツアーで着用した手縫いの衣装や、その衣裳のために自ら描いたファッション・スケッチなど貴重な品々が展示されています。

 

ルーサー・ヴァンドロスは1981年のソロデビューアルバム『Never Too Much』のリリース以来、8部門のグラミー賞（31回ノミネート）、8部門のアメリカン・ミュージック・アワード、そして1999年にクインシー・ジョーンズ功労賞を含む5部門のソウルトレイン・ミュージック・アワードを受賞しました。彼は11作連続プラチナ/ダブル・プラチナ・アルバム（全体で13作）を達成し、幅広い層に支持される音楽界の巨人として地位を築きました。そのレガシーは、性別や世代を超えた多くの歌手に影響を与え、世界中のファンに感動を与え続けています。